アフィリエイトプログラム(Affiliate Program)とは、インターネット広告の課金方式の一つであり、ウェブサイト運営者が、自身のウェブサイトに広告を掲載し、その広告の直接の成果に応じて広告主から報酬を得る仕組みである。
別名:成功報酬型広告,アソシエイト・プログラム,アフィリエイト・マーケティング
アフィリエイトやアフィと略されることが多い。
ちなみに、ニコニコ市場におけるAmazonの商品リンクも、アフィリエイト広告である「Amazonアソシエイト」のシステムを利用したものである。
概要
広告提供者(クライアント)がアフィリエイトプログラムを提供する広告企業であるアフィリエイト・サービス・プロバイダ(以下ASP)に依頼して広告を出し、広告媒体であるウェブサイト運営者が広告のリンクを自身のウェブサイトに貼る。リンク中には掲載場所を特定する識別子が埋め込まれており、リンククリック時に識別子がASPに送信され、売上が出た際にはウェブサイト運営者に成功報酬が支払われる。
これにより広告提供者は低コストで広範囲の宣伝が行え、ASPは仲介料を、ウェブサイト運営者は成功報酬を得ることができる。
インターネット上で商品やサービスを提供する企業が自らASPを行う場合もある。またポータルサイト運営企業などが副業的に提供している場合もある。
こういったサービスには携帯電話向けのサービスもあり、オンライン販売の規模が狭い、表示量の制限などの問題で比較的成功報酬の額が高い傾向がある。なお物品やサービスの販売以外でも、メールマガジンの登録や、特定サイトの無料会員募集などといった直接的に広告閲覧者と広告主側に金銭のやり取りがない場合もある。
「Ads by Google」でおなじみのGoogle アドセンスは、コンテンツ連動型PPC広告であり、広告がウェブページなどによって変動する事やクリック報酬型である事などアフィリエイトプログラムとはシステムが異なる。
アフィリエイトの問題点
アフィリエイトは商品情報を伝達する優れたシステムで本来は「価値ある内容を発信して、そこに広告を貼り付けて収益を得る」のがアフィリエイトの有るべき姿であるが、中には下記のようにアフィリエイトをきっかけにして、「何も産み出していないのに、他人を騙したり迷惑をかけたりもお構いなしに、自分の広告を押しつける」行動に走ってしまうヤツが後を絶たないのが現状である。
[問題行為1] 広告目的でその他は適当なサイトの作成やツイート。
- テンプレートを穴埋めするために無理に書かれた文章で構成された、知りたい情報が得られないどころか広告ばかり目に付く、内容がペラペラで質の低い通称「ペラサイト」の作成。
- 広告まみれの中に外部の動画をランダムに埋め込んだだけの記事を機械的に生成。
- 他のサイトからのコピペによる無断転載。
- 単語をランダムに並べた意味不明な文字の羅列。
こういうブログは「スプログ(スパムブログ)」と呼ばれ、検索を日常的に利用する者にとって、その迷惑さは計り知れない。国内外で問題となっており、2008年頃の統計では、国内で開設されたブログの4割がスプログとの結果が出た。
数百~数千のブログを自動生成し、一斉に更新する行為も頻繁に行われ、検索の利便性が損なわれるだけでなく、レンタルサービスのサーバへの負荷も半端ではない。違法行為などとは違って行為を禁止するための線引きも難しく、サービス提供者の頭痛の種となっており、検索サイトもフィルタリングを本格的に乗り出している。
さらに情報発信の手段がブログから Twitter に移りつつある現在では、他人のツイートをコピーし、その末尾に隠蔽したアフィリエイトの URL を付加し、自身のツイートとしてつぶやき続けるような悪質なスパムボットが多く稼働している。bit.ly などの短縮 URL で隠蔽していることが多く、怪しければ展開して確認すると良い。もし見かけたらスパム報告し、広告配信元にも通報しよう。
[問題行為2] 他のサイトへの迷惑行為
- 掲示板などで善意の情報を装い、広告への偽造URLを貼る
- 全く関係無い商品を紹介するだけの記事からのトラックバック
- TwitterやYoutubeコメントへの返信としてぶら下がる形で偽造URLを貼り付け
[問題行為3] JavaScriptなどを悪用したクリック報酬の偽造
…こういった問題サイトに対して、特に検索サイトは検索エンジンから除外する対策を行ったり、スパムフィルタを開発したりするなど、いろいろと対応に追われている。
[問題行為4] 虚偽の内容をデッチ上げる
ニュース系・2ちゃんねるまとめブログ系・芸能系アフィブログによく散見される一番問題のある行為。無論名誉毀損、最悪損害賠償に関わる犯罪行為。
人間性・道徳性に問題があると言わざるを得ず、目先の金の為に人をダシに使う悪質行為である事から、アフィブログが非常に嫌われる要因となっている。
2010年1月に強姦致傷容疑で逮捕された不動産会社社員(勿論懲戒免職済み)と同じ姓の不動産同業者を名指しし、容疑者の親族であるかのように書き込まれた事件が発生、当該企業からの要請で捜査が入り、主犯格の静岡県の小学校講師(当時34歳)が書類送検されている。その理由が、「ブログへのアクセス数を増やし、(アフェリエイトで)ポイント(収入)を多く得たかった。社会的に注目を集めた事件で、ネタになると思った」と言う身勝手極まり無い物である。
さらに悪質なものとしてはハムスター速報による福島廃棄米捏造事件が存在し、こちらは謝罪も訂正も一切していない(詳細はハムスター速報参照)。
そのほかにも、以下のような問題を抱えている。
- 宣伝と記事の境が曖昧。これは「サイトを広告臭くすることなく、自然に掲載できる」という利点でもあるが、悪用するサイトも見られる。
「唯の商品へのリンクだと思ったらアフィリエイトだった」こと自体は、サイト主が得をしても誰も損をしないので問題ない。広告主や訪問者が「だまされた!」と思うような巧妙で悪質なケースがあるということである。 - アフィリエイトの募集を「ティア」とよばれるシステムをつかって鼠算的におこなうことによって、実際にはアフィリエイト収入が保証されるわけではないにもかかわらずそのことを偽った募集や、架空商品とアフィリエイトシステムを利用したネズミ講などの温床となっている。
- 販売収益の一定割合がアフィリエイト側の収益となることが、大げさまたは不正確な表現を用いて購買を促すインセンティブとなりうることも問題をはらんでいる。現実にアフィリエイトを行うサイトが無数に存在することや、その媒体がブログなど入れ替わりが早いものが中心であることから、明らかな詐欺や薬事法違反などが有った場合にもその取締りは困難である。 このような問題点に対し、業界団体である日本アフィリエイト・サービス協会はガイドラインを出し、適切なアフィリエイトプログラムの運用を呼びかけている。
なお、報酬を目的とする架空注文は、電磁的記録不正作出・同供用となる。
アフィリエイトの利用が全て「露骨な小遣い稼ぎ」「金の亡者」かというと
そんなことはなく、近年ではブログの普及や、Amazonアソシエイトのようなスマートで広告臭がなく、商品も多彩な広告の登場などで、気軽にアフィリエイトを利用することが可能になっている。そのため、以下のような理由で、ブログパーツ感覚で気軽に(ついでに小銭がもらえたらラッキー程度で)ウェブサイトやブログにアフィリエイト広告を貼り付けている人も増えている。
また、実力で(フェアな方法で、つまりスパムなどの不正行為や、他者のコンテンツの無断転用などをせずに)アクセス数を得ているサイトまたはブログが、アフィリエイトでアクセス数をお金に換えるという行為は、全くもって正当なものであり、何ら問題があるものではない。
すべてのアフィリエイト利用者が「金の亡者」「露骨に小遣い稼ぎを企んでいる」「アフィリエイトが第一目的でサイトを運営している」というわけではないので、余計な混乱を避けるためには、この点だけは明確な区別が必要である。
そもそも、アフィリエイト自体は立派なウェブの広告形態のひとつであり、「アフィリエイト=悪」でも、怪しいモノでも胡散臭いモノでもなんでもない。ニコニコ市場だってアフィリエイト広告である。フェアな利用の範囲なら誰も損をせず、何ら問題ないものなので、アフィリエイト広告がそこにあるだけの理由で、神経質になることはない。
アフィリエイト稼業の実態
「簡単にお小遣いが稼げる」という謳い文句で会員を集めるASPは多いものの、アフィリエイターの7割の月収は1000円以下、9割の月収は5000円以下と、子供のお小遣いにも満たないケースが多数で、毎月3万円以上稼いでいるアフィリエイターは全体の2%以下に過ぎない。しかし、アフィリエイトのみで生計を立てている法人、個人もいるので、儲からないと言うのは早計であるが、統計的に見ると極めて限られた法人、個人のみと言える。
通常の労働と違い、最低賃金のような概念が存在せず、成果が挙げられなければ全く収入がないのがアフィリエイトの特徴である。また、一時的に成功しても、強力なライバルサイトの登場や、検索サイトの表示アルゴリズムの変更で、所有するサイトが検索サイトの上位に表示されなくなると、収入が激減してしまうというリスクも存在する。
そもそも、多くのアフィリエイト広告は「報酬が一定額(5000円ぐらい)以下だと翌月に繰り越され、入金してくれない」ので、その一定額にすら到達できず結局最後まで1円ももらえない、なんてこともザラである。
URLでわかるアフィリエイト広告の見分け方と回避方法
URLを見ることでおおよその判別が可能である。ここでは、アフィリエイトの貼り方が酷くて利益を与えたくない場合の「回避方法」も併記する。
有名なサイトのみを挙げているので、もちろんこれが全てではない。あと、これだけでは断定しきれない場合もあるので、早合点で「お前アフィ貼るなよ」と相手を批判して迷惑をかけないように注意。
楽天アフィリエイト
- 商品リンク先のURLが http://pt.afl.rakuten.co.jp/ で始まる場合、確実に楽天の広告
- 楽天ブログ (http://plaza.rakuten.co.jp/) に商品が貼られている場合は、90%ぐらいの確率で楽天の広告だと思った方がいい。
- Twitter 向けに r10.to ドメインの短縮 URL も提供している。これはアフィリエイトではなく幅広く楽天内で使われるが、a.r10.to ドメインの場合は確実にアフィリエイト広告で、一般ユーザーがツイートすることは殆ど無く、スパマー御用達である。これを書き込んだり、ツイートしている時点でスパムだと警戒した方がいい。
- 楽天アフィリエイトは、規約違反や迷惑行為に対する楽天自身の取り締まりの甘さから、利用者のモラルの平均が頭ひとつ抜けて低いことでも知られており、スプログ (スパムブログ) の犯人も御用達である。もし楽天のアフィリエイトを見かけた場合はまず警戒したほうがいいかも。
- 前述の通り、最近では Twitter の返信や YouTube 人気動画のコメントなどに寄生する形で、a.r10.to ドメインの短縮アフィリエイト URL を貼り付けるスパマーが多い。スパム行為、および YouTube への貼り付けは規約違反にあたるので、見かけたらぜひ通報しよう。
- 回避方法 → 商品名をコピペして、リンクを踏まずに楽天のトップページから直接商品を探す。a.r10.to の短縮URLを間違えて踏まない。
Amazon アソシエイト
- 商品リンク先のURLに tag=○○○-22 または /○○○-22 という部分が含まれている場合は、おそらく広告である。○○○ の部分がサイト名やユーザー名と思わしき文字列であるなら、ほぼ確定。因みに 22 は日本をあらわす国コードであり、他国の場合は数字が異なる。
- ちなみに、ニコニコ市場の商品リンクもAmazonアソシエイトなので、tag=nicovideojp-22 と書かれている。
- Amazonの商品のブログパーツのようなもの(商品一覧がくるくる回転するものとか)は、Amazonアソシエイトを利用していないと貼れないので、これもほぼ確定。
- Twitter 向けに amzn.to ドメインの短縮 URL も提供している。広告である (○○○-22が含まれる) とは限らないが、日常のつぶやきを装って Amazon のアフィリエイトばかり全自動でつぶやいている広告ボットも少なくない。
- 回避方法は以下のとおり。
その他のアフィリエイト広告
以下のURLで始まるリンクはアフィリエイト広告である。踏みたくなければ避けるべし。
- http://ck.jp.ap.valuecommerce.com/ (バリューコマース)
- http://px.a8.net/ (A8.net)
- http://click.linksynergy.com/ (リンクシェア)
- http://ad○.trafficgate.net/ (トラフィックゲート)
- http://www.accesstrade.net/at/ (アクセストレード)
- http://www.d-064.com/ (電脳卸)
そのほか、トップページへのリンクのはずなのにURLの末尾にIDくさい文字列がくっついている場合、いわゆる「紹介者制度」(サイトを紹介すると紹介した人が報酬をもらえる仕組み)の可能性もある。あやしい個人ブログや掲示板への無差別宣伝でこのようなURLが貼られていた場合、IDの部分を削除してアクセスすることで回避可能である。
以上がURLの一例である。実例として、以下のサイトがこれに該当する。
- お財布.com (http://osaifu.com/ユーザー名/) - 一時期スパム行為が流行っていたポイントサイト。
- VALUE-DOMAIN (http://www.value-domain.com/?ref=ユーザー名) - ウェブサーバのレンタルや独自ドメインの取得に使用できるポイントがもらえる。金銭やその他の一般的な商品とは交換できないので、小遣い稼ぎのイメージからは遠い。自分のサイトに貼ってるだけなら大目に見てあげてほしい部類。
- モバゲー (http://mbga.jp/AFmbb.○○○/) - 金銭は絡んでいないが、モバゲーが流行っていた頃はよく掲示板スパムの材料となっていた。
ニコニコ動画でのアフィリエイト
ニコニコ動画では、動画のうp主のブログなどにアフィリエイトがある場合があり、しばしば話題になる。
ここ最近では周囲の影響で嫌儲派になったニコ厨も多く、アフィリエイトがあるだけで拒否反応を起こす人も少なくない。そのため、アフィリエイトがうp主のブログにあるだけで、そのブログや動画が荒れる原因となることがある。
アフィリエイト反対派の意見
アフィリエイト肯定派の意見
- アフィリエイトは金のためではなく宣伝、もしくはブログを華やかにするため
- そのゲーム(動画の元)の売り上げに貢献しているため問題ない
- 「動画制作者のブログのコンテンツ」に広告があるだけ。動画に広告がついてるのではない
など、ブログの状況や、動画のうp主の発言などにより様々な見方が存在する。
ただし、現時点では、うp主が個人的に運営しているブログに貼り付けたアフィリエイト広告によって権利者との間で問題に発展した前例は確認されておらず、あくまでも第三者のニコ厨同士での論争に過ぎない。
また、ゲームのプレイ動画に関しては確かにそれ自体が問題になっており、一部のメーカーが対策に乗り出した例はあるのだが、その争点は「発売して間もない新作や、ストーリーがゲームの価値の大部分を占める作品のネタバレなどによって、ユーザーに購入してもらえる機会を失ってしまうこと」であり、アフィリエイト云々とは特に関連性はない。
YouTube におけるアフィリエイト
YouTube で動画を再生する前に、広告が再生されたり、動画の再生中、動画下にバナー広告が表示されることがある。これらの広告の中には、「収益受け取りプログラム」と呼ばれるシステムにより動画の投稿者が自ら広告表示を設定し、収益の一部がその動画投稿者のものになるものがある。
ただし、コンテンツの権利者が、著作権などの権利を侵害をしている動画している動画に対し、動画を削除するのではなく権利者自身の収益となる広告を配信して動画を存続させることもできるので、広告があるからといって必ずうp主の利益になるとは限らないのではあるが…。
TV番組や公式のPV、人気動画を無断転載しただけの動画、ひどい場合は YouTube の人気動画を自分の YouTube アカウントに広告付で転載など、他人の著作物を無断で自分の利益にしたり、あるいは「権利者」と偽って広告の貼り付けを要請していると思われる物もありGoogleの審査の的確性が疑われる事例も少なくないようだ。
しかし、これらの広告システムの詳細を知らず、全て YouTube の利益となると思っている人が多いためか、現状では広く問題提起されるに至っていない。ニコニコ大百科上での議論においては、YouTube転載の項目を参照。
因みに、ニコニコ動画でもよく似た動画広告が流れるようになったが、これはニコニコの全動画に対してランダムに挿入されるもので、うp主が設定したものではなく、利益は全て運営のもの(クリエイター奨励プログラムの原資)になり、うp主にはびた一文入らないので、広告の文句をうp主に言わないようにしよう。
関連項目
各時代における実例
その他
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