アスルクラロ沼津とは、静岡県沼津市を本拠地とするJリーグ所属のサッカークラブである。
概要
|
トップチームは「アスルクラロスルガ 株式会社」によって運営されており、下部組織は総合型スポーツクラブ「一般社団法人 アスルクラロスポーツクラブ」によって運営されている。
1977年に沼津アーセナルとして活動をスタート。1980年に沼津香陵クラブに改称し、2006年に静岡県リーグ1部への昇格を機に現在のチーム名となった。2013年にJリーグ準加盟クラブとして承認され、2017年にJリーグに入会した。
「アスルクラロ」はスペイン語で、クラブカラーの青(Azul)と明るい(Claro)という意味。チーム名の頭文字を配したエンブレムは、クラブカラーの水色で空を表し、紺色の帯で海を表現。白色の山型は沼津の頭文字「N」と富士山をイメージしている。クラブマスコットはライオンをモチーフにした「アスルくん」。
Jリーグ参入を目指すことになった経緯
このチームがJリーグ参入を目指したのは2013年からと結構最近である。
クラブの理事長である山本浩義(アテネオリンピック日本代表監督でジュビロ磐田OBでもある山本昌邦の実弟)が同年3月に『J3誕生』の新聞記事を読んだことが発端である。そこに書いてあった参入条件を読んでいてふと・・・
「・・・あれ、もしかしたらこれ、俺らJ3までならイケるんじゃね???」
・・・と、その時点ではクラブとしてJ3参入条件は満たしていると理事長は思った。ホームスタジアムは沼津市内にあるいつもの愛鷹(あしたか)広域公園多目的競技場で十分だったし、既にクラブとしては自前で下部組織も練習グラウンドもクラブハウスも所有している。そして、地元・沼津市へのクラブの浸透度は高く、経営基盤も整っており、さらには行政からの協力体制も得られているからだ。
なお、Jリーグ関係者に相談すると「沼津は条件がかなり整っている所だよ」と言われ、クラブのメインスポンサーであるスルガ銀行の社長、そして実兄に後押しされた結果、理事長はJリーグ準加盟の申請を決断。その後、Jリーグ準加盟は承認され、Jリーグクラブライセンス制度で定められたJ3ライセンスも取得し、現在に至る。
ところで、「アスルクラロスポーツクラブ」は1990年に「沼津セントラルスポーツクラブ」として創設されたのだが、元からJリーグを目指すために結成されたスポーツクラブではなかった。今までJリーグ参入とは関係無しに地域密着のスポーツクラブを目指して無我夢中でやって来たのだ。このように、Jリーグ参入を目指すクラブの中ではあまり見かけないボトムアップ型といえる(Jリーグ所属または参入希望の大半はJリーグに所属することを目的に結成されたトップダウン型のクラブが多い・・・というかそれが目立つ)。
歴史
- 2006年、沼津香陵クラブの運営を引き継ぐと共に「アスルクラロ沼津」へクラブ名を変更。
- しばくらの間は静岡県リーグ1部を戦い、2012年に東海リーグ2部に、翌年には東海リーグ1部に昇格。
- 2013年9月7日、Jリーグ準加盟が承認される。
- 2014年より発足するJ3リーグへの参入を目指し、J3ライセンス資格審査及びJ3スタジアム要件審査にも合格。一方で東海リーグ1部は4位に終わったことで初年度からのJ3リーグ参入は叶わず。一方、チーム数が半減することとなったJFL入会が承認される。
- ジュビロ磐田で育成統括を務めていた望月一仁を監督に迎えた2014年のJFLでは14チーム中8位に終わる。
- 2015年にはヘッドコーチの吉田謙が監督に就任。現役復帰した元日本代表の中山雅史が加入したことで注目度も高まるが、結果は5位となり、あと一歩でJ3昇格の条件を満たせず。
- 2016年は前期が3位、後期が4位と年間3位でシーズンを終え、J3昇格の条件をクリア。11月16日のJリーグ理事会でJリーグ加盟が正式に承認され、静岡県に4つ目のJリーグクラブが誕生する。
翌年の2月いっぱいでクラブ創業者の山本浩義が社長を退任。 - 初参戦となった2017年のJ3リーグでは、第3節で藤枝MYFCとの静岡ダービーを制し、初勝利。以降、予想以上の快進撃を見せ、一時は暫定首位に立ち、終盤まで三つ巴の優勝争いの一角に食い込む。最終的には3位、失点数はリーグ最少という好成績を残す。
- 2018年も前年の堅守をベースにしたサッカーで首位に立つなど上位に入り、前半戦を3位で折り返す。後半戦も3位以内をキープしていたが、第25節以降の終盤戦で調子を落とし、前年より1つ順位を下げた4位に終わる。また2年連続でリーグ最少失点を記録する。
- 2019年は一転して序盤から波に乗り切れず、第24節群馬戦からは1分7敗と不振に陥るなど苦戦、前年より8つ順位を落として12位に終わる。
シーズン終了後、1999年からチームの強化に携わって来た吉田謙監督が退任。 - 2020年より元徳島ヴォルティス監督の今井雅隆が監督に就任するが、前年からの流れを引きずるかのように苦戦が続き、2020年は12位、2021年は14位と低迷。
- 2022年の前半戦は勝ちと負けを繰り返し、中位の10位で折り返すが、後半戦に入って勝利が遠のくと8月に今井監督が退任、8年ぶりに望月一仁が監督に復帰するが成績はさらに悪化してしまい、最終的にJ3参戦以来ワーストとなる15位で終える。
この年より、ブシロード及びプロジェクトラブライブ!(ラブライブ!サンシャイン!!)と新たにスポンサー契約を結んだ。ラブライブ!サンシャイン!!は舞台が沼津市ということもあり、2018年ごろからコラボをおこなっていた。 - 2023年、2年ぶりにチームに復帰となる中山雅史が監督に就任。ハードワークを徹底させ、ポゼッションにこだわったスタイルに着手すると、シーズン中盤あたりから白星が先行するようになり、J2昇格争いに加わるようになる。終盤戦まで昇格の可能性を残していたが、最後の5試合で1勝4敗と失速したことで最終的に13位にまで転落。それでも中山監督の就任で得点数が前年よりも倍近くに増え、ブラウン・ノア賢信がエースとして台頭しリーグ3位の13得点を挙げるなど手ごたえを掴めた中山体制1年目となった。
- 2024年は前年飛躍したブラウン・ノア賢信が徳島に移籍し不安視されたが、蓋を開けてみると開幕から攻撃陣が爆発。特に大卒2年目の和田育が新エースとして成長を遂げ、前半戦は4位以上をずっと維持し続け、自動昇格圏の2位で前半戦を折り返す快進撃を見せ、初のJ2昇格が現実のものになる。ところが、自慢の攻撃陣の勢いに陰りが見られるようになった第25節から4連敗を喫すると、大事な第30節以降はわずか2勝しか挙げられず、第36節で宮崎に敗れ、とうとうプレーオフ圏外にまで転落。第37節では直接のライバルとなる福島に敗れ、残り1試合を残して昇格の可能性が消滅。結局11位に終わってしまう。
現在の所属選手
背番号 | Pos. | 国籍 | 選手名 | 生年月日 | 加入年 | 前所属 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
- | 監督 | 中山雅史 | 1967.9.23 | 2023 | ジュビロ磐田 コーチ | ||
3 | DF | 安住達弥 | 1996.5.9 | 2020 | 東京ヴェルディ | ||
7 | MF | 持井響太 | 1999.1.20 | 2023 | SC相模原 | 【完】 | |
8 | MF | 鈴木拳士郎 | 1996.3.20 | 2020 | カマタマーレ讃岐 | 【H】 | |
9 | FW | 中野誠也 | 1995.7.23 | 2024 | 大宮アルディージャ | 【レ】 | |
10 | MF | 佐藤尚輝 | 1996.7.12 | 2019 | 産業能率大学 | ||
11 | MF | 染矢一樹 | 1986.10.13 | 2016 | 大分トリニータ | ||
13 | DF | 附木雄也 | 1994.12.17 | 2020 | FC大阪 | ||
14 | MF | 徳永晃太郎 | 1996.11.10 | 2019 | 桃山学院大学 | ||
18 | MF | 菅井拓也 | 1991.8.2 | 2017 | ヴァンラーレ八戸 | ||
19 | FW | 齋藤学 | 1990.4.4 | 2024 | ベガルタ仙台 | 【完】 | |
20 | FW | 川又堅碁 | 1989.10.14 | 2023 | ジェフユナイテッド千葉 | ||
21 | MF | 森夢真 | 2001.7.2 | 2020 | 四日市中央工業高校 | 【H】 | |
22 | DF | 篠崎輝和 | 1998.5.13 | 2021 | 産業能率大学 | ||
23 | FW | 津久井匠海 | 2002.4.30 | 2023 | ラインメール青森FC | 【完】 | |
25 | MF | 伊東輝悦 | 1974.8.31 | 2017 | ブラウブリッツ秋田 | ||
26 | DF | 宮脇茂夫 | 2001.12.7 | 2023 | 新潟経営大学 | 【卒】 | |
27 | FW | 和田育 | 2000.12.19 | 2023 | 筑波大学 | ||
28 | DF | 井上航希 | 2001.6.20 | 2020 | レイラック滋賀FC | 【H】 | |
31 | GK | 大友竜輔 | 2000.5.24 | 2024 | モンテディオ山形 | 【完】 | |
33 | FW | 赤塚ミカエル | 2000.11.1 | 2023 | 大阪産業大学 | ||
34 | DF | グスタボ・マルティニ・リッシ | 1998.2.8 | 2024 | インディイレブン | 【完】 | |
35 | MF | 向井ひな太 | 2001.12.27 | 2024 | 札幌大学 | 【卒】 | |
36 | MF | 中村勇太 | 1999.7.6 | 2024 | ヴェルスパ大分 | 【完】 | |
40 | MF | 沼田航征 | 2002.1.12 | 2024 | 新潟医療福祉大学 | 【卒】 | |
41 | MF | 遠山悠希 | 2003.11.6 | 2022 | 京都サンガF.C.U-18 | ||
44 | MF | 柳町魁耀 | 2002.5.7 | 2024 | 水戸ホーリーホック | 【完】 | |
50 | GK | 渡辺健太 | 1998.4.28 | 2023 | カマタマーレ讃岐 | ||
55 | GK | 武者大夢 | 1999.1.7 | 2023 | いわてグルージャ盛岡 | ||
88 | DF | 濱託巳 | 1996.9.11 | 2019 | 新潟経営大学 |
※備考欄は【完】=完全移籍での加入、【レ】=レンタル移籍での加入、【復】=レンタル先からの復帰、【新】=新任の監督、【昇】=トップチーム昇格、【卒】=新卒での加入、【特】=特別指定選手、【2】=2種登録、【H】=ホームグロウン選手
過去に所属した主な選手
- 川村淳一(2006 - 2014)
- 真野亮二(2014)
- 西村竜馬(2014 - 2015)
- 馬場将大(2014 - 2017)
- 蔵田岬平(2014 - 2017)
- 尾崎瑛一郎(2014 - 2020)
- 松尾篤(2015)
- 太田一輝(2015 - 2018)
- 藤原拓也(2015 - 2019)
- 中山雅史(2015 - 2020)
- 薗田卓馬(2016 - 2017)
- 青木将太(2016 - 2018)
- 徳武正之(2016 - 2020)
- 畑潤基(2017 - 2018)
- 谷口智紀(2017 - 2020)
- 前澤甲気(2017 - 2020)
- 藤嵜智貴(2017 - 2023)
- 砂森和也(2018)
- 牲川歩見(2018 - 2019)
- 坂本修佑(2018 - 2020)
- 普光院誠(2018 - 2020)
- 長沢祐弥(2019 - 2020)
- 渡邊りょう(2019 - 2022)
- 高橋潤也(2021)
- 北龍麿(2021 - 2022)
- 瓜生昂勢(2021 - 2022)
- ブラウン・ノア堅信(2023)
歴代監督
国籍 | 監督名 | 在任期間 | 備考 |
---|---|---|---|
山本浩義 | 2006年~2009年 | ||
小花浩司 | 2010年~2013年 | ・東海2部昇格(2011年) ・東海1部昇格(2012年) |
|
望月一仁 | 2014年 | JFL参入(2014年) |
|
吉田謙 | 2015年~2019年 | J3昇格(2016年) |
|
今井雅隆 | 2020年~2022年8月 | ||
望月一仁 | 2022年8月~12月 | ||
中山雅史 | 2023年~ |
関連動画
関連項目
関連サイト
参考文献
親記事
子記事
兄弟記事
- 大宮アルディージャ
- FC琉球
- カターレ富山
- ギラヴァンツ北九州
- FC岐阜
- ツエーゲン金沢
- ガイナーレ鳥取
- 松本山雅FC
- AC長野パルセイロ
- カマタマーレ讃岐
- Y.S.C.C.横浜
- 福島ユナイテッドFC
- SC相模原
- ヴァンラーレ八戸FC
- いわてグルージャ盛岡
- FC大阪
- 奈良クラブ
- FC今治
- テゲバジャーロ宮崎
▶もっと見る
- 3
- 0pt