アムロ・レイとは、アニメ『機動戦士ガンダム』の宇宙世紀(UC:Universal Century)シリーズの『機動戦士ガンダム』、『機動戦士Ζガンダム』、『逆襲のシャア』の登場人物である。
概要
僕にはまだ帰れる場所がある・・・
こんなにうれしいことは無い・・・
宇宙世紀シリーズを代表するキャラクター。『機動戦士ガンダム』および『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における主人公である。
1stガンダム時の年齢は15歳。Zガンダムの頃は22歳。逆襲のシャアの頃は29歳。
地球連邦の技術士官テム・レイの息子。母親はカマリア・レイ。日系人であり、生誕から幼少まで過ごした地域はテレビアニメ版の設定では日本の山陰地方、劇場版の設定ではカナダ・ブリティッシュコロンビア州の太平洋沿岸地域の町プリンスルパートとされている。5歳のときに母と離別し父と共に宇宙へ移民。『THE ORIGIN』の設定では、父の赴任先であるグラナダ、サイド6、そしてサイド7と転居を繰り返したとされる。
メカいじりをしながらサイド7で暮らしていたところ、偶然ガンダムに乗り合わせ、そのまま成り行きで地球連邦軍の兵士となる。後に戦いの中でニュータイプ能力に覚醒していき、伝説のエースパイロットとなる。しかし、そのニュータイプ能力を恐れた連邦軍上層部によって軟禁され、復活には7年を要することになった。復活後は以前と変わらない操縦スキルを発揮し、かつてのエースの名に恥じない活躍をした。
内向的な主人公の走りとも言える人。スーパーロボット大戦等のゲーム作品では逆襲のシャアにおける「リーダーシップに優れる大人のアムロ」が描かれる事が多いが、親父にもぶたれたことないのに!とごねたり、脱走したり、ガンダムMk-IIに乗れなくて嫉妬したり、割と弱い人間臭い部分も描かれている。一方で負けず嫌いな一面もあり、シャア・アズナブルやランバ・ラルという強敵と出会ったときは勝ちたい、強くなりたいという感情を持っており、この感情が彼の戦士としての本能を目覚めさせることとなった。また、戦闘面においては現実主義的かつ合理主義的思考で、戦術と呼べる範疇でどんな手を使ってでもターゲットを仕留める事に徹底している。
愛機ガンダムを駆って多くの強敵たちと渡り合い、ニュータイプとしての覚醒以降はその卓越した能力はなお加速し、シリーズを通して超人的な戦績を挙げていき、ファンからも宇宙世紀史上最強のパイロットであると認識されている。一方、監督の富野由悠季はアムロはニュータイプとしてはオールドタイプ的感性を持っていると捉えており、「カミーユに比べてアムロは学習できないため、オールドタイプとして死んでいくしかない」と『月刊マガジン』のインタビューで語っている。
作中での経歴
一年戦争
上述したとおり、サイド7での遭遇戦が初陣。ガンダムに乗り、マニュアルを読んだだけでザクⅡ2機を撃破する。
その後、シャア・アズナブル少佐と交戦、当初は機体の性能に助けられていたが、徐々に操縦術・戦闘術を獲得し、辛うじて渡り合い、ガンダムの母艦、ホワイトベースと共に地球に辿り着く。
ガルマ・ザビ率いるジオン地上方面軍を撃退した後ランバ・ラル隊、黒い三連星などのジオン軍の精鋭部隊を次々に破り、パイロットしての腕を急激に上げていった。
ジャブロー基地から宇宙に上がった後はニュータイプとして覚醒、急激に伸びつつあった戦闘スキルが手がつけられないほど発達し、「連邦の白い悪魔」とジオン軍の将兵から評される様になる。[1]
ソロモン攻略戦に参加したのち、ソロモンの亡霊と呼ばれていたララァ・スン操るエルメスと交戦、ニュータイプ同士理解し合うがシャアの横槍が入り、これがきっかけでララァを殺してしまうことになってしまった。これが二人に残る因縁となる。
ア・バオア・クー攻略戦で、シャア操るジオングと相討ちになったものの無事に生還。一年戦争時の最終スコアはモビルスーツ142機、艦船9隻。
グリプス戦役
1年戦争後にニュータイプの潜在能力を危険視した軍上層部において、閑職に回されるなど事実上の軟禁状態におかれた。そのため戦う気力を無くし、戦いに対する恐怖心さえ芽生えていた。
しかし、かつての幼なじみであるフラウ・コバヤシおよびカツ・コバヤシの叱咤激励によって勇気を取り戻し、連邦軍の監視下から脱走、エゥーゴの支援組織であるカラバに合流することになる。
7年のブランクがあったもののさすがの技量を誇り、カラバではエゥーゴの主力モビルスーツであるリック・ディアスを譲り受けてティターンズのアッシマー[2]やサイコガンダムと交戦、これを撃退している。
またかつてのライバルであるクワトロ・バジーナことシャア・アズナブルと再会、そして自身の再来と言われたカミーユ・ビダンと共闘している。
その後もカラバの一員として地球で活躍しており、リック・ディアスを改修したディジェに搭乗。キリマンジャロ攻略戦、ダカールの演説といった重要な作戦での指揮を任されている。さらにはジェリド・メサのバイアランを撃退し、宇宙へ戻るシャアとアムロを援護している。
第一次/第二次ネオ・ジオン紛争
グリプス戦役終結後、第一次ネオ・ジオン紛争が勃発。地球に降り立ったアーガマ隊と入れ替わる形で宇宙に上がり、消息不明になったシャア・アズナブルを探し出すため数年間にわたってコロニーに対する隠密調査を実施した。しかし目立った成果は得られなかった。
そのためTVアニメ版『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場しなかったが小説版(遠藤明範:著)ではカラバに残留しており、前作『機動戦士Ζガンダム』に引き続きモビルスーツ隊を指揮した。
この時の乗機はリック・ディアスの強化型であるシュツルム・ディアスを使用しディジェはリストラされました 、ネオ・ジオンが占拠するダカール奪還の作戦に参加したり、宇宙に戻るジュドー達を妨害するために出撃したプルツーのサイコガンダムMk-Ⅱに止めを刺すなどの活躍をしている。(サイコガンダムMk-ⅡはTV版同様顔コックピット部だけは残った)
元祖主人公として、TV版28話でリィナの靴を投げ捨てる役をルー・ルカの代わりに行った。
また、ジュドーに対して「自分が宇宙に上がる時はシャアと決着をつける時だ」と発言し、数年後の戦いをどこかで予感している節がある。
その後連邦軍の独立部隊であるロンド・ベル隊が結成されるとそれに参加、モビルスーツ大隊の指揮官に任命される。
シャアがネオ・ジオンを再興し、第二次ネオ・ジオン紛争が勃発すると、シャアの隕石落としを阻止するため出撃することになった。5thルナ阻止戦では、Ζガンダムの簡易量産型であるリ・ガズィを使用していたが、初のサイコミュ搭載型ガンダムであるνガンダムが完成するとそちらに乗り換えた。
ネオ・ジオン軍のギュネイ・ガスやクェス・パラヤを圧倒し、最終的にシャアを撃墜する。
その後、地球に落下するアクシズをサイコフレームの力を借りて押し返した。この時、サイコフレームの発する光に包まれてシャアと共に消息不明(MIA)となる。
設定集などでは死亡扱いとなっており、シャアの反乱後、宇宙世紀0096年を舞台とする『機動戦士ガンダムUC』にて、ラー・カイラムの艦長室に二階級特進した彼の写真が飾られている。
主な台詞
声真似されることも多い。
- こいつ…動くぞ!
- 武器は無いのか、武器は!
- アムロ、行きまーす
最も有名な台詞の一つであるが、実は劇中で一度しか登場していないことが「トニーたけざきのガンダム漫画」第3巻での検証で判明している。実際は「行きまーす」だけのことが多かったようだ。 - 親父にもぶたれたことないのに
- 僕が一番、ガンダムを上手く扱えるんだ
- たかがメインカメラをやられただけだ
- 僕にはまだ帰れる場所がある……こんなに嬉しいことは無い……
- 人の善意を無視する奴は一生苦しむぞ!
- チェーンがチャーミングすぎるからさ
- エゴだよ、それは!
- νガンダムは伊達じゃない
ゲームでの活躍
ガンダムシリーズ初代主人公だけあり出演機会も多い。能力が低い事はほぼ無く、高い水準を保っている。「白い悪魔」の異名は主に敵側から語られるが味方側からは「連邦の白き流星」と憧れの存在となることが多い。
スーパーロボット大戦では前述の通り、主に『逆襲のシャア』設定で登場し、ファーストやZ設定で登場する方が珍しい。これは後の時代が舞台となるZガンダムやZZらほかの宇宙世紀作品との共演やアムロ最強の搭乗機として扱われるνガンダムの存在もある為であろう。
歴戦の勇士として他作品のキャラクターからも憧れの存在として信頼も厚い。部隊のまとめ役になることもしばしば。戦闘面以外でも機械知識を披露し修理する面も。(洗濯機を修理したことも)
初期ではνガンダムが来るまでが長く、載せる機体に困ることも多かった。
歴代ガンダムが集結するGジェネシリーズでは初代・Z時・逆襲のシャア版での登場。概ね後の時代の方がステータスが高く所持スキルも隙が無く何に乗せても高い能力を発揮できる。勿論後の時代のや世界観が違うガンダムに乗る事も出来、一部武装では専用セリフも披露、ストーリーモードなどではスーパーロボット大戦シリーズと似て伝説のパイロットして扱われるケースが大半で概ね敬意を持たれている。また、宿敵であるシャア・アズナブル以外のエースパイロットとも会話が数多くありこちらも見どころ
作中で搭乗したモビルスーツ
テレビアニメシリーズ
- RX78-2 ガンダム(機動戦士ガンダム)
一年戦争を戦い抜いた機体。ザクⅡのサイド7襲撃に巻き込まれた際に乗り込み、以降はホワイトベースの主戦力として目まぐるしい活躍を見せ、連邦軍にとって希望の象徴、ジオン公国軍にとっては「白い悪魔」として恐怖の対象となる。物語後半になるとアムロの急速なニュータイプとしての覚醒に追いつけなくなり、マグネット・コーティングが施される。最後はア・バオア・クーでのシャア・アズナブルのジオングと相打ちとなり大破している。
一年戦争でガンダムとアムロが挙げた戦果は凄まじく、「ガンダム神話」と形容されるほどである。 - RMS-099 リック・ディアス(機動戦士Zガンダム)
カラバ合流後、クワトロ・バジーナに要請し、アポリー・ベイが搭乗していた機体を受領。この頃のアムロは7年間のブランクから完全に立ち直れたわけではなかったが、それでもアッシマーやサイコガンダムといった機体性能で上回るMSを相手に互角以上の戦いを見せている。 - MSK-008 ディジェ(機動戦士Zガンダム)
上記のリック・ディアスをアムロ専用機体として改修。キリマンジャロ基地攻略戦やダカール演説で活躍。アウドムラを襲撃したジェリド・メサのバイアランを撃墜している。ちなみに劇場版では登場しない。 - RGZ-91 リ・ガズィ(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
劇中序盤に搭乗していた機体。5thルナでの戦闘でギュネイ・ガス搭乗のヤクト・ドーガを追い詰めるが、シャア・アズナブルが搭乗するサザビーには付け入る隙がなく、撤退を余儀なくされた。 - RX-93 νガンダム(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
自身が設計に関与したサイコミュ搭載の専用機であり、アムロが作中で最後に乗った伊達じゃない機体。わずか三ヵ月という短期間でロールアウトにこぎつけ、シャアとの最終決戦に臨む。シャアの乗るサザビーと激闘を繰り広げた後、地球へ落下していく惑星・アクシズの軌道を逸らすことに成功。最後はサイコフレームの光に包まれ、アムロと共に消息を絶つ。
他のメディア媒体での搭乗モビルスーツ
- G3ガンダム(小説版『機動戦士ガンダム』)
- Zプラス A型(ガンダム・センチメンタル)
- Zガンダム3号機(ガンダム新体験 グリーンダイバーズ)
- Ζガンダム3号機A型 "ホワイト・ゼータ"(GUNDAM EVOLVE)
- シュツルム・ディアス(小説版『機動戦士ガンダムZZ』)
- メガゼータ(機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス)
- リック・ディジェ(機動戦士ムーンガンダム)
- ジェダ(機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー)
- Hi-νガンダム(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン)
余談
安彦良和によって描かれた初期稿での名前は「本郷東(あずま)」であった。アムロ・レイという名前は富野監督が語呂合わせで1か月かけて考案したものであり、いわゆるトミノメモでの名前は「テムロ・アムロ」であった。その後、「機動戦士ガンダム設定書・原案」では「アムロ・嶺(レイ)」と表記されており、テレビ放送中に『アニメージュ』に掲載されたインタビューでも富野監督は「本当は漢字の嶺です」と答えている。
演者を務めた古谷徹は、役作りに非常に苦労したと述懐しているが、それまで当たり役であった星飛雄馬のような熱血漢的な演技を要求され続けることに悩んでいた古谷は、アムロを演じたことで演技の幅を広げ、結果的に役者として大きく成長できたとも語っている。また、「逆襲のシャア」のアムロは自身の実年齢が近くなったため、今の自分と重ねる形で演じることができたと語っている。
一部のファンからはとんでもない技量を持つ「天才パイロット」と彼の髪型の「天然パーマ」を引っ掛けて「天パ」と呼ばれている。
関連動画
関連静画
声真似
お絵カキコ
関連項目
- アニメ / サンライズ / 富野由悠季
- 機動戦士ガンダム / 機動戦士Zガンダム / 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
- 機動戦士ガンダム THE ORIGIN / 機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
- ガンダムシリーズの登場人物一覧
- 地球連邦軍
- ニュータイプ
- 古谷徹
- ガンダム / νガンダム / Hi-νガンダム
- コア・ファイター / リック・ディアス / ディジェ / リ・ガズィ
- テム・レイ(父親)
- ブライト・ノア(最大の戦友)
- セイラ・マス(仲間)
- フラウ・ボゥ(ガールフレンド)
- カイ・シデン(戦友)
- ハヤト・コバヤシ(戦友)
- ミライ・ヤシマ(仲間)
- リュウ・ホセイ(戦友)
- スレッガー・ロウ(戦友)
- シャア・アズナブル(最大のライバル)
- ララァ・スン(人生を決定づけた女性)
- ランバ・ラル(乗り越えるべき存在)
- クワトロ・バジーナ(シャア)
- カミーユ・ビダン(後輩)
- カツ・コバヤシ(仲間)
- チェーン・アギ(CCAでの恋人)
- ベルトーチカ・イルマ(小説版CCAでの恋人)
- ハサウェイ・ノア(ブライトの息子)
- クェス・パラヤ(父親代わりを求められる)
- 永遠にアムロ
- こいつ…動くぞ!
- たかがメインカメラをやられただけだ
- νガンダムは伊達じゃない
- F90(アムロ・レイを擬人化したコンピューター搭載機がある)
- 機動戦士クロスボーン・ガンダム(アムロが投棄したコアファイターを木星帝国残党が回収しクローン脳を生成した)
- 安室透
脚注
- *原作には無い設定であり、ゲーム『ギレンの野望』でのアナベル・ガトーの台詞から定着した。知名度が高い通称にもかかわらず長らく準公式設定扱いだったが、OVA『機動戦士ガンダムUC』第2話劇中でのセリフに使用され、公式設定となった。
- *アッシマーに搭乗していたブラン・ブルターク少佐は連邦軍の士官で、厳密に言うとティターンズでは無い。
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- ジョブ・ジョン
- ジーン(機動戦士ガンダム)
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- セシリア・アイリーン
- テム・レイ
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