数年くらい前の、まだ寒さが身に凍みてた頃のことだったと思う。
散歩から
家に帰る途中で
駐車場の近くを通りかかったんだけど、そこの
自販機の足元で、何か小さな物が
パチン、
パチンって音を立てながらその場を跳ねてたんだ。
カエルの
おもちゃみたいに。しかも一見どうも
アゲハチョウの翅のようにみえるんだよ。
蝶なら成
虫も幼
虫もこんな動きをするはずが
無い。奇妙だな、なんだろうな、って思って、近寄って見てみたんだ。
確かに
アゲハチョウの成
虫だった。大きな翅も、複眼の
目立つ頭も。でも胴と
腹はちがった。そこだけ
サナギのまんまだったんだ。きっとどこかの
子供が、飼ってた
アゲハチョウの
サナギの中身が気になって出しちゃったんだろう、頭と翅しか成
虫になれてないのに、寒
空の下に放り出されてたんだ。
足も
サナギもままで体にぴったりくっついて
動かないから、成
虫みたいに立つことも出来ないでいた。
背中も
サナギだから翅でまともに飛びたてないで、地面で一回羽ばたくのが精一杯だったんだ。
パチン、
パチン、って音は、
アゲハチョウがどうにかその場から動こうと羽ばたいて、翅が地面を
叩いて跳ね上がったときの
(省略しています。
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