アリジゴク(蟻地獄)とは、その名の通りアリンコの如き卑しい愚民どもを至福の地獄へと引きずり込む、肉食系小悪魔アイドルの単独ユニットである。
概要
体長1~2センチ、スレンダーな胸とぷっくりとした腰回りの危ういアンバランスが魅惑のミニマムキュートなボディ。意外と円らな瞳の勝気な顔の上では2本のツインテール大アゴが揺れ、産毛の浮いた柔らかそうな肌は黄金色に輝いていて、見る者を惹き付けずにはいられない。しかし一旦その魅力に囚われたが最後、キミは全てを喪うことになる――。
その正体はウスバカゲロウ科の昆虫(Myrmeleontidae)の幼虫(の一部。後述)で、代表種のウスバカゲロウ(Hagenomyia micans MacLachlan)が有名である。憐れな愚民どもを「薄ら馬鹿下郎」とか罵ってそうだが(我々の業界ではご褒美です)、漢字では薄翅蜉蝣(ウスバ/カゲロウ)と書く(ちなみにかのどくとるマンボウも「薄馬鹿下郎」と書いた)。極楽トンボ等の地域的異称もある。また、アリジゴクは後ろにしか歩けない(例外的に前に歩ける種もいるらしい)。
軒下などの屋根のある適度に湿気を含んだサラサラの平坦な土砂地(シルト)にすり鉢状の窪みを堀り、その一番底に巣を作って待ち構えている。窪みは崩れやすいように精選された細かい砂が使われており、またかなりの急勾配(約60~80%)でありながらギリギリ崩壊しないバランスが保たれているため、一度そこに虫(アリ、ダンゴムシ、小型のクモや甲虫類など)が迷い込んだが最後、もがけばもがくほど砂が崩れて下に滑っていくという寸法である。さらにアリジゴク本体も巣の外へと砂を掻き出した巣作りの時に負けない勢いで獲物目掛けて砂を飛ばして追い討ちをかけていく。こうして穴の底に堕ちた犠牲者はフグ毒より100倍以上も強力な細菌毒を含んだ消化液を注入され、たちまち動きを奪われると同時に肉体の内部を溶かされて大アゴの先端から吸い取られてしまう。そうしてすっかり骨抜きもとい肉抜きとなった抜け殻は、無情にも用済みとばかりに巣の外へと放り出される。
そんな金蔓を次々と手玉に取るドSな悪女のような生き様を経て、秋ごろに羽化した後、約半月で卵を産んで生を終える。
芸能人虫の寿命は儚いとはいえ、普通のカゲロウがなんと羽化後2~3時間で死ぬのに比べて、半月ももつのはカゲロウ族のなかでも長命である。それもそのはず、カゲロウと名前に付いてはいるが本家カゲロウの仲間である蜉蝣目(カゲロウ目、Ephemeroptera)ではなく脈翅目(アミメカゲロウ目、Neuroptera)に含まれる、カゲロウのようでカゲロウではない虫なのである(翅の無い成虫のような姿で川底を這いまわり藻類を食べるという、早熟ボディの草食系病弱地味キャラであるカゲロウと違って、ウスバカゲロウは成虫になり大アゴが口吻に替わっても肉食系のポリシーは曲げない完全変態である)。また、同じウスバカゲロウ科でもオオウスバカゲロウ属やカスリウスバカゲロウ属のように、幼虫の形態はアリジゴクそのものだが巣を作らずに能動的にターゲットをキャッチするストリート系の非営巣型も数多く存在する。
トリビア
より正確には "アイドルを卒業羽化するまでしない" というのが一般にも良く知られた定説だった。
しかし実際には1998年に「アイドルアリジゴクはうんこはしないけど、おもらしはする」ことが論文で発表されており、更に2010年に千葉県の小学4年生により「アリジゴクがおしりから謎の黄色い液体を出した」ことが確かめられた(これでこの小学生は日本昆虫学会から表彰されている)。
パンダPによる紹介
アリジゴクってよ、すげえんだな、頭良いんだよな。
土に穴掘ってよ、すり鉢状のなんか作るんだよ。
んでよ、そん中によありが迷い込んできてよ、それを下から狙って食うんだよ。
頭いいだろ。その罠作ったんだよ。どれぐらいアリ捕まるか知ってる?
どれぐらいアリジゴクにアリ捕まるか。月に1匹程度だってwwwwwwwwwwwwwww
作戦変えろーっ!作戦変えろーっ!アリジゴク、作戦変えろーっ!!
飢えちゃうよwwwwwwww作戦変えろーっ!今すぐ作戦変えろーっ!!!気づかれてんだよアリに。アリの方が頭良いんだよwwwwww
「ここ、アリジゴクだね。ヤバイね」ってwwwwwwwwwwwwwwこれ、みんなで書けばいいんだよ(コントを)
すり鉢状にして書けばいいんだよ。
なーにがすり鉢だ、やかましいわwwwwwwwwww
コント番組『リチャードホール』のパンダプロデューサーのコントより。
ちなみにパンダPシリーズでも一際被害が大きかったエピソードで、これを聞いたくりぃむ上田のツボに入ってしまい、「腹が痛い……」と悶絶するまで爆笑させることになった。
なお、アリジゴクにとって1ヶ月程度の絶食はままあることであり、満腹状態からであれば3ヶ月程度は絶食を貫くことができる。誰にも見られずともダイエット等の自己研鑽は欠かさない、まさにアイドルの鑑である(ちなみに絶食すると成長も止まって成熟が遅れる。これは成長期の人間にもあてはまることである)。
創作の中のアリジゴク
民家の軒下などで見かけることもある割りに地獄という名前、トラップ作成能力などを買われ、特撮の怪人や怪獣、モンスターや小説のモチーフとして抜擢されることがある。
- アントキラー(天体戦士サンレッド) - アリジゴクの怪人。兄はミイラの怪人カーメンマン。砂地ではそのトラップ作成能力により高い戦闘力を誇る。普段は先輩には礼儀正しいが後輩には厳しい。
- アントラー(ウルトラマン) - 砂漠に潜み、空を飛ぶ飛行機を磁力で墜落させ食べる怪獣。ウルトラマン本編以前に『ノアの神』により倒されるが現代に復活する。
- アントリオン(ファイナルファンタジー) - Ⅳで初登場。その後の作品にも登場するモンスター。名前の由来はアリジゴクの英名アントリオンから。
- ナックラー(ポケットモンスター) - 第3世代で登場したアリジゴクポケモン。特性「ありじごく」により地面にいる相手を逃げられなくする。進化後のウスバカゲロウポケモン・ビブラーバと能力が大きく異なる。
- 砂の女 - 安部公房の長編小説。怪獣の別名のようにも見えるが、深い意味はない。ただし内容はアリでジゴク。
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関連項目
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