アーム・スレイブとは、賀東招二氏のライトノベル「フルメタル・パニック!」、及びそれを原作とするアニメシリーズやコミックシリーズ、並び派生作品「フルメタル・パニック!アナザー」に登場する架空の人型兵器である。
概要
正確にはarmored mobile master-slave system、日本語に直訳すると”主従追随式機甲システム”で、搭乗者の意思に従う兵器といった意味合い。
フルメタル・パニック!の舞台は西暦1990年代末期だが、史実と異なりソビエト連邦が崩壊しておらず、米ソの東西冷戦が依然として続いている現実世界のパラレルワールドである。アーム・スレイブの開発は80年代半ば、当時の米大統領ロナルド・レーガンによりSDI計画(戦略防衛構想)と並んで強力に推し進められた。「局地紛争の新たな主役」、「壮大な技術的挑戦」、「歩兵部隊の省力化に貢献」といった謳い文句の下、僅か三年後に世界初のアーム・スレイブであるM4が完成し、その後十年程の歳月で爆発的な進化を続け、現在では戦闘ヘリでさえ迂闊に近寄れない危険な存在となっている。
しかし、この当時の民間のロボット技術はまだ二足歩行すら覚束ないレベルだった為、この異常に高度な新兵器が登場した当初は世間は騒然となり、オカルト系の本や雑誌は「宇宙人が提供した技術に違いない」等と騒ぎ立て、どの様な技術者集団が開発に携わっていたのか誰もが疑問に思った。しかし、すぐに巡航ミサイルやステルス戦闘機と同じ「当たり前のハイテク兵器」として社会に受け入れられる様になる。
また、人型という形態は本来、兵器としては非効率的な面も多いのだが、その開発史の裏では「人型」を強く押し進める有形無形の政治的圧力が有ったと言われている。殆どの人々はこの事実を知らないが、ごく一部の専門家や軍事関係者、政治関係者は、何か姿の見えない超国家的な存在が、不合理な面を知りながらも敢えて「人型」に拘っているのではないかと、漠然と感じている。
ちなみにASは日本語では専ら「強襲機兵」と呼ばれる。これは、米陸軍のM4が世に出た当時、日本のマスコミで「AS」は「Assault Soldier」の略だという誤解が広まり、それが結局定着してしまった為。
90年代初頭、陸上自衛隊がASを導入した際、防衛庁では専守防衛との兼ね合いでこの「強襲」という言葉の是非を巡って不毛な議論が繰り広げられ、当時の防衛庁長官が「主従機士」という名を考案したものの、こちらは殆ど普及せず、政府の公文書だけでしか使われていない。今もなお一般では「強襲機兵」の方が主流である(同じ様な理由で、現実の自衛隊も過去に「戦車」を「特車」と言い換えていた時期がある他、現在でも「歩兵」を「普通科」と言い換えている)。
ちなみに、現場の自衛官達は普通に「エー・エス」と呼んでいる。
作中でも文章、口頭の両方においてAS(エー・エス)と略して呼ばれることが多い。その為、この記事においてもASと略して記述する。
機構・構造
大型の人型ロボットで操縦者が直接機内に乗り込み操縦を行う。ただし最新型の機体では搭載されている人工知能によって、ある程度の自律機動が可能。
大きさは機種によって若干異なるが、標準的な機体は概ね全高8メートル前後、自重は10トン程度である(全高40mのベヘモスなどの例外は除く)。
後述するがASは第一~第三までの世代に分けられ、それらの内、第二世代型、第三世代型は共にマッスル・パッケージと呼ばれる、通電によって収縮する特殊な形状記憶プラスティックの繊維を束にした人工筋肉を持つ。
第二世代以前の機種ではまだマッスル・パッケージの性能が不十分だったため、油圧系統などと併用されている。動力源はガスタービン若しくはディーゼルエンジン。
第三世代ではマッスルパッケージのみが用いられ、完全電気駆動で動きを制御する。動力源は常温核融合炉であるパラジウム・リアクター。
『フルメタル・パニック!』の世界はウィスパードによって齎されたブラック・テクノロジーの影響で科学技術が異常発達している為、現実のディーゼルエンジンやガスタービンエンジンなど同種のエンジンよりも高性能であるという設定が存在するが、それなりに騒音が大きいことには変わりなく、完全電気駆動方式は静粛性に優れている。
腕は精密な制御が可能なマニピュレータとなっており、人間が用いるのと同様の形状の火砲類やナイフ、ハンマー等といった武器を使用可能。手持ちの火器は基本的に電子的に制御されており、引き金を引かなくても発射可能であるが、故障の際の予備系統として、機械的な引き金も用意されている。
機種により程度の差はあるが、機体にはレーダーやECS(電磁迷彩システム)など多彩な装備が搭載されており、第二世代機でも時速100km以上、第三世代機に至っては時速200km以上で走行可能。人間以上の三次元機動が可能な故に、「最強の陸戦兵器」とも言われるが、元々山岳地帯や都市部等での局地戦を想定して開発されているため、平原や砂漠の様な障害物および遮蔽物が少なく、交戦距離が長くならざるを得ないような地形では、背が低く射程や火力、防御力に優れた戦車等に対しては分が悪いなど、人型であることやその大きさ故に弱点も多い。
使用火器
腕部で携行・保持する火器は主として25~90mm程の口径の火砲や対地用のミサイルランチャーなどで、機種によっては頭部等に重機関銃や機関砲を内蔵する。この他、肩部等にロケットランチャー等を固定装備する機種もある。この為手持ちの武装は様々なものが開発されており、特定機体専用装備というのは少ない。
初期はAFVなどに搭載されていた火器をそのまま転用したものが多かったようだが、兵器にマウントして用いるよりも過酷な扱いになる事が多い事から、結果的に人間が用いるような火器と同じ形状になっていった。後の時代では、全長を短くしつつも砲身長を稼げるブルパップ型が主なトレンドとなっている。
白兵戦用装備としては初期においてはHEAT弾頭を用いたHEATハンマーが使われていたようだが、ASという兵器の操縦技術が発展するにつれ叩きつける動作だけでは回避がされやすくなり、後に様々な動作で攻撃を繰り出すことができる単分子カッターが登場。一度の戦闘で交換が必要な単分子カッターか、威力と使用方法は用意なHEATハンマーか、と用途や戦場に応じて使われている。
開発史
コンセプト
ASは、所謂「パワード・スーツ」や「強化外骨格」の発想を拡張した兵器である。当初の構想では1トン以下の分隊支援装備として、兵士の筋力や防御力を増強する目的で設計された。
開発当初の米軍の「XM3」までは、こうしたコンセプトで設計された「大型パワード・スーツ」だった。しかし、これは全高3メートル程度の小型機だった為、大型の動力源を搭載出来ず、駆動方式は行動時間の短いバッテリー方式、装甲防御力は12.7mm弾に耐える程度が限界で、扱える火器も精々20mm機関砲までだった。
これでは、歩兵部隊と行動を共にさせるには扱いが難しく、機甲部隊に同行させるには脆弱過ぎ、対戦車戦闘を行うには機動力も足りない、運用上中途半端な兵器でしかなく、開発は行き詰まってしまった。
第一世代型
この中途半端なコンセプトに、全く異なる概念を取り入れたのが、ジオトロン社の試作機「XM4」であった。
兵器という物は、可能な限りの小型化・軽量化を行うのが常識なのだが、ジオトロン社の開発陣はこれを全く逆に考えた。機体のサイズを大胆にも8m程度にまで大型化し、防御力や機動力、動力源や搭載兵装・電子兵装等の搭載量を大幅に引き上げたのである。
当時、ウィスパード達が世界にもたらしつつあったブラック・テクノロジーの影響で、爆発的な勢いで進歩していた素材系、制御系の技術がこれを可能にした。
これによりXM4は、歩兵部隊が運用出来る規模の兵器ではなくなってしまったものの、敵の装甲戦闘車両や武装ヘリコプターに充分対抗可能な攻撃力・機動力・索敵能力を獲得し、「機甲部隊の支援兵器・M4」として小規模ながらも米陸軍に正式採用されるに至った。
だが、この段階ではASはまだ機甲部隊の中でイレギュラーな存在であり、主に待ち伏せと市街戦でのみ威力を発揮する兵器に過ぎなかった。しかし、M4は然るべき準備を行えば充分なカモフラージュも可能で、この時点でASは既に、海洋に於ける潜水艦と同様の「どこに居てもおかしくない」脅威と成り得る存在だった。
第二世代型
M4の次に開発された「M6 ブッシュネル」は、より攻撃的な性格を持つ事になる。
「第二世代型AS」と称されるM6は、M4を大きく上回る運動性と汎用性を与えられていた。反応が遅く、移動や姿勢変更に時間が掛かったM4に比べ、M6は良く訓練された歩兵以上の動作が可能で、携行可能な火器や電子兵装の量と種類も激増し、より高度で有機的な戦術を採る事が可能になった。
更に改良型のM6A1からは、革命的なステルス化装置「ECS(Electromagnetic Camouflage System―電磁迷彩システムの略称)」が搭載され、レーダーや赤外線センサーによる遠距離からの探知が非常に困難になる。接近戦や遭遇戦の機会が激増した戦場は、人型兵器であるASに対して更に有利に働いた。
90年代初頭には、戦車や攻撃ヘリ等の既存兵器がASに対して完全な優位に立てる地形は遮蔽物の少ない平原や砂漠のみになり、その他の起伏に富んだ地域、つまり戦略的価値の有る殆どの地域は、このASで編成された部隊が圧倒的優位を誇る様になった。この頃には米国やソ連のみならず、一定以上の工業力を持つ先進諸国はこぞって独自のASを開発し、あらゆる民間メーカーがこの新たな兵器市場に先を争って参入した。この現象は後に「M6ショック」と呼ばれる事となる。
第二世代の機体は動力源として、ディーゼルもしくはガスタービン機関が搭載されている。初期はディーゼル機関、後期はガスタービン機関と搭載ジェネレーターが異なる機体も存在し、整備能力の関係からあえてディーゼル機関を搭載した機種も存在する。
第三世代型
「M6ショック」が一段落しかけた90年代後期、米軍は更に発展した「M9 ガーンズバック」の開発を始める。
M9はそれまでのガスタービンエンジンに代えて常温核融合炉であるパラジウム・リアクターを搭載しており、その出力を活かして駆動系をマッスル・パッケージのみとする完全な電気駆動を実現している。このため、隠密行動時にはバッテリー(コンデンサ)駆動という限定的手段を取らざるを得なかった第二世代機と比較し、大幅な静粛性の獲得と隠密性の向上、駆動系の革命的な軽量化が達成された。
これによって、M9は従来のASや戦闘車両を圧倒する、高度な運動性を獲得している。それまでのASの倍の速度で駆け、全高の数倍の高さを跳び、人間同様の体捌きまで可能とするなど、その戦闘機動は「まるでフィクションに出てくる忍者のようだ」と表現されるほどである。基本重量が軽くなった為、ヘリや輸送機への搭載も容易になり、展開能力(戦略機動性)も向上している。
第二世代機までの余分な油圧系のシステムを全廃した事により、大きな構造的余裕が生まれ、贅沢な程のセンサー類や電子兵装を搭載。また、新型のマッスル・パッケージにはそれ自体にある程度の耐弾性が有る為、防御力も細身な外見に反して第二世代機より向上している。
加えて、不可視モード実装型の次世代型ECSの搭載により、レーダーや赤外線センサーといった電子的な観測手段だけでなく、肉眼でも探知は極めて困難となった。
非常に発達したデータリンク機能を備え、高度なAI(人工知能)を用いた操縦支援システムは、索敵や脅威判定、火器管制、戦術支援、ダメージコントロール、通信等各種機器の操作支援等々、さらには限定的な能力ながら自律戦闘までもこなすことが可能で、より高度で複雑となったASの操縦における負担(ワークロード)を軽減していることも大きい。
ただ、ミスリルが配備したE系列のM9は超上級者向けの機体であったためか、アナザーの時代で米軍が初採用したモデルは非対象戦対応や政治的バランス、現場での要求諸々が複雑に絡み合った結果、ダウングレードされた感のある機体となっている。詳しくはM9 ガーンズバックの項目も参照。
ラムダ・ドライバ
第3世代機の中でも極一部の機体にのみ搭載されている機能。個別記事には不十分な内容なので、こちらに記述する。
虚弦斥力場生成システムとも呼ばれ、人間の「イメージ」を実際の「物理的な力」として具現化する装置。
例えば「弾丸を防ぐ盾」をイメージすれば防壁となり、手が硬いものさえも貫くとイメージすれば槍のような力場を発生させる事が出来る。またベヘモスでは機体全体を覆い自重による崩壊を防ぐために使用されている。
従来の兵器の概念を覆す強力な兵装であるが、欠点として命の危機に瀕した時のような非常に高い集中力を必要とする欠点がある。また力場の強さは搭乗者の「イメージ」に左右されるため不意打ちを受けたりすると防御不可能など、決して万能ではない。
ただし逆を言えばイメージさえ出来れば重火器はおろか大型の爆薬なども防御出来るということになる。
ミスリルではアーバレスト及び後継機のレーバテインのみが搭載しており宗介のみが起動可能であるが、豊富な実戦経験を積んでいることが逆に災いして「非現実的な力場」のイメージを作るのに当初は相当な苦労を重ねた。またアマルガムではコダールなど量産型にも搭載が進んだが、搭乗者は劇薬で強引に脳波を適合させていた。
以下、ネタバレ。
なお、原作終盤で明かされた所によると、その本質は人間の「イメージ」を実際の「物理的な力」として具現化すると言うよりもむしろ、人間それ自体がもつオム二・スフィアへの干渉力を増大させる、『オムニ・スフィア高速連鎖干渉炉』であるという。
どのような人間でも、生身の状態で分子が揺らぐ程度の干渉を物質に対して与えており、これは脳と全身の神経系により生じているが、ラムダ・ドライバは使用者の神経系を模した構造の物と莫大な電力とを組み合わせることで、その干渉力を大幅に増幅、物理的エネルギーとして現出させている。
このため、使用者の神経系をトレースできない構造の物ではどれだけ莫大なエネルギーを投入しようと、ラムダ・ドライバを稼働させることはできない。言い換えれば、使用者=人間の神経系をトレースしうる構造の物、つまりASのみがラムダ・ドライバを稼働させることが出来る。
本編での世代間格差
ASはその基本構造によって第一~第三世代に分けられる。 本編作中に登場した機体で言うとM9、アーバレスト、レーバテイン、シャドウ、コダール、エリゴール、ベリアルが第三世代で、サベージやM6、ミストラルⅡ、96式が第二世代である。第一世代は既に旧式装備となっており、殆ど作中には登場しない。
世代間、特に第二世代と第三世代の間には圧倒的な性能の格差があり(作中の例えを用いるならプロペラ戦闘機とジェット戦闘機)、単独戦闘で勝つ事はほぼ不可能。
ただし戦術や操縦技量によっては撃破することも可能であり、作中にはサベージでM9を撃破するシーンもある。大まかな比率では、第三世代AS1機に対し第二世代AS3機が必要と言われている。
アナザーの時代におけるAS
2000年に起きたソ連崩壊により、米ソ冷戦構造が終焉を迎えた。しかし、既に広まっていたASという兵器は、第三世代の機体も含め様々な国で運用されるようになった。
政情不安のある国にも第三世代ASが導入されるようになり、世界の警察を自称するアメリカにとっては冷戦終了後の緊縮財政の最中でもある事からかなり頭の痛い問題となっている。
パワースレイブ(PS)
アナザーの時代において普及している、AS技術を民間に転用して開発された重機。簡易マスタースーツの動作を拡大伝達する、主に油圧駆動の二足歩行機械。
ここ十年程で普及が進んできており、日本でのベストセラー機体に、小松製作所が開発した「ダイダラ」がある。パワーショベルの代名詞としての「ユンボ」と同じく、日本国内でPSと言えば「ダイダラ」と呼ぶ程に浸透している。尚、日本国内での運用には「二足重機」という免許が必要。
第2.5世代型
特筆すべき点として、本来は無かったカテゴリーの「第2.5世代型」と呼ばれる機体群が存在する。これは、第二世代と第三世代のASの中間に位置するコンセプト・性能を有しており、パラジウムリアクターが搭載されている。
第三世代にはやや劣るものの第二世代を超す性能を有する機体が分類されてる。
操縦方式
基本的にどの機種も、セミ・マスター・スレイブと呼ばれる操縦方式を採用している。これは機体が操縦者の身体の動きを検知して、それを一定の任意係数倍(作中ではバイラテラル角と呼ばれる)した動きを取る方式である。
操縦者の動きをそのまま伝えるマスタースレイブ方式とは異なり、例えば腕を45度動かした際に、設定値が2だったら機体の腕は90度動く。戦闘機動の際には3~4に設定する操縦者が多いが、狙撃時などは繊細な動きが必要な為、2前後に設定される。ちなみに相良宗介がアーバレストに搭乗する際の設定値は3.5である。
セミマスタースレイブ方式の採用により、機体サイズが8-9mという狭さの中で操縦者が動き回らずとも操作でき、尚且つ人体に程近い構造による複雑で臨機応変な動作をさせる事が可能となっている。また長時間の行軍など歩き続ける動作が必要な場合は、移動操作設定を変更してペダル踏み込みでの前進・後退に切り替える事も可能。
オペレータ(操縦者)の搭乗後、ASのマスタースーツはオペレータの体全体を緩やかに締め付けて固定し、身体の動きを読み取るようになっているが、PSについては簡易マスタースーツが採用されており、鼻が痒いとか汗を拭いたいとか、そういう場合には解除して腕を抜ける余裕がある。
尚、長時間操作をしていると生身の身体感覚と誤認し、機体から降りる際に目測を誤り事故を起こす事が作中で語られている。
フルメタル・パニック!の登場機体
作品中に登場する主なアーム・スレイブを挙げる。
ミスリル所有
- M9 ガーンズバック
ミスリルが誇る主力最新型AS。その性能は前代のASのそれを遥かに凌駕しており、圧倒的な優位を誇る。
人工知能が搭載されており、操作の一部をそちらに委ねることも可能。しかし機体価格が一機数十億円と高価な為に、開発元であるアメリカ軍でさえまだ実戦配備出来ていない。
作中では相良宗介(物語序盤)をはじめ、クルツ、マオなど主要登場人物のほとんどが搭乗している。 - ARX-7 アーバレスト
物語序盤より主人公・相良宗介が搭乗する機体。人工知能「アル」を搭載。
ミスリルのASの中で唯一ラムダ・ドライバを搭載するが、宗介が搭乗しないとこの機能は使えない。M9をベースにラムダ・ドライバを搭載した試作ASであり、ラムダ・ドライバ搭載のために犠牲にした部分もあるため、ラムダ・ドライバが使えなければ性能もただのM9以下のASで、試作機故に予備部品の枯渇等の問題を抱えている。
白い機体が特徴(白は目立つのでグレーで塗っていたがラムダ・ドライバ使用のたびに剥がれてしまうため)で
作中では度々「白のAS」、「あの白い奴」と呼ばれている。
戦闘中に大破したが、残ったAIユニットを元に後継機のARX-8 レーバテインが作られた。 - ARX-8 レーバテイン
先述のARX-7の後継機。アーバレスト同様にラムダ・ドライバ搭載機。大破したアーバレストから回収されたAI「アル」を元に作られた。ミスリル壊滅後に作られた為、正確にはミスリル所有の機体ではない。名前の由来は北欧神話に登場する剣の名前から。
動力源の出力が他のASと比べて非常に高く、垂直跳びの到達高度はM9のおよそ2倍の80m。
またラムダ・ドライバとAI「アル」の補助を最大限に生かす設計がされており、その結果165mm榴弾砲「デモリッション・ガン」を装備することも可能になった(M9では90mmが限界らしい)。
ただし電子兵装(M6やサベージと同等)や行動可能時間(M9の1/5の30時間)が著しく低下しており、圧倒的な攻撃力を誇るが著しくバランスの悪い機体となってしまった。
補助腕を2本持っている当時としては珍しいASで、これは「アル」が操作する。カラーリングは白と赤。 - M6 ブッシュネル
M9配備以前のミスリルの主力AS。訓練に使われる他、アメリカ軍ではM9の普及の遅れから今なお主力兵器となっている。ECSの搭載など何度か改良が行われており、最新型であるM6A3のみ「ダーク・ブッシュネル」の名が付く。
アマルガム所有
アマルガムの機体は特に断りの無い限り、名前は空想の悪魔の名に由来する。
- Plan1056 コダール
(ミスリルのコードネームではヴェノム)アマルガムの主力AS。頭部に備えられている放熱索(ポニーテールの様な一房の毛)が特徴。初期型であるPlan1056ではラムダドライバ使用時にトラブルが発生する事があったようだが、後の改善型であるPlan 1058 コダールiからは改善された模様。他にm等の発展型が有る。
電子兵装の性能はM9に劣るが、ラムダ・ドライバを搭載している事でM9よりも圧倒的優位に立つ為、まともに単独戦闘で戦う事が出来るのはアーバレストのみ。
但し、数的優位に立っている場合や、火力支援を得る事が出来る場合はM9でも撃破可能。標準的な戦果比として、コダールiが1機に対し、M9が8機とされている。 - Plan1501 ベヘモス
全てが規格外の超兵器。全高40m。その大きさ故に自らの重さを構造のみで支える事が出来ない為、常にラムダ・ドライバを展開して自壊を防いでいる。
圧倒的な火力と常時展開しているラムダ・ドライバによって高い防御力を誇るが、長距離狙撃や不意打ちの際にはダメージを受ける。
また、操縦者が死亡・意識不明になったり、ラムダ・ドライバに関する装置を破壊されると、自重を支えられなくなり自壊する。 - Plan 1065 エリゴール
アマルガムの所有する最新型のAS。コダールの発展型と思われる。詳しいスペックは不明だが、少なくともラムダ・ドライバを搭載しており、運動性能もM9以上と推定される。原作では今の所3機しか登場していない。 - Plan1055 ベリアル
レナード・テスタロッサの専用機。正確には専用機ではないのだが、ウィスパードであるレナードでなければ性能を充分に引き出す事が出来ない為、実質的に専用機となっている。
外見の一番の特徴として、翼を持っており、ラムダ・ドライバを用いて空中を飛翔する事も可能。
他にもレナードの能力とラムダ・ドライバの併用により常識外れの機動が可能で、相良宗介の駆るアーバレストをいとも簡単に大破させた。 - Plan1211 アラストル
人間サイズで自律行動を行う、対人攻撃用の非常に特殊な無人AS。作中では主にレナード・テスタロッサのボディーガードとして身辺警護を行っている。
小さくても元がASである為、歩兵用の銃火器での破壊は困難で、相良宗介は「強力な特殊弾頭や50口径クラスの弾でなければ倒せない」と判断している。また、必要な時は自爆しておよそクレイモア地雷一個分の対人殺傷用ボール・ベアリングを撒き散らす。加えて、データリンク機能を有している他、ある程度の学習能力まで持ち合わせている。
但し、あくまでも対人用なので、重火器やAS、戦闘車両等に対しては無力である他、「人型」故に関節部が脆弱で、関節部に正確な射撃を受けると行動不能になる事も(これは通常サイズのASにも言える事)。
尚、高度な自律判断能力を可能にしたプログラムはウィスパードであるレナードの天才的な頭脳によるもので、非常に限られたデータ容量の中に様々な想定や状況へ柔軟に対応する能力を持っているが、同じものを組み上げる事は同じウィスパードであっても不可能だったと、短編9巻で語られている。
ちなみに本編終了後、ミスリルにより撃破された複数のアラストルの部品を元に1機がレストアされており、アルの義体として使用されている。 - Plan0601 リヴァイアサン
正確には水中戦闘機だが、魚雷などの装備の他にASと同様の腕を持ち、敵艦に取り付いて単分子カッターで格闘戦を仕掛ける事も可能。イメージ的には、『星方武侠アウトロースター』に出てきたグラップラーシップの水中版と言った所か。
その他
- Rk-92 サベージ
何かと登場する機会の多い東側諸国の第二世代主力AS。カエルのような外見、卵型の胴体が特徴。主人公・宗介が人生で初めて搭乗した機体(初期型のRk-91)。ちなみにサベージはNATOコードネームで本来はリーヴェニ(Ливень:暴風)だが作中でこの名前はほぼ使われない。
価格が安いことや耐久性が高いことから紛争地域や内戦国で多く見かける他、テロリストによって頻繁に使用されるという、アサルトライフルのAK-47のような機体である。 - Zy-98 シャドウ
ソ連製のRk-92 サベージの後継に当たる第三世代型AS。アナザーでは同機の量産型としてZy-99(の輸出用モデル)が登場している。 - C3-5 ミストラルⅡ
フランス製の第二世代型AS。頭部が無いという特徴的な外観を持つ。ベストを着込んだM6のようなシルエットで、股間にセンサー類が集中している。 なお、2011年8月2日のニコニコ生放送において、原作者である賀東氏の口から『C3-5という制式番号は色指定番号の誤植』であることが暴露された。 → C3-5事件 - 96式
日本の陸上自衛隊が所有する第二世代AS。性能としてはサベージ、M6と同等かそれ以上で、正規軍が実戦配備しているASとしては世界でもトップクラスらしい。ただし、防御重視の設計は開発コンセプトが世界の流れから乖離しており、作者曰く「納税者は怒っていいレベル」の機体とも。
私見だが「陸自空挺AS部隊はこの重量級ASでネコの額みたいな訓練場に空挺降下を成功させる」と信じてる。
東京の有明にベヘモスが現れた際に三機編隊で迎撃に向かったがあえなく撃破されてしまう。一期のアニメオリジナル回でも登場する。 - M9 ガーンズバック(米軍仕様)
米軍のデルタフォースへ極秘裏に配備されたA系列の機体。頭部形状や装甲配置などがミスリル仕様とは異なる。 - ドラッヒェ
ドイツ製の第二世代AS。装甲防御を重視した機体。 - サイクロン
イギリス製の第二世代AS。英国面溢れる独特な仕様が祟ってか不具合が多発し、欠陥機、駄作機と散々な評価。
フルメタル・パニック!アナザーの登場機体
PS(パワースレイブ)
- PS550-4V ダイダラ
日本の小松製作所製造のPS。重機の操縦席に機械の手足を付けたような外観。それまでAS技術が転用された機械がコスト的な問題で本格的な普及に至らなかった中、00年にこのモデルを発売して以来、国内の6割のシェアを持つ爆発的ベストセラーとなった。また輸出も好調らしく、安価なダイダラは海外でもベストセラーにというか一人勝ちに。小松製作所によるフル油圧の制御周りは変態的だそうな。
モデルによっては車輪による自走形態への変形機能を有しているが、構造が複雑で壊れることが多い様子。このため市ノ瀬建設では自走ではなくトラックでの輸送を行っている。動力源はディーゼルで、アーム部分の換装で様々な作業に投入することができる汎用性の高い重機である。
達哉の父親が切り盛りする市之瀬建設では、早くからダイダラを購入しており、独特のコネ(美樹原組)もあってか零細企業ではあるものの他と比べればマシな仕事を多く請負えている。 - エイプ E50
アメリカ製のPS。 比較的安価な事から世界的にベストセラーになったダイダラの一人勝ち状況が続く中、世界各社の安価なモデルもリリースされつつあり、この機体は後発組の中では比較的成功したモデルとされている。全米各地の山岳消防隊、州軍の工兵部隊にも採用。軽快な動きを誇り、ダイダラを超えるパワーを持つものの、燃費と故障率では劣るアメリカンな機体。側面と後方視界に難があるそうで、補助ミラーがゴテゴテ付いた状態で運用されているのがデフォらしい。アナザー開始時点で既にE52という改良モデルに生産が切り替わっている。形は某ザブン○ルに出て来る脇役メカのオマージュだそうな。 - タイニー・サベージ
外観はRK-92 サベージそっくりだが、中身はPSのハリボテ機体。主要先進国ではAS所有に様々な制限があるため、ホビー用にこのようなスポーツ用PSが製造されている。ぶっちゃけ金持ちの道楽用。因みにツーソン・インスツルメンツ社製である。
ベースは米ヘルキャット社のG80というPSをベースに、ディーゼルから競技用エンジンに換装、マッスルパッケージなどをカスタマイズしてある。 外装はFRPやカーボンファイバーなので防弾性はまったくない。PSでありながらいい音で速く走る(時速80km/h)のだが、それで一体何がしたいのかさっぱりわからない機体と紹介されている。
AS(アーム・スレイブ)
- Zy-99M シャドウ(輸出仕様)
ソ連のゼーヤ設計局が開発した第三世代AS、Zy-98 シャドウの量産モデルがZy-99であり、99Mはその輸出向けモデル(モンキーモデル)である。スマートなシルエットとヒーロー然とした頭部のイケメンASで、第三世代ASの標準的コンセプトである「撃たれる前に撃つ」に則った機体である。
輸出モデルは政治的理由から標準モデルと異なり動力炉などがダウングレードされているのだが、旧東側諸国の兵器メーカーはそれを補うアップグレードキットをこぞって開発しており、ロシア共和国運用の標準型からは劣るとはいえ、多種多様な性能向上型の99Mが数多く運用されている。その事から米国は第三世代ASの拡散を懸念しており、陸軍のM9A2型の調達プログラムに少なくない影響を与えている。
尚、D.O.M.S.が所有している機体は外観こそZy-99Mだが、内部はロシア標準と同型のパラジウムリアクターへ換装した事に加え、かき集めた純正部品と独自の改造によりロシア本国製Zy-99と遜色ない性能を有している。ただし、リアクターの件は社外秘であり通常時はリミッターをかけて運用している。数奇な出会いから、達哉が初めて乗り込むことになったASでもある。詳しくは、Zy-98 シャドウの項目を参照。 - M9 ガーンズバック
米国製の第三世代ASだが、かつてミスリルが運用していたE系列とは異なる開発系統(A系列)の機体。D.O.M.S.は無印モデルの他、各種バリエーション機体の殆どを保有している。配備から十数年が経過した現在も世界最高水準のASと言われているが、賀東氏曰く「ガッカリM9」、ファンの間では「コレジャナイン」、作中の人物には「デブ9」と呼ばれている。バリエーション機も含め、詳しくはM9 ガーンズバックの項目を参照。 - M6 ブッシュネル
十数年経った今も、サベージと同じく世界中で運用されている第二世代AS。米軍ではM9の配備開始以後も、配備数や予算の問題からM6A1/A2とその派生機体が未だ主力として運用されている。アナザーでは標準的M6の他、火力支援機体であるM6A2E2などが登場している。別途、M6 ブッシュネルの項目も参照されたし。所で、標準的M6のスペックデータって、 まだ公開されてないよね? - AS-1 ブレイズ・レイヴン
日本初の国産第三世代AS。肩鎧をつけた鎧武者のようなシルエットの、世界的にも類を見ないロックな特殊機能を搭載したAS。一号機はブルーを基調、後に完成した二号機は赤を基調としたカラーリング。
十数年前に起きたお台場でのベヘモスによる大規模破壊テロ事件(フルメタ本編、ONS)に端を発し、為す術もなく撃破されてしまった96式の改修計画と並行して開発が開始された経緯がある様子。M9輸入論やライセンス生産論、はたまたパラジウムリアクターが非核三原則に抵触するのではないかなどの様々な障害を乗り越え、11式主従機士(日本での公式文書ではASを「主従機士」と記載する)として調達開始まであと一歩と迫った所で事件が勃発。関係した官僚や自衛官が次々と閑職へおいやられ、計画が凍結させられてしまう。その最中、国産第三世代ASの生産・配備を強く願う人々がストック済みの部品をかきあつめて完成させ、裏ワザのような経緯で(政治的にはシロと判断された)D.O.M.S.に「重機」扱いで預ける事となった。達哉は初めての戦いを含め、AS-1に関連する事件へ深く関わる事となる。
魔改造発展の余地がある頑強なフレーム構造に、標準的な他国の第三世代ASと比べて余力の大きいパラジウムリアクターを搭載しているが、装甲防御力は96式改より低く、機体重量も重いため最大跳躍高も低い。その事から設計がちぐはぐだとも言われている。通常ASとしての機動性能は他の第三世代ASに劣るが、あるロッケンロールな機能が既存ASの常識を覆す機動を可能にしているため、今後も含めて未知数の機体である。
そして登場以降、達哉達の活躍により得られたデータに開発者達の鼻息も荒くなり、2号機の改修以降、バリエーション機体が開発者達の手弁当で組み上げられ、達哉達の下へ届けられている。
尚、一巻最後で公募され、名前が決定された初めてのASでもある。起死回生の策として、D.O.M.S.へ機体を預ける計画を立案した霧ヶ谷議員は、サムライ・イレブンという名前を推していたが、そうならなくて幸いである。 - 96式改
日本における国産第二世代ASの改良型。元々の96式がM6を原型に防御力を重視した機体であったが、機体開発時の技術不足(マッスルパッケージの性能不足など)は、様々な箇所で防御重視のコンセプトとのミスマッチングを引き起こし、納税者は怒っていいレベルの機体とも言われていた。
十数年前に発生したお台場の巨大ASテロ事件をきっかけに改修計画が開始され、マニピュレータを3指→5指化、西側ASとの火器共通化、ECSの高度化や短時間の無音行動を可能にする大型コンデンサの搭載など、様々な改修が施された結果、(第三世代の登場で時代遅れではあるが)非対称戦の対応が重視されている機体の中でも、米軍のM6A3<ダークブッシュネル>に匹敵する、第二世代ASの中ではトップクラスの性能を持つとされている。機体詳細については原型となったM6 ブッシュネルの項目を参照。 - Rk-92 サベージ
世界的にも有名な第二世代ASのベストセラー機。作中、セガール主演の映画において素手で破壊されたとのこと。セガールなら仕方ないね。
D.O.M.S.は、初期型であるRk-91の輸出仕様というレア機体も有している。機体詳細についてはRk-92 サベージの項目を参照。また7巻においては全体改修されたRk-96bis<サベージ2>も登場した。 - Rk-02 セプター
サベージを開発したリャカ設計局の手による、第三世代AS。便宜上は第三世代に分類はされているものの、従来のそれらが重視した機動性やステルス性は程々の所で妥協し、装甲防御力、拡張性、行動時間といった部分を重視しており、重厚で特異な外観も含め重AS、ヘビー級ASとも言われる機体。
最高自走速度は他の第三世代ASに劣るが、瞬発力では十分な性能を有している。使用技術は第三世代ASのそれと同じだが、設計思想が大幅に異なるため、サベージの持つコンセプトを最新技術で拡張・大型化したモデルと、アナザー巻末では紹介されている。機体の整備性の高さ、行動時間の長さ、サベージが評価された環境への堅牢性と言った点から、ポテンシャルはZy-99以上とも言われている。賀東氏曰く「ボスガエル」。
ただし、先にZy-99Mが販売開始されていた事や、配備開始時点でソ連崩壊が起こった事、サベージを主な戦力とする勢力にはセプターの性能は過剰であること、またRk-96bis<サベージ2>の登場の影響もあってか、サベージは売れるのにセプターは販売実績が芳しく無いというジレンマに悩まされているらしい。 - サイクロン2
2000年頃から配備が開始された、イギリス製の第二世代AS。同じく同国製第二世代ASであるサイクロンの後継機で、外観は殆ど変わっていない。正面は細身、横からは重厚という戦闘ヘリのようなフォルムが特徴。第二世代AS標準の約半分程の出力のガスタービンエンジン二機を搭載し、状況や被弾にあわせ片方だけの作動といった切り替えも可能な英国面独特の設計思想溢れる機体である。
サイクロンでは独特の機体仕様が祟ってか数多くの問題があったが、このサイクロン2ではその指摘された欠陥の殆どが解消されている。 - ヴォルフ
ドイツ製の第三世代AS。同じくドイツ製の第二世代AS<ドラッヒェ>と同様に、設計段階から装甲防御力を重視した機体。カタログスペックではM9A1<アーマード・ガーンズ>がやや上回る程度だが、独特の下半身設計による機体安定性や高精度のFCSによる機動射撃性能、豊富なデータによる格闘モーションの数々といった要素も含め、非対称戦重視の防御力を持つASの中では、総合力では大きくM9を上回ると評価されている。模擬戦や演習の性能から、米軍兵士は「狼(ヴォルフ)ではなく、剣士(ソーズマン)だ」と言われていると、アナザーの巻末では語られている。
総合バランスも含め非常に評価の高い機体ではあるが、最大のネックはZy-99Mの四倍近くに及ぶ機体価格。整備にかかるコストも多額であることから、世界各国のASを取り揃えるD.O.M.S.ですら購入を躊躇う程である。コストに加え輸出基準が非常に厳しい事もあり、輸出成績はよくない模様。アラビア半島の新興国、ラシッド王国では王家専用ASとして8機程度が納入されており(購入と運用費用は国庫ではなく王家の私費。つまりは私物)、ドイツ兵器然とした機体に儀礼用の装飾が施され、一見別の機体に見える程の異なった印象をを受ける外観となっている。
因みに、ドイツではASの事を「マシーネン・イェーガー(機械化猟兵)」と呼ぶこともあるそうな。 - ミストラル2
フランス製第二世代AS。頭部の無い独特の外観をした、装甲車両に手足が付いたような姿をしている。各部のモジュール化や、なんと各種装甲車両との部品共通化などがされており、運用が楽な機体と紹介されている。
運動性能はサベージに引けをとらず、装甲防御や電子兵装では上回っており、機体も比較的安価な事からサベージ、M6に次ぐ輸出実績を持つ。尚、政情不安の国にもよく輸出されていたりするので人道的見地から槍玉にあげられる事もあるそうな。本国仕様はガスタービンエンジンだが、輸出用モデルにはディーゼルエンジンのモデルもあり、そちらは自重や運動性能で劣るものの、ガスタービンエンジンを取り扱うには整備技術的に困難な国が採用している。 - アルカンシェル
フランス製第三世代AS。頭部のないシルエット、防御重視の装甲レイアウトなど、ミストラル2の設計思想が受け継がれている後継機。フランス陸軍ではASを一貫して「装甲車両の一種」 として運用しており、近接戦闘などは優先されていない。
伸縮式のペリスコープ、兵装選択用のサブアームを標準搭載。このサブアームでも火器の使用は可能となっている。因みに人型には拘っていないためか、開発当初には4脚のプランもあったらしい。かつてのXM4やM6登場時の「潜在的脅威」としてのASの特性を重視しており、待ちぶせと一撃離脱に特化している。
搭載のパラジウムリアクター「EPR-3」は小型軽量で扱いやすい事から、ガスタービンエンジンよりも運用が楽とされており、軍用のパラジウムリアクターを開発する余力の無い国のASに数多く採用されている。2.5世代と呼ばれる各種マイナー機体に搭載されているという設定なので今後に期待したい所。
尚、賀東氏曰く当初デザインでは「股間にキャノン」を付けるか否かで大分悩んだらしいが、他のデザインそっちのけで目がうつるという事で今回は自粛したそうな。別に「戦闘車両扱いなら別装備」で股間から伸びる大砲でいいんじゃないかと思うのは俺だけか。 - CA140 ゴブリン
スウェーデン製の第2.5世代AS。製造はボルボ。
第三世代機と同様にパラジウムリアクターを搭載し、電気駆動方式を採用してはいるが、補助的にターボディーゼルエンジンと油圧駆動系を搭載するため、便宜的に第2.5世代機として扱われる。2系統合計の出力は第3世代機に勝るとも劣らないが、油圧系などの重量を抱えているため運動性は劣る。むしろこの高出力は作戦行動時間に大きく影響しており、240時間というASとしてはトップクラスの継戦能力を誇る。
ちなみにこのような方式が採用されたのは、万が一パラジウムリアクターが使用不可能な状況になったとしても、最低限の攻撃と撤退を可能とするため。寒冷地や山岳地帯といった過酷な環境での戦闘を想定しており、仮想敵機として想定されたサベージを思わせる部分が見られるのが外見上の特徴。 - ケントゥリア(ネタバレにつき反転)
ジオトロン社によるカエサル・プロジェクトによって生み出された、経験共有を行う”インペリウム・ネットワーク”と成長するAIを有する無人AS群。性能的には第三世代ASに属するが、不可視ECSの搭載の他は詳細は不明。十字の頭部センサが特徴的。ケントゥリアとは、古代ローマにおける兵単位、百人隊の意。M9A3に搭載されていたテイマーシステムのようにベテランパイロットのモーションマネージャーに記録された動作を再現するだけでなく、熟練兵士並の判断力を持たせる事に成功している。 - レガトゥス(ネタバレにつき反転)
同じく カエサル・プロジェクトによって生み出された、有人仕様の指揮官機。レガトゥスとは、古代ローマにおける百人隊(ケントゥリア)を束ねる軍団長の意。どこの国とも異なるシルエットと、特徴的で不気味な一つ目を有する。登場当初は巻末でも正体不明のまま<ミハイロフのAS>として紹介されていた。インペリウム・ネットワークに接続されており、オペレータが搭乗していなくても自律行動が可能。
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