アバン先生とは、「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」の登場人物である。
CV:田中秀幸(1991)、櫻井孝宏(2020)
概要
元カール騎士団員で、魔王ハドラーを倒した勇者でもあり、勇者の家庭教師。31歳。
フルネームはアバン・デ・ジニュアールIII世。
アバンによれば「学者の家系」らしいのだが、彼以外にジニュアール家の関係者が登場していない為詳細は不明である。
当時カール王女だったフローラを救った事がきっかけで、フローラに推薦されカール騎士団へ入団している。
ハドラーがカール王国へ襲来した際に彼を撃退するが、その時は倒しきれなかった。
後にハドラー打倒の為に単身で旅立とうとした所を、追ってきたロカが強引に仲間に加わった事でパーティが結成され出発している。
その道中で、僧侶レイラや大魔道士マトリフをパーティに引き入れ、彼らと共に度重なる死闘を繰り広げた果てにハドラー打倒に成功した。
ハドラー撃破後は「勇者の家庭教師」を名乗って世界各地を回り、ヒュンケル、マァムといった弟子を輩出している。
なお、最中に押しかけ弟子になったポップを連れて、1年近く世界を回っていたものと思われる。
当時フローラと結ばれなかったのは、ヒュンケルを拾い育てていたのも一因かもしれないが、宮廷内での権力争いのいざこざでフローラに迷惑をかけないよう配慮した結果という推測もパーフェクトブックに記載されている。
(ちなみに他の国の宮廷内の醜い争いの結果、パプニカはマトリフに愛想を尽かされ、アルキードはバランに滅ぼされてる)
パプニカ王家の依頼を受けて、ダイを勇者に育てるべくデルムリン島へ向かいダイを教育するが、アバン抹殺の為に襲来したハドラーの口から大魔王バーンの存在を知り、魔王軍打倒をダイ達に託してメガンテでハドラー諸共自爆している。
その後、何時しかアバンの弟子達が集結し「アバンの使徒」と呼ばれるようになる。
ちなみに、作中でこの名称を最初に使ったのはクロコダインで、いつの間にか一般名称と化していた。
死んだとばかり思われていたが、28巻でまさかの戦線復帰を遂げ、直前のエピソードと併せて読者の涙腺を崩壊させるエピソードの一つとなっている。以後「悪魔の頭脳」の持ち主であるキルバーンと死闘を繰り広げている。
文武両道・才色兼備を地で行く人物で、苦手分野がないのではないか、と思わせるほどのオールラウンダー振りを発揮している。また、騎士団時代には料理教室を開いた事があったり、分厚い書物を持ち出さないと解読できないような魔族の文字を一見しただけでスラスラと翻訳した事がある。
更には、作中アイテムを数多く発明・開発するなど、バダックも顔負けの発明家ぶりまで発揮している。
普段は伊達眼鏡をかけてまるで戦いの才覚が無いように振舞い、何処かしまらないひょうきんな人物に見られがちだが、それは己の力をひけらかすことを嫌うアバンの性格故の事。(ミストバーン曰く「重厚な完成度を隠すタメ」)
アバン自身は自らの力を世のため人のため、弟子達を守るため、悪を討つための力として決して私利私欲で奮おうとはしない。
目上目下問わずに「です、ます」口調で話すが、敵と断定した相手に対しては敬語は用いていない。また、とりわけ卑劣な相手に対しては言動にも容赦が無く、多分に毒舌を用いて挑発的な発言をする事が多い。(キルバーンに対する挑発は作戦の内でもあったが)
アバンの使徒の源流である彼に象徴は無いが、彼の得意分野が破邪の力である事といかなる邪悪をも決して許す事の無い心を持つ事から、敢えてつけるとすれば「破邪」といったところだろうか。
本作エンディングではフローラと共にカール王国の玉座に鎮座して、ポップにからかわれたとおり「男の責任」を取った形となっている。
アバンが製作したアイテム一覧
- 毒蛾の粉
毒蛾の燐粉を用いて調合した秘薬。
振りかけた相手を混乱させる事で正気を奪い同士討ちをさせる。
また、ゲームにも同名アイテムが存在しており、こちらもメダパニの効果を持っている。 - 輝石
破邪の力を増幅させる力を持つジニュアール家特製の魔石。
作中ではゴールドフェザーの鏃に使用されている。 - 聖石
魔法力を蓄積させる力を持つジニュアール家特製の魔石。
作中では魔法の弾丸に用いられたほか、シルバーフェザーの鏃にも使用されている。 - 輝聖石
輝石と聖石の特性を持ち合わせているジニュアール家特製の魔石。
熟成に長い時間を要するらしく、作中ではアバンのしるしに用いられた5個しか登場していない。 - アバンのしるし
アバンの教育を受けた者が卒業証書代わりに授かる首飾り。
宝石部分に輝聖石を用いており、装着者の周囲に微弱な防護幕を張る事でダメージを軽減する効果がある。
また、蓄積された力がある一定レベルに達し、所持者が精神を高める事でその者の魂を象徴する色に輝く特徴がある。 - 魔弾銃・魔法の弾丸
アバンが噂と文献だけで作ったとされる手製の銃で、鉛弾の代わりに呪文を発射する機能を持っている。
専用の弾丸に予め呪文をチャージしておく事で、その呪文を扱えない人間でも銃を撃つ事で呪文を放つ事が出来る。呪文を使える者にチャージしてもらわないと撃つ事が出来ないが、撃つたびに違う呪文をチャージする事も可能。
非常に完成度が高く、バダックではまったく手が出せなかった代物でもある。
作中では僧侶戦士時代のマァムの武器となっている。 - アバンの書
後世の為にアバンが書き残した手書きの本で、世界に1冊しか存在していない。
カール王国の所有物だったが、国が壊滅した事で持ち主不在となった事から、この本を探し出したマトリフからダイ達に手渡されている。全3章構成。 - 発光する砂
ルラムーン草を用いて調合したアバン特製のアイテムで、作中での名称が無いアイテムでもある。
リリルーラを使う際の触媒(目印)となる。
なお、ルラムーン草はドラゴンクエストVに初登場したアイテムで、ルーラを習得するイベントのキーアイテムでもある。夜間に発光する特徴を有している為、採取できるのは夜間に限られている。
カール王国
世界最強の騎士団を擁する強国で、魔王ハドラーの軍勢に対しても果敢に戦えるほどの軍事力を有している。アバンとマァムの父親である戦士ロカの故郷でもあり、共にカール騎士団所属であった。
大魔王バーンの魔王軍に対しても大きく立ちはだかった存在で、魔影軍団相手に善戦していたが交代する形で襲撃した超竜軍団の前に僅か5日で壊滅してしまった。
その後女王フローラが行方不明となっていたが、死の大地の異変に戸惑うレオナたちの前に現れ、自身が潜伏していた本拠地へ一行を誘導した事から、生き残った騎士団員と共にレジスタンスを結成していた事が明らかになっている。また、レオナが結成したレジスタンスを吸収した事で、魔王軍に対する抵抗組織では最大規模となっている。
フローラ
アバンが有事以外戦わない事を容認した上で騎士団へ入団させた張本人で、アバンが隠している裏側を最初から知っていた数少ない人物でもある。ハドラー打倒の為に旅立ったアバンの伊達眼鏡を預かったり、アバンのしるしと交換でカールの守りを授けたり、と主従関係を超えた関係にある人物でもある。
アバンに好意を抱いていたが、立場上それを表に出す事は無く、常に気丈に振舞っていた。
レオナが憧れている人物で、その気高さはレオナに通ずる所があるがレオナよりも勇猛な人物らしく、それをレオナから聞いたポップは「ダイよりも強いんじゃないか」と発言している。
また、王女時代のフローラの容姿はどこと無くレオナに似ている。
本作のエンディングでは、本人が発言したとおりアバンをしっかりと捕まえたようで、アバンを玉座に鎮座させた。
「勇者なんて事が片付いたらすぐどこかに消えてしまうんだから…!」
(このセリフにはさすがのアバンも何も弁解できなかった模様。もっとも当時カール王国を去ったのはフローラのためという推測もあるのだが…)
主な武器、技、呪文など
「超」が付くほどのオールラウンダーであるアバンは、自分の流派「アバン流」を極めているほか、呪文に関してもメラゾーマなどの高等な攻撃呪文以外にも、ドラゴラムやアストロンなどマトリフほどではないにせよ殆どの呪文はマスターしている。特筆するものは以下に列挙する。
なお、アバンストラッシュに関しては個別の記事が存在する為、ここでの詳細解説は割愛する。
武器
- 由緒正しき勇者の剣
ガーゴイル戦でアバンがダイに貸し与えた剣。
その実態は古道具屋で買ったなまくら剣で、後の特訓ではあっさり折れてしまっている。
ちなみに値段は10Gだったらしい。 - ゴールドフェザー
輝石を鏃に用いた特製の羽根で、破邪の力を増幅させる力を持っている。
また、単体でもキルバーンの半身の動きを封じる程の力を持っている。 - シルバーフェザー
聖石を鏃に用いた特製の羽根。
魔法力を蓄積する能力を持ち、この羽根を刺した者の魔法力を回復させる効果がある。
その貯蔵量は並みの魔法使いであれば2~3人は満タンに出来るほどである。 - カールのまもり
元々はカール王国の秘宝であり、ハドラー討伐に向かうアバンにフローラから託された。
身に着けた者が死にそうになった際に代わりに砕け散るという一種の身代わりアイテムであり、デルムリン島でメガンテを使った際に一命を取り留めることができた。
なお、渡したフローラ本人はこの効果を知らなかったらしく、アバンと再会した際にはショックで卒倒していた。
ゲーム本編ではこれに近い効果を持つアイテムにザキ系を無効にする「いのちのいし」がある。 - 鋼鉄の剣
ハドラー戦からパーティー復帰時及び破邪の洞窟で使用。見た目的にも特徴が無いシンプルな剣。
キルバーンとの決闘で消失、直後の緊急としてジャッジの鎌を即席の槍として活用している。 - 鎧の魔槍(の長剣)
バーン戦でラーハルトから貸り受けた剣。数ある鎧の魔槍の隠し武器の一つ。ラーハルトは元より槍が主で、ヒュンケルは本来剣の方が得意であったが、ラーハルトとの誓いから敢えて使用しなかったので結果的にアバンが使用する事で日の目を見た。魔槍の予備武器であるが、ロン・ベルク作である事を考慮するとアバンの装備で唯一の業物と云える。
技
- アバン流殺法
力の「地」の技、速度の「海」の技、闘気の「空」の技からなる流派で、その武器の種類は剣や槍以外にも斧、弓、鎖(鞭など)、牙(格闘用武器)の全6種類に及んでいる。
作中では剣と槍の2種しか使用していない為、アバンがこれら全てを使えるかどうかは不明だが、彼の多彩さを考えれば使えると考えるのが自然だろうか。
これら3種の技の特性を複合させた完成形がアバンストラッシュである。 - アバンストラッシュ
アバン流の奥義。
ロカを攻撃された怒りから咄嗟に繰り出した「闘気を込めた剣技」が元となっていて、完成には実に1年以上の歳月を要している。
アバン曰く「大地を斬り、海を斬り、空を斬る。そして全てを斬るのがアバンストラッシュなのです」 - 闘気を放つ技
アバンが武器を失ったときの奥の手としてヒュンケルに伝授した闘気技。剣の鍔など十字型の何かに闘気を集束させて放出する技で、離れた岩山に十字型の大穴が開くほどの威力がある。
アバンがヒュンケルに伝授した際は、自爆のリスクを考慮して「かなり小さめに放つのがコツ」と教えているが、ヒュンケルはこれを最大放出しつつも自爆しない神業「グランドクルス」として昇華させている。終盤のバーンパレス魔力炉脱出の際の会話にもあるように、闘気技自体はアバンも出来るが、グランドクルスはヒュンケルのオリジナル技であり、アバンが同じ事をやろうとすると高い確率で自爆してしまうだろうと言われている。
ちなみに、規模の違いはあるが同質の技である事から、単行本ではグランドクルスと同一扱いとなっている。 - 無刀陣
アバン流の奥義。
己を無とすることで相手の攻撃を受け流す技で、ハドラーとの決戦に於いてはこの技とアバンストラッシュの静と動の奥義を併せた攻撃で倒している。 - 破邪の秘法
アバンが破邪の洞窟で会得した秘法。
ゴールドフェザーで五芒星魔方陣を形成させ呪文の破邪力を極大化させて放つ。
アバンは「見ていなさい、結構便利ですよ。」と弟子達に見せていたが、どう考えてもアバン以外が習得できそうに無い秘術である。
幾らか差異はあるものの、原理はミナカトール使用時の破邪力増幅と同一のものである。 - 凍れる時の秘法
数百年に一度訪れる皆既日食の時にのみ発動させる事が可能となる古代の秘法。
対象の時間を凍結させてしまう封印術で、完全な形で使用するには、かなりの力量が必要だと言われている。
刀殺法がまだ完成していなかったアバンがハドラーを封印する際にこの秘法を用いたが、力量不足により自分も巻き込まれただけでなく、効果が1年程度しか持続しなかった。なお、凍結期間は「1年以上」とのみ記述されている為正確な期間は不明となっている。
作中では、この秘法を完全な形で行使できるほどの魔力を持つ者としては大魔王バーンしか登場していない。
呪文
- マホカトール
破邪呪文。邪悪なる威力を拒む結界を作り出す。
アバンは魔王復活の影響で凶暴化したモンスターを救うべく、デルムリン島全体を覆うほどの巨大な五芒星魔方陣を描き島ごと結界で封印している。本来は賢者専用の呪文である。
上位呪文にミナカトールがある。 - ドラゴラム
火竜変化呪文。自身をドラゴンへ変化させる。
作中では彼のみが使用した呪文で、その魔法力消費量は一般的な呪文の数倍といわれている。
原作とアニメ版で表現が少し変わっていて、原作では変化した状態でも言葉を話す事が出来た。 - アストロン
鋼鉄変化呪文。対象を鋼鉄の塊に変える防御呪文。
これも彼のみが使用した呪文で、本来の効果と違い自身を対象から外すことが可能になっていた。 - ベギラマ
ダイ大の世界ではそこそこ強い呪文だがハドラーには通じなかった。 - メラゾーマ
過去編にてハドラーに使用。やはり通じなかった。 - ヒャダルコ
映画でポップの過去にて、ポップを救うために使用。 - リリルーラ
合流呪文。仲間の下へと一瞬で移動できる。
作中ではアバンが先行したポップ達に追いつくのに使ったほか、キルバーンが仕掛けた「ジャッジ」の異空間から脱出するのにも使った。通常のルーラ系とは違い文字通り「瞬間移動」する技で、空間の壁さえも越える事が出来る。
アバンはこの呪文を使う際、発光する砂(製作したアイテムの項参照)を用いているが、リリルーラを使う時には必ず必要なのか、仲間等の見知った人物の元以外へ飛ぶ際に必要なのか、空間の壁を超えるような跳躍をする際に必要なのかははっきりしていない。(砂が登場したのは空間を越えてキルバーンの元へ飛んだ時のみ)
作中ではポップがこの呪文について「モンスターが魔城に戻るときに使っているのか」のような事を言っている。
その他特筆するもの
- お弁当
アバンがバーンパレスで合流する際に持ってきていた手製のお弁当。
自分の顔を模したトッピングが為されているなど色々と芸の細かい一品となっている。が、最終決戦を前にこれを持ってくる所がいかにもアバンらしいひょうきんさである。 - ミエールの眼鏡
アバンが破邪の洞窟で発見した眼鏡。
隠された罠を見通す能力があり、バーンパレス内に仕掛けられた「殺しの罠」を発見する際に使用した。
形状がかなりダサい個性的な眼鏡で、これをダイ達に披露したアバンは何故かかなりテンションが高く、ノリノリであった。 - ハンマー
アバンが殺しの罠を潰す際に用いたアイテム。
なんの変哲もないハンマーだが、何処から取り出したかは不明。某シティハンターの相棒を思わせる超次元収納術である。
アバン語録
作中でも最多といわれるほど名言を残しているアバン。ここではその一部を抜粋・列挙する。
- 呪文は集中力(コンセントレーション)ですよ集中力!!
- 勝てない相手だからこそ…命をかける必要があるのです・・・
- それにねポップ…やっぱり修行で得た力というのは他人のために使うものだと私は思います
- たぶん私の力はこの日のために…あなたたちを守るために神様からさずかったのでしょう……
- 大丈夫です 私は絶対に負けませんから
- 正義なき力が無力であるのと同時に力なき正義もまた無力なのですよ
- 戦いはのぞまん…だが自分の野望の為に人を平気で傷つけようとする外道を見てだまっていられるほど………
この私はお人好しではないッ!!! - …ジタバタしか出来ないなら方法は一つ…!みなさん!ジタバタしましょう!!
- …困りますよポップ。勝手に”あの世”なんかに行かれちゃ……そんな所へ行っても…私はいません…!!
- 負けるときは力の全てを出しつくして思いっきり負けなさい
そうしないと絶対に今の自分より強い自分にはなれませんよ!! - たとえ平和を勝ちとっても、それを味わう者がいなければ意味はありません
- …戦火の中で生まれた子供こそ平和に生きるべきだと私は思います
- …よく言う!生まれて初めて真剣勝負をするような男がっ…!!
- …やはりやりなれない事はするものではなかったな…!!
- …決まってるでしょう…誇りです…!
- 知らぬ間に大きくなるものだ…どの子も…!!
関連動画
関連項目
- 18
- 0pt