アッラーフ(الله)とは、イスラム教で崇拝される唯一神である。
概要
イスラム教の崇拝対象であり、唯一の神。ユダヤ教やキリスト教といったいわゆるアブラハムの宗教で崇拝されている神(YHVH)と同じ存在である。イスラム教の理解では、アブラハム、ノア、モーセ、イエスなどに続いてアラブの隊商ムハンマドに啓示を与えた。
「慈悲深き慈愛遍きアッラーフの御名において」とクルアーンの各章の冒頭に示されているように、慈悲心を持った、誰にでも慈愛を注ぐ神とされる。
一人称として「我々」を用いるが、自らはただ一つの存在であり、産まれたわけでもないし、産むわけでもない(クルアーン112章1-4節)という。
「あらゆる災厄も、人間の身の上に下るものも、一つとして神がそれを授ける前に、天の帳簿の中に記されていないものはない」(クルアーン57章22節)というように、この世で起きる全てのことはあらかじめ神の手の上にあるとされる。また、「視覚が神を捉えることはなく、神こそが視覚を捉える」(クルアーン6章103節)というように人間は神の姿を見ることはできない。
「他の偶像と自分を並び立てることは絶対に許さないが、それ以外のことについては気の向くままに許される」(クルアーン4章48節)とされており、偶像崇拝以外の人間の行為について最終的に神がどう思うかは、神にしか分からないのかもしれない。
偶像崇拝を許さない一方、キリスト教とユダヤ教には同じ聖書を共有する「啓典の民」として一定の権利を認めており、ゾロアスター教もいわゆる偶像崇拝ではないと考えているようである(クルアーン22章17節)。預言者ムハンマドもゾロアスター教に啓典の民としての権利を認めるハディースを遺している。
الله(Allāh)という呼称は、一般名詞の「神」إله(ilāh)に定冠詞ال(al-)が前置されたالإله(al-ilāh)が縮まったものとされる。英語で「god」が一般の神、「God」が唯一神を表すようなものだと考えると良いだろう。
関連項目
- 2
- 0pt