イスカリオテのユダとは、ナザレのイエスの12使徒の一人である。また、イエスを裏切った人物。小早川秀秋や明智光秀と並んで裏切り者の代名詞。
概要
キリスト教に興味がない人でも、名前くらいは知っているだろうし、おそらく裏切った人だということくらいは知っている・・・はず。単にユダと言うだけでこの人のことを指す場合もあるが、12使徒には他にもタダイの子のユダ、ユダ・トマス(どちらもキリストを裏切っていない。風評被害)がおり、さらに旧約聖書にも何人かユダが出てくるので、イスカリオテのユダと呼んで区別する。が、この記事では単に以降はユダと記述する。
イエスたち一行の中で経理をしていたようである。どういった経緯でユダが使徒になったのか、どうやって出会ったのかはよくわからない。いきなり、「それからイエスはご自分の十二使徒を呼び寄せ、穢れた霊たちを制する権威をお与えになった。それを追い出し、あらゆる疾病と病を治すためであった。12使徒の名は次の通りである。」とあり、12使徒が紹介されその最後にユダ・イスカリオテの名が挙げられ、「このユダはのちにイエスを裏切った。」とネタバレされるだけである。マタイとかは馴れ初めとかが書かれているんですけどねぇ。
その後、イエスがベタ二ヤという町にいたときに、ある女が高価な香油をイエスの頭に注ぎ始めた。これを見たユダは怒って「なんともったいないことを!これは売れば高く売れたし、その金で貧しい人に施すこともできたのに!」と言った。しかしイエスは「なぜこの女を困らすことを言うのですか。彼女は私に対して立派な行いをしたのです。あなた方にとって貧しい人は常にいますが、わたしは常にいるわけではないのです。この女がこの香油を私につけたのは、私の埋葬のためにそうしたのです。」と言った。
裏切る前のユダに関するエピソードはこれくらいである。この後、ユダは密かにユダヤ教の司祭のもとを訪れ、銀貨30枚でイエスを引き渡す約束をする。その後、有名な「最後の晩餐」に描かれてるアレがあるのである。イエスは12使徒と共に食卓に着いて横になっておられた。(絵だと座ってるけど実際は全員寝そべっていたらしい。)
イエスはこう言われた。「あなた方に真実に言いますが、あなた方のうち一人が、私を裏切るでしょう。」そこで彼らはひどく悲嘆し、それぞれみんなが「主よ、まさか私ではありませんね。」と言い始めた。イエスは答えて言われた、「私と共に鉢に手を浸すもの、それが私を裏切るものです。確かに人の子は、自分について書かれている通り去っていきますが、人の子を裏切るその人は禍いです!その人にとっては生まれてこなかった方が良かったでしょう。」彼を裏切ろうとしていたユダが答えていった、「ラビ(ユダヤ教の宗教的指導者)、まさか私のことではありませんね。」イエスは彼に言われた。「あなた自身がそう言いました。」
この後イエスがゲッセマネで祈っているときに、ユダと祭司長や群衆たちがやってくる。で、ユダが「こんにちは、ラビ」と言ってキスをした。それを合図に祭司長や群衆たちがイエスを捕まえて連行してしまった。(俺がキスをした奴がイエスだから連れてけと示し合わせていた。)
その後ユダはイエスを裏切ったことを後悔し、銀を祭司長たちに返して「私は義の血を売り渡して罪を犯した。やっぱりやめてくれ」と懇願したが「知るか」とあしらわれたので、銀を神殿に投げ込んで、飛び降り自殺をした。(首を吊ったとも。)その銀で祭司長たちは畑を買ったので、その畑は「血の畑」と言われている。
・・・というのが福音書にある記述である。正直なんでイエスを裏切ったのかは、よくわからない。おそらく本能寺の変の真相のごとく永遠にわからないだろう。さすがに上記の香油のエピソードでブチ切れたわけではないだろうし。
宗教的に、ユダの心に悪魔が入り込んだと説明されることもあれば、ユダはイエスに政治的指導者(ようするにイスラエルをローマから独立させてくれる政治結社のボスとしての役割ないしは、言ってしまえばローマに対するテロリストだとか、戦争指導者)としての期待をしてたのに、いっこうにそういった行動をしないため、失望して裏切ったと説明されることもある。中には、一連のキリストの処刑と原罪の贖罪が成就するために、実はイエスと示し合わせていて、『悪役』を演じて見せたという説もある。(裏でイエス「俺が処刑されることによって全人類の原罪をチャラにしたいんだけど、そのために俺を裏切ってユダヤ側に渡す人が必要なんだよね。悪いけど、やってくんない?」ユダ「はい。」的なやり取りがあったんじゃないかってこと。)
外典として、「ユダによる福音書」がある。が、新約聖書には普通載ってない。外典だから。
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関連項目
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