アレクサンドル・エトキント(1955~)とは、20世紀末から21世紀にかけて活動しているロシア文化史家である。
概要
ケンブリッジ大学教授を経て、現在はフィレンツェの欧州大学院教授。ソ連崩壊後のロシアのリベラリズムに属する人物である。
ロシアの精神分析受容史を描いた『不可能なもののエロス』でデビューして以来、ロシア文化の分野から論争的なテーマを次々に打ち出していき、リベラル側でロシア文化研究をけん引していく。アレクサンドル・エトキントの視点は、西欧近代にロシアは同一化できず、マゾヒスト的立ち位置にあるとするものである。
近年では現代を取り扱うようになり、西欧の「記憶の歴史学」の応答として、冷戦後のロシアに注目している。ナチス・ドイツと異なり、自民族に対してもテロルを行ったソ連・ロシアにおいて、「喪の作業」が困難であることを問いかけた『歪んだ喪』が代表作である。
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