「イノセント・ヴィーナス(INNOCENT VENUS)」とは、2006年7月26日~10月25日までWOWOWのノンスクランブル枠で放送されていたテレビアニメである。全12話。
制作はバンダイビジュアルで、アニメーション制作はブレインズ・ベースとなっている。
世界観とあらすじ
西暦2010年に地球上で同時多発的に発生した「ハイパーハリケーン」により、80億の人口の内50億が失われた。また、平野部は海に沈み、北半球は氷に閉ざされた。(国家は存在している)この結果世界の軍事と経済のバランスは崩壊、世界地図は激変し、混沌の時が流れた。
日本政府は各地に経済特区を作り、限定的な復興を成し遂げることに成功した。また、かねてより研究されていたパワードアシスト技術が復興に大いに貢献した。しかしこの結果、特区に住む支配階級である「ロゴス」を名乗る者たちと、特区以外に住む「レヴィナス」と呼ばれる貧困層の二極化が進むこととなった。さらにロゴスがパワードアシスト技術を軍事に転用したことにより、日本の軍事化を危ぶんだアジア各国はEUに倣いAU(Asia Union)を結成、日本の九州へ侵攻する。日本政府はこれを、特殊部隊「ファントム」の率いるグラディエーターを中心としたヘビー・ウォーリアー部隊で迎撃、その圧倒的な機動力により勝利を収めた。この戦闘の結果、日本政府とAUは相互不可侵条約を締結した。 これ以降、軍事力は国内の反体制派に向けられることとなる。
西暦2035年、葛城丈と鶴沢仁は登戸沙那を連れファントムを脱走した。
沙那を巡り、多くの人間の思惑が絡まり、物語は進んでいく……。
主な登場人物
無所属
葛城 丈(cv:野島健児)
元ファントム隊員で、この作品の主人公。
無口で感情の起伏に乏しく外界とのかかわりに対して興味を持たないが、仁にだけは心を開いている。
彼だけはグラディエーターから降りた後に、涙を流す(理由は当人にも不明らしい)。
背中に大きな傷がある。
鶴沢 仁(cv:櫻井孝宏)
元ファントム隊員。
将来を約束されていたが、父親の死により家が没落、ファントムに入隊した。
物腰は穏やかで人当たりのいい好青年であり、丈とはファントム入隊後に知り合い、バディとして共に行動するようになった。
彼曰く、本当に怖い人間は表からはわからないらしい。
この作品の監督曰く、「完全なようでいて、実は丈に激しい嫉妬と羨望、もしかしたら愛情を持っているのかも。」とのことである。
いろんなフラグが立ってる人。
登戸 沙那(cv:名塚佳織)
「ヴィーナス」と呼ばれる少女。
彼女を巡る争いが、この作品の根幹を成している。
性格は明るく、年相応におしゃまであり、仁を非常によく慕っている。
ごら(cv:矢薙直樹)
飯の種にありつこうとして、丈たちに付きまとっているレヴィナスの少年。
前半の彼は非常にやかましい存在である。
洞察力は鋭い。
ファントム
マキシマス・ドレイク(cv:大川透)
ファントムの司令官。
元フリーダムステイツ(The States of Freedom)軍の軍人である。
自身の行動に自信を持っているがために迷いがなく、クセの強い人間の集まりである特殊部隊ファントムを率いることができるほどの優秀な人物ではあるが……。
レニー・ヴィクロウ(cv:豊口めぐみ)
ファントムの副司令官。
元は交渉人であり、明晰な頭脳と冷ややかな分析力、直感力を持っており、狙撃の腕も優秀である。
倭寇の司馬虎二とはわけありの関係面識があるらしく、彼からは「おりょう」と呼ばれている。
スティーブ(cv:三宅健太)
ファントムの実動部隊の、リーダー的存在。
ファントム隊員の中では唯一の常識人であり、腐敗した日本を立て直すべく使命感に燃えてファントムに入隊したという経緯がある。しかし、グラディエーターを乗りこなせるという時点でいろいろとお察しください。
青狼(cv:福山潤)
ファントム隊員その1でレヴィナス出身者。
冷徹で計算高く、人を騙すことに長けているらしい。
タロット占いを好んでおり、彼の占いは非常によく当たる。自分に対しても。
狂死朗(cv:大畑伸太郎)
ファントム隊員その2でレヴィナス出身者。
元料理人で大量殺人者であり、ロゴスの人間を殺してしまったことにより逮捕されたが、その能力の高さに目を付けたファントムにより拾われた。創作作品のコックは変な奴が(ry
リキ(cv:西本理一)
ファントム隊員その3でレヴィナス出身者。
レヴィナスにいたころは一大勢力のリーダーであったが敵対組織の策略にはまり、軍に捕まったが、その後ファントムに拾われたという経緯がある。
思慮に浅い直情径行型の人間である。いわゆる脳筋。
倭寇
司馬虎二(cv:石川英郎)
倭寇のリーダー的存在。
いままでバラバラだった倭寇が、まとまりを持ち出したきっかけになった人物ではないかと分析されている。
元ファントムの副司令官で、事故で死亡したと思われていた。
派手好きらしく、(他人から見ると)変な恰好をしている。
仁たちに対してあまりいい印象を持っていなかったが……。
ヒジン(cv:朴璐美)
倭寇のリーダーである司馬虎二の片腕的な存在。
元々は別の海賊を率いていたが、司馬虎二と出会い、彼と合流した。
姉御系で、司馬虎二からは「おりょう」と呼ばれている。
メカニック
ライト・ウォーリアー(正式名称:壱七式強化装甲服)
パワーアシスト技術を応用して作られた、パワードスーツ。 歩兵の戦力増強と生存性の向上を目的に作られた。 数と装備と場所と状況次第では、グラディエーターに対抗できる。
外見は、パワードスーツのそれにフルフェイスのヘルメットをつけたようなものとなっている。
へヴィー・ウォーリアー(正式名称:壱九式自走機関砲)
グラディエーターの開発途上に得られた技術を転用して作られた歩行戦車であり、災害後の荒地でも機動性を損なわないように足がついている。
全高は4.1ⅿで、2人乗り、武装は20mm機関砲が1門となっている。
外見は、装甲車に足が生えたような感じになっている。モノアイ
グラディエーターと違い、搭乗者に制限はないようだが、グラディエーターには遠く及ばない。
グラディエーター(正式名称:弐四式戦闘用高機動型強化装甲)
ライト・ウォーリアーの発展型であり、全高2.8ⅿ、重量880kgでありながら高い防御力と機動力、攻撃力を備える。
武装は、固定武装としてアンカーワイヤーとアームパンチがあり、普通は主武装として二六式24㎜対物重機関銃(銃剣とグレネード付き)を装備する。
搭乗者の神経組織から電気信号を読み取って動かすシステムを採用しているが、ある理由により搭乗者に高いストレスをもたらすため、限られた人間にしか扱うことができない。また、開発チームの主任(登戸博士)の死亡により、肝心の部分がブラックボックス化してしまい解析不能になったため、量産は不可能となっており、現状7体だけとなっている。(ほとんどはファントム所属となっている)
フレシェット弾のような貫通力の高いものに対しては弱い。
あるデバイスのリミッターを解除して取り付けることにより、さらなる性能の向上が可能になるが、その場合は適性のあった搭乗者でも発狂死してしまうことが多い。
黒色が丈の機体、白色が仁の機体で、それ以外はカーキ色となっており、肩の部分には搭乗者の名前の最初の1文字が漢字で書かれている。
いしん
元はロゴスの実験艦であったが実験中の事故により沈んだと思われていた。 現在は倭寇のリーダーである司馬虎二の乗艦となっている。
イージス艦のような外見と武装をしており、潜航可能で、さらにキャタピラ推進で航行するために、探知が難しい状態となっている。
主題歌
OP:「Noble Roar」
作詞:ゆい 作曲・編曲:橘尭葉 歌:妖精帝国
ED:「Brand New Reason」
作詞:加藤隆介 作曲・編曲:佐藤純一 歌:FLEET
余談など
- 主人公側は、襲われている自分たちを守るような状況でなければ、むやみに人を殺さないようしているらしい。
- オリジナル企画を出してくれないかと言われ、最初は金星(VENUS)で発見された遺跡の中に眠る無垢な子供たちの中心にいる一人の女の子(VENUS)を巡る戦いという考えだったが、「もっとミリタリーでパワードスーツも出してくれ」ということになり、みんなでいろいろいじくって考えなおして現在の形になったらしい。
関連動画
関連項目
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