アマテ・ユズリハ、通称マチュは、アニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の登場人物。
同作の主人公である。
概要
境遇・ルックス
サイド6のスペース・コロニー「イズマ」で暮らす女子高校生。本編開始時点で17歳。
外見上の特徴はショートカットの赤髪と、黄緑の目。身長147cmと小柄でスレンダーに見えるが、オーバーサイズの上着とスポーツ系の下着を愛用していることもあってか、結構着痩せしている。ノーマルスーツ着用時にはスーツの厚みも相まってバストが強調され、かなりスタイルが良いことが分かる。パンツには「GIRL'S AN NON」というブランド表記がある。耳元には真っ赤な月のピアスを付けている。
サイド6生まれ・育ちであり、ジオン独立戦争の脅威は経験していない。外交官の父親は単身赴任中で、コロニー監査局部長の母タマキ・ユズリハと2人暮らしをしている。通っているのはお嬢様学校として有名な女子高「ハイバリーハウス学園」。タマキの意向で塾通いをしており、なおかつアルバイトは禁止されている。
運び屋の少女・ニャアンにスマホを(結果的に)壊され、弁償を求めて彼女を追いかけた結果、紆余曲折を経てクランバトルチーム「ポメラニアンズ」に所属。咄嗟に偽名として名乗った幼少期のあだ名「マチュ」をエントリーネームとして、モビルスーツ(MS)・GQuuuuuuXのパイロットとなる。そして初めての戦闘で経験した、シュウジ・イトウとのニュータイプ共鳴──「キラキラ」に魅了されたことで、非日常の世界へ飛び出していくことになる。
人格
宇宙は頭の上じゃなく、足の下にあるんだ
コロニー生まれのわたしたちは、本物の重力も、本物の空も知らない
──もちろん、本物の海も
勤勉な母親に世話をされ、生活する上での心配はない家庭に育ったアマテ。しかしその日常に慣れ過ぎたことが、一周回って違和感になってしまったのか、「偽物の空と重力」の元で成り立ち、高圧的な軍警が仕切るコロニー生活を、うっすらと「偽物」と感じるようになった。生まれた時からコロニー育ち=コロニーこそが「本物の世界」であるスペースノイドとは思えない思考である。
何か熱心に打ち込めることでもあればよかったのかもしれないが、あいにく地球旅行くらいしか夢や目標も無く、その為か平時はややクール&ダウナー系。驚愕・怒りのジト目・照れなど、表情自体はころころ変わるが、満面の笑みを浮かべることは少ない。
また、自分がクランバトルをしている犯罪者として新聞報道される妄想をした際には『事件を起こした女子生徒の裏の顔 同級生「正直浮いてた」』という見出しを思い浮かべている。ここからも、アマテ本人も「周囲と私はどこか違う」と思っていることが分かる。
その割に思考回路はどこか現実的であり、自分の常識の範囲に物事を当てはめて、そこで終わってしまう傾向がある。「ガンダムがそう言っている」というシュウジの発言を信じずに「シュウジがそう言っている」と解釈しているあたりが判りやすい。
アウトローなシュウジや、女子高の同級生とは違ったムードのニャアンとは、よくつるみ、よく笑うようになる。だが、ここでも育ちの良さが裏目に出てしまい、2人が根無し草であることに考えが回らず、無自覚な施し=上から目線な態度をとってしまうことも。
作中では「自分から進んでお礼や謝罪をする描写が乏しい」点も、彼女のお嬢様気質を際立たせている。
GQuuuuuuXに乗ってると、世界の方が私に応えようとしてくれる……
そんな彼女にとってGQuuuuuuXと「キラキラ」は、どうしようもない鬱屈感から解放してくれる救世主のような存在であり、次第に依存にも似た執着を見せるようになる。そしてクラバが齎す賞金は、かねてからの憧れだった地球旅行(≒コロニー脱出)を現実にする手段となり、ますますクラバに没頭していく。
ここまでだと「ただの嫌なガキ」で終わってしまうのだが、その心の奥底には凄まじい行動力と肝っ玉が眠っている。難民やスラム住民への自覚的な差別・偏見の感情も一切なく、目の前で傍若無人に振舞う人間を許せず、目の前で悲しんでいる人間を何としても助けようとする強い善性が、アマテの大きな長所である。
戦わないの?
……アイツらをやっつける!
もっともその義憤は「どう考えてもイリーガルなニャアンにビビらないどころか仕事先まで追いかけ弁償金をせびる」「どう見ても怪しいカネバン有限公司の面々にも物怖じせず入り浸る」「ニャアンを誰何する軍警の股間を蹴り上げる」等々、後先考えない激発という形で表れている感は否めないが……。カネバン社社長・アンキーにのせられて初出場したクランバトルでは、流石に死の恐怖に怯えて「なんでこんなことに」と自問することもあった。
一応お嬢様学校&塾に通っているだけはあって地頭は良く、咄嗟の状況への対応力、というか突破力には非凡なものがある。ニャアンが残していった荷物の中身をすり替え、回収に来た彼女を脅す材料にしたり、たまたま無人で放置されていたGQuuuuuuXを見つけると「あっちの方が強そう」と即座に乗り移った。
身体能力もかなり高く、ベッドの上で倒立したり、歩道フェンスの上を歩くくらいはお手の物。プールの飛び込み台の最上段で教師や級友の制止を無視してパンツを晒しながら長時間倒立を続け、そのままダイブする奇行に走ったこともある。
あえて意地悪な評をしてしまうと「自分が社会的に恵まれた境遇とは「まだ」理解できていない世間知らず」がアマテ・ユズリハ。ガンダムシリーズでも屈指の「生々しい性格の主人公」である。
人間関係
母・タマキとの関係はまずまず良好……だったのだが、「キラキラ」を知った後は、何を言うにも「普通の人」でしかない母の無理解さ(アマテ主観)に愛想をつかし、逃避するようになっていく。折悪くジオンの軍艦がイズマに侵入し、タマキがその対応に追われ不在がちになったおかげで、堂々と塾をさぼって「キラキラ」にのめりこんでしまったのも、親子の溝を広げる原因になってしまった。
ハイバリー校の同級生達からは、アマテ本人の自己認識とは裏腹に悪く思われてはいない様子。ある意味でボーイッシュな彼女の隠れファンも多いようだ。親しく話しかけてくるちょい悪な女の子もいる。
ファースト・コンタクトこそ不運だったニャアンだが、彼女の哀しみを察した後は同情し、彼女のために体を張る。ハイバリーの学友より親しみやすいのか、放課後に一緒に過ごすことも多いが、一方でニャアンが「難民」である現実には考えが回っていない。
シュウジについては、クラバの頼れる相棒として、そしてそれ以上に「キラキラ」の伝道師として憧れ、非日常へのきっかけとして強く慕うようになる。シュウジ(ガンダム)が地球に行きたがっていることを知ると即座に同行を申し出、彼が欲しがるスペースグライダーの仮契約を代わりに取ってあげる甲斐性も見せる。ホストに貢ぐ女子とか言わない。とはいえ「恋愛対象として理解したい」というよりは「単なる憧れの対象」になっている面があり、自分からシュウジの過去や事情を深く聞いたりはしない。
カネバン有限公司の面々からは「世間知らずのお嬢ちゃん」と見なされている一方、クランの救世主としてそれなりに大事にされている。社長のアンキーからは恋と人生の先輩としてアドバイスも受けている。
他、ナヴは大人として理性的な忠告をしており、ジェジーもなんだかんだ世話を焼いているのだが、前者は多くを語らず、後者は口が悪すぎるので、アマテの心には全く響いていないのが実情。
Let’s get the Beginning.
誰?
こうした現実の人々とは別に、第1話でアマテのスマホにメッセージを送ってきた正体不明の存在がいる。そのまま物語からフェードアウトするので視聴者には存在を忘れられがち。
パイロットとして
……よくわかんないけど、なんかわかった!!
本編開始時点ではまったくの素人であり、MS戦のセオリーといった戦術も何一つ理解していない。しかし、本人は自覚していないがニュータイプ能力に覚醒しており、GQuuuuuuXのオメガ・サイコミュを起動できる。これによって思考のみでGQuuuuuuXを動かせるようになり、技術面のハンデを大きく埋めることになった。
あの娘は「間合い」がわかってるんだ。ホンモノかもしれない
……ここまでの全ての攻撃を回避しています。扱いの難しいGQuuuuuuXでよく動く
アンキーの見立ては正しく、高い身体能力と精神力のたまものか、常人離れした適応・成長力を発揮。4回目の戦闘ではシュウジのアシストを受け、敵MAVの頭部を同時に破壊するまでになった。だが、熟練のパイロット相手にはどうしても実戦経験値が足りておらず、トップエース級が相手では手も足も出ない。カネバン社の面々からも「勝ててるのは赤いガンダムのおかげ」と認識されている。
──焦らないで、マチュ。もっと自由になっていい──
──海を泳ぐ、魚みたいに──
ストーリー中の活躍
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ここから先は重大なネタバレ成分を多分に含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。 |
何かを手に入れるために、何かを諦めなきゃいけないなんて、
そんなの理不尽じゃない?
キラキラ、そしてシュウジへの憧れからGQuuuuuuXを駆るアマテの前に、復讐鬼と化した女、シイコ・スガイが立ちはだかる。シュウジを本気で殺そうとするシイコと、彼女に引導を渡そうとするシュウジ。殺し合う2人はしかし、キラキラの中で共鳴し、2人だけの会話を交わしていた。現実空間でもキラキラでも完全に置いてけぼりにされたアマテは、己の至らなさに落ち込む。
あの人には、待ってる家族もいたのに……
──でも、そこまで踏み込まなきゃ、シュウジのいる場所には届かないんだ
もし「これは」と思う相手なら、
頭空っぽにして、追いかけてみるのも悪かないよ
アマテは(ただの色恋沙汰と考えてる)アンキーの励ましで気持ちを切り替える。しかし、ひょんなことから自分の代わりにニャアンがGQuuuuuuXに搭乗し、自分以上に上手く操縦する事件が発生。自分だけが、そして自分が唯一持っているはずのアイデンティティ「キラキラ」を脅かされ、アマテは激昂する。
シ ュ ウ ジ と の キ ラ キ ラ は
私 だ け の モ ノ な の に !
(汚い心の叫び)
なんでニャアンが乗ってるんだッ!
そこは私の場所だろぉお!!
(汚い絶叫)
2日後。三者面談に多忙な母が来ることになり、少し嬉しいアマテ。しかし遅刻してきたタマキは、開口一番で塾をさぼっていたことを怒った挙句、こちらの話は聞いてくれない。
希望があるなら話してみてよ、お母さんちゃんと聞くから……
地球の海で泳ぎたい
そういうのは進路じゃないの!
ほら! 結局聞いてくれないじゃん!
更に、学校から逃げ出して向かったカネバンでは、アンキーが赤いガンダムの隠し場所を突き止め、GQuuuuuuX共々切り捨てようとしていることを知ってしまう。家にもカネバンにも居場所を無くした(と考えた)アマテは、スペースグライダーを奪って地球に逃亡する計画を立て、GQuuuuuuXをニャアンに任せると、カネバンの金庫から逃亡資金を拝借する。
金庫に入っていた拳銃を撃ってしまい、警告するアンキーを危うく殺しかけたアマテは、這う這うの体で逃げ出していく。
男で身を滅ぼすなんてダサすぎるんだよ
……アンキーが! 頭空っぽにして追いかけろって言ったんじゃないか!
大人はみんな嫌いだ!
何故か単機で放置されているGQuuuuuuXの元に辿り着いたアマテだったが、そこを軍警に捕捉されてしまう。GQuuuuuuXで逃亡を図るが、ニャアンもシュウジも姿を見せず、後ろからは無数の軍警ザクが迫る。孤独・恐怖・怒りがGQuuuuuuXと共鳴し、暴走が始まった。
シュウジ……! シュウジがいないと……
キラキラになんないよぉっ!!
──怒りを鎮めろ、GQuuuuuuXのパイロット──
──貴女には、まだやるべきことがあります──
それを阻止したのは、アマテに目を付けていた「髭のオッサン」シャリア・ブルだった。
イズマを離れるソドンの営倉にぶち込まれて3日。そもそもソドンが騒動の元凶であることは棚に上げてサイズの小さい着替えを押し付けてきた女と、一方的に読心して詰めてくる髭オッサンを前に、改めて「自分は何も知らないただのガキ」だと思い知るアマテ。そこに再び謎のメッセージが届き、アマテは導かれるままにGQuuuuuuXに乗って地球へ逃亡する。
だが、辿り着いたのは貧民上がりの娼婦を囲ったいかがわしい館だった。地球にも、イズマのスラムと同じか、もっとひどい場所が存在していたのだ。運命に囚われたニュータイプ、ララァ・スンを救えなかったアマテは、憧れだったはずの海を見ても、力なく呟くだけだった。
……本物の海
泳ぎたかったな……
自動操縦を続けるGQuuuuuuXは、やがてアマテを「シャロンの薔薇」の元へ導く。直後、髭オッサンに「泳がされていた」アマテは、ソドンに連れ戻された。
何の役にも立たない自分を自覚した時、私は初めて自由になれた
誰の期待に応えることも出来ない、何より自分自身の期待にさえ
そうなって初めて私には本当の自由が生まれたのです
お察しの通り、あなたには頼みごとがあるのですが、それはまた今度
気に入ったのなら、その拳銃はさしあげます
ギレン・ザビとキシリア・ザビを同時に排除し、内戦の火種を消し去りたい「ヒゲマン」シャリアは、職権を乱用してアマテをGQuuuuuuXの正パイロットに据え、訓練をつける。当のアマテは相変わらずの独房生活だが、シュウジへの手がかりとなる「薔薇」の発見がいい方向に働いたのか、割と素直にヒゲマンの話を聞くようになった。シャリアはそんな彼女に木星船団時代の拳銃を贈る。
だが、破局は予想以上に早く訪れた。キシリアが大量破壊兵器イオマグヌッソを起動することを悟ったシャリアは、アマテにその停止──「薔薇」に囚われたニュータイプの解放を託す。
余談
- 『機動戦士ガンダム(1stガンダム)』第3・第4話に、よく似た名前の「マチュウ」という男性が登場している。シャア・アズナブルの部下のパイロットだったが、RX-78-2ガンダムとの交戦で戦死した。
- 身長147cmの情報は『ガンダムアーセナルベース』が出典。
- 「GIRL'S AN NON」ブランドは彼女が好んでいるという設定。意味は「少女じゃない」。
- 前作TVシリーズ主人公のスレッタ・マーキュリーとは同年代、かつ境遇も性格もいい感じに正反対ということもあって、ネット上では2人(もっと言えば彼女ら学生たち)のクロスオーバーイラストが多く見られる。
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関連項目
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- エグザベ・オリベ
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