保全状態評価
環境省の指定では、絶滅危惧IB類(EN)に指定されている。絶滅危惧種としては3段階中の2段階目にあたる。
国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストではさらに上、野生絶滅していない種の中では最も高い絶滅危惧IA類(CR)に指定されており、深刻な絶滅の危機に瀕している種とされている。
概要
イトウとは、サケ目サケ科の淡水魚で、体長は1~1.5mと淡水魚としては日本最大級の大きさである。記録に残る最大の個体は2.1mほどであったという。
アイヌ民族にとっては巨大怪魚「チライ」を始めとして様々な伝説に登場する神聖な魚とされてきた。
現在は北海道および樺太と千島の一部にのみ分布。
個体数が減少しており、釣り人の間では幻の魚とも呼ばれているが、それがかえって人気に拍車をかけてしまっているのだからタチが悪い。
かつては青森や岩手にも生息していたが絶滅。北海道でも多くの水系で姿を消した。
減少の要因はダムや堰などの開発や、イトウにとって生育に必要な氾濫原が農地化されて消えていること、成熟するのが遅く産卵までの間が長いこと、産卵場所までがまた遠いことなどが挙げられる。
このように絶滅危惧種として著名なイトウであるが、その対策は異様なほど遅れており、あろうことか全体的な禁漁期さえ設定されておらず、産卵期だろうがお構いなしに年がら年中釣ることができてしまう。しかもしばしば身を翻すことで地上からでも容易に姿を捉えられるため格好のターゲットになってしまっている。このままでは野生絶滅も時間の問題である。なんとかしろよ……。
漢字では「伊富」と書く。(伊藤ではない)
もともとはサケ類としては細い魚体から「糸魚」という意味だったらしい。
学名は「Parahucho perryi」。perryiは黒船来航でおなじみのペリー提督が由来。彼が箱館寄港時の記録をイギリス生物学会に持ち返ったことで研究が進んだため、功績を記念して学名がつけられたらしい。
釣るにはルアー、フライ、泳がせなどがメインだが、キャッチアンドリリースが望ましい。というか下手に釣らないであげてほしい。禁漁期がない以上、釣り人のモラルが問われる魚である。
なお野生では絶滅の危機に瀕しているが、昭和の時代から養殖の研究が進んでおり、一部は放流にも役立てられている。青森県鰺ヶ沢町など様々な場所で養殖されており、現地のレストランや通販経由で食べることができる。
夏~秋が旬で、肉は薄紅色。加熱しても硬くならないのが特徴。
生でも焼いても煮てもうまい。
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関連項目
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