アンソニー・ホプキンス(Anthony Hopkins, CBE, 1937年12月31日 - )とは、イギリスの俳優である。
概要
ウェールズの港町、ポート・タルボットにて生を享ける。実家はパン屋だったが、若くして演劇を志すようになった。
失読症(ディスクレイシア)であり、文字を読む事が苦手だったが、台本の台詞を何度も繰り返し読んで覚えた結果、克服する事に成功。ウェールズの演劇学校を経てロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・ドラマティック・アートで演技を学び、舞台俳優としてスタートを切った。
彼の演劇論は「演技は絵空事であり、全ては台本の中にある」というもの。
リアリティを徹底的に追及するロバート・デ・ニーロとは対照的で、いわゆる「デ・ニーロ・アプローチ」に対しては批判的。台本の全てを徹底的にチェックして暗記し、それによって役を自然に、かつ完璧に演じている。
舞台俳優としての自然かつ高い演技力は評価され、1968年の『冬のライオン』にて銀幕デビューする。
1980年にはデヴィッド・リンチ監督の『エレファント・マン』にてトリーブス医師役を演じた。醜悪な奇形の青年、ジョン・メリックを見世物小屋から引き取り、病状を観察する中で彼の高潔な魂に気づき、少しずつ心を開いていくという役どころである。
1991年、トマス・ハリスの小説を原作とする映画『羊たちの沈黙』にてハンニバル・レクターを演じる。高度な知性を持つ食人鬼の「怪物」を見事に演じ、同年のアカデミー賞主演男優賞に輝いた。
その後続編の『ハンニバル』、前日譚の『レッド・ドラゴン』でも同役を務めたが、あまりのインパクトに自分のイメージが固まってしまった事もあってか「レクターはもうこりごり」と語っている。
1992年、フランシス・コッポラ監督の『ドラキュラ』では、ヴァン・ヘルシングを務めた。新たな解釈で描かれた吸血鬼の恐怖に、仲間と共に敢然と敢然と立ち向かう老教授を好演している。
1993年、カズオ・イシグロの小説を原作とする映画『日の名残り』にて主役を務める。失われゆく貴族の時代、忠実に家の一切を差配する執事の目を通じた切なさとユーモア溢れる描写は評価が高く、多数の賞にノミネートされた。
2005年の『世界最速のインディアン』では実在のオートバイライダー、バート・マンローを演じた。オートバイでの世界最速記録に挑戦する老境の男を好演し、本人によると「これほど自分みたいなキャラクターは今までなかった」そう。
近年でもアメコミ原作の『マイティ・ソー』シリーズにてオーディンを演じるなど、御歳80歳を迎えた現在でも第一線で活躍している。
余談
- ハンニバル・レクターの印象が強いが、実際の本人はベジタリアンである。
- 過去にはアルコール中毒に悩んでいたが、1975年には克服した。以後一滴も飲まないように自制しているという。
- 記憶力を裏付ける話として、「何月何日が何曜日であったか」を一瞬で計算できるという特技を持っている。ただし本人曰く「何の役にも立たない」とのこと。
- 1987年にコマンダー、1993年にナイトの叙勲を受けており、正式には敬称の「サー」をつけて呼ばれる。
- 『羊たちの沈黙』において、ジョディ・フォスター演じるクラリスの訪問を受けるシーンで、彼女の出身地を言い当てる時にわざとアクセントを真似てからかい、ジョディを本気で怒らせた。実際に怒りが反映された演技は絶賛されている。
- Twitterアカウントを所持しており、折々に触れて更新。ピアノを弾いたり、愛猫とのツーショットが多め。その一方で「仕事ばかりして遊ばないとこうなるぞ」という前置きの元、狂気めいた表情で踊りまくる自撮り動画をアップするなど、何かと面白い御仁である。怖いよ!
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