「Force H」機動部隊旗艦、「Ark Royal」、出撃する!
アーク・ロイヤルとは、角川ゲームス開発、DMM.comより提供されている艦隊型育成シミュレーション「艦隊これくしょん~艦これ~」に登場する艦娘である。
私は、Her majesty's ship Ark Royal。
2017年8月12日より開始された夏イベント「西方再打通!欧州救援作戦」の最終海域突破報酬として登場した。
イギリス海軍の航空母艦「アーク・ロイヤル」をモデルとした艦娘。「Her majesty's ship」とは「女王陛下の艦」という意味であるが、彼女が活躍した時期のイギリス王室は男性の王であるジョージⅥ世が統治していたため、当時の状況に乗っ取るならば「His majesty's ship(国王陛下の艦)」と名乗るのが正しい。2017年現在のイギリスはエリザベス女王が治めているので、今の状況での名乗りとするなら間違いではない。
性能としては、改造前は蒼龍・飛龍ら二航戦の未改造段階と概ね同じ。彼女ならではの特徴として、艦載機にソードフィッシュ(イギリス海軍の複葉機)系統を搭載している時に限り、夜戦に参加できるという点が挙げられる。ちなみにビスマルクの「あの忌々しい複葉機を思い出すわね!」というセリフで言及される複葉機とは、このソードフィッシュである。ただし、参加できるだけで攻撃力が飛躍的に上がるわけではないので、無いよりマシといった程度の特徴である。
改造後は赤城・加賀並の火力と蒼龍・飛龍並の搭載数を両立し、なおかつ燃料消費率が低いので運用はしやすいが耐久力と防御力が正規空母の中で下から二番目という低さなので、一発の被弾で行動不能になってしまう恐れが付きまとう。
外観は、赤いショートヘア、ウォースパイトのような白いドレス調の衣装に、甲板をモチーフとした巨大な洋弓を構えている。スカートの下には白いショートパンツを履き、同じ英国の艦であるウォースパイトより活動的な出で立ちである。
性格は至ってクールな女騎士といった感じであり、MVPを獲得すると「この栄誉を我が女王陛下に」と、常に女王陛下とイギリス王室に忠誠を誓っている様子が伺える。その影で小さく「…良し」と呟いたり、艦載機発艦の際「Swordfish,Shoot!」と掛け声を発するなど、熱い一面も併せ持っている。なおこのセリフはソードフィッシュを装備していなくても聞ける。
ちなみにネルソンの時報から酒が入ると相当の絡み上戸であり、ソードフィッシュを熱く語る(放置時も語ってる)など割とオンオフの差が激しい。
おさわり(母港でクリック)すると「少し躾が必要みたいね。そこに座って?」と脅され、その次に「Swordfish、発艦始めッ!!」と、提督に向けて攻撃機を放ってくる。瑞鶴に次ぐ、提督爆撃系女子の誕生である。
時報では何かと因縁の相手であるビスマルクが友軍であるため、声を掛けるが・・・素で彼女のトラウマであるソードフィッシュを差し向けたり、Uボートである呂500に警戒するも提督の会話であっさり日本艦と誤認するなど天然である様子。
料理が苦手らしく提督への差し入れもウォースパイトに作ってもらっている(一応朝食は用意しているのでまったくダメという訳ではないようである)。空母娘同士だと飛龍や蒼龍と気軽に食事をするなどしている描写がある。
ちなみに史実では1941年11月に沈んでいるため、彼女もまた太平洋戦争を知らない艦娘の一人である。
二次創作としてはやはり英国艦との触れ合いが多く、次いで時報や季節ボイスからも空母組との交流、何といってもビスマルクとの絡みが特徴(基本無自覚で彼女に苦手意識があるビスマルクが逃げる構図が定番)
公式作品では『今宵もサルーテ!』でバーテンダー衣装に身を包んだ姿を披露。主人公一行であるガンビア・ベイ、コマンダン・テスト、タシュケントのバーテンダー指導を担当している。
2020年10月16日にウォースパイトと共に大型艦建造にて恒常的に入手可能になった。建造時の秘書艦にウォースパイトが必要。
Her Majesty's Ship Ark Royal. 抜錨!
世界初の全通飛行甲板を持つ改装空母〈アーガス〉、そして世界初の空母として建造された空母である〈ハーミーズ〉(ただし完成は〈鳳翔〉の方が先となった)を産み出してきた、空母先進国である大英帝国海軍が満を持して設計・建造した中型空母の傑作が、HMS〈アーク・ロイヤル〉(3代目)である。
そもそも「アーク・ロイヤル」という艦名は、英国海軍に代々受け継がれてきた由緒正しいものである。「アーク」は方舟(某鞭を振り回す考古学者の1作目の映画のサブタイトルでその名を知った人も多いだろう)を意味し、「ロイヤル」は、初代〈アーク・ロイヤル〉においては英国王室所有の艦船であることを意味していた。この初代〈アーク・ロイヤル〉はガレオン船で、1588年のアマルダの海戦においてスペイン無敵艦隊を打ち破るなどの武勲を立て、その功績から艦名が代々受け継がれることになった。
そして、水上機母艦だった2代目〈アーク・ロイヤル〉を経て、3代目を襲名したのが、1935年9月16日起工、1938年11月16日就役の中型空母〈アーク・ロイヤル〉である。
元々、ワシントン軍縮条約においてイギリスが持っていた空母枠が13万5000トンあり、空母6隻を造って11万5455トンを消費した残り、2万トン弱を使い切るべく、中型空母の建造が決まった。
しかし、当初の設計案の大きさの艦を造れる造船所ドックが余っていないことが判明した。そして決まったのが
「よし、艦は小さく造って、上に載せる飛行甲板だけ元の大きさにしよう」
ちなみに艦自体の全長は200mそこそこだが飛行甲板は250m近くを確保した。ご想像どおり、50mは前後にはみ出しているのだが、まぁ左右にはみ出したどこぞの逆三角形空母よりはマシという意見もある。
さらに、先行して建造された空母達を運用していたロイヤルネイビーからの意見も取り入れられた。
「幅が狭くて着艦しづらい? それじゃ幅も広げようじゃないか」
こうして建造された空母はLB比(縦横の比率。大きいほど細長い)が7.2の横幅広い艦となった。ちなみに日本の〈飛龍〉が10、アメリカのヨークタウン級が9.2である。
さらにこんな意見も
「飛行機一杯積めるようにしたいなぁ」
「大型の缶を搭載して速度を出したいんです」
「まっかせなさい。艦を縦に伸ばせば、でかい缶も積めるし、格納庫は2階建てにして飛行機も一杯積めるしな」
水面から飛行甲板までの高さは18.3m。これは同じ中型空母である〈飛龍〉(12.3m)やヨークタウン級(16.5m)どころか、正規空母である翔鶴型(14.2m)やエセックス級(16.5m)を越えており、三段式飛行甲板を持っていた〈赤城〉(20.3m)に匹敵する高さである。艦を高くすることはそれだけトップヘビーになるのだが、まぁ気にするな。
とまぁ、さり気なく英国面を出しつつも、それまでの空母運用のノウハウを結集して〈アーク・ロイヤル〉は建造された。
竣工から1年もたたない1939年9月3日、ドイツのポーランド侵攻によって欧州で第二次世界大戦が勃発した。
英国の開戦当初の悩みはドイツのUボートによる通商破壊活動であり、〈アーク・ロイヤル〉を含めた空母も、対潜活動に駆り出されることになる。対潜機による哨戒は確かにUボート探知に一定の効果はあったのだが、Uボートから見ると空母は魅力的な獲物でもあった。
9月14日、救難信号を受けて現場に急行した〈アーク・ロイヤル〉はU-39から魚雷攻撃を受けるが危うくかわし、随伴駆逐艦によってU-39は撃沈された(これが第二次大戦初のUボートの撃沈だった)。しかし、3日後の9月17日、空母〈カレイジャス〉がUボートによって撃沈され、被害対効果を見て割に合わないとして空母の対潜活動は中止となった。
その後〈アーク・ロイヤル〉は地中海方面に展開したりしていたが、そんな折にドイツ海軍が仕掛けて来た。戦艦〈ビスマルク〉、重巡〈プリンツ・オイゲン〉をはじめとした部隊が大西洋に押し出してきた「ライン演習作戦」である。追い返そうとした英国海軍だったが、デンマーク海峡戦で巡洋戦艦〈フッド〉が撃沈され、最新鋭の戦艦〈プリンス・オブ・ウェールズ〉が大破したあげく、2隻の大西洋への侵入を許す、という屈辱を受けた。しかし〈ビスマルク〉も損傷を受け、ほぼ無傷の〈プリンツ・オイゲン〉と別れてフランス(当時はドイツ勢力下)の港に向かうべく、針路を南へ向けた。1941年5月18日のことである。
復仇を遂げるべく、ロイヤルネイビーは5月23日、〈アーク・ロイヤル〉を〈ビスマルク〉の捜索に出撃させた。そして26日に〈アーク・ロイヤル〉は首尾良くフランス海岸へと向かう〈ビスマルク〉を発見する。しかし、位置的に出撃した英国艦隊が追い付くよりも早く〈ビスマルク〉が目的地にたどり着いてしまうのは明らかだった。
そこで、〈アーク・ロイヤル〉は艦載機のソードフィッシュを出撃させ、〈ビスマルク〉に魚雷攻撃を加えることにした。初回の攻撃が間違って味方の巡洋艦〈シェフィールド〉を誤爆(幸い被害無し)してしまう、というエピソードを挟みつつ、2回目の出撃でソードフィッシュの放った魚雷3発のうち、2発は機関室付近に命中しつつも強固な装甲に跳ね返されるが、最後の1発が〈ビスマルク〉の舵を直撃し、〈ビスマルク〉はその場でくるくる回ることしか出来なくなる。
そして、その間に追い付いた英国艦隊の戦艦2隻(〈キング・ジョージ5世〉〈ロドニー〉)および重巡2隻(〈ノーフォーク〉〈ドーセットシャー〉)の猛攻を受け、〈ビスマルク〉は27日の深夜ついに轟沈した。
航空機はともすれば戦艦撃沈の手助けも出来る、ということを証明(航空機が戦艦をも沈めうるという証明は、その後日本による〈プリンス・オブ・ウェールズ〉撃沈まで待つことになるが)した〈アーク・ロイヤル〉は、その後再び地中海方面に戻る。
1941年11月13日、航空機を地中海のマルタ島まで搬送する輸送部隊の護衛を務め、ジブラルタル港へ帰還する途中だった〈アーク・ロイヤル〉は、海中に潜んで待ち構えていたU-81から1発の魚雷を受けた。横腹に巨大な穴を開けられ、右舷ボイラー室が浸水し右半分の機関が停止、さらに艦の後ろ半分が停電してしまった。艦長は浸水を少しでも防ぐために艦を止めようとしたが停電で電話が通じず、機関室まで走って知らせなければならず、その時間のロスでさらに浸水が進んでしまった。被雷からわずか20分で右に18度傾いたため、艦長は一旦総員退艦を命じるが、それ以上傾かないのを見て中止し、ダメコンを命じたが、結果的にこの時間差が致命傷となった。
救援としてジブラルタルから駆けつけたタグボートによって曳航作業が行われたが、浸水が進んで全機関が停止、停電によって排水ポンプも動かせなくなり、一時はボイラーの再起動に成功したものの浸水が止まらず、ついにボイラー室も冠水して再停止。一旦は収まっていた傾斜も20度を超えて30度近くなったため、ついに艦の放棄が決まり二度目の総員退艦が発令。
脱出した乗組員達が見守る中、1941年11月14日午前6時19分、〈アーク・ロイヤル〉は完全に横転し、艦体が二つに折れて沈んでいった。
避雷から沈没まで時間があったこともあり、死者は1名のみであった。
その後、艦長の行動が妥当だったかどうかについて調査委員会が開かれ、有罪となった艦長は以後陸上勤務となったという。
一方、喪われた〈アーク・ロイヤル〉の乗組員達は、話し合ってカンパを集め、一つの鐘を買った。その鐘にはこう刻まれていた。
MAY THE SOUND OF THIS BELL REMIND US OF THE POWER AND HARMONY OF MEN.
(この鐘の音によって、力強き我らと男達の団結が思い出されんことを)
戦後、1955年に英国最後の通常空母であるオーディシャス級空母の2番艦が〈アーク・ロイヤル〉の名を受け継いだ。通算では4代目の〈アーク・ロイヤル〉である。
その号鐘として、先述した先代〈アーク・ロイヤル〉の鐘が使われていた。
その後、1979年2月に4代目が退役後、英国海軍はインヴィンシブル級軽空母の2番艦にその名を継承させた。5代目の〈アーク・ロイヤル〉である。
しかし軍事費削減の波によって5代目も2011年3月に退役となった。
2002年になって、海中探査会社のC&Cテクノロジーズによる探査で、ジブラルタル沖合で2つに割れた〈アーク・ロイヤル〉の艦体が、散らばる艦載機と共に発見された。彼女は今もそこで眠り続けている。
Swordfish shoot!
折角なので、〈アーク・ロイヤル〉の代名詞とも言える艦載機ソードフィッシュについても、軽く解説しておく。
1930年に、フェアリー社はギリシャ海軍向けに雷撃機を自社開発することにした。その試作機が完成したのは1933年のことであった。一方その頃、イギリス国防省は雷撃機と偵察機の仕様書をまとめ、各航空機開発メーカーに依頼した。フェアリー社は先だって設計していた機体を改良して提出、これが採用されることになった。フェアリー・ソードフィッシュの誕生である。ソードフィッシュの初飛行は1934年であった。
三座の複葉機であるソードフィッシュの特徴は、搭乗員達に「ストリングバッグ(網袋)」と呼ばれた汎用性(色んな用途に使えることから付けられたと言われる)、そして低速ゆえに短距離での離発着が可能なことであり、欧州戦線では後継機の開発に失敗したこともあって、艦載の雷撃機および偵察機として長く使われ続け、退役したのは欧州での戦争が終わるのとほぼ同時である1945年5月であった。
新しい関連動画か、どれ……?
関連静画は整っている。Admiral……今日も、よろしく!
関連項目? ほう、なるほど。
2017年夏イベント 『西方再打通!欧州救援作戦』 新規実装艦娘 | ||
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