アユサン(Ayusan)とは、2010年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牝馬。
クリスチャン・デムーロにGI初勝利をプレゼントした2013年の桜花賞馬。
概要
父ディープインパクト、母*バイザキャット、母父Storm Catという血統。
父は説明不要の無敗三冠馬&無敵のリーディングサイアー。アユサンは3年目の産駒である。
母はアメリカ産の輸入繁殖牝馬。自身の戦績は3戦1勝。
母父ストームキャットは90年代から00年代にかけて世界を席巻した世界的大種牡馬。
父ディープインパクト×母父ストームキャットはニックスとして日本で大成功を収め、彼女の他にも同期のキズナとラキシスに加え、エイシンヒカリ、サトノアラジン、リアルスティール、ラヴズオンリーユー、ダノンキングリーと錚々たる面々が並ぶ。
2010年2月21日、日高町の下河辺牧場(主な生産馬にスティルインラブやダイワエルシエーロ、キセキなど)で誕生。オーナーはアサマノイタズラなどを所有する星野壽市。
馬名意味は「人名より+呼称」と登録されている。
鮎はターフを回遊する
デビュー~チューリップ賞
美浦・手塚貴久厩舎に入厩。デビューは2012年10月6日、東京・芝1400mの新馬戦。蛯名正義を鞍上に、単勝2.8倍の1番人気に支持されると、後方から抜群の手応えで上がり3F最速33秒6の末脚を繰り出し、あっさりと差し切って快勝デビューを飾る。
続いてはこの年から重賞として新設されたアルテミスS(格付けなし)。ここから鞍上は丸山元気となり、8.9倍の4番人気。スタートで挟まれ最後方からのレースとなってしまったが、直線で猛然と追い込み一気に抜け出す。しかし内から抜け出した1番人気コレクターアイテムを最後まで差し切れず半馬身差の2着。
敗れたとはいえ好内容で収得賞金も得たので、2歳女王決定戦・阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)に挑戦。アルテミスSでの末脚が評価され7.4倍の4番人気に支持されたが、後方からになり特に見せ場のないまま7着。ちなみに星野オーナーはこれが所有馬GI初出走だった。また、このとき彼女の1馬身半後ろで8着だったのが後のナミュール・ラヴェル姉妹の母サンブルエミューズ(2番人気)だったりする。
明けて3歳は桜花賞を目指し、関東馬なので府中のクイーンカップ(GIII)に向かう予定だったが、寝違えで調整が遅れ、関西遠征してトライアルのチューリップ賞(GIII)へ向かうことに。13.6倍の5番人気という微妙な評価だったが、過去2走と違ってスタートを決めて3~4番手での先行策を採る。逃げ馬と2番手がそのままワンツーを決める前残りの展開の中、アユサンは後続に呑まれかけたもののなんとかクビ差残して3着。桜花賞の優先出走権を確保した。
2013年桜花賞・デムーロ兄弟対決!
そんなわけで迎えた桜花賞(GI)だったが、彼女の鞍上に丸山騎手の姿はなかった。前日の落馬負傷で無念の乗り替わりとなってしまったのである。急遽の代役となったのは20歳のクリスチャン・デムーロ。この年の桜花賞は前哨戦・トライアルで有力馬が敗れたこともあり本命不在の混戦ムードだったが、その中でもアユサンは18.0倍の7番人気という微妙な評価であった。
レースは全日本2歳優駿勝ち馬で前走フィリーズレビューを大敗したのに出てきた16番人気サマリーズがハナを切り、チューリップ賞を逃げ切った1番人気クロフネサプライズがそれを追い、そのすぐ後ろでごちゃっとまとまった展開。アユサンはその集団の中に構える。サマリーズは4コーナーで早くも沈みクロフネサプライズが先頭に出る。直線を向いたときにはアユサンの前には2番手集団の壁が出来ていたが、すぐに外に進路が開くとC・デムーロはすぐさま鞭を入れ、それに応えてアユサンは加速。残り200m前で先頭に躍り出る。
しかしそこに後方から猛然と追い込んできたのが2番人気レッドオーヴァル、鞍上はクリスチャンの兄ミルコ・デムーロ! 残り200mを過ぎたところでレッドオーヴァルに捕まり、残り100mでかわされた。これは完全にレッドオーヴァルが差し切り勝ちの流れ――に見えた。
だが、そこからアユサンは驚異の粘り腰を発揮する。兄と弟の熾烈な叩き合いとなった最後の100m、逆にぐっと力強く伸びて差し返したのはアユサンだった。
アユサン、アユサン、さらに外からはレッドオーヴァルの追い込みだ!
さあ今度は間を突いた、アユサンが伸びてきた! アユサンが伸びてきた!
外からは、レッドオーヴァル! レッドオーヴァル!
アユサンを、レッドオーヴァルがかわすか!
アユサン! レッドオーヴァル! アユサン! レッドオーヴァル!
アユサンか! アユサンか!? アユサンだゴールイン!
レッドオーヴァル2着! デムーロブラザーズのワンツー!
制したのはアユサン! アユサンです!
イタリアでは2011年に早くもリーディングジョッキーを獲得していたC・デムーロだが、GIは海外も含めてこれが嬉しい初制覇。ゴールの瞬間には派手なガッツポーズのあとアユサンの首元を撫で、隣の兄ミルコとタッチして喜びを分かち合った。兄弟騎手でのGIワンツーはJRA史上初。直前での騎手変更からの桜花賞制覇も史上初だったらしい。星野オーナーも嬉しいGI初制覇となった。
ちなみに以後も兄弟騎手でのGIワンツーを達成したのは、デムーロ兄弟の他には同年の秋華賞での武豊・武幸四郎兄弟(1着メイショウマンボ・武幸四郎、2着スマートレイアー・武豊)のみ。そしてデムーロ兄弟はこの9年後、2022年エリザベス女王杯にて1着ジェラルディーナ(クリスチャン)、2着(同着)ライラック(ミルコ)で9年ぶり2度目のGI兄弟ワンツーを達成している。
その後
さて、C・デムーロの歓喜の陰で悔しいのは負傷乗り替わりでGIを獲られた丸山騎手である。続く優駿牝馬(GI)では丸山騎手に手綱が戻り(ちなみにクリスチャン・デムーロはレッドオーヴァルに騎乗)、6.5倍の3番人気。丸山騎手はかなり意気込んで臨んだが……中団から馬群を割って追い込んだものの、先に抜け出したメイショウマンボに突き放されての4着。「勝たしてあげたかったし、勝てなかったのは悔しい」と肩を落とした。
さらに秋はローズSから秋華賞のローテを予定していたが、左前下肢部炎症を発症。秋は全休となってしまう。
明けて4歳、中山記念(GII)で復帰。スタートで先行するが向こう正面でもう馬群に呑まれあえなく最下位15着。続くダービー卿チャレンジトロフィー(GIII)も見せ場なく11着に沈み、その後左前下肢部炎症が再発。復帰を目指したものの、結局同年末に現役引退となった。
通算8戦2勝、獲得賞金1億5874万円。
引退後は故郷の下河辺牧場で繁殖入り。2022年、第5仔ドルチェモア(父ルーラーシップ)が朝日杯FSを勝ち、母仔2代での阪神マイルGI制覇を果たした。競走生活は短かったが、母としての活躍はこれからである。
血統表
| ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| *ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
| Lady Rebecca | |||
| Burghclere | Busted | ||
| Highclere | |||
| *バイザキャット 1995 栗毛 FNo.9-f |
Storm Cat 1983 黒鹿毛 |
Storm Bird | Northern Dancer |
| South Ocean | |||
| Terlingua | Secretariat | ||
| Crimson Saint | |||
| Buy the Firm 1986 鹿毛 |
Affirmed | Exclusive Native | |
| Won't Tell You | |||
| By the Hand | Intentionally | ||
| De Hostess |
クロス:Northern Dancer 5×4(9.38%)
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