大願成就アカイトリノムスメ!
アカイトリノムスメ (Akaitorino Musume) とは、2018年生まれの日本の競走馬である。黒鹿毛の牝馬。
主な勝ち鞍
2021年:秋華賞(GⅠ) 、クイーンカップ(GⅢ)
ガイヨウヲカカレルムスメ(概要)
アカイトリトフカイショウゲキノムスメ(経歴)
父ディープインパクト、母アパパネ。三冠馬と三冠牝馬の配合という日本競馬界で考え得る最高の良血馬。母父キングカメハメハをはじめとして、血統表に歴代スーパーホースがずらりと並ぶが、多少競馬を知っていれば父と母の名前だけで十分であろう。
オーナーは当然、父母を所有する金子真人。彼はハワイに由来する名前をつけることで有名だが、シラユキヒメを祖とする白毛一族に「ハヤヤッコ」「シロニイ」「ブチコ」などの名前をつけだしてから本格的に珍名道に開眼したらしい。アパパネの2番仔にそのまんま「ジナンボー」と名付けるなど、そのセンスを白毛以外の馬にも広げつつある。
そんな中、4番仔にして初の牝馬には、「赤い鳥」…すなわちアパパネ(アカハワイミツスイ)の娘、というそのまんまな名前をつけたのである。
なお、アパパネは繁殖初年度から6年連続でディープをつけられており(3年目は不受胎)、前述のジナンボー含む彼女の上の3頭の牡馬も全て勝ち上がっている。彼女の次の仔は流産してしまい、2019年はディープが早期に種付けを打ち切ったため代わりにディープの兄のブラックタイドを種付け、そしてその年の夏にディープが死亡したため、この三冠配合ではアカイトリノムスメが最後の仔となった。
「アカイトリノ」というものの、父も母も鹿毛であり、本馬の毛色は登録上黒鹿毛…一般的な色の表現では「明るい焦げ茶色」である。ただし、結果的に秋華賞馬となったことと、三冠を分け合ったソダシ(白毛)・ユーバーレーベン(青鹿毛)との対比で「赤」は依然として彼女のイメージカラーとして定着している。
母アパパネや、同期のサトノレイナスと同じ美浦の国枝栄厩舎の所属。ただし国枝厩舎のトレードマークである白いシャドーロールはつけていない。これは金子オーナーの意向とのこと。
サンレンショウスルムスメ(デビュー~3歳春まで)
2020年8月の新馬戦(新潟・芝・1600m)でデビュー(鞍上は戸崎圭太)。1番人気を背負うが出負けして、実況に「アパパネノムスメ」と言い間違えられた程度でそのまま見せ所なく7着に沈む。
気を取り直して10月の未勝利戦(東京)では直線での末脚を発揮し差し切り勝ち。続く1勝クラスの赤松賞では横山武史に乗り替わり、また出負けしたものの直線で後方から馬群をぶち抜いて2連勝を飾る。
新馬戦を落としたあと、10月の府中の未勝利戦と11月の赤松賞を連勝という流れは母アパパネと同じ。しかも未勝利戦と赤松賞の勝ちタイムまで母と全く同じ。当然アパパネと同じく次走は阪神JF……かと思われたが、ここは間隔が詰まるからと回避して2歳シーズンを終える。
2021年はGⅢクイーンカップで始動。鞍上は戸崎圭太に戻り、直線で早めに抜け出すと、追撃するアールドヴィーヴルやククナを押しきって3連勝。アパパネ産駒初の重賞勝利馬となった。
シロイムスメヲオイカケルムスメ(桜花賞)
次走は桜花賞へ。同オーナーの「白毛の女王」ソダシと初対決となる。戸崎騎手がドバイからの帰国後の隔離期間のため騎乗できず、鞍上は再び横山武史となった。
桜花賞前には、これまた珍名馬として名を馳せたプリンニシテヤルノと併せ馬を行ったことで一部の注目を集める。
本番の桜花賞では、ソダシをマークし、末脚勝負に持ち込むが届かず。大外から豪脚でまくったサトノレイナスにも差し切られ4着。
シロイアレノムスメヲツイゲキスルムスメ(オークス)
続くオークスでは、サトノレイナスが日本ダービーに向かったこともあり、レイナスの主戦のクリストフ・ルメールが騎乗。桜花賞と同様にソダシをマークするが、ユーバーレーベンが父譲りのまくりで大欅の手前から進出を開始。アカイトリノムスメも残り200mで脚色が鈍ったソダシをかわして抜け出したものの、1馬身届かず惜しい2着。ちなみにルメールはこれでソダシ出走レースで4戦連続2着となった。
このユーバーレーベン、秋の京都どころか夏の阪神その他に衝撃を残した「白いの」ことゴールドシップを父に持ち、彼譲りの「第3コーナーからゴリゴリ進撃」で勝利を収めたことで話題になった。
アカイトリノムスメの末脚も父譲りなのだが、今年のファンは、どういうわけだかディープの脚質を知らないのにゴルシの脚質は知っている人ばかり。かくしてユーバーレーベンは、元ネタを差し置いて「シロイアレノムスメ」というあだ名がつけられ、ニコニコ大百科に先に記事が作られることになった。
アカイトリノムスメは負けてなお強しの評ではあったが、このレースは「ゴールドシップ産駒初のG1馬誕生」「ソダシ8着に敗れる」「ハギノピリナ3着でワイドに万馬券、三連複十万馬券」とニュースが目白押しで、2番人気2着と順当な成績だった彼女は影に隠れてしまった。
超良血でクラシック前に3連勝、しかし本番のクラシックでは善戦すれどライバルに届かず、という成績からどこかのミドリメンコノオウみたいな立場になったアカイトリノムスメは、秋に向けて臥薪嘗胆の日々を送る。
ハバタクマッカナアキノムスメ(秋華賞)
同厩のサトノレイナスが故障で離脱したものの、二冠を分け合うソダシ・ユーバーレーベンに加え、桜花賞3着でトライアルの紫苑Sを勝ち復調したファインルージュ、ローズSを制した夏の上がり馬アンドヴァラナウトなど新たなライバルが台頭。鞍上の戸崎が関西のG1で勝てないことで有名だったこともあってか、本番での人気は故障明けのユーバーレーベンこそ上回ったが、ファインルージュとアンドヴァラナウトの後塵を拝して4番人気に留まった。
レースでは過去2戦と異なりソダシのマークを止め、中団前方の外目という好位置で待機。直線に入って差を詰めていくと残り300mから電撃の末脚がついに真価を発揮。沈んでいくソダシを横に見ながら加速、逃げるエイシンヒテンを一気にちぎると、内から伸びてきたアンドヴァラナウト、さらに外から追ってきたファインルージュを振り切って、絵に描いたような差しきり勝ちを決めて見せた。
最後の一冠羽ばたいたアカイトリノムスメ!
その良血を証明する待望のG1制覇。母アパパネに続き、史上初の親子2代秋華賞制覇となった。
また、アパパネ産駒初、というか三冠牝馬産駒初のG1勝利でもある。ちなみにその陰でファインルージュに騎乗したルメールは、「20年阪神JF・21年桜花賞・オークス・秋華賞」と同世代牝馬G1で全2着(しかも牝馬三冠は全て違う馬で2着)という別の偉業?を達成していた。
彼女の勝利により、2021年牝馬三冠は「白いの」「黒いの」「赤いの」が分け合うカラフルな決着となったため、ネット上ではこの3頭はまとめて「白黒赤」「USA」などと呼ばれるようになった。
アカイベツノムスメ(エリザベス女王杯)
次走は11月のエリザベス女王杯。母アパパネが唯一未勝利の牝馬限定G1である。秋華賞馬として母の忘れ物を取りに行くことが期待され、大阪杯を制したレイパパレに次ぐ2番人気に推される。
続いてはそのレイパパレをオールカマーで破ったウインマリリン・ウインキートスの「ウインウインだ!」コンビも3・5番人気、4番人気にはG3の2勝を含む8戦5勝の伏兵テルツェットが入る。
そんな中、1着でゴール板を駆け抜けたのは、もちろんアカイ――
…あれー?
そりゃ確かに「アカイイト」だし、そろってゴールしたら面白いなあと思っていた人はいたかもしれない。しかしこれまで重賞未勝利の6月に3勝クラスを勝ってオープン入り、G2は2回とも掲示板外。今回も10番人気。まさか勝つなんて誰も思っていなかった伏兵中の伏兵である。
肝心のアカイトリノムスメはというと、レイパパレらと馬体を合わせて先行策を取ったが、道中ハイペースで消耗した上に外に押し出されて内枠の利を活かせず、直線でも力尽きてヨレたランブリングアレーに押されてしまった。
それを大外で見ていたアカイイトが最終直線で進出を開始。一方でレイパパレ・アカイトリノムスメらは叩けども叩けども伸びず、自分が沈んでいく一方でアカイイトがぐんぐん伸びていくという秋華賞と逆の立場になってしまった。結局あの末脚はどこへやら、レイパパレ(6着)と共倒れになる格好で7着に終わった。
かくして勝利を収めたのはアカはアカでもアカイイト。終わってみれば上位人気5頭(単勝オッズ10倍以下)が全部掲示板の外に沈むというとんでもない番狂わせとなり、アカイトリノムスメは久々の「荒れるエリ女」の洗礼を受ける羽目になった。
「赤い糸」の名に恥じぬキズナ産駒、そして19戦して掲示板は3回しか外していないと、考えてみれば決してなめてかかってはいけない相手だったのだ。運命の赤い糸は、カスミ網となって赤い鳥を捉え、オーナー・厩舎・鞍上に数々のドラマをもたらしたのだが、それは当馬の記事に譲る。→アカイイト(競走馬)
ちなみに2着に入ったのは秋華賞で6着に破ったステラリア。珍名馬対決に敗れただけでなく、手痛い反撃も食らってしまい、母の忘れ物は来年に持ち越しとなった。年内は放牧で休養となり3歳秋を終える。
ケガデターフヲサルムスメ(4歳・引退)
4歳となった2022年の始動戦は4月の阪神牝馬ステークス。ヴィクトリアマイルを目標にステップレースに挑む……はずだったのだが、発走直前に右後肢跛行の故障発生で競走除外。
戸崎騎手によると、本馬場入場の際に地下馬道で尻っぱね(パドックでもときどきやる馬がいる、後ろ脚を飛び跳ねるアレ)をやってしまい、壁に右トモをぶつけてしまったのだという。
後日、右第三趾骨骨折が判明。復帰を目指し休養に入ったが、結局5月、ヴィクトリアマイルの直前に競走馬登録を抹消、現役引退となってしまった。通算8戦4勝。
引退後は繁殖入りする予定。
ライバルイッパイムスメ(同世代の牝馬たち)
2021年は、諸事情で競馬界が盛り上がった年である。そんな中、彼女を含む2021年クラシック世代の牝馬は実力面でも、話題性でも、ネタとしてもやたらと濃いメンバーが集結している。
何かとその名前をネタにされたり、他の牝馬との比較をされていた時期があったものの、アカイトリノムスメはついに母と同じ秋の女王に君臨し、父のように秋の京都ならぬ阪神にディープなインパクトを残して、同世代牝馬のトップの一頭となった。
だが、同時にこの世代の牝馬は故障に苦しむ実力馬が多い世代でもあった。九州産馬の星・ヨカヨカ、阪神JFと桜花賞でソダシと死闘を繰り広げたサトノレイナス、55年ぶりに牝馬で菊花賞の馬券に絡んだディヴァインラヴなどが相次いでターフを去り、そしてアカイトリノムスメもまたその一頭に名を連ねることになってしまった。
個性的なライバルたちとターフで鎬を削る道は絶たれてしまったが、今後は繁殖牝馬として、子供たちの活躍でライバルと鎬を削ってほしいものである。
ケットウスゴイムスメ(血統表)
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | ||||
Cosmah | Cosmic Bomb | |||
Almahmoud | ||||
Wishing Well | Understanding | Promised Land | ||
Pretty Ways | ||||
Mountain Flower | Montparnasse | |||
Edelweiss | ||||
*ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | Northern Dancer | |
Goofed | ||||
Lady Rebecca | Sir Ivor | |||
Pocahontas | ||||
Burghclere | Busted | Crepello | ||
Sans le Sou | ||||
Highclere | Queen's Hussar | |||
Highlight | ||||
アパパネ 2007 鹿毛 FNo.9-f |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | ||||
Miesque | Nureyev | |||
Pasadoble | ||||
*マンファス | *ラストタイクーン | *トライマイベスト | ||
Mill Princess | ||||
Pilot Bird | Blakeney | |||
Tha Dancer | ||||
*ソルティビッド 2000 栗毛 |
Salt Lake | Deputy Minister | Vice Regent | |
Mint Copy | ||||
Take Lady Anne | Queen City Lad | |||
Lovita H. | ||||
Piper Piper | Spectacular Bid | Bold Bidder | ||
Spectacular | ||||
Alvarada | Hard Work | |||
Easterborn |
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