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アルブミン(Albumin)とは、アミノ酸のみから成る単純タンパク質の一種である。
概要
タンパク質の中でもアミノ酸600個程(分子量は66,000前後)からなる比較的小さなものを指す。ヒトの血清中に最も多く含まれるタンパク質で、血清タンパク質の6割を占める。その他に身近なところだと卵の白身にも多く含まれる。
肝臓で生産され、血の浸透圧を調整したり物質をくっつけて運んだりする役割を持っている。肝臓が悪くなってタンパク合成が下がったり、腎臓が悪くなってタンパク質を濾し取れなくなったりすると、低蛋白血症になり血が薄くなる。すると血管外(間質)の浸透圧が相対的に濃くなり、それを薄める方向に水分が移動するので、身体がむくんだり(浮腫)、腹がパンパンになったり(腹水)する。ダイエットによる偏食や炎症によるタンパク質分解に続いて起こることもある。
低蛋白血症は基本的に何かの病気によって引き起こされるので、それを治療することで対処する。症状が重い場合は血液製剤のヒト血清アルブミンを点滴することもある。偏食による場合はタンパク質を摂取することで改善することもあるが、腎臓が悪い場合、高タンパク食は腎機能に悪影響を与える恐れがあるので注意。
また、アルブミンには物質が結合する部位(サイト)があり、現在3つのサイトが知られている。血中の薬物は、一定の割合でアルブミンなどのタンパク質と結合する。そして、アルブミンと結合した薬物は、毛細血管壁を透過できず、臓器や組織に移行できない。つまり、アルブミンは薬物と結合することで、血中濃度や臓器への分布などの薬物動態に影響を与える。
- サイト1(ワルファリンサイト)には、抗凝血薬のワルファリンをはじめ、利尿薬のフロセミド、非ステロイド性抗炎症薬のインドメタシン、フェニルブタゾン、抗てんかん薬のフェニトイン、血糖降下薬のトルブタミド、クロルプロパミドなどが結合する。
- サイト2(ジアゼパムサイト)には、鎮静薬のジアゼパムをはじめ、非ステロイド性抗炎症薬のフルルビプロフェン、イブプロフェン、フルフェナム酸、ペニシリン系抗菌薬のクロキサシリン、ジクロキサシリンなどが結合する。
- サイト3(ジギトキシンサイト)には、強心薬のジゴキシン、ジギトキシンなどが結合する。
薬物は何にもくっついていない形(遊離型)のものが作用を示すので、同じサイトに結合する薬を併用すると椅子取りゲーム状態になり、あぶれる薬が増えて薬効が増強されてしまうことがある。とくにタンパク結合率が高いものは、少し結合率が変わっただけで遊離型がドンと増える(結合率95%→90%になると遊離型は5%→10%と2倍になる)ため危険。
血糖とくっついた糖化アルブミン(GA)は過去1~2週間の血糖値を反映するため、血糖コントロール状態を把握する検査値として用いられている。
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関連項目
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