イタダキマンとは、タツノコプロの黒歴史タイムボカンシリーズ7作目にして最終作だった作品である。
概要
本作は土曜日夕方6時30分から当時各チャンネル間での競争率がかなり激しかった夜7時30分に移動して放送された。
西遊記をモチーフにした作品であり、シリアスだった前作「逆転イッパツマン」とは打って変わって「52個あるかもしれないし26個あるかもしれないといわれるオシャカパズルを巡って世界を旅する」というコメディ調のストーリーに原点回帰している。
タイトルの「イタダキマン」は「視聴率はイタダキマン」 という意味合いが込められている。
また、当初は「チン遊記オシャカマン」というタイトルだったが縁起が悪かったため、今のタイトルに改められた。
登場人物
- 孫田空作 / イタダキマン CV:田中真弓
主人公。しかし変身前はどうにも影が薄い。
ボカンシリーズ最年少である10歳の少年。生き別れの母を探して旅をしている。
普段は三悪と行動を共にしているが、たてまえトリオが呼び出す際にイタダキマンに変身する。
妖怪が巨大化したら自身も「二段変身」してアーマーを身につけ巨大化する。
オチャカ学園の面々
- 三蔵法子 CV:及川ひとみ
ヒロイン。オチャカ学園の優等生で三蔵法師の子孫。一応の善人だが腹黒。
サービスシーンがそれなりに多い。たてまえトリオのリーダー。 - サーゴ浄 CV:島田敏
たてまえトリオの一人。沙悟浄の子孫。残念なイケメン。 - 猪尾ハツ男 CV:西村智博(現・西村朋紘)
たてまえトリオの一人。猪八戒の子孫。影が薄い。 - オチャカ校長 CV:及川ヒロオ
オチャカ学園の校長先生。秘書のカンノ先生(CV:梨羽雪子(現・梨羽侑里))にセクハラをする事が日課。
三悪+1
- ヤンヤン CV:小原乃梨子
- ダサイネン CV:八奈見乗児
- トンメンタン CV:たてかべ和也
すぐに終わりそう浪人8年目ながらオチャカ学園入学を夢見る浪人生3人組。
通称「二束三文トリオ」。ダサイネンの最終回での「善玉と悪玉が手を取り合っちゃ話は進まねえんだ!」は名言。
後半まで戦いは妖怪に頼りっきりだったために視聴者から「妖怪に頼らず自分たちの力で戦ってください」 という苦情が届いた事もあった。そして即座にテコ入れした - 竜子 CV:坂本千夏
竜神の子である少女で竜の尻尾が生えている。普段はデンデンメカに変身して三悪を乗せて移動する。
ちなみに変身すると乳首がボタンに化ける。
メカ
- カブトゼミ・ペリギン・ワンガルー
基本的にイタダキマンを乗せて登場するだけ。 一応、活躍する事はあるにはあるが・・・。
1話がカブトゼミのピークだった。
ワンガルーに至ってはたったの1回だけしか登場しないレアメカと化した。
ずっと昔のことだって、きっと覚えているんだよ
本作はタイムボカンシリーズの忌み子として悪い方向で有名でもある。
その理由はこの作品が生まれた経緯にある。
製作の際に「イッパツマン」からプロデューサーに参加した岡正氏により、マンネリ打破が色々と要求された。
その中で代表的なのが長年シリーズ構成を努めてきた脚本家の小山高生氏とシリーズ全てのOP・EDを担当してきた山本正之氏の降板である。一応、二人共脚本と作曲に参加自体はしているものの、小山氏は脚本を一本書いただけに終わっている。
なお、小山氏は熱心な仏教信者でもあり、登場キャラであるオチャカ校長に「お釈迦様の霊が乗り移った」という設定に対し不謹慎だと発言しており「今までどおりシリーズ構成だったら簡単に辞められなかっただろうから結果的に外されて良かった」と発言している。
さらに放送時間帯移動。イタダキマンが放送されることとなった当時の土曜夜7時30分枠は、裏番組に「クイズダービー」(TBSテレビ)、「あばれはっちゃく」シリーズ(テレビ朝日、関西の朝日放送では「部長刑事」)、さらに夏場には頻繁に日本テレビが巨人戦中継で視聴率を稼ぐという、現在では考えられないほどの視聴率激戦区であり、当時のフジテレビは夜7時台の番組が何をやってもすべて半年で終了するなどかなり苦戦していた。そこに土曜夕方6時30分枠で長年放映される人気作であったボカンシリーズを移動して人気を回復させようと画策したのである。
しかし、時間帯移動は見事裏目に出てしまい視聴率はこれまでの20%から平均9%に急落(現在から見ればそれなりに高い方ではあるが当時と現在ではテレビ事情が大きく異なるため単純比較は野暮である)。
さらに小山氏の構成降板によるものか、作風も従来のシリーズから変化し戸惑いを持った視聴者も少なくなかった。
結果、本放送はたったの19話で打ち切られた。(最終回も典型的な打ち切りオチ)
後に未放送の1話がビデオソフトや再放送などで日の目を見た。ついでにいうと、小山氏と山本氏は打ち切り決定を聞いて共に「ざまあみろ!」と喝采をあげたという逸話もある。
そして、この作品の放送終了後、ボカンシリーズのスポンサーを務めたタカトクトイスは、イタダキマンや同時期にスポンサーについていた「超時空世紀オーガス」「銀河疾風サスライガー」の関連グッズの売上不振が引き金となってまもなく倒産した。タツノコプロの創業以来長年にわたってタツノコプロ作品を放送してきたフジテレビとの仲も悪くなってしまったのか、「スターザンS」「よろしくメカドック」「炎のアルペンローゼ」を放送したあと、なんと約25年もの間タツノコプロはフジテレビでアニメを放送しなくなってしまった(ちなみに復帰作はノイタミナ枠で放送された『C(アニメ)』である)。
おかげで「継子のイタダキマン」「シリーズの鬼子」と散々な評価を下されてしまっている他、知名度もあまり高くない。
挙句、OVA「タイムボカン王道復古」では「シリーズを象徴しておりますねぇ」と自虐ネタとして扱われていたり(さらにCDドラマ収録のソングでは「すぐに終わりそう」とまで言われている)、山本氏によるボカンソングやタツノコプロオールスター総出演の特番アニメでもイタダキマンだけハブられていたり、ゲーム「ボカンGoGoGo」でのイタダキマンEDでは「私達脇役としても出足りないもんねぇ」とまた自虐ネタが出たり、 ファンイベントにおいてイタダキマン関連の歌だけ歌われなかった上に小山カメラマンは「イタダキマンはどうでもいい」と発言した。ネタにしすぎな上に、いつまで恨んでいるんだ・・・
以上のことから色々な意味でタツノコプロの転機となってしまった作品であると言える。
放送から30年が経過した今だからこそ再評価されてもいい気がしないでもない。
また、山本氏は現在ではイタダキマンに対して少々わだかまりが解けたらしく、DVD-BOX化の際に購入特典として新たに「イタダキマンの歌」を書き起こした。ここでもまた一騒動あり、歌詞が歌詞だけに穿った見方をする人もいるがそれはまた別の話である。
関連動画
関連商品
関連項目
- アニメ作品一覧
- タイムボカンシリーズ
- 1983年のアニメ作品一覧
- 逆転イッパツマン(前作)
- タイムボカン2000 怪盗きらめきマン(次回作)
- 未来警察ウラシマン(土曜18時30分枠の後番)
- タツノコプロ
- 田中真弓
- きたむらけん(怒って彼に歌わせたのは都市伝説)
- アニメがなんだ
- お菓子
- もう許してやれよ
- 絶対に許さない
- 赤い血潮
関連リンク兼参考資料
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