イップ・マン序章(原題:葉問、英題:IP MAN)とは、カンフーアクション映画である。
概要
2008年に製作・公開された中国・香港合作映画。アクション監督にはサモ・ハン・キンポーを据えており、大変見応えのある迫真のカンフーアクションに仕上がっている。製作陣は中国人で占められているが、音楽に川井憲次、俳優に池内博之氏と渋谷天馬氏を起用していて日本人も関わっている。上映時間は95分。
本作の主人公はイップ・マンと呼ばれる詠春拳の達人。ブルース・リーの師匠にあたる存在だが、本作が製作されるまでスポットライトに当たらず、知名度の低い人物であった。ドニー・イェン演じるイップ・マンは他の格闘家を寄せ付けないほど無茶苦茶強いが、その拳を振るう時は「何かを守る時」と「挑まれた時」だけであり、むやみに力を誇示しない。劇中では一貫して人格者として描かれ、周囲の人物からも慕われている。しかし支那事変の勃発によって生活は一変。自邸を日本軍に徴発され、家を失ったイップ一家は極貧生活へと追いやられる。自身の拳ですらどうにもならない時勢を前に、無力感に打ちひしがれるイップ・マンであったが、友人が工場長を務める綿花工場を山賊から守るために詠春拳を教え始めた事で自信を取り戻していく。
実在の人物を題材としているが、物語はかなり脚色されている。史実のイップ・マンは中国共産党に財産を没収され都市部へ出稼ぎに行っているのだが、そんな内容を中国国内で作れる訳ないので抗日ドラマ風味に仕上げている。一方でラスボスの三浦閣下は高潔な武人として描き、中国人にも悪役を配置するなど粗製乱造の抗日神劇とはまた違った作品である。
本作は見事ヒットし、第28回香港電影金像奨の最優秀作品賞を受賞。中国国内でイップ・マンブームを巻き起こし、様々な派生作品が作られた(ただし本作との関連性は無い)。出演していた池内博之氏や渋谷天馬氏も、この作品がきっかけで出演のオファーが激増。池内氏に至っては、中国へ活躍の場を移すターニングポイントになった。正統な続編として『葉問』、『継承』が製作された。
関連動画
関連項目
- 1
- 0pt