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アマビエ
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アマビエとは、疫病が流行したときに絵が描かれる妖怪幻獣、予言である。

概要

江戸時代末に瓦版を通じて予言として広まった。その記録によると1846年に肥後現在熊本県)で撃されたようだ。特徴は以下の通り。

  • 人魚に似ている
  • 口はくちばし状
  • 首から下は鱗に覆われる
  • 三本足
  • 足先にのようにもヒレのようにも見える突起がある
  • ひし形

肥後に現れたアマビエはこんなことを言った。

ここからしばらくの間、豊作が続くよ!
でももし病気が流行ったら、私の絵を描いてみんなに見せてね!

そしてに帰っていった。

記録に残っているアマビエのエピソードは以上である。絵を描くと一体何が起こるのかはよくわかっていない。おそらく話の流れからして「疫病が収まる」のではないかと推測されている。

ちなみに原文は

肥後中え毎夜光物出ル所之役人行
見るニづの如の者現ス私ハ中ニ住アマビヱト
申者也年より六ヶ年之間諸豊作也併
病流行々私ヲ写シ人々ニ見セ得と
申て中へ入けり右ハ写シ役人より江戸
申来ル写也

化三年四月中旬

(現代への訳例「肥後中に毎夜光るものが出るので、そこの役人が行って見てみると図のような者が現れ「私は中に住むアマビヱという者。今年から6年間諸は豊作、しかし病が流行、々に私を写して人々に見せなさい」と言って中に入っていった。右は写し役人から江戸に申し来た写しである」)

となっている。

京都大学付属図書館に上記の文章・絵が載っている資料が保管されており、「京都大学貴重資料デジタルアーカイブ」にてインターネット公開されているexit

ちなみに民俗学者/日本風俗/妖怪の「湯本一」氏がアマビエや後述する「アマビコ」に関する多数の資料を集し、考察と共に複数の著書などで紹介している(本記事「関連商品」参照)。それによって、20世紀末から21世紀初頭にかけて知名度が増したらしい。

湯本氏はこの「アマビエ」と「神社」という人魚のような存在の類似点を摘し、また「アリエ」や「山童」といった妖怪らとも外見や伝わる話の特徴から接点を見出しているとされる。湯本氏はこういった「アマビエ」「神社」「人魚」「件(くだん)」といったような「予言する幻獣」を、「予言」または「予言と除災の幻獣」などと名付けて分類しているという。

アマビコとアマビエ

「アマビエ」の記録は上記の1つのみである。これに対し、「アマヒコ」あるいは「アマビコ」と読める妖怪?が熊本宮崎新潟の複数の記録に残っている。表記は「」「あま」「尼」「」など。あるいは「日子尊」「尼」などと少し付加されているものも。

これらの多くが「豊作や疫病を予言する」などの共通の特徴をもつ。そのため、「実はアマビコを間違えた結果、アマビエが生まれたんじゃないか?」という説がある。「」と表記している最初期の例などでは「日本人の7割が死ぬよ!そうならないように私の絵を描いてね!」という割と脅迫めいたことを言っている。

これらアマビコの姿はまちまちだが、「鱗はなく、全身が毛でおおわれている。足先にはがあり、丸っこいをしている」といったアマビエと大きく異なるものもある。

アマ」は「士」や「女」とも書けるようにとのかかわりが深い言葉である。上記の記録の多くにおいても、撃されていたり、「に住む」と自ら申告していたりする。「ヒコ」は漢字では「」になり、古来から男男性の名として使われてきた。そのため、アマビコも男であると解釈されることが多い。

一方、アマビエの性別は不明だが、現代の日本人は「しずえ」などの「エ」で終わる名前女性として認識することが多い。残っている絵も長であるため、現代ではアマビエは女性として描かれることが多いようだ。「人魚」との類似点なども関連しているのかもしれない。

これらの各種「アマビコ」については、インターネット上(福井県地域共同リポジトリ)にて開されている「長野栄俊」氏による文献『予言アマビコ考--「」をてがかりに』内で、絵の画像と共に詳細が紹介されているため、本記事下部の「関連リンク」から参照されたい。

水木しげる・ゲゲゲの鬼太郎のアマビエ

もともとアマビエは白黒で書かれていたが、水木しげるが描いたものに色が付けられている。緑色でくちばしは桃色、鱗は桃色水色・薄緑色などカラフルである。

水木しげる原作アニメゲゲゲの鬼太郎」第5期にも登場しており、桃色で鱗が緑色になっている。下半身は三本足ではなく、のような姿になっている。一人称が「あたい」。第26話ではメインる。鬼太郎に好意を寄せているが、かわうそとの絡みがむしろ多い。

現在描かれるアマビエのデザインはいろいろあるが、配色は水木しげるゲゲゲの鬼太郎のアマビエにを受けたものが多い。

令和のアマビエ

令和2年2020年)の2月新型コロナウイルス日本に蔓延していた。この状況の中で、それまではに予言として扱われていたアマビエの「疫病が収まる(のではないか)」という側面が注された。そして、「アマビエの絵を描いて新型コロナウイルスを食い止めよう」という動きがネット上で現れた。

もともとアマビエは一部でもコロナウイルス等と絡めて話題に上がっていた(参考exit)が、最初のブームのきっかけとなったツイートは、妖怪掛け軸専門店「大蛇堂」の公式Twitterアカウント2020年2月27日投稿した以下のものであったと思われる。

これを受けてアマビエの画像が徐々に投稿されるようになる。

 

 

 

当初は局所的なブームだったが、3月に入るとアマビエが下記ツイートから特に広まった。

その結果アマビエが多く描かれるようになり、1万いいね以上を獲得するものも出現した。

 

 

 

 

なお

❌🦐

アマエビではない。

関連動画


妖怪紹介系の動画。アマビエに関する部分は、再生時間05:11頃から)

MikuMikuDance

3DCGムービー制作ソフトMikuMikuDance」用のモデル制作され、配布されている(→リンクexit_nicochannel)。


関連静画


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134 ななしのよっしん
2022/05/15(日) 21:38:17 ID: BQ/1z1gHe5
何回も言及されてるけど自分の姿をひろめても事態が良くなるとは一言も言ってないんだよな
というかこの手の話だとむしろ事態が悪化したりこいつ自身が元みたいなオチもあるし
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135 ななしのよっしん
2022/05/17(火) 12:46:04 ID: EZEyzE8fI5
>>127
間違った方向にマジになるのはダメだぞ
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136 ななしのよっしん
2022/05/19(木) 10:52:54 ID: chUAbMXYG1
「描いてある姿を見たら疫病が収まるとはいってない」
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137 ななしのよっしん
2022/07/18(月) 03:12:23 ID: w9/BcB0LGa
不幸の手紙的な手法で
もしかして見た人に病気が伝染るとかじゃ…

つまり描いた側が健康だったら何の効果もないと
もし見てしまった人は万が一病状が出ないうちに自分も描いてしまお
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138 ななしのよっしん
2022/08/11(木) 18:48:47 ID: 1DlKiFCHnk
>>137
嫌過ぎる考察

とりあえず縁起いいから描いとけ系妖怪創作ブーム
起きた時代に産まれたその一種なんだから…
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139 ななしのよっしん
2023/03/21(火) 18:43:45 ID: XQ+17mYE18
水木しげるの作品では5期鬼太郎より以前に悪魔くんノストラダムス大予言に十二使徒として出てきている
こっちの方が水木絵の原画に近い姿
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140 ななしのよっしん
2023/08/11(金) 21:29:10 ID: gpkUXSTX1j
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削除しました ID: d476dz7N1W
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142 ななしのよっしん
2023/11/11(土) 11:11:40 ID: h7XwDbbFeX
やっぱこういうのって、災いから守ってくれるんじゃなくて、災いが起きたときの怒りの矛先として身代わりになってるってことが本質で、それを厄除けとかお守りという形で広めてるのかな?
別に神様とか信じてないけど
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143 ななしのよっしん
2023/11/11(土) 11:14:16 ID: 1LHlo0NJLa
DIO様「人はそうやって安心をめるものだってそれ一番言われているから」
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