アドマイヤムーンとは、2003年生まれの日本の元競走馬・現種牡馬である。牡・鹿毛。
自身のみならず、周囲も波瀾万丈の渦に巻き込んだ不思議な馬。
馬名は冠名+月(ムーン)。 なお、アドマイヤ+天体名の競走馬は大成することが多い。ベガとかマーズとかジュピタとか。
主な勝ち鞍
2005年:札幌2歳ステークス(GIII)
2006年:弥生賞(GII)、札幌記念(GII)、共同通信杯(GIII)
2007年:ドバイデューティフリー(GI)、宝塚記念(GI)、ジャパンカップ(GI)、京都記念(GII)
昇りゆく月
父は彼の世代がラストクロップとなってしまった*エンドスウィープ、母マイケイティーズ、母の父*サンデーサイレンスという血統。近親にはヒシアマゾンがいる。
セレクトセールで冠名アドマイヤの馬主・近藤利一氏に落札されるが、1300万という微妙っぷり、血統も芝っぽくないと思われたか早めに北海道デビューというあんまり期待されない使われ方でなおかつ何故か本田優騎乗という微妙な扱いだったが、三連勝で札幌2歳ステークスを制覇したころには、すっかり大物という評価がなされるようになっていた。
しかしラジオたんぱ杯2歳ステークスではサクラメガワンダーに差され2着。彼の評価は変わらなかったが、本田優は降板となった。
3歳初戦は武豊に乗り替わっての共同通信杯。2歳王者フサイチリシャールをきっちり差しきって重賞2勝目。返す刀で弥生賞でもサクラメガワンダーやスーパーホーネットを下し連勝。
堂々一番人気で皐月賞に挑むが追い込み不発で4着、日本ダービーは距離が長かったか7着と完敗してしまう。
ただ、この頃はまだ武豊との信頼にヒビが入るようなことは…いや、もう少しずつ入っていたのかもしれない。
ただ、爆発するのはまだまだ先のことである。
世界が見上げる名月
夏の札幌記念では古馬を蹴散らし快勝。秋の天皇賞に向かうがダイワメジャーに敗れ3着、その後は香港に遠征するがPrideの前にハナ差敗れ2着とイマイチ勝ち切れずじまい。 実力はあるんだけどなんか足りないというのが専らの評価であった。
年明けは京都記念(この年は第100回の記念レース)からスタート。先行して抜け出し抑え込む競馬で久々に勝利するとドバイへ遠征。
ドバイデューティフリーにダイワメジャーとともに出走。先に抜け出しかけたダイワメジャーを捉えるとそのまま突き抜け圧勝。
GⅠ初勝利を海外で飾った。これに気をよくした陣営は香港に遠征しクイーンエリザベス2世カップに出走。
しかしながら追い込み不発で3着に終わってしまう。この後、馬主サイドの去年の秋頃から武豊に鬱積した不満が爆発。
この競馬の後、近藤氏の馬で武豊主戦の馬は全て乗り替わりと相成った。この後、武豊は騎乗数や馬の質が下がっていくのだがこの事件とも無関係ではあるまい。
帰国後、岩田康誠に乗り替わり宝塚記念に出走。メイショウサムソンの勝ちパターンを差し切りGⅠ2勝目を挙げた。
トレードされた月
休養し、秋に備えていた2007年7月27日、ドバイ首長・シェイク・モハメド殿下率いる馬主グループの日本法人ダーレー・ジャパンに所有権が譲渡されたと発表された。
トレードマネーは相当に巨額で、なんと40億円也。凄まじい金額に日本の競馬ファンがひっくり返った。
…生産のノーザンファームはあんまり良く思わなかったのか、このトレードの後近藤氏にいい馬が回ることは少なくなっていったが因果関係は不明瞭である。というか、ノーザンファームの代表である吉田勝己も権利を半分持っていたため、その気になれば拒否できただろうし。
代わりに島川隆哉(トーセン)や市川義美(ピサ)、クラブにいい馬が回るようになったので近藤氏の金回りの問題なのだろう。世の中は厳しい。
話をムーンに戻すと、天皇賞(秋)に直行しメイショウサムソンに次ぐ二番人気で迎えたがエイシンデピュティの斜行に巻き込まれ6着に沈没。
リベンジの香港カップ遠征が計画されたが馬インフルエンザ禍で検疫に時間がかかるため断念。距離不適を覚悟でジャパンカップを選択せざるを得ず、人気も五番人気であった。しかし、最内をぴったり回ってスタミナを温存しつつ前を行くという岩田のファインプレーが光りポップロックの追い込みをわずかに凌ぎ勝利。
この勝利を手土産に引退。ダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックスで種牡馬入りした。
通算17戦10勝。明らかな凡走はダービーのみであり、他は掲示板は死守したし斜行絡みでの不完全燃焼と安定感は抜群であった。
現在はダーレージャパンの看板種牡馬として、初年度から重賞勝ち馬を輩出するなどトップサイアーとはいかないまでも健闘はしている。アドマイヤムーン自身は中距離馬であったが、他のエンドスウィープ系の種牡馬と同様に産駒の殆どは短距離馬であり、いわゆる"血統の先祖帰り"のような状況になっている。
なお、近藤氏は2019年11月に亡くなったが、2010年代に入ってからはパドックの関係者エリアで雑談を交わす姿も見受けられ、2017年のキタサンブラック引退式の時には武や北島三郎と並んで口取りもしていた。それでもなお武は近藤氏の生前にアドマイヤの馬に乗ることはなかった(一説には武側が断っていたとも)が、近藤氏の生前の願いを受け忘れ形見の馬・アドマイヤビルゴの主戦を務めるなど、死を間際にして関係は改善されていたようだ。
血統表
*エンドスウィープ 1991 鹿毛 |
*フォーティナイナー 1985 栗毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
File | Tom Rolfe | ||
Continue | |||
Broom Dance 1979 鹿毛 |
Dance Spell | Northern Dancer | |
Obeah | |||
Witching Hour | Thinking Cap | ||
Enchanted Eve | |||
マイケイティーズ 1998 黒鹿毛 FNo.7-f |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ケイティーズファースト 1987 鹿毛 |
Kris | Sharpen Up | |
Double Sure | |||
Katies | *ノノアルコ | ||
Mortefontaine | |||
競走馬の4代血統表 |
主な産駒
2009年産
- アルキメデス (牡 母*アーキオロジー 母父Seeking the Gold)
- オースミムーン (牡 母レディクライマー 母父*リアルシャダイ)
- ハクサンムーン (牡 母チリエージェ 母父サクラバクシンオー)
- ファインチョイス (牝 母アフレタータ 母父*タイキシャトル)
- レオアクティブ (牡 母レオソレイユ 母父*オペラハウス)
2012年産
2013年産
- セイウンコウセイ (牡 母*オブザーヴァント 母父Capote)
- ファインニードル (牡 母*ニードルクラフト 母父Mark of Esteem)
- ムーンクエイク (牡 母*リッチダンサー 母父Halling)
- ラヴアンドポップ (牡 母*ラヴィングプライド 母父Quiet American)
2016年産
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
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