『イカゲーム』とは、Netflixで配信されている大韓民国のドラマである。
概要
社会の支配層によって闇で開催されている「勝者は莫大な金を手にできるが、敗者は命を落としてしまう」勝ち抜きゲームに参加してしまった主人公や周囲の人間の悪戦苦闘を描いた作品。いわゆる「デスゲーム」もの。
テレビドラマなどの再配信ではなく、Netflixで配信するために制作されたオリジナル作品である。全9話。
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https://twitter.com/NetflixJP/status/1438683372755492864
2021年9月17日に放映開始されるや否や、数日中にアメリカ合衆国のNetflix番組ランキングでトップに到達する(韓国ドラマで初)[2]など、世界各国でかなりの人気を集めた。Netflix社がヒットの視標とする「配信後4週間の視聴数」において1億4200万世帯を超えたとのことで、これはそれまでの1位だった『ブリジャートン家』が8200万世帯だったことを考えると破格の数字であり、同社の業績にも好影響をもたらしたという。[3]
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第1話で行われる「だるまさんがころんだ」に似たゲームに使用される不気味で巨大な女の子の人形はそのインパクトからこの作品のアイコン的な存在にもなっており、プロモーション活動として実際に制作された例もある。
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https://twitter.com/NetflixJP/status/1440630956168204288
タイトルについて
韓国語の原題は『오징어 게임』。ハングルの発音はカタカナ転写が難しいが、紹介記事などでは「オジンオ ゲーム」と転写している例が多いようだ。
「오징어」(オジンオ)は「イカ」の意味で、「게임」(ゲーム)はそのまま「ゲーム」の意味。作中にも登場する、韓国に昔からある子供の遊びを指している(イカのような図形を地面に書いて、そこをゲームフィールドにする)。つまり『イカゲーム』とは原題を日本語に直訳したものである。
英語版でも直訳の『Squid Game』と訳され、英語圏以外であってもこの英語タイトルが採用されている国もある。その他、スペイン語で『El juego del calamar』、中国語で『鱿鱼游戏』(簡体字)または『魷魚遊戲』(繁体字)など、やはり多くの言語で「イカゲーム」という意味の直訳タイトルになっている。
ゲームについて
関連動画やTwitterの動画をみれば分かると思うが、子供の遊び(イカゲーム)という名とは裏腹に、その実態はデスゲームそのもの。鬼が見ている間にわずかでも動いたらセンサー感知で射殺される「だるまさんがころんだ」や制限時間内のくり抜きに失敗すると殺される「タルゴナ(カルメ焼き)の型抜き」など、命をかけ(させられ)るものばかりである。 トップにある賞金額は、脱落(死亡)した人数1名につき賞金1億ウォンが積まれていくという意味。
上述のルールに基づいて参加者全員の意思と投票によるゲーム放棄を行うこともできるが、その場合賞金は脱落した参加者の遺族へと送金され、参加者は1ウォンも手に入れることなく手ぶらで帰ることになる。投票結果は全員の意思決定であるため、投票結果が「残留」だった場合はもう関わりたくない参加者も引き続きゲームをやらされることになり、投票結果が「放棄」となった場合はゲームを続けたい参加者も揃ってゲームを辞めさせられることになる。
参加者は、借金などで人生を転落した人が多く集められており、死のリスクを抱えながら賞金を狙うか、生きながらえて普段の借金に追われる生活に戻るかを選択することになるが……
ゲームスタッフはすべて、ピンクのツナギ + 顔に□△○のマークが付いた黒マスクをかぶっており正体は不明。スタッフはハンドガンやサブマシンガンで武装しており、参加者の行動を近くで監視し、参加者のゲーム達成を確認したり脱落者の処理(抹殺)を行う役目を持っている(ただし正体を知られたスタッフは秘密保持のため参加者と同様に処理される)。
なおフロントマン(支配人)と呼ばれるゲーム運営者のスタッフのみ黒コート + マークのない黒マスクを付けており、別格扱いの存在となっている。
日本の作品からの影響と、本作の特徴
上記のあらすじを聞いて「それって『カイジ』とか『LIAR GAME』のような日本の作品に似てないか?」と思った人もいるだろう。
本作の監督であり脚本も務めたファン・ドンヒョクは日本の作品から多大にインスピレーションを得ていることをインタビューで率直に認めており、特に『LIAR GAME』や『バトル・ロワイアル』は以下の通り作品名も出している。
“When I started, I was in financial straits myself and spent much time in cafes reading comics including ‘Battle Royale’ and ‘Liar Game.’ I came to wonder how I’d feel if I took part in the games myself. But I found the games too complex, and for my own work focused instead on using kids’ games.”[4]
(和訳例:「私が駆け出しだったころ、私は経済的な苦境にあり、カフェで『バトル・ロワイアル』や『LIAR GAME』のような漫画を読んで長い時間を過ごしていました。私は「こういうゲームに自分が参加したらどう感じるだろう」と想像するようになりました。しかしそれらのゲームは複雑すぎると気づき、私の作品では代わりに子供の遊びを使うことにしました。」)
ただし2008年には本作を構想していたとして、それ以後に世に出たデスゲーム系作品からの構想レベルでの影響は否定している。
上記のインタビューにもあるように、デスゲームものとしての本作の特徴としては、ゲームのルールが非常に簡単であること。上記のように、第1話で行われるゲームも「だるまさんがころんだ」である。「複雑なルールのゲームをクリアするための頭脳戦」ではなく、「デスゲームの渦中にある人間の苦悩、人間ドラマ」により重きをおいているようだ。
また、現代の資本主義社会や競争社会のアレゴリー、寓意表現になることも狙っているとされ、登場人物には韓国社会において様々な要因から苦境に立たされた、不遇な立場の人々が多い。
関連動画
本作を元にした非公式フリーゲーム『Squid Game: The Game』のプレイ動画。本作第1話のゲーム「だるまさんがころんだ」を模している。
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関連リンク
関連項目
脚注
- *配信開始された2021年9月の韓国ウォン/日本円のレートで換算して、約43億円
- *イ・ジョンジェ&パク・ヘスら出演、Netflix「イカゲーム」が韓国ドラマ初の快挙!米ランキングで1位に - Kstyle
- *Netflix、7~9月83%増益 「イカゲーム」で会員拡大: 日本経済新聞
- *'Squid Game' Director Not Hurrying to Capitalize on Global Success - Variety
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