アルカナフォースXXI-THE WORLDとは、アニメ「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」に登場するカードである。
※記事名はOCGにおけるもので、アニメでの正確なカード名は「アルカナフォースXXI_THE WORLD」。
概要
効果モンスター
星8/光属性/天使族/ATK 3100/DEF 3100
召喚時にコイントスを1回行う。
表の場合正位置の効果を、裏の場合逆位置の効果をこのカードは得る。
●正位置:自分のターンのエンドフェイズに、
自分フィールド上に存在するモンスター2体を墓地に送る事で、
相手ターンを1ターンスキップする事ができる。
●逆位置:相手のドローフェイズ時に相手プレイヤーは
相手の墓地の1番上のカード1枚を手札に加える事ができる。
VSエド・フェニックスで登場。
「アルカナフォースVII-THE CHARIOT」とムーントークンを生け贄にして召喚され、正位置の効果を得た。このカードの直接攻撃は「D-フォーチュン」によって防がれたが、エンドフェイズに正位置の効果で「アルカナフォースIV-THE EMPEROR」と「アルカナフォースXVIII-THE MOON」を墓地へ送ってエドのターンをスキップ。再び斎王のターンを行い、直接攻撃を決めた。
その後、エドの「D-HERO デビルガイ」の効果で一時的に除外され、戻った直後に「D-HERO Bloo-D」に吸収された。
ラストナンバーと言われた割にはあっけない終わり方だったが、すでに斎王の手札では23番目のアルカナフォースが胎動していた……。
直後のVS十代でも登場。
2体分の生け贄となった「アルカナフォースVI-THE LOVERS」を生け贄に召喚され、圧倒的な攻撃力で「E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン」、「N・エア・ハミングバード」、「E・HERO クレイマン」、「E・HERO スパークマン」を次々と戦闘破壊したが、スパークマンの戦闘破壊をトリガーに「ヒーロー逆襲」を発動され、その効果でこのカードは破壊された。
「光の結界」によって正位置の効果を得ていたが、スキップ効果は最後まで使用されていない。
その後、十代との再戦時にもデッキに投入されていたようで、「愚者の種蒔き」の効果で墓地へ送られている。
斎王の運命力がなせる業か、逆位置の効果は一度も適用されていない。
アニメとOCGではカードイラストが違う。アニメ版のイラストはアニメ風の色の塗り方になっているほか、正面から見た構図になっているが、OCGでは斜め下から見上げるような構図になっている。
「光の結界」、「ザ・ヘブンズ・ロード」のイラストに描かれている。
カードのモチーフはタロットの大アルカナ21番目のカード。
正位置は「完成、成就」を意味し、逆位置は「未完成、調和の崩壊」を意味する。
魔導において対応するカードは「魔導天士 トールモンド」。
また、タロットの「世界」はセフィロトの樹におけるイェゾドやマルクトとも結びつけられる。それぞれの守護天使はガブリエルとサンダルフォンであり、対応する時械神は「時械神ガブリオン」と「時械神サンダイオン」。
タッグフォース2版
OCG化以前に発売されたゲーム「タッグフォース2」ではオリジナルカードとして登場している。
効果モンスター
星8/光属性/天使族/ATK 3100/DEF 3100
このカードの召喚に成功した時、コイントスを1回行い以下の効果を得る。
●表:自分のエンドフェイズ時、
自分フィールド上のモンスターを全て墓地に送る事で、
次の相手ターンをスキップする。
●裏:相手のスタンバイフェイズ時、
相手は相手の墓地の一番上にあるカード1枚を手札に加える。
正位置(表)の効果は、コストが自分の全モンスターとなり、次のターンにモンスターを持ち越すことによる攻撃や連続スキップが難しくなっているが、このカードだけをコストにしてスキップすることも可能になっている。逆位置(裏)の効果は、強制効果になっている。
OCG登場以後に発売されたTF3からは、OCG仕様に修正された。
OCG版
「LIGHT OF DESTRUCTION」(2008年2月23日発売)でOCGに登場。
効果モンスター
星8/光属性/天使族/ATK 3100/DEF 3100
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、
コイントスを1回行い、その裏表によって以下の効果を得る。
●表:自分のエンドフェイズ時に
自分フィールド上のモンスター2体を墓地へ送って発動できる。
次の相手ターンをスキップする。
●裏:相手のドローフェイズ毎に、
相手の墓地の一番上のカードを相手の手札に加える。
ゲームオリジナルカードと異なり、反転召喚・特殊召喚でも効果が発動するようになっている。また、表の効果は、アニメと同じコストになっている。
最上級モンスターではあるが、召喚条件などはないので、「神の居城-ヴァルハラ」などで展開可能。召喚制限のない天使族モンスターの中では最大の攻守を持つ。
表の効果はモンスター2体と引き換えにしたターンスキップ。
丸ごとターンをスキップできれば、ドロー、通常召喚、バトルフェイズなどをもう一度行えることになり、大きなリターンを得られる。このカード自体の攻撃力も高いので、2回攻めれば相手のライフを大きく削れるだろう。しかし、モンスター2体のコストは大きいので、カードを消耗しきった状況で無理に使っても大きな成果は得られない可能性がある。
裏の効果はドローフェイズごとに相手の墓地の一番上を手札に加えさせる効果。
相手に2枚ドローさせる状態に近く、自由に選ばせないとはいえ、ある程度意識的に操作できる場所なので、強力なカードを一番上にしておいて回収される恐れがある。「光の結界」や「逆転する運命」などで裏の効果を発動させないようにしたい。
攻撃力も高くはあるが、裏のデメリットのリスクを考えれば、やはり表の効果を目当てに利用することになる。
「レベル・スティーラー(現在(2016年以降)禁止カード」、「黄泉ガエル」、「サクリファイス・ロータス」など、複数ターンにわたって展開しやすいモンスターを採用したいが、「黄泉ガエル」などは「光の結界」と相性が悪い。
墓地に送ることが条件であるため「ゾンビキャリア」とも少々相性が悪いが、クラウンブレードというギミックで知られる「Emトリック・クラウン」・「H・C サウザンド・ブレード」を採用するという手もある。
「創造の代行者 ヴィーナス」は「神聖なる球体」を3体展開できるため、このカードのコストを2回分確保できることになる。先攻1ターン目に「創造の代行者 ヴィーナス」とこのカード、このカードを展開するための「神の居城-ヴァルハラ」、更にこのカードの効果を確実に成功させるための「光の結界」が揃えば、相手の手札から妨害されない限り勝利できる。
はまれば強力なカードだが、最上級モンスター故の展開の難しさ、コイントスを成功させないと効果が使えない(確実に使うにはさらなる準備が必要)こと、そもそもコスト確保が難しいことなどから、ロマン要素の強い1枚。
後述の【ワールドトランス】のようなデッキが考案されたりはしているが、コンボパーツが禁止・制限指定を受けたりエラッタされたりして構築困難なことから、現状大した問題にはなっていない。
遊戯王OCG初の、相手ターンを完全にスキップする効果を持つカード(「八汰烏」が限定的な状況で事実上のターンスキップとして機能することはあった)。自分ターンをスキップする効果であれば、このカード以前から「ギャンブル」があったほか、現在は同じくターンスキップ効果を持つカードとして「星守の騎士 プトレマイオス(2015年10月より禁止カード化)」が存在する。
【ワールドトランス】デッキについて
表の効果で相手ターンを完全にスキップできるため、毎ターンコストを確保できる状態にし、さらに自分のドローを封じればデュエルを延々と続けることが可能。公式大会のマッチ戦(3回勝負)で、1回目でこれを行い、制限時間を超過したところで相手を倒せば、1勝0敗でそのまま自分が勝利できる。これに目をつけた【ワールドトランス】[1]なるデッキが存在する。
このカード以外に必要なパーツは以下の通り(効果説明はコンボに関係する部分のみ記載)。
- 次元融合:2000ライフと引き換えに除外モンスターを特殊召喚
- 魔力倹約術:魔法のライフコストを払わずに発動する
- 神剣-フェニックスブレード:墓地の戦士族モンスター2体を除外して墓地から手札に加える
- 光帝クライス×2:特殊召喚成功時に2枚まで場のカードを破壊し、そのコントローラーは破壊されたカード分だけドローできる。戦士族
- 混沌の黒魔術師(エラッタ前):特殊召喚成功時に墓地の魔法1枚回収。場を離れる場合除外される
- マジックブラスト:通常のドローの代わりに手札に加える(デッキ切れ防止)
手順は以下の通り。
- 準備
手札に「次元融合」
フィールドに表の効果を得たこのカードと「魔力倹約術」
墓地に「光帝クライス」2体と「神剣-フェニックスブレード」
除外カードに「混沌の黒魔術師」
をそれぞれ用意する。 - 「マジックブラスト」が墓地にある場合は、墓地から手札に加える。ない場合は、引けるまで通常のドロー。
- 墓地の「光帝クライス」2体を除外して「神剣-フェニックスブレード」を手札に加える。
- 「神剣-フェニックスブレード」(と、手札にあるならば「マジックブラスト」)をセットする。
- 「次元融合」を発動し、除外された「光帝クライス」2体と「混沌の黒魔術師」を特殊召喚。
- 「混沌の黒魔術師」の効果で「次元融合」を手札に加える。
- 「光帝クライス」の効果で「混沌の黒魔術師」とセットされた「神剣-フェニックスブレード」、「マジックブラスト」を破壊する。相手フィールド上にカードがある場合はそれも破壊する。
デッキ切れになるので、自分は「光帝クライス」のドロー効果を使用しないこと。 - エンドフェイズ、フィールドに残った「光帝クライス」2体を墓地へ送ってこのカードの効果を発動。
- 相手ターンをスキップ。
- 2に戻る。
これを制限時間が来るまで延々と繰り返す。制限時間を超過するとエキストラターンに突入するので、そこで身動きが取れない相手を「光帝クライス」やこのカードで倒すことで、そのまま勝利が確定する。
また、上記のパーツのうち、「次元融合」、「混沌の黒魔術師」、「魔力倹約術」、「神剣-フェニックスブレード」、「光帝クライス」2体がそろえば無限ドローが可能となる。上記のループコンボの7で、「光帝クライス」2体と「混沌の黒魔術師」、「神剣-フェニックスブレード」の4枚を破壊し、4枚ドローできる。
このデッキは、元をたどれば【アーチャーブレード】や【ドグマブレード】、更に元をたどれば【エアブレード】と言うデッキから派生したものであり、そこで行われていた「混沌の黒魔術師」と「次元融合」のコンボを利用して生まれたのが【ワールドトランス】である。
このデッキの弱点は、マッチ1戦目を落としてしまうとコンセプトが崩壊すること。すでに相手に1勝されている状況では、ターンスキップしても意味がない(完全にループにはめてしまえば、そのまま攻めて勝つことは可能だが)。そのため、2戦目以降は【エアブレード】などの別の派生形に組み替えるとよい。
派生元の【ドグマブレード】自体が、相手に何もさせず勝利を目指すという性質から非常に凶悪なデッキであった。2008年9月1日の改訂で、上記のキーパーツである「混沌の黒魔術師」、「次元融合」が禁止指定を受け、さらにドローやサーチなどで利用していた「D-HERO ディスクガイ」、「早すぎた埋葬」も禁止指定、「名推理」、「モンスターゲート」が制限指定となり、デッキはほぼ壊滅状態となった。
ただし、それぞれのカードの規制強化には、【ドグマブレード】や【ワールドトランス】以外の要因も存在している。
ノーリミットデュエルなどで使う場合も、「混沌の黒魔術師」がエラッタされた影響で、現役時代と同じようにループさせることはできなくなっている。
ターンスキップをするこのカード自体は無傷なので、別の方法でループさせられれば、一応エキストラターンを利用したマッチ勝利と言うコンセプトのデッキを組むことは可能。
比較的狙いやすいところでは、墓地に「サクリファイス・ロータス」2体を送るだけでも成立させられるが、この場合、「サクリファイス・ロータス」の効果の発動条件から、「光の結界」との併用が難しくなるため、コイントスを自力で当てる必要がある。
デッキとしての弱点とは別に、このような戦術をとること自体の是非は当然ある。
上記のコンボが上手く決まった場合、相手は1ターンも回ってこないまま40分ただ座っていなければならない。サレンダーするにしても、認めてしまえばデュエルの敗北となり、マッチ勝利ができないため、【ワールドトランス】を使用する側としては断るしかない(遊戯王OCGにサレンダーのルールはないため、お互いの合意がない限りサレンダーできない)。どうしてもというならば大会そのものを棄権する(マッチのサレンダー)しかなくなる。
かつて効果としてのマッチキルを行った「ヴィクトリー・ドラゴン」のときも、わざと反則行為を行ってデュエルを失格になる(そのデュエルで負けるだけなので、3回勝負の1回を落とすだけで済む)プレイヤーが現れるなどの問題が起きた。【ワールドトランス】の場合も似たような問題が起こりかねない。というより、実際に起きていたらしい。
また、公式側も極端な遅延戦術は問題視しており、あまりにひどい場合は罰則が科せられる恐れもある。
注意としては、勝ってなんぼの大会でやるならばともかく、楽しむためのフリーデュエルで使うデッキではないということか。もっとも、(各自で設けない限り)制限時間の概念がないフリーデュエルでは、ロックが完成したら後は相手を倒して終わるしかないので、極端な遅延によるマッチキルにはならないのだが、何もできないことに変わりはない。
ただし、このカードが問題視されるのはループコンボによる極端な遅延戦術であり、【アルカナフォース】デッキなどで普通に採用してターンスキップ効果を使う分には特に文句はないだろう。
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関連項目
脚注
- *デッキ名のワールドは言うまでもなくこのカードのこと。トランスは、かつて考案されたTOD(タイム・オーバー・デス:時間切れによる勝利を狙う)戦術を利用したデッキの名前に由来。大元の【トランス】の由来は、デッキ切れを防ぐために使われていた「現世と冥界の逆転」(エラッタ前)から輪廻転生をイメージして、輪廻転生を意味するtransmigrationを縮めたもの……らしいが、延々と対戦と続けるのでプレイヤーがトランス状態になるからと言われたりもする
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