アルテミス単語

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アルテミス

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アルテミスとは、以下の項目を表す。

曖昧さ回避

アルテミス - ギリシア神話に登場する女神。狩猟･貞潔を司る。のちにセレーネーと同一神となり、月の女神として祀られている。本項で記述。
アルテミス(美少女戦士セーラームーン) - 漫画及びアニメ「美少女戦士セーラームーン」に登場する白猫。愛野美奈子/セーラーヴィーナスのパートナー。
アルテミス(機動戦士ガンダムSEED) - アニメ「機動戦士ガンダムSEED」に登場する宇宙要塞。地球連合軍加盟国のユーラシア連邦が所有する。
アルテミス(ラクエンロジック) - アニメ「ラクエンロジック」に登場する女神。CV:折笠富美子
アルテミス(ゲームウォーズ/レディ・プレイヤー1） - 小説「ゲームウォーズ」・映画「レディ・プレイヤー1」に登場する女性ゲームプレイヤー。
アルテミス(Fate) - Fate/Grand Orderに登場する神霊。オリオン(Fate)に同行している。
アルテミス(小惑星) - アメリカの天文学者J･C･ワトソンが1868年に発見した小惑星。同名の月の女神から名付けられた。
アルテミス(人工衛星) - 欧州宇宙機関が開発し、2001年 7月12日に打ち上げられた人工衛星。衛星間の光通信など高度な通信技術の実証を目的として運用されている。
アルテミス(発車メロディ) - 福崎尚哉による発車メロディ作品。東京メトロ日比谷線恵比寿駅1番線で使用されている。
創界神アルテミス - トレーディングカードゲーム「バトルスピリッツ」シリーズに登場する創界神ネクサスのカード。主に白の機獣デッキのキーカードとして使用される。
アルテミス・リーガン - グラップラー刃牙に登場する「デカァァァァァいッ説明不要!! 」でおなじみアンドレアス・リーガンのアニメでの名前。
アルテミスの弓 - ゲームのアイテムの１つ。「ファイナルファンタジー」シリーズなどで有名。
アルテミスの首飾り - 「銀河英雄伝説」に出てくる自動迎撃システム
アルテミス計画 - NASAが2021年から2024年にかけて実行を計画している有人月飛行計画。

概要

アルテミス（Ἄρ τ ε μ ι ς、Art emis）とは、ギリシア神話の狩猟・貞潔・安産を司る女神である。

後にセレネーと同一視され、月の女神としても知られる。ローマ神話ではディアナ（ダイアナ）として信仰された。

オリュンポス十二神の一柱。ゼウスと女神レートーの娘で、アポロンとは双子の兄妹である。
シンボルとしての聖獣は熊、鹿、猟犬。聖樹は糸杉。狩猟の装いをして猟犬を従え、金の弓矢を持つ姿で描かれる。鹿に牽かせた戦車に乗る姿も。
不敬を許さず、神罰として疫病をもたらす矢を放つ恐るべき神としての側面も持つ。添え名は「アポロウーサ」（女破壊者）「イーオケアイラ」（矢を射かける者）など。

元をただせばギリシアの先住民族が信奉していた山野の女神にして地母神であり、アポロンともども習合されたとみる向きが強い。

『ホメーロス風讃歌』によると、レートーが兄妹を身ごもり臨月となった際、夫の浮気相手に嫉妬するヘラの根回しによって出産を司る女神エイレイテュイアの到着が遅れ、大変な難産に苦しんだ。
なんとかオルテュギアー島に辿り着いた時にアルテミスは生まれるが、彼女は生まれてすぐに母を導き、デーロス島にてアポロンの出産を手伝った。この時レートーは苦痛なくアポロンを産んだ事から、産褥における女性の守護神とされる。
アルテミスは父ゼウスに謁見すると、狩猟用のチュニックや長靴をねだり、自ら純潔を貫く誓いを立てた。この誓いは彼女に付き従うニュンペーにも適用され、禁忌を破った者には神罰が下される。

『イーリアス』にて神々の闘争が許可された際には、トロイアに味方した勢いでアカイアを推すヘラに戦いを挑む。が、腕っぷしの強いヘラは弓を取り上げてアルテミスを打ち据え、フルボッコにされたショックから泣きながらゼウスに訴えるなど、思いがけない一面も描かれている。

エフェソス（現在のトルコ西部）のアルテミス神殿はその壮麗さから「世界の七不思議」に数えられた。ただし現存はせず、建物跡が確認されるに留まっている。
こちらでは処女神としてではなく、豊穣・多産を司る地母神としての扱いが強い。現存・復刻された偶像は多数の乳房を持ち、その姿は蜂に象徴されている。
一説には供物として捧げられた牛の睾丸を意味しているともされ、キュベレーやイシュタルの逸話を彷彿とさせる、大地母神としての血生臭い側面が見て取れる。

代表的な犠牲者

カリストー

アルテミスに付き従っていたニュンペー。
その美しさをゼウスに見初められ、アルテミスに化けて近づかれた為に警戒をほどき、契りを交わしてしまった。その後妊娠した姿を水浴びの際に見とがめられ、怒ったアルテミスによって雌熊に姿を変えられ、狩りの獲物として殺されてしまった。

別伝ではカリストーは子を産み、アルカスと名づけられる。
母の顔を知らぬまま長じたアルカスは狩人となり、ある時見事な雌熊を見つけて矢をつがえた。しかしそれは変わり果てた母の姿であり、子が母を殺す運命を回避すべく、ゼウスは咄嗟にアルカスを熊に変える。
後に母子は天に挙げられておおぐま座とこぐま座となるが、例のごとく浮気を許さないヘラによって、決して地上に降りる事が出来ずに北天を回り続けているのだという。

アクタイオーン

基本的に落ち度がないのに偶然から破滅した、ギリシア神話きっての不幸な男。
キタイローンの山中で50頭の猟犬を連れて猟をしていたところ、偶然アルテミスが水浴びしている姿を見てしまう。その美しさに見とれていたが即バレしてしまい、激怒した女神は「私の裸を見たと言えるものなら言ってみよ」と言い放つや、その場で彼を鹿に変えた。
そして彼が連れてきた猟犬をけしかけられ、アクタイオーンは八つ裂きにされて死んでしまった。

オリオン

ポセイドンの息子にしてギリシア一番の狩人。
狩猟を通じてアルテミスとの友情を深め、いつしか互いに愛情を抱くようになる。しかし純潔の誓いを立てたアルテミスには許されない事であり、ことに兄アポロンは乱暴者のオリオンの事をよく思っていなかった。
そこで一計を案じてアルテミスを呼び出すと、たまたま海で泳いでいたオリオンを指して「お前の弓の腕前では、あれに当てる事など出来はすまいね」と挑発。はるか遠くに見えるそれが何であるのかわからないまま、挑発に怒った女神は必中の矢を放った。哀れ矢はオリオンの頭を貫き、翌日その遺体が打ち上げられた事でアルテミスは自分が何をしたのかを理解してしまった。
女神は愛する男の死を嘆き、神医アスクレピオスに彼を生き返らせるよう持ち掛ける。しかし生者と死者をわかつ掟は絶対であるとしたハデスの反論もあり、オリオンの復活は認められなかった。それでも諦めきれない愛娘の懇願を聞いたゼウスは、オリオンを天に挙げて星座とすることでせめてもの慰めとした。

ニオベー

人の身でありながら神に傲慢な言葉を吐いた為に罰を受けた女性。
テーバイ王アムピーオーンと結婚した彼女は子宝に恵まれ、10人の息子と10人の娘を得た。いずれも美しく聡明だった事もあり、ニオベーはレートーよりも子の数において恵まれていると自慢してしまう。
これに怒ったレートーはアポロンとアルテミスを呼び出し、母を侮辱されて激怒した二人は金と銀の矢を放って次々と子供を殺した。
ニオベーは自らの言葉が破滅をもたらした事に嘆き悲しみ、涙を流しながら故郷のリューディア地方（現在のトルコ）へと帰還。泣き続けるうちにその姿は石となり（虐殺を悔やんだレートーによるものだとも）、現在でもシピュロス山にて「ニオベーの泣き岩」と名づけられた奇岩を見る事が出来る。

アカイア（ギリシア連合軍）の皆さん

『イーリアス』にて、トロイアのアポロン神官クリューセースが戦利品とされた娘クリューセーイスの返還を求めてアカイアの陣を訪れるが、ミュケナイ王にして総大将アガメムノンによってさんざんに侮辱されて追い返される。
クリューセースは「アカイアに涙の償いをさせたまえ」とアポロンに祈り、アポロンはアルテミスと共に疫病をもたらす矢を打ちかけ、多くの兵士が死に、あるいは病に苦しんだ。

これに先駆けて、アカイアの船団がトロイアに向けて出航する際、風が吹かずに身動きが取れなくなるという事態が起きた。
アガメムノンが予言者カルカースに神託を求めると、出航前の狩猟においてアガメムノンが「私の狩猟の腕前はアルテミスにも勝る」と不敬極まりない言葉を放ったのが理由だという。更に女神の怒りを鎮める為に、アガメムノンの娘イーピゲネイアを生贄に捧げよという託宣が下った。
英雄アキレウスと結婚するという虚偽で呼び出されたイーピゲネイアは自らの運命を悲しみつつ、王女としての誇りを保って生贄の台へと昇る。この時アキレウスと、彼女の母クリュタイムネストラは王女の助命を周囲に呼びかけたが、イーピゲネイアは二人を宥めると、婚礼の衣装をまとったままその命を散らせた。
これに憤ったアキレウスはアガメムノンに遺恨を抱き、クリュタイムネストラに至っては戦争終結後にミュケナイに帰還した夫アガメムノンを殺害している。