アカチョウチンクラゲ(Pandea rubra)とは、深海性のクラゲの一種である。
概要
名前通り提灯のような形の深海クラゲで、透明な傘の内側や胃は真っ赤。ここまで赤いのは発光する獲物を捕食した際に外部に光が漏れださないようにする為だと考えられている。傘の高さは約18cmで、24本の毒針(刺胞)の付いた長い触手を持つ。これまた提灯のように伸び縮みして水を吹き出しながら泳ぐ。アカチョウチンクラゲ自身も発光することができる。分類学上は刺胞動物門・ヒドロ虫綱・花クラゲ目・刺糸亜目・エボシクラゲ科・ハナアカリクラゲ属に属する(諸説あり)。
太平洋、大西洋、南極海の水深約450~1500mから記録されており、北極海からは見つかっていない。発見例が少なく希少な種だとされてきたが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の調査によって岩手県の三陸沖に多数の個体がいることが分かっている。
英名は「Red paper lantern jellyfish」で、こちらも日本の赤い提灯に由来する。
他の生物との関わり
アカチョウチンクラゲはウミグモ、ヨコエビや他のクラゲの幼生などの多くの小さな生き物の住処になっている。一方でアカチョウチンクラゲも幼生時代はダイオウウキビシガイ(Clio recurva)という浮遊生活を行う巻貝(翼足類)の1種のみに付着して育つことが分かっている。ダイオウウキビシガイなどの巻貝の仲間が成長するためには貝殻の材料となる炭酸カルシウムが必要だが、近年は人類の活動によって海中の炭酸ガスが増加・海洋が酸性化しており、貝殻の炭酸カルシウムを溶かしてしまうため、ダイオウウキビシガイを含む浮遊性巻貝は絶滅の危機にある。
このことは、海洋の酸性化のような環境問題が1つの生物(ここではダイオウウキビシガイ)のみならず、他の生物(ここではアカチョウチンクラゲ)を通して、更に莫大な数の生物に深刻な影響を与えることを示唆している。
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関連項目
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