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アスペルガー症候群とは、発達障害の一種であり、そのうち自閉症の一種に分類される。認知及びコミュニケーション能力に軽度以上の障害を持つ。「アスペ」と略されることがあるが、人によっては蔑称と受け取られる場合があるので注意。
最新のDSM-5ではアスペルガー症候群はASD(Autism Spectrum Disorder: 自閉スペクトラム症または自閉症スペクトラム障害)に統合された。
概要
オーストリアの小児科医であるハンス・アスペルガー医師が1944年に提唱し、知的障害を伴わないが興味・コミュニケーションについて特異性が認められる(『自閉症スペクトラム障害』と呼ばれる)発達障害の一つであり、提唱したアスペルガー医師の苗字からとって「アスペルガー症候群(シンドローム)」と名付けられた経緯がある。
主に「場の空気が読めない」「極度に緊張する」「得意・不得意のムラが大きい」「相手の言葉をそのままの意味で受け取ってしまう」「特定のことにこだわりを持ち、邪魔されると極度に不快感を抱く」などの症状を持つ。
診断に関しては「検査をすればそれで明らかになる」というものではなく、状態と成育歴を診断基準に照らし合わすことで行われる。
アスペルガー症候群(アスペルガーしょうこうぐん、Asperger syndrome: AS)は、興味・関心やコミュニケーションについて特異であるものの、知的障害がみられない発達障害のことである。
「知的障害がない自閉症」として扱われることも多いが、公的な文書においては、自閉症とは区分して取り扱われていることが多い。
精神医学において頻用されるアメリカ精神医学会の診断基準(DSM-IV-TR)ではアスペルガー障害と呼ぶ。 対人関係の障害や、他者の気持ちの推測力、すなわち心の理論の障害が原因の1つと考えられている。
特定の分野への強いこだわりを示したり、運動機能の軽度な障害も見ら れたりする。
しかし、カナータイプ(伝統的な自閉症とされているもの)に見られるような言語障害は、比較的少ない。
一般的に自閉症は知的障害・学習障害を伴うことが多いため、知能検査や学校生活で発見される可能性が高い。
対してアスペルガー症候群の子供は知能が平均レベルに達していることが多く、学校の授業にも問題なく付いて行けるために単なる「問題児」として処理されてしまうケースが少なくない(いじめの標的にはされやすい)。
そのような場合、社会人になってから対人コミュニケーションに支障をきたし、二次障害として罹患するうつ病などで通院した際に発見されることもある。
アスペルガー症候群の人は、対人コミュニケーションを苦手とするため社会適応の面で不利になることも多いが、一方で優れた特性も存在する。
以下はその代表的な例。
これらの特性を生かして、高い専門性や狭く深い知識が要求される職業、たとえば文理を問わず学者・研究者・医師・芸術家(デザイナー)などで優れた功績を残すケースも少なくない。
また記号的に物事を把握可能なため、システムエンジニア・プロゲーマーなどに向いている場合もある。
著名人ではスティーヴン・スピルバーグ、田尻智らがアスペルガー症候群との診断を受けている他、 ビル・ゲイツ、アインシュタイン、ジョージ・ルーカス、トーマス・エジソンなどもアスペルガー症候群であると言われている。
アスペルガー症候群は障害か否か
アスペルガー症候群は世界各国で「障害」の範疇に入り、日本においても「発達障害者専用の障害者手帳」の交付はないが、従来の精神障害者の枠組の中で「精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)」の交付申請が可能。
しかし、日本の制度では余程の重度な症状でない限り障害者手帳の障害等級は3級に留まり、大抵は障害年金(障害者手帳の障害等級と障害年金の等級は別の基準である)の対象外となる。
これは対象となる障害年金の障害等級2級の認定要件が「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」(令和3年度版障害年金ガイドより)であり、アスペルガー症候群の障害者はこれに該当しないことが多いことによるものである。
しかし、これは裏を返せば「アスペルガー症候群は著しい制限なく日常生活を送れる」ということである。
先述の通りアスペルガー症候群は自閉症のカナータイプと異なり、その知的能力は平均的な数値に達しているし、同症候群はあくまで「障害」であって「健康を害する疾病や病気ではない」ことによる(二次障害として、うつ病や適応障害などの精神疾患にかかる恐れはあるが)。
人の感情を察知できなかったり、言葉を文字通りの意味でしか捉えられないというのも、逆に考えれば「言葉通りの意味を確実に捉える」能力に長けているとも言える。その一方で怒られることや否定されることには過敏であり、自分への矛先を逸らすために言語新作や造語を多用しやすい。
実際、アスペルガー症候群の特徴である「特定分野への驚異的な集中力」は高い専門性を要求される職種では重要であり、社会を支える上で必要な存在でもある。
このような事情から「アスペルガー症候群は障害ではなく、『特性』と捉えるべきだ」との声も近年では少なくない(ニューロ・ダイバーシティ、脳の多様性)。
「心の理論」診断スレッドの乱立
2010年以降、主に2ちゃんねるを中心として「この問題が解けなかったらアスペ認定」などのスレッドが頻繁に立てられ、まとめブログで纏められるケースが増加してきた。それらの内容は「レス番号1においてイラスト・四コマ漫画・問題文が添付されている」というものである。
これらは心の理論問題と呼ばれ、他者の心を推測・想定する能力の有無を探るテストである。
……ということになっているが、当然ながらそれらの4コマは本当にアスペルガー症候群の簡易な診断を目的に作られているわけではない。大体がシュールまたは本当に意味不明な内容であり、要はネタスレである。問題を解いたところで、その人がアスペルガー症候群だと判ることは無い。
オーストリア人の心理学者であるハインツ・ヴィマーとジョゼフ・パーナーが作成した本物の問題(サリーとアン問題・マクシ問題・スマーティ問題)を元にスレ立てされている場合もあるが、心理学者ではない者が作成した漫画やイラストや問題文の場合も多い。もちろん、後者の信憑性は前者と比較して非常に疑わしい。
なお実際には、ウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale)=略称WAIS(ウェイス)などの心理テストの結果や生育歴を元に精神科医が診断を下す。これらは決して心の理論を問う内容のみで診断されている訳ではないので注意が必要である。
診断された主な著名人
- 泉流星(作家)
- 市川拓司(作家)
- 金田ゆうじ(ミュージシャン、ドラマー)
- 倉持由香(アイドル)
- 南雲玲生(作曲家)
- 堀川ひとみ(歌手)
- スーザン・ボイル(歌手)
- スティーブン・スピルバーグ(映画監督)
- イーロン・マスク (実業家・エンジニア)
可能性があるとされる偉人
- 織田信長
- 坂本龍馬
- レオナルド・ダ・ヴィンチ
- トーマス・A・エジソン
- アルベルト・アインシュタイン
- ルイス・キャロル(イギリスの作家・数学者。「不思議の国のアリス」で知られる)
- フェルディナン・シュヴァル(フランスの郵便配達人。33年かけて理想宮を建設した)
- アンリ・ルソー(フランスの素朴派の画家)
- エリック・サティ(フランスの作曲家。独特の調性・音階・拍節感などはドビュッシーやラヴェルといった近代音楽に影響を与えた)
- ジョン・レノン(イギリスのロックバンド「ビートルズ」のメンバー。「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」「アイ・アム・ザ・ウォルラス」といった、サイケデリック・ロックと呼ばれるジャンルで異彩を放った)
関連動画
関連項目
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