アルミサエル単語

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アルミサエルとは、

1. ユダヤ教的な伝承に伝わるとされる天使の名称。
2. アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する使徒の1体。

である。ここでは双方について記載する。

1.の概要

1939年に出版された、Joshua Trachtenbergによる書籍『Jewish Magic And Superstition: A Study in Folk Religion』（タイトル和訳例：『ユダヤ教の魔術と迷信：民間信仰の一研究』）内にはこうある^[1]。

For example, to ease a confinement, "recite Ps. 20 nine times and each time concentrate on this name. . . . If this doesn't help repeat it another nine times. The lying-in woman must be able to hear the recital of these verses. If this still doesn't help her, say, 'I conjure you, Armisael, angel who governs the womb, that you help this woman and the child in her body to life and peace. Amen, Amen, Amen.' "

この文章は、ユダヤ教の聖典文書が治癒の祈りに利用されていたことを紹介する節において一例として記載されているもので、和訳すると、

例えば、分娩を補助するためには「ヘブライ語聖書の詩篇第20章をこの名前を念じながら9回朗誦せよ……。もし効果を及ぼさないなら、さらに9回繰り返すべし。妊婦にはそれらの朗誦が聴こえていなければならない。もしそれでも無効であれば、『我は汝を召喚する、アルミサエル、子宮を司る天使よ、この女と胎内の子供の生命と平穏を救けよ。アーメン、アーメン、アーメン。』と唱えよ」とされている。）

と言った意味となる。ユダヤ教文化圏における民間療法/魔術療法というか、安産のお祈り的なものにおいて言及されていた名称であるようだ。

名前のラテンアルファベット表記について「Almisael」と記載しているウェブサイトもあるが、上記の書籍は「Armisael」としている。

名前の意味について「神の裁きの山」という意味であるとしているウェブサイトが多い。ただしそれらの出典は今一つはっきりしない。Wikipedia英語版の「Theophory in the Bible」（「聖書内の神に由来する名称」）のページの2019年1月現在の版には

「Armisael – Mountain of Judgment of God」

とあるが、このWikipediaの記述自体も出典が示されていない。

ヘブライ語表記が「ערמיסאל」だと記載しているウェブサイトもある。「ער」は「アル」とも読み「מיס」は「ミス」と読み「אל」は「エル」と読むので確かにそう読めないことはなさそうではある（ヘブライ語は右から左へ読む）。だが、「ערמיסאל」と言う表記を紹介しているサイトのほぼすべてが後述のアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」関連のウェブサイトであり、ユダヤ教関連のサイトではこの表記に全く触れていないようだ。よって、この「新世紀エヴァンゲリオン」で登場した日本語名称「アルミサエル」をヘブライ語的に転写しただけのものであって、伝統的な表記というわけではない可能性も高い。

1.の関連項目

• ユダヤ教
• 魔術
• 天使
• 出産 / 安産

2.の概要

テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」第弐拾参話（第23話）「涙」で登場。

大涌谷上空に突如現れた、16番目の使徒。白色に発光するヒモ状の体を持っており、誰もが簡単に描く事が出来る。最初はDNA状の螺旋構造のような体で、輪っかになって定点回転をしているだけで場所を移動せず、敵の動きが読めない事から膠着状態が続く。ネルフの解析では、使徒であることを示す「パターン青」から使徒以外を示すパターンオレンジへと周期的に変化していた。

触るとそこから侵食してくる非常に厄介な特性を持ち、コアの正確な位置が分からないという終盤に相応しい強敵。侵食した相手の情報を読み、パイロットに精神攻撃まで仕掛けてくる嫌みったらしさ。簡便なデザインとは裏腹に組しがたい相手と言える。

迎撃にはレイの零号機が出撃。睨み合いが続く中、先手を打ったのはアルミサエルだった。回転をやめると、ヒモ状になって零号機に突進。ATフィールドを貫き、零号機の腹部に突き刺さる。そこから侵食を開始し、生体融合を果たそうとする。窮地の零号機を救うべく弐号機が発進するが、シンクロ率が落ち切っていたアスカは弐号機を動かす事が出来ず、何も出来ないまま退却。侵食は続き、アルミサエルはレイの心とリンクする。

今度は初号機が応援に駆けつけるが、いちはやくその存在に気付き、今度は初号機へ突進。すんでのところで回避されるも、初号機がアルミサエルの体を掴んだ事で侵食を開始。初号機はプログナイフで突き刺すが、この時にレイの声で悲鳴を上げている。また読み取ったレイの情報から先端を彼女の体に変じさせる。

シンジを守るため、レイはアルミサエルを力づくで押さえ込む。そしてATフィールドを反転させ、アルミサエルと強引に一体化した後、自爆。第三新東京市が半壊するほどの大爆発を起こし、レイともども殲滅された。

ちなみにこの第弐拾参話（第23話）「涙」ではビデオソフト化される際に追加や変更されたシーンが多く、このアルミサエルとの戦闘シーンもテレビ放送版とビデオソフト収録版とでは細部の描写が異なっている。

2.の関連項目

• 新世紀エヴァンゲリオン
• 使徒
  • サキエル
  • ラミエル
  • イスラフェル
  • バルディエル
  • ゼルエル
  • タブリス
• 綾波レイ

脚注

1. *Jewish Magic And Superstition: A Study in Folk Religion : Joshua Trachtenberg : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive

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