アメリカザリガニとは、 |
概要
昭和初期にアメリカから持ち込まれたアメリカ原産のザリガニの仲間。
日本の固有種であるニホンザリガニなどより体格や環境適応力に勝っており、現代では広く見ることができ、子供たちの身近な生物として捕獲や飼育の対象となっている。
自分より大きな相手に対して両手の鋏を高く上げて威嚇する姿は非常にユーモラスである。やっているアメリカザリガニにとってはまさに命がけなのではあるが。
日本に持ち込まれた経緯
昭和初期、日本はアメリカから食用としてウシガエルを輸入した。しかし、このウシガエルは環境の変化のせいか、日本についてからえさを食べなくなり、このままではいずれ餓死してしまうことが予想された。
そこで「アメリカで食べていた餌を持ってこよう」と考えられ、アメリカでウシガエルのえさであったアメリカザリガニが持ってこられることになったのである。
そしてはるばる太平洋を越え、アメリカはミシシッピ川から日本へと食われるために連れてこられた20匹のアメリカザリガニ。しかし、アメリカザリガニが食われる覚悟を決めてウシガエルの前に連れてこられたとき、ウシガエルたちは既に日本の環境に慣れ、アメリカザリガニ以外のものも食べられるようになっていたのである。アメリカザリガニはオワコン。
かくして日本に来て早々に食べられるという危機を脱したアメリカザリガニはついでに飼育池を大雨に乗じて脱走。そのまま各地の田んぼや小川に潜伏し、仲間を増やし、水辺の人気者となるのである。
ザリガニ釣り
子供の遊びのひとつとしてアメリカザリガニ釣りが存在している。
スルメやカエルなどをえさにアメリカザリガニが潜んでいそうな場所に釣り糸を垂らし、アメリカザリガニがえさをはさみで挟んだら吊り上げる遊びである。木の枝や棒にタコ糸を結んだだけの簡易な釣竿とえさがあればどこでもできるため、通常の魚釣りよりもハードルが低く、子供でも思い立ったらすぐに実行できる。
なお、このザリガニ釣りでもっとも最適なえさはアメリカザリガニ自身である。最初に吊りあげたアメリカザリガニを解体し、その肉をえさにすると非常によく釣れる。
釣ったアメリカザリガニは持って帰って飼育してもよし、食卓に上げてもよし、リリースしてもよしである。
2023年6月1日より特定外来生物(条件付)に指定されたため、釣り上げたザリガニは終生野に放たず飼育するか〆る必要がある。どちらもしない場合は(推奨はしないが)直ちにリリースしなければならない。
だが、ザリガニがいっぱいに入ったバケツは正直グロ注意である。
大脱走
アメリカザリガニは意外と頭がよい。そのため、飼育されている水槽から逃げ出すことが多発する。
水槽内にあるコードを登ったり、時には仲間を踏み台にして水槽のへりにはさみを伸ばし脱走することもある。
そもそもが脱走から日本全国に広まった種であるため、脱走はむしろ本能であるといえるかもしれない。
食材として
原産地のアメリカや、フランス・オーストラリアなどで料理され食べられている。フランス料理では高級食材として扱われるほか、中華料理でも食材のひとつとして使われている。
日本では釣ってきたアメリカザリガニをそのまま食べることは少ないと思われる。生息域が田んぼや水質の良くない川などの場合、釣ってきたザリガニを食べてはにおいなどが残ってしまうためと思われる。食べようとするならせめて数日は泥抜きなどをしてからにしたい。
幸い、特定外来生物(条件付)であるため自ら食用にする場合の泥抜き飼育は認められている。
なお、料亭などでは最初から食材用として飼育されたものが使われている。
外来種の恐怖
もともと日本にいなかったアメリカザリガニはたった20匹から日本のほぼ全土でみられるまでに生息域を広げた。
その繁殖力の強さと雑食性で何でも食べるという適応力の強さのため、既存の生物たちにとっては非常に危険な生物になる。
というわけで2023年6月1日より特定外来生物(条件付)に指定された。
アメリカザリガニを飼育する場合は、決して野に逃げないように終生管理しなければならない。
トリビアの泉
トリビアの泉の中でも初期のネタ。テレビに映された青いアメリカザリガニは衝撃映像だった。
関連動画
関連項目
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