概要
アーリーアクセス(Early access)とは、ソフトウェアやWebサービスのリリース方法の一種である。国内では「早期アクセス」とも表記され呼ばれている。その手法でリリースされた製品は「アーリーアクセス版」「早期アクセス版」ほか形式形態によって「アルファ版」「ベータ版」「テスト版」「リリースカレント版」・・・などとも呼ばれる。近年ではビデオゲームの開発にもよく導入されており、有名な例では「Minecraft」が挙げられる。
- 一般的な製品リリースまでのおおまかな流れ
- アーリーアクセスの場合
開発途中のバージョンを公開することで開発資金の獲得やユーザーからのフィードバックを得るために行われる。ユーザー側には新しい製品やサービスをより早く確かめること、また自身のアイデアを提供するなどして開発に参加することができるという利点がある。
また、オンラインゲームサービスなどにおいては、クライアントのバグや問題の検証を前提にしたものではなく、正式サービスの開始よりも少し早くログインできる「早期ログイン」や「ベータテスト」などのサービスのことを指して呼ばれることもある。ごく一部の希望者を募って限定的に稼働させる形式を「クローズドベータ」、ほぼ一般的に公開し正式の仕様に近いテスト版を「オープンベータ」と呼ぶ。こちらでのアーリーアクセスとは、予約購入者向けのサービスや他の人よりも少しでも早くスタートしたいというユーザーへの製品オプションも兼ねている。
留意点
当然であるがアーリーアクセス版はいわば未完成の状態であるため、検証されていない未知のバグや問題を抱えていることが多い。完成品になるまでは開発者によって異なるが数年はかかると考えた方が良いだろう。参考として、「Arma3」は半年間、「Wasteland 2」と「Planetary Annihilation」は1年、「Minecraft」は3年ほど、「Overgrowth」に至っては9年弱かかっている。
また、アップデートの延期、ロードマップの縮小など当初の予定が変更されることや、極端な例では「一年以上アップデートが無い」「何ヶ月も開発者と連絡がとれない」といったような実質開発中止の状態になってしまうこともありうる。アーリーアクセス版のゲームの販売を行っているゲーミングプラットフォームのSteamでは「完成させられないチームもある」という一文が掲載されている(参考:早期アクセスゲーム
)。
そういった理由からコミュニティ上では、しばし「未完成版」「有料体験版」などと呼ばれ、未完成であること、問題点があることに不満を感じたユーザーによる否定的な意見が外部コミュニティに投稿されてしまっていることも珍しいことではない。もちろん、不具合やバグの報告、現状の不満などは製作者への次の改善するべき要素として参考になってアーリーアクセスの意義を果たしていることになり、そしてアーリーアクセスの結果、不具合が放置されたり、完成版ができないことはアーリーアクセス自体の信用を失墜させる行為であり、参加した人達の期待を裏切った製作者は非難されるべきであるのも事実である。
基本的に内容が保証されている一般的な製品と違い、アーリーアクセスでは「この製品は開発中です」といったようなメッセージによる前置きがあったり、アーリーアクセスであることの同意を明記する規約・チェック項目などがある場合が多い。大まかに言ってしまえば、製品の購入というよりもクラウドファウンディングに近い開発者への投資と考えた方が良いかもしれない。もちろん投資である以上開発に口を出すのは当然となるが。
つまるところ、アーリーアクセス版の購入は基本的にユーザー側の同意によるものである。開発への参加に意欲的ではない、問題があることに我慢できない場合は正式版が出るまで待つのが一番だろう。
そして、アーリーアクセスはユーザーのフィードバックによる完成を前提としたものである。バグを見つけた場合や不満を感じたり改善して欲しいと感じた箇所は積極的に専用のフォーラムなどで開発者に伝えることが望ましい。よその掲示板で文句を言うのは場の空気を悪くしてしまうだけなので慎みましょう。
アーリーアクセスの導入例
参考: List of Steam Early Access games, List of video game crowdfunding projects
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関連項目
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