イリヤの空、UFOの夏とは、著:秋山瑞人、イラスト:駒都えーじのライトノベル。電撃文庫刊、全4巻。
もしくははそれを原作として制作されたOVA。全6巻。
あらすじ
UFOの研究がされていると言う噂がやまない空軍基地の町、園原町。および、園原中学校。
夏休み最後の日の夜中、プールに忍び込んだ少年・浅羽はそこで謎の少女イリヤと遭遇する。成り行きで泳げないイリヤの練習相手になってやる浅羽。しかし、浅羽は気づいてしまう。イリヤが普通の少女ではないことを。そして、特殊部隊に連れて行かれるイリヤ。それだけならば、夏の夜の夢で終わるはずだった。次の日、二学期の開始と共にイリヤが彼のクラスに転校してくるまでは・・・
概要
流れとしてはごくごく一般的なボーイ・ミーツ・ガールものなのだが、主人公である浅羽がどれだけがんばろうとも大きな流れにはほとんど逆らえていないのが特徴。どれだけ頑張ったところですべてイリヤが所属している組織の掌の上だったという一人の中学二年の非力さと、その組織さえ更に大きな流れには逆らえないという二重の構造がやるせなさを倍増させている。
時代設定はほぼ現代に即しているのだが、現実とは違う歴史の流れをたどっているパラレルワールドだと思われる。
イリヤの正体は異星人の戦闘機と唯一対抗できる戦闘機のパイロットの最後の一人。手首には操縦デヴァイスとして銀色の球体が埋め込まれ、日常的に過酷な任務に当たらされている。その影響で様々な薬物とその副作用、およびプレッシャーに悩まされ、劇中で大量の鼻血を出したり白髪になったりしている。(ネタバレにつき反転)
古いジュヴナイルSFファンからは、笹本祐一『妖精作戦』シリーズ(ソノラマ文庫)との類似を指摘されることが多い。実際に秋山本人も『妖精作戦』の影響を受けていることを認めている。
00年代の評論においては『最終兵器彼女』『ほしのこえ』とともに「セカイ系」作品の代表として扱われることが多い。他のセカイ系と呼ばれる作品と同様、1995年から放送されたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の強い影響下において成立した作品でもある(浅羽=碇シンジ、イリヤ=綾波レイ、水前寺=加持リョウジ、榎本=碇ゲンドウ、という明確な登場人物配置の類似の他、正体不明の敵、目的の明かされない組織、舞台となる季節が夏であること、など)。ただし、物語の基本的なプロットは冲方丁が指摘するように古典的な「難病もの」であり、エヴァンゲリオンのように主題や作者の思想を深く掘り下げるような作品と言うよりは、「ライトノベルとしての表現」にこだわった作品であると言え、ひとつひとつの文章表現を高く評価する声が大きい。
『SFが読みたい!2004』国内ベストSF第8位。
2chライトノベル板大賞にて、2001下半期2位(2巻)、2002下半期1位(3巻)、2003下半期2位(4巻)。
ニコニコ動画にて
思い出したように本編がたまにアップされては、権利者削除される。
また、このアニメを題材に使った「盗んでいきましたシリーズ」は「作者は病気シリーズ」でもある。
しかもかなり末期症状。
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関連項目
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