アザトース(Azathoth)とは、H.P.ラヴクラフトの創造した神性である。
概要
別名:魔皇/魔王(DAEMON SALTUN)、盲目白痴の神(THE BLIND IDIOT GOD)
クトゥルー神話における古きものどもの総帥。「混沌の核」とも呼ばれる。
視覚や知性を持たない代わりに強大な力を有していると書かれる神性。
書き手によって元から視覚も知性も無く、ただ力だけで魔皇/魔王と呼ばれているとする場合と、旧神によって視覚と知性を剥奪されたとする場合とがある。
造化神とされる場合もあり、ハイドラの犠牲者がアザトースの思考範囲内に入って失われた自分の肉体を形成する事も可能だが、誤って次元の帷の向こうに居るアザトースの姿を見てしまうと破滅する。
また、アザトースがこの宇宙を創ったとする説もある。言うなれば「生きた物質創成の場」である。
上甲宣之の「脱出迷路」三部作では、世界はアザトースの夢でありアザトースが目覚めれば世界は滅びてしまうという設定である。また、ナイアルラトホテップはアザトースの眠りを守っている存在とされていた。この設定はロード・ダンセイニの「ペガーナの神々」における「眠れる神」マアナ=ユウド=スウシャイと、その眠りの守り手たるスカアルの設定に酷似している。
ラヴクラフトは「アザトース」と題した作品の構想を持っていたものの、癌により急逝した為、世に発表する事は叶わなかった。
また、ラヴクラフトが実際にアザトースを出演させたのは「夢にカダスを求めて」一作のみで、アザトースとナイアルラトホテップは、ノーデンスとランドルフ・カーターをかけて争っていた。
出自及び血縁
ラヴクラフトも含めてアザトースの出自について書き記した作家はあまり居ない。
リン・カーターはウボ=サスラと共に旧神に創られた存在であるとしており、この設定が多くの作家に受け入れられている。
ラヴクラフトの系図ではナイアルラトホテップ、無名の霧、闇を生み出し、無名の霧はヨグ=ソトースを、闇はシュブ=ニグラスを生み出している。(異説もあり)
また、サクサクルースは雌雄同体の落し子とされている。
他にアムトセバ、トゥーサ、オッココク、アウラニイス、ザサゴラ、ウイチロポクトリと言った神々もアザトースの子供たちであると言われている。
データ
奈落の底の混乱の最後の核を持った不定形の黒い影で、単調なフルートの音に合わせて体をくねらせ、膨張と収縮をしているといわれている。
ぶつぶつと忌わしい言葉を呟くその存在はまさに痴愚というべきものだろう。まぁ姿なんて見た瞬間に存在の根底を破壊され気が狂ってしまうのだから意味がないかもしれないが。
この世が生まれたときにはすでに存在していた「外なる神」であり、宇宙を創造し破壊するものだといわれることからビックバンと同一視する学者もいるという。
アザトースを崇拝する教団はないといわれている。痴愚なアザトースを崇拝したところで喜ばない。
ただ、ゴーツウッドの魔女たちやミ=ゴ、シャッガイからの昆虫(シャン)やドリームランドではアザトース崇拝をしているという。もしかしたらシャンによって人間はアザトースの存在を知ったのかもしれない。
しかし何も知らない人間がふとした瞬間に『妖蛆の秘密』に書かれた呪文などによってアザトースを召喚してしまい破壊と恐怖を持ちこんでしまうことがある。それを知った破壊の望むものがアザトースを崇拝し、宇宙的な力を得ることがあるといわれている。
ただ、その大きさはどんどんと膨張し半径数百メートルから数キロのもなるといわれ、退散させるすべがなければすべてを呑み込んでしまうだろう。
アザトースが棲むという宮殿は『マウス・オブ・マッドネス』と呼ばれており、空間と時間の法則が狂っているという。
何百という外なる神や異形の神が音楽を演奏しながら踊り、その近くでニャルラトホテプが冷めた目で嘲わらっているという。ニャルラトホテプはアザトースの使者であり、ほとんどの仕事をニャルラトホテプが行なっているといわれている。こんな場所に辿りついてしまったら、その混沌に支配されることだろう。
もともとこの宮殿はシャッガイにあったといわれているが、赤く輝く彗星(外なる神グロースか?)の接近に伴い破壊されてからというもの、その場所は異次元へと移ったという。
とある学説によると火星と木星の間にある小惑星帯は、アザトースが破壊した惑星の名残だといわれているらしい。
アザトースの化身
- ザーダ=ホーグラ(Xada-Hgla)
アザトースの唯一の化身と知られている存在。シャンとミ=ゴによって崇拝されているという。
従者はおらず、何対もの柔軟な脚の上に支えられた二枚貝の姿をしている。半ば開いた隙間からは「先端にポリプ状の付属肢のついた、いくつかの節を持つ円筒状の器官」が覗き、その奥には身の毛のよだつような顔のようなものが隠されている。
この貝が完全に開くときに真の姿が現われ、発せられる閃光は辺りを核の炎で燃やし尽くしてしまう。
余談
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