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アイスティー(iced tea)とは、お茶(主に紅茶)を冷やすことで作られる飲料の一種。
歴史
発祥の地はアメリカであり、紅茶全体の消費量の85%以上がアイスティーであるとの調査が2008年になされている。
しかし、有名な通説である「1904年に行われたセントルイス万国博覧会で、炎天下で熱い紅茶に目もくれない人々にヤケを起こした販売員が氷を入れて出したところ大好評を得た」というのは実は真っ赤な嘘。この博覧会に出店していた多くの飲食店のメニューには既にアイスティーが存在しており、日本食レストランのメニューにもアイスティーがあった。
そもそも1900年より以前からアイスティーはアメリカに普及していた。1879年に発行された『Housekeeping in Old Virginia』という料理本には、緑茶を用いたアイスティーのレシピが掲載されており、1890年にミズーリ州で開催された退役軍人大会では、集まった1万5千人の人々に880ガロン(2リットルのペットボトルにして約1666本)の量のアイスティーが振る舞われたとの記録がある。当初は(苦味をレモンや砂糖でやわらげる等して)緑茶が使われる事が多かったが、第二次世界大戦後に紅茶へとシフトしていったようだ。
アメリカ南部では「スウィートティー」と呼ばれる非常に甘いアイスティーが日常的に飲まれている。家庭で作られる際に使われる砂糖の量はハンパない。興味のある人は「スウィートティー 南部」で検索してみよう。コカ・コーラやドクターペッパー、ペプシやマウンテンデューといった清涼飲料水が生まれたのが南部ということを考えれば、さもありなんの砂糖量である。
尚、紅茶の国イギリスでは気候の所為もあってか、アイスティーは一般的ではなく、殆ど飲まれていない。邪道と嫌う向きも多く、熱くない紅茶を飲みたい場合には「冷ました」クールティーを飲むようだ。
作り方
じっくりと時間をかけて成分を抽出する事で繊細な味わいを楽しめる水出し方法と、茶葉本来の力強い味と香りを味わえ、すぐに作れる湯出し方法の二種類がある。茶葉の分量や抽出時間等については様々な紹介がされている為、自分の好みに合った方法を探してみよう。
ストレートで飲まれる他、好みで砂糖やシロップで甘味を加えたり、レモンや牛乳などを加えて様々な味付けがされる。
なお、一般に水出し方法と湯出し方法の二つの作り方が知れ渡っているが、水出し方法で作る場合には専用の茶葉を使用することを強く推奨する [1] 。ほとんどのメーカーが販売する茶葉は、農薬検査こそされているが、殺菌処理が行われることはほとんどない。通常、お茶は熱湯で飲むことが前提であるため、わざわざ殺菌処理を行う必要がないのだ。そのまま作るとせっかくのアイスティーが雑菌の温床になってしまうので注意。どうしても通常の茶葉を使用したいならば、いったん熱湯で洗って殺菌をすることをお勧めする。
水出し方法
発酵度の低い茶葉に適した方法。常温の水に分量に合った茶葉(もしくはティーバッグ)を入れ、6~8時間程放置しておくだけ(もちろん殺菌には気をつけよう)。完成したら茶葉を取り出して冷蔵庫で冷やす。保存が効かないので、早めに飲みきってしまうこと。
湯出し方法
発酵度の高い茶葉に適した方法。通常の1.5~2倍くらい濃いめにいれたお茶を、氷を満たしたグラスに一気に注ぐ。手早く多く作りたい、冷やしたい場合には差し水も有効。
氷を使わない湯出し
通常のホットティーを淹れるのと同様に抽出した後、粗熱が取れるのを待って冷蔵庫で冷ます。氷を加えないため、濃いめに抽出する必要がない。
日本で麦茶を淹れるのと似たやり方で、鍋やヤカン、ポットに多めの湯を沸かし、あとからお湯1リットルに対して10~15グラムの茶葉、ティーバッグなら2~3個を加えて蒸らすという方法もある。こちらは水出しと氷による急冷の中間くらいの雑味や渋みの少ないまろやかなアイスティーが抽出できる。ティーバッグや市販のお茶パックを用いると処理が楽である。
クリームダウン
湯出し方法で紅茶を淹れた後、冷蔵庫で冷やしたり、少量の氷で冷ましたりといった「ゆっくり冷やす」方法では、紅茶に含まれているタンニンとカフェインが結合、結晶化し、白く濁って見える。この現象をクリームダウン(ミルクダウン)と呼ぶ。特に味に影響はないのだが見た目が悪くなってしまう為、手作りアイスティーの最大の難関とも言えるだろう。
綺麗に透き通った紅茶は清涼感溢れるステキな飲み物。
クリームダウンを防ぎ、透き通ったアイスティーを淹れたい方は以下の方法を試してみよう。
- タンニンの含有量が少ない茶葉を選ぶ。
ウバやアッサムなどはタンニン含有量が多くクリームダウンが起こりやすい為、アイスティーには向かない。どうしてもという人は湯出しではなく水出しで淹れるか、ファーストフラッシュ(春摘み)のものを選ぼう。独特な味の為好みは分かれるが、春摘み紅茶は全体的にタンニンが少ない。 - 急速に冷やす前に砂糖を入れておく。
タンニンとカフェインの間に砂糖の結晶が入る為、クリームダウンしにくくなる。ガムシロップの甘さが嫌な人にもお勧め。 - あせってかき混ぜない。
氷で急速に冷やしても、かき混ぜてしまうと全体の温度が上がってしまう。
水出しの場合でも、長時間放置し過ぎるとタンニンが多く抽出され、クリームダウンが起こる場合がある。茶葉を少なくするか、抽出時間を短めにする事で対応しよう。
もしクリームダウンが生じてしまった場合には、少量の湯を入れると元に戻る。もしくはミルクを入れてミルクティーにすれば、ひとまず見た目の悪さは誤魔化せるだろう(本末転倒ではあるが)。
バリエーション
- タピオカミルクティー
ミルクと砂糖で甘くしたアイスティーにゆでたタピオカパールを加えたもの。飲料というよりはスイーツとしても楽しまれる。当該項目参照。 - ロングアイランドアイスティー
アイスティーと名がついているが、アルコール飲料(カクテル)の一種であり紅茶は使われていない。氷を入れてゆっくり飲むカクテル(ロングドリンク)としては度数が高いため、飲みすぎに注意。
参考文献
関連項目
脚注
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