アーリング・ハーランド(Erling Braut Håland、2000年7月21日 - )とは、ノルウェー人のサッカー選手である。
イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティFC所属。サッカーノルウェー代表。
日本では、エーリング・ホランド、アーリン・ホーラン、アーリング・ブラウト・ホーランドといった表記ゆれがある。本人の発音としては「アーリン・ホーラン」。
概要
国籍はノルウェーだが生まれたのはイングランドのリーズ。父親であるアルフ=インゲ・ホランドもリーズ・ユナイテッドやマンチェスター・シティなどでプレイしたプロサッカー選手であり、ハーランド最大のロールモデル。ノルウェー代表として94年W杯に出場している。現役時代にロイ・キーンとやり合った因縁を持つ。また、母親と祖母が元陸上選手というアスリート一家で生まれ育つ。
憧れの選手はスウォンジーなどで活躍したミチュ。注目してる選手はキリアン・エムバぺ。
高さ、パワー、スピード、テクニックを高いレベルで兼ね備えたストライカーであり、得点パターンの引き出しの多さが特徴的で驚異的な決定力を持つ。若くして規格外の怪物ぶりを発揮しており、フランス代表のキリアン・エムバペと共に次世代のサッカー界のスーパスター候補とされている。
2019年に開催されたU-20W杯のホンジュラス戦で一試合9得点を記録し一躍脚光を浴びる。2021年1月からボルシア・ドルトムントに移籍するとデビュー戦でハットトリックを達成する伝説を作り、2020-2021シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでは8試合で10ゴールを記録し、20歳にして得点王に輝いている。
2022年にプレミアリーグのマンチェスター・シティへ移籍し、親子二代でシティでプレーすることになる。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/an_Hermes523/status/1135693244703027200
経歴
生い立ち
父親がプレーしていたイングランド北部の街リーズで一家の次男として生まれる。3歳まではイングランドで過ごしていたが、2003年にロイ・キーンの報復タックルによって膝に大怪我を負い、早期の現役引退を余儀なくされたことで所属していたマンチェスター・シティを退団。それに伴って家族でノルウェーのブリンに移住することになる。
幼少期の頃から活力に溢れた子供であり、サッカーだけでなく、陸上競技、ハンドボール、クロスカントリーもプレーしていた。5歳のときには、非公式ながら垂直飛びの5歳児の世界記録を残したという逸話がある。また、ハンドボールでも5歳以下のカテゴリーでは国際的な記録を何年も保持し続けており、幼少の頃からすでに規格外だった。
ブリンFK
地元のクラブであるブリンFKの下部組織に所属し、5歳のときに2回ボールタッチしただけでゴールしてしまうなど、優れたボールコントロールと並外れたシュート精度を幼くして持ち合わせ、神童ぶりをすでに発揮。子供の頃から睡眠、食事、トレーニングにおいて自身の向上にもっとも最適なものを選択するトップアスリートのような振る舞いをしており、高みを目指したストイックさが功を奏し、順調に実力をつけていく。やがて、当時ブリンのユースチームの監督だったアルフ・イングウェ・ベルンセンから才能を高く評価され、年上のカテゴリーでプレーするようになる。
2015-16シーズンに4部チームに所属するセカンドチームであるブリンFK2において14試合で18得点を記録。コーチの進言もあって2016年5月に15歳でトップチームに昇格し、2部リーグでプロデビューを果たす。しかし、まだ体が成長していなかったこともあって体格差で歯が立たず、プロ1年目は16試合に出場しながら無得点に終わっている。また、この頃ドイツ・ブンデスリーガのホッフェンハイムのトライアルに参加したが、やはり体格で劣ってしまい不合格となっている。
モルデ
2017年2月1日ノルウェーの1部リーグであるモルデFKに移籍。移籍後初出場となった4月26日のノルウェー・カップで公式戦初ゴールを記録している。この活躍によってオーレ・グンナー・スールシャール監督からの信頼を得たことで出場機会を増やすようになるが、負傷によって長期離脱を余儀なくされる。もっともこの離脱期間に見違えるほど身長が伸び、186cmだった父を超える体格に変貌していた。
復帰後は課題だった高さとフィジカルが逆に武器となったことでストライカーとしての才能が開花。2018年7月1日のSKブラン戦では、開始21分の間に4ゴールを奪う離れ業をやり遂げており、規格外の才能を見せ始める。この頃からすでに各国のスカウトから注目されており、2018年シーズンでは25試合に出場し12得点4アシストを記録している。
ザルツブルク
2019年1月1日オーストリアの強豪FCレッドブル・ザルツブルクへの移籍が決定。このとき、レッドブルグループの開発部門責任者であるラルフ・ラングニックが個人的に交渉をおこなっている。また、当時在籍していた南野拓実とチームメイトとなる。
最初のシーズンはわずか2試合のみの出場となったが、監督にジェシー・マーシュが就任した2019-2020シーズンから本領を発揮。開幕4試合で8得点を奪う怪物ぶりを見せると、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)では初戦のKRCヘンク戦でハットトリックを達成。第2節では王者リヴァプールを相手にゴールを奪い、グループリーグだけで8得点を記録。リーグ戦も前半戦だけで16得点を奪い、ビッグクラブによる争奪戦が始まる。
ドルトムント
2020年12月29日ドイツの名門ボルシア・ドルトムントへの移籍が発表される。すぐさまクラブに適合し、移籍後初出場となった2020年1月18日のアウクスブルク戦で途中出場でハットトリックという規格外のデビューを飾る。その後も、驚くべきゴールラッシュを見せ、リーグ戦とカップ戦4試合で8得点を記録した初めてのブンデスリーガ選手となった。なお4試合のうち3試合が途中出場である。リーグ戦ではシュート8本で7得点を奪い決定率は87.5%を叩き出した。2月19日のCLラウンド16 1st legでもパリ・サンジェルマンを相手に2ゴールを決め、CLシーズン二桁ゴールを達成。2月22日のブレーメン戦で19歳にしてシーズン40ゴールを記録。加入して半年ながら2019-20シーズンのブンデスリーガの得点数はチーム2位の13得点。一躍、次世代のスター候補として注目されるようになる。
2020-2021シーズンからは背番号が「9」に変更され、ドルトムントのエースストライカーとしての期待を背負うことになる。2020年11月21日には最も印象的な活躍をしたU-21世代に贈られるゴールデンボーイ賞を受賞。2年目となるシーズンもブンデスリーガ開幕戦のボルシア・メンヘングラッドバッハ戦で2ゴールを決めるなど、攻撃の中心として活躍。11月21日のヘルタ・ベルリン戦では4ゴールを奪う大暴れを見せ、8試合目の時点で2シーズン連続二桁ゴールを達成。2021年5月13日のDFBポカール決勝レッドブル・ライプツィヒ戦では2ゴール1アシストの活躍により、自身キャリア初となるタイトル獲得を実現させる。CLではチームはベスト8で敗れたものの、8試合で10ゴールを記録し、2シーズン続けての二桁ゴールを達成。さらに、大会史上最年少となる得点王にも輝く。
2021-2022シーズン最初の公式戦となったDFBポカール1回戦では3部のヴェーエン・ヴィースバーンを相手にハットトリックを決めれば、2021年8月14日の開幕戦フランクフルト戦では2ゴール3アシストという圧巻の活躍ぶりを見せる。ところが、9月に筋肉系のトラブルで離脱すると、10月に入って股関節の負傷によって再び戦線を離脱。年内絶望の長期離脱が報道されたが、11月27日のヴォルフスブルク戦で復帰すると、すぐにゴールを決め、ブンデスリーガ史上最速&最年少での通算50ゴール到達を達成する。年明けのシーズン後半戦も筋肉系の負傷に苦しみシーズンの半分近くを欠場となる。それでも24試合22得点と驚異的な数字を残すが、他の強豪クラブへの移籍話が過熱化するようになる。
マンチェスター・シティ
2022年5月11日、父親の古巣でもあるイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティFCに7月1日付けで加入することが発表される。背番号は「9」。移籍金は5100万ポンド(約82億円)とされている。
公式戦初出場となったリヴァプールFCとのFAコミュニティ・シールドでは不発に終わるが、8月8日のプレミアリーグ開幕戦ウェストハム戦では2ゴールを決めて勝利に貢献し、鮮烈なプレミアリーグデビューを果たす。8月23日の第4節クリスタル・パレス戦では後半だけで移籍後初となるハットトリックを達成する。さらに8月31日の第5節ノッティンガム・フォレスト戦では2試合連続ハットトリックという偉業を成し遂げ、プレミアリーグでも怪物ぶりを遺憾なく発揮する。9月3日の第6節アストン・ヴィラ戦でもゴールを決め、開幕6試合で二桁得点に到達するというプレミアリーグ新記録を樹立する。9月14日のCLグループステージ第2節では早くも古巣ドルトムントとの対戦が実現し、アクロバティックなジャンピングボレーによる逆転ゴールを決める。10月2日のプレミアリーグ第10節マンチェスター・ユナイテッドとのマンチェスター・ダービーでは、リーグ戦8試合目にしてシーズン3度目のハットトリックを成し遂げる。12月29日の第17節リーズ・ユナイテッド戦で2ゴールを決め、14試合目にして20ゴール到達というプレミアリーグでの最速記録を自身の出生地で成し遂げる。
ノルウェー代表
イングランド代表としてプレーする資格も持っていたが、代表はアンダー世代からノルウェー代表を選択。U-15から各年代のノルウェー代表に選ばれており、U-20代表としてポーランドで開催されたFIFA U-20ワールドカップ2019に出場。2019年5月30日のホンジュラス戦では、前代未聞の1試合9得点という圧巻の記録を作り出す。チームはグループステージで敗退となったが、この1試合のみで大会得点王を獲得。
フル代表には、2019年9月のEURO2020予選で初めて選ばれ、5日のマルタ戦でデビューを飾る。2020年9月4日のUEFAネーションズリーグ(UNL)のオーストリア戦で代表3試合目にして初ゴールを決め、続く8日の北アイルランド戦では2ゴールの活躍を見せる。しかし、EURO2020ではプレーオフで敗れ、本大会出場を逃し、2022 FIFAワールドカップ欧州予選でも終盤戦まで可能性を残したものの、自身が怪我で離脱していた最終節でチームは失速し、グループ3位に終わったことで本大会への切符を逃している。
個人成績
シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
---|---|---|---|---|---|
2016 | ![]() |
ブリン | アデコリーガエン | 16 | 0 |
2017 | ![]() |
モルデ | エリテセリエン | 14 | 2 |
2018 | ![]() |
モルデ | エリテセリエン | 25 | 12 |
2018-19 | ![]() |
ザルツブルク | Aブンデスリーガ | 2 | 1 |
2019-20 | ![]() |
ザルツブルク | Aブンデスリーガ | 14 | 16 |
![]() |
ドルトムント | ブンデスリーガ | 15 | 13 | |
2020-21 | ![]() |
ドルトムント | ブンデスリーガ | 28 | 27 |
2021-22 | ![]() |
ドルトムント | ブンデスリーガ | 24 | 22 |
2022-23 | ![]() |
マンチェスター・シティ | プレミアリーグ |
プレースタイル
190cmを超す巨躯だが身のこなしは軽く、時速36kmを計測したこともある。フィジカルも強いうえにボールテクニックにも優れている。ハイボールでの競り合いに強く、フィジカルコンタクトでも他を圧倒できるうえ、スピードもあり、後方から来たボールをファーストタッチでしっかりと収められ、ポストプレーやサイドに流れてのクロスなど周りを使う術まで長けているまさに「強い・速い・巧い」の三拍子揃った万能型のストライカーである。
基本的にズラタン・イブラヒモビッチやロベルト・レヴァンドフスキのように中央にどっしり構えるタイプのセンターフォワード。身体能力の高さを活かしたヘディングシュートや左足でのパワフルなシュートと同時に繊細なボールタッチによるコントロール系のシュートも得意としている。オフ・ザ・ボールの動きもしっかり計算されており、DFの背中に入って視野の外から裏を取るクレバーな動きも特徴的。つまり、フィジカルとインテリジェンスを兼ね備えたストライカーである。
また、前線からの守備にも献身的に参加し、相手のパスコースをカットしながらプレッシングをかける技術も会得している。かといって守備にエネルギーを使いすぎないようにペース配分をしっかりと計算している。その反面、攻撃から守備への切り替えの場面でややスプリントが遅れがちになることもある。
人物・エピソード
父親が現役時代に活躍したリーズ・ユナイテッドのサポーターであることを公言している。
憧れの選手として元スペイン代表のミチュの他にズラタン・イブラヒモビッチやクリスティアーノ・ロナウドの名前を挙げている。
18歳当時に在籍していたモルデのコックからは「私はハーランドほど食べる男を見たことがない。彼は熊のようだった。」と言われるほどの大食い。いつもキッチンに入ってきて、豆入りのミートボールを探していたらしい。
ゴールを決めた際、あぐらをかいて座り目を瞑って瞑想するような独特なゴールパフォーマンスが有名。
関連動画
関連商品
関連リンク
関連項目
- 0
- 0pt