Apologyとは、「謝罪」「弁明」のような意味を持つ英単語である。
ギリシャ語のapo(離れる、逃れる)+logy(言葉)、すなわち「逃れるための言葉」が語源。
本項では、上記の単語に由来する1871年生まれの競走馬・アポロジーについて記述する。
概要
父Adventurer、母Mandragora、母父Rataplanという血統。父アドベンチャラーは主に長距離戦で活躍した馬。母マンドラゴラは未勝利馬だが、「種牡馬の皇帝」ストックウェルの全弟ラタプランを父に、「Flying Manganese」と呼ばれた1000ギニー馬マンガニーズを母に持つという良血である。
本馬の生産所有者は、イギリス東部のリンカンシャー州で父や兄が所有していた牧場を彼らの死後に引き継いで運営していたジョン・ウィリアム・キングという老牧師であった。彼は「Mr. Launde」という登録名を使っていた。
牝馬三冠達成まで
ヨークシャー州で厩舎を運営していたウィリアム、ロバート、ジョンのオズボーン3兄弟に預けられたアポロジーだったが、2歳時は5戦して1勝を挙げたのみだった。
3歳時は1000ギニーから始動し、1番人気の一角となった。レースでは途中で早めに先頭に立つとそのまま譲らず、半馬身差で勝利した。続くオークスも馬なりのまま3馬身差で快勝した。その後コロネーションSを勝利し、ヨークシャーオークスは跛行で回避したものの、グレートヨークシャーハンデキャップでは牡馬相手にトップハンデでアタマ差2着に粘り込んだ。
セントレジャーではダービー馬ジョージフレデリックとの対戦が注目されていたものの、同馬は調教中に故障してセントレジャーを回避した。一方のアポロジーも再び跛行に見舞われ、脚を冷水漬けにして治療しているような有様だったが、「3本脚ででも出なければダメだ」とジョン・オズボーン師が馬主に電報を送り、出走することになった(電報を出してからレースまでに治癒したという説もある)。この一件で単勝オッズは若干上がったが、勝負どころで外から前を行く馬を一気に抜き去ると1馬身半差で勝利し、レースレコードを叩き出して牝馬三冠を達成した。
しかしセントレジャーの翌月に事件が起きた。時のリンカンシャー州大司教が、アポロジーを所有する「Mr. Launde」なる人物が実は牧師であると知り、聖職者がギャンブルに携わっているということで激怒したのである。大司教は牧師か馬主のいずれかを辞めるようにという手紙をキング牧師に対して書き、必要であれば法的な方法をもってしても措置を講ずると警告した。
一方のキング牧師は、82歳という老齢もあって太腿のケガや胃の病のために体調を崩していた。また、彼は単に父や兄の遺産を受け継いだというだけでなく自身も馬好きであった。そのため、大司教からの手紙に対し「揉め事を起こすのは本意ではない」というような手紙を送り、牧師を辞めて馬主を続けることを選んだ。
その後
大司教との揉め事の影響があったのか、3歳時はセントレジャーの後に1戦したものの着外に敗れた。
その後年が明けた1872年5月に馬主が死去し、未亡人に所有が引き継がれた。この年は8月から始動して5戦したが、2着を一度記録したのみであった。しかし5歳初戦を4着とした後、マンチェスター競馬場で出走したクイーンズプレートをクビ差で勝利すると、アスコットゴールドカップでは前年のセントレジャー馬クレイグミラーを半馬身差の2着に破って勝利を収め、ニューカッスル競馬場のクイーンズプレートでも勝利した。しかしその後脚を負傷し、引退した。
通算成績は20戦8勝だった。英三冠牝馬がアスコットゴールドカップを制したのは本馬が初めてであり、後にもラフレッシュが達成したのみである。
繁殖成績
繁殖入りしたアポロジーはしばらく未亡人のもとで繋養されていたが、1880年に3200ギニーで転売され、別の牧場に移動した。その後ステークスウィナーを2頭出したものの、1887年頃から体調を崩すようになった。
1888年、最後の仔を産んだ後に容態が急激に悪化し、安楽死措置となった。遺体を解剖すると、内臓全体に広がるほどの大きな腫瘍が出来ていたという。牡馬の産駒が多かったこともあり、牝系子孫に目立つ活躍馬はいない。
血統表
Adventurer 1859 黒鹿毛 |
Newminster 1848 鹿毛 |
Touchstone | Camel |
Banter | |||
Beeswing | Doctor Syntax | ||
Ardrossan Mare | |||
Palma 1840 黒鹿毛 |
Emilius | Orville | |
Emily | |||
Francesca | Partisan | ||
Orville Mare | |||
Mandragora 1860 栗毛 FNo.4-d |
Rataplan 1850 栗毛 |
The Baron | Birdcatcher |
Echidna | |||
Pocahontas | Glencoe | ||
Marpessa | |||
Manganese 1853 栗毛 |
Birdcatcher | Sir Hercules | |
Guiccioli | |||
Moonbeam | Tomboy | ||
Lunatic |
クロス:Birdcatcher 3×4(18.75%)、Ardrossan Mare 4×5(9.38%)、Orville 4×5(9.38%)、Whalebone 5×5(6.25%)
関連コミュニティ
関連項目
- 0
- 0pt