アンシャントロマンとは、1998年に日本システムから発売されたプレイステーション用ゲームソフトである。
概要
「ムービーライクRPG」を売り文句にグラフィック、ムービー面を前面に押し出したRPGとして、当時大ヒットしたファイナルファンタジーVIIを意識したとされる作品・・・であるが、本家FF7と比べると全ての面においてお世辞にも質が高いゲームとは言えない出来であった。
作品自体のクオリティ以外にも色々とツッコミどころが多い事から、マイナーであるが一般的にクソゲーとして評価されることが多い。(擁護のしようが無い)
特徴(というか問題点)
詳しいことはゲームカタログ@wiki等を参照されたし。ここではおおまかな点を紹介する。
- タイトル
- 英語表記では「Ancient Roman」とあるが、本来ancientは「アンシャント」ではなく「エインシャント」と読む。表記ゆれの範疇ではあるが読み仮名としてはかなりマイナーな部類であり違和感が強め。
また、日本で馴染み深い「ロマン」はフランス語であり、上記のスペル表記は英語だと「(古代)ローマ(人)」を指すため、制作側のネーミングの意図が理不尽にも吹き飛んでいる。 - グラフィック
- 全体的にグラフィックの出来がかなり悪い。プレステ初期のソフトよりも酷いレベル。ゲーム中のポリゴンは厚紙で作ったかのような粗末な3Dモデリングで、ムービーシーンも人物がまるでビニール人形のような質感で動きも非常に乏しく不自然。
- BGM
- BGMもお世辞にも良い曲とは言えず、「適当にキーボード叩いてたら出来ました」レベル。その不協和音はプレイヤーのSAN値をガリガリ削ってくる。特に「サナトリの村」のBGMは初心者向けとして知られている。
下は「サナトリの村」BGMのピコカキコ
- ボイス
- ボイス搭載であるが、肝心の声優陣の演技力が棒読みでイマイチ。「素人だろコレ? 」は禁句。だが最近は「味わい深い社員ボイス」というどっかの弾幕シューティングのような評価になりつつある模様。
デビュー前の高橋直純と中島沙樹、若手声優として現役だった中山真奈美(中山さら)といった、後に活躍する方々の出演もあり、彼らは十分聞ける方ではある。
効果音も、戦闘ではBGM以上の音量で事あるごとに鳴る一方、イベントやマップ移動ではドアを開けようが宿屋に泊まろうがほとんどの場面で鳴らない。
また、店でアイテムを買わないと、(主人公含む)仲間に「ケチ」とボイス付きで罵られる。 - ストーリー
- 説明不足、超展開、電波、伏線ほったらかしとダメ要素を全て備えている。簡単に言うと、奴隷スタート⇒数十分で王子様⇒病気根絶の手掛かり求めていくつかのダンジョン探索⇒いつの間にやら神の力収集へ目的がシフト⇒3、4部屋の魔王の城。 セリフ回しも敵中ボスを倒した時の「ごりん終、だな。」を始め謎のセンス。
- 世界観
- アイテムが世界観と一致していないものがある。コッペパン、ぎゅうにゅう、セーラー服、ブルマ……何これ? また、アイテムの所持数(戦闘時のみ)や効果が表示されず、使ってみないと分からない。
上記アイテムのほか、通貨名が“ガメ”だったり、人名や地名、魔法などのネームセンスが全体的に珍妙。 - 戦闘
- 物理攻撃のダメージ計算が極端。攻撃力&防御力だけでなくレベル差もダメージ計算に関与し、相手より低ければ殴り殺される一方で、レベルを何回か上げれば物理与&被ダメージが激変する。まさに「レベルを上げて物理で殴ればいい」。
魔法のシステムにも問題がある。効果と消費MPが使ってみないと分からない上、魔法攻撃と魔法防御関係の計算が特殊(設定ミス?)。そして物理火力は伸びやすい一方こちらは燃費が劣悪なため、魔法は使い物にならないという評価だった。のちにRTAなどによって検証が進み、現在では物理攻撃が通用しない低レベルでは高ダメージ+行動封印によって敵を封殺できることが判明している。
搦め手の魔法が異様に強く、特に石化魔法の「ケルパー」はボス格含むどんな敵も10ターン行動不能にするというとんでもない性能を誇る。加えて仲間の物理防御を上げる「ボルボ」「エブリボルボ」もダメージ軽減が大きすぎてかなり強力。
特にタイマンで戦う場面のボスが弱く、2~3回の攻撃で大体倒せる。(ただし攻撃は強いのでこちらも瞬殺される可能性あり)ちなみに敵味方ともに倒した(倒された)時のエフェクトは斜め上方向に回転しながらヒュイーーンと飛んでいくというもの。
以上、挙げるとキリが無いというか全てが終わっているのでWikiや関連動画を一度ご覧下さい。きっと新しい世界が広がるでしょう……。
その他
何を血迷ったか、本作の1ヶ月前にオリジナルサウンドトラック及びドラマCDが販売されている。誰得とはまさにこのこと。
そんなサウンドトラックを聞くと、意外にもまともなBGMを聞くことができる。これは、PS実機にデータを落とし込む際に調音が狂い、あの超不協和音BGMとなってしまったのでは……という考察がなされている。
音響系動画製作者の手によって、様々なアレンジをされるのがちょっとしたブームになっている。特に上記の「サナトリの村」のBGMは数多くのアレンジが作られ、それに取り組む者たちは「サナトリスト」と呼ばれているとかいないとか。
本作の前日譚を収録したドラマCDの方も、声優陣・物語の両面でゲームを超えるクオリティに仕上がっている。特にストーリーの方はゲームよりも濃密な世界設定を盛り込んでおり、ゲームの方はどうしてこうなったと思わせる落差を体感できる。
長年、PSのクソゲーとしてはマイナーな存在で、中古ショップでも500円代とほぼ投げ売りされている状態だった。ところが、2020年にクソゲーレビュー動画で知られるからすまAチャンネルが今作を取り上げたことで知名度が急上昇。いまや新品販売当時の値をも超えるプレミア価格が付くようになっている。
特に、オープニングムービーで吹き飛ぶモブキャラクターは「理不尽にも吹き飛んだおっさん」と呼ばれており、からすま氏が後の動画で何度も使用したことから、モブなのに今作を象徴するキャラクターとして定着している。
関連動画
関連項目
- 里見の謎
- 黄昏のオード
- クソゲー
- 理不尽にも吹き飛んだおっさん
- サナトリの村
- 風雅システム:本作のスタッフロールで所属社員の名前が複数確認できるが、当時の社員からは「あくまでヘルプとしての参加である」と指摘されている。
外部リンク
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