アラハバキとは、主に東北地方において伝えられている古い神格である。
概要
古代日本において、どのような神々が崇拝されていたか? について、残念ながら明確な記述は存在しない。しかし当時の遺跡からは様々な祭祀跡が発見されており、宗教の萌芽と呼ぶべきものは既に有っただろうと思われている。
その後、現在の関西地方に興った大和朝廷の手により、「国家」としての日本の統一は成し遂げられた。しかしその過程で、古代から尊崇され続けてきたはずの大勢の神々もまた、征服されたたくさんの部族と運命を共にしただろうとみられている。
その際、一部は「国津神」として改めて「日本神話」のパンテオンに組み入れられたが、中には軍事的には征服されながら自らの信仰を捨てなかった人々により護られ、「日本神話」の体系の外で尊崇され続けた神も有ったと考えられる。
この「アラハバキ神」は、そうした神のうちの一柱ではないかと一般に受け止められている。しかし、文章による記録を全く残さなかった人々によって信仰され続けた神でもあり、そのため本当の出自については全く分っていない他、その詳しい性格や、能力、信仰形態などについて、不明な点も多い。
分っているのはただ、多賀の柵が造営された時には既に祭られていた、古い神と言うことだけである。
かつて多賀の柵が置かれた東北地方は、朝廷の権威が容易には通じなかったことから「化外の地」とされ、そこに住む人々は事あるごとに都人から蔑視をされて日々を過ごした。しかし化外の人々には、化外の人々なりの意地と、誇りと、何より日々の平穏を望む心が当然あっただろうと考えられる。
時には敵に向かって荒ぶり、時には心を穏やかに見守ることも有るとされるこの神は、或いは、そうした遠い時代に生きた人々の生と死を受け止めてくれた、かけがえのない存在なのかもしれない。
注意点
アラハバキ神は、古くから実際に信仰されているにも拘らず、その詳細については詳しく分っていないと言う特徴を持っている。そのため、偽書「東日流外三郡誌」を始め、オカルト本などにおいては、勝手に創作した独自の解釈を加味された形で紹介されてしまう事も多い。
繰返しになるが、この神については不明な点も多く、確実に分っているのは次のことくらいである。祭る場所によって多少の違いは有ることも考慮しなければならないが、あまりはっきりと何らかの特徴を打ち出して紹介する話などがあれば、それは本来の姿から大きくかけ離れたものである可能性が高い。
- 他の地方でも尊崇されているが、最も厚く信仰されているのは東北地方である。
- 長髄彦と混同される事もあるが、もともとは「記紀神話」と別系統の神だったらしい。
- 神格としてはあくまで神であり、妖怪などの類ではない。
- 約1300年前(8世紀)には既に祭られていた。
- 神名は音のみであり、漢字はすべて当て字である。また「アラバキ」と短く呼ばれることもある。
ただしこれらについても「アラハバキとは、もともと部族の名前だったのでは」などの異説もあるほどで、その実態については、いまだ未知の領域と言うよりほかにない状況となっている。
とは言え、この神もまた、太古から私たち自身の祖先によって敬われてきた存在であることに間違い無く、その事に想いを馳せ、軽々しく扱うようなことはせず、現代の人も、かつての人の心に対し恥ずかしくないだけの態度をもってこの神に和することを心がけるべきだろう。
その他のアラハバキ
私たち自身のすぐそばに存在しているにも拘らず、詳細不明の未知の神。そのシチュエーションが浪漫を誘うのか、時折フィクション作品などにおいてその名の引用されているのが見られる。
ゲーム「鋼鉄の咆哮」
ゲーム「鋼鉄の咆哮」に、超兵器と言うべき艦艇として登場している。
詳しくは荒覇吐(鋼鉄の咆哮)を参照。
肩書は「超巨大ドリル戦艦」その名の通り、最大の特徴は艦首に装備された巨大なドリル。
冗談ではなく、本当にドリルである。さらに舷側には回転するソー(ノコギリ)も装備。
そいつでもって体当たりで戦いを挑んでくるという、現代戦闘では考えられない冗談みたいな軍艦。
しかしその破壊力は決して侮れない。モノに寄っては触れた瞬間沈む。
その他の武装は、接近戦で威力を発揮する武装を搭載している事が多い。
誰が言ったか不明だが、ハリマが大艦巨砲主義の塊ならアラハバキはロマンの塊、だとか。
その武装の関係上、弱点は遠距離と後方からの攻撃である。
ただ、後方に回り込もうと近づけば当然アラハバキは艦首をこちらに向けようとする為、
海上で軍艦がドッグファイトするという珍風景を見られる。
なお、初代の「鋼鉄の咆哮」では普通の50センチ砲を搭載した「巨大戦艦」だった。
「緑神、覚醒す」とも評されたアラハバキ。覚えている方はいらっしゃるだろうか?
漫画「アラハバキ」
六道神士の漫画作品。ウルトラジャンプ誌に2000年から2002年まで連載された。
荒吐ロックフェスティバル
宮城県仙台市の郊外を会場に、毎年開かれる野外のロックイベント。非常に多彩な出演者を擁し、東北地方を代表する音楽イベントとして定着している。
龍が如く OF THE END
セガが発売しているPS3用ゲームソフト「龍が如くオブジエンド」では実験体アラハバキというボスキャラクターが登場する。ヤモリのようなスタイルをしており、天井を這うことが可能。ストーリーが進むと、光学迷彩能力を持った「アラハバキ改」などが登場する。
ゆらぎ荘の幽奈さん
→「荒覇吐呑子」の記事を参照
関連動画
左:宮城県大崎市にあるアラハバキ神社の様子。 / 右:ゲーム「鋼鉄の咆哮」に登場する戦艦。
関連項目
- 神 / 宗教 / 神話上の関連用語一覧
- 東北地方 / 東北人ホイホイ
- 鋼鉄の咆哮 / 超兵器(鋼鉄の咆哮) / コーエー / ゲーム
- ロック / 音楽関連用語の一覧 / ARABAKI ROCK FEST
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