アサ(麻)とは、植物の一種である。日本では主に繊維をとるために栽培されている。大麻。
麻というと、植物の茎や葉から取れる天然繊維を総称する意味もあるが、この場合にはアサを指すことはむしろ少ない。実際に、「家庭用品品質表示法」では麻といったら"亜麻及び苧麻に限る。"とされているほどである(どちらもアサの仲間ではない)。
この記事では、植物のアサについて説明する。医療品・嗜好品としての使用については大麻の記事を参照のこと。
概要
【分類】(クロンキスト)イラクサ目アサ科アサ属(APG)バラ目アサ科アサ属
【学名】Cannabis sativa
(学名の由来)Cannabis→ギリシャ語古名から/sativa→栽培の
そこらに生えているのを見ることはまず無いと思うが、7-9つの葉が集まり、全体として掌のような形をしているのが特徴。もしそれっぽいのを見かけたらケナフの予感。
用途 - 麻薬だけではない
世界各地で繊維・油糧・薬料作物として栽培されてきた。近年は、バイオマス産業に生かすための試みもなされている。
アサの繊維には布や縄など多数の用途がある。神道では神聖な繊維とされ、注連縄の材料になったり、神事に使われたりする。手芸の分野では麻紐を使った「ヘンプアクセサリー」がよく知られている(ヘンプはアサの英名)。
日本のアサ栽培は、化学繊維が台頭してきた1950年代後半から急激に衰退した。かつては長野県も生産地として有名だったが、現在では主に栃木県で栽培されている。
栽培されているのはトチギシロ(栃木白)という品種である。これは、栽培農家から麻薬目的でアサが盗まれる事態が多発したので、何とかして幻覚成分を含まない品種をつくろう、ということで1982年に作出されたものである。幻覚成分を含むアサと交雑すると、トチギシロも幻覚成分を含むようになってしまうので(優性遺伝する)、その点では細心の注意が払われており、栃木県は県外への種子の持ち出しを禁止している。
麻の実
麻の実が「観賞用」としてネットなどで売られていることもあるようだが、本当に「観賞」で満足できるならともかくとして、発芽させた時点で犯罪(大麻取締法違反)なので注意すること。
麻の実は古くは日本各地で食用にされてきた。身近なところでは、七味唐辛子の材料になっていたり、ペットショップで鳥の餌として売られていたり(普通は発芽抑制処理済み)する。また、池の水からミズカビを取るには、茹でた麻の実を用いる方法が一般的である。
幻覚成分
カンナビノイドと総称される成分を含み、うちテトラヒドロカンナビノール(THC)が生理作用の大部分の由来であるといわれている。トチギシロはTHC(正確にはそのカルボン酸体であるTHCA)が少ない品種である。
ここから先のことは大麻の記事を参照。
その他・豆知識
- 麻の実を発芽させて毎日飛び越すことを繰り返していると、もしあなたに忍者としての才能があるなら、4か月後には3-4mにも達するマリオばりの大ジャンプができるようになっているかもしれない。そしてその使いどころはすぐに訪れる(警察に追われる的な意味で)。
- 麻の字は、植物のアサの他に「しびれる」という意味があり、トウガラシの「辣」に対して花椒の舌がしびれるような辛さを表現するのに用いられる。「麻酔」「麻痺」などの熟語がある。もともとは痲という字だったが、少なくとも戦前の時点で両者が混同されていた。なお、ややこしいが痳は全く別の字である。
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関連項目
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