『ウィザードリィ~DIMGUIL~』とは、2000年にPlaystationで発売されたウィザードリィシリーズの派生作品である。制作は本編シナリオの1・2・3・5・6作目の移植及び和製ウィズ「ウィザードリィ外伝」シリーズの元締めであるASCII。
「外伝」とは銘打っていないが、製作元が同じことと前作からのキャラ引継ぎができることから、ウィズ外伝シリーズの5作目(にして最終作)としてカウントされている。
ちなみに「DIMGUIL」とはシュメール語で「神」を意味する。
タグは「DIMGUIL」「ディンギル」が多い。
概要
舞台はリルガミンではなく、中南米の趣を漂わせる城塞都市・ガイネスとなっている。ダンジョンやモンスターのデザインやネーミングも中南米の文化を彷彿とさせる。
システムは#5を踏襲しつつ、#6で新たに登場した職業・種族が使用可能。呪文についても#6で追加された錬金系・精神系の2種類が追加されているが、従来の魔法系・僧侶系呪文の名前はオリジナルと同一なので覚えやすい。
プレイヤーキャラクターは自作できるほか、酒場の募集でオリジナルのグラフィックが設定されたキャラクターをスカウトする事も可能。またスーパーファミコンで発売された外伝#4「胎魔の鼓動」のキャラクターを「転生」できるシステムが存在する。尚、転生前のレベル、装備アイテムは引き継がれない等制約がある。
ギルガメッシュの酒場、ボッタクルボルタック商店といった施設も健在。
過去のシステムを踏襲している為、既存の作品をプレイしてきた者なら特に違和感を覚えない。
ダンジョン内では固定敵の他にも徘徊するモンスターがおり、地面に表示された魔法陣で位置が示される。これを踏むと戦闘が発生。
戦闘後には宝箱が見つかる事もあるが、仕掛けられた罠の調査や解除も過去シリーズと同じ流れになる。
NPCのパーティーとダンジョン内で遭遇するイベントが存在する。探索の進行につれ、仲間割れしてパーティーを再編成したり、危険な場所へ踏み込む前に警告してくれたり、情報を提供してくれたりと反応は様々。
様々なロケーションに象形文字を思わせる古代文字の暗号が多数存在するが、これを解読する事で謎を解き明かすきっかけとなる。
また中盤で神殿にまつわる秘密が解除されると、ダンジョンの様相が一変。プレイヤーは最終的に驚くべき世界の真実を知る事となる。
音楽は藤原いくろうが担当。
華やかな楽曲は評価が高く、オリジナルサウンドトラックは現在では万超えのプレミアがついている。
また主題歌「月の微笑」は中森明菜が歌っており、ギルガメッシュの酒場でしっとりとしたアコースティックverが堪能できるほか、エンディングでは壮大な雰囲気のオーケストラverが流れる。
キャラクター・モンスターデザインは諏訪原寛幸が担当。
マヤ・アステカ文明は氏のアウェーではあったが(※諏訪原氏はどちらかというと三国志や戦国時代といった時代物が得意)、イラストの完成度は非常に高く、後半のダンジョンでは画面に納まりきらないほど巨大なモンスターも登場する。
これらのグラフィックは酒場で確認でき、テキストと合わせてじっくり楽しむ事が出来る。
あらすじ
巨大な円形の湖「カーラ湖」に浮かぶ島に形成された城塞都市・ガイネス。
ガイネスでは伝統的に年に一度、選ばれた巫女が「カーラ・アコル神殿」の祭壇で祈りを捧げる儀式が行われていた。だがそこに突如現れた巨大な怪物により護衛は虐殺、巫女は連れ去られてしまう。
時を同じくしてカーラ湖の水がドブのように黒く濁り、夜な夜なモンスターが徘徊するようになった。
ガイネス王は事態を憂慮し、問題を解決して巫女を救出した者を近衛兵として取り立て、莫大な褒賞を与えると触れを出したのだった。
かくして城塞都市には多くの冒険者が集い、神殿の探索が始まる。
舞台
- ガイネス
カーラ湖に浮かぶ3つの島の1つに作られた城塞都市。澄んだ湖水には魔力が含まれており、これが都市の経済基盤となっている。
巫女の失踪、水質汚染などの問題を解決する為に王が命令を出した事で、各地から冒険者が多く集うようになった。 - ギルガメッシュの酒場
シリーズお馴染みの酒場。リズマン(トカゲ人)の店主が出迎えてくれる。
パーティー編成・NPCのスカウト、モンスターの記録の閲覧の他、占い師によって物語のあらましが語られ、ムービーの再生が出来る。冒険に疲れたら歌姫の歌で癒されるもよし。
また練武場でモンスターを倒したり、コード入力で入手できるカードを使い、カードバトルをプレイできる。これ自体も面白く、冒険そっちのけでハマるプレイヤーもいるとかいないとか。 - 冒険者の宿
シリーズお馴染みの安らぎの場。どれほどレベルが上がっても馬小屋で寝起きするのは冒険者の嗜み。歳取っちゃうしね…… - ボルタック商店
シリーズお馴染みのボッタクリ武器屋。ただし店主は若いお姉さん。BGMが素晴らしいのでついつい入りびたるプレイヤーが多い。 - カント寺院
シリーズお馴染みの金の亡者冒険者の心の支え。蘇生呪文を覚えていない場合はここを頼るしかない。 - 練武場
キャラクターメイクの他、腕試しを兼ねたダンジョンが存在。酒場で遊べるカードゲームのカードを集める事が出来る。 - カーラ・アコル神殿
ガイネスと隣合う小島の、鬱蒼としたジャングルの中に立つ古い神殿。四方に立つ柱には四体の神獣が描かれており、まずこの謎を解かないと神殿に入る事すら出来ない。
神殿内部にはオークやゴブリンといった亜人種の他、多種多様なモンスターが住み着いている。また「古き神」を祀る狂信者集団・ガーディアンが、神殿の秘密に迫る者を抹殺しようと襲いかかって来る。
(ネタバレ)その正体は遥か過去に宇宙から墜落した宇宙船を隠蔽する為の施設。カーラ湖そのものは衝突の際に出来たクレーターで、そこに水が溜まって現在の姿となった。中盤で擬態が解除されると、地下部分は一気にメカメカしい内装になる。 - ドラゴンの洞窟
クリア後に追加されるダンジョン。凶悪な難易度を誇り、並み居るモンスターはラスボスを倒したプレイヤーを軽々と屠ってくる。レベルを上げて物理で殴ればいいとまではいかないが、それでもレベルをガン上げすれば勝てない相手ではない。こっちもいっぱい死ぬけど。
艱難辛苦を乗り越えて進んだ先に待ち構えるのは前作で最も強い隠しボスである「ダイアモンドナイト」を3体お供にすえた「ダイアモンドドレイク」。
歴代RPGにおいて最強・最凶の呼び声高い隠しボスで、勝利するにはサイオニック呪文で同士討ちを狙うか、マハマン(詠唱者のレベルが1下がる代わりに強力な効果が発現する)で吹き飛ばすしかないとさえ言われていた。
だが世の中にはレベルを上げに上げまくり、ガチで連中に挑んで勝利する猛者もいる......。
ちなみに2020年末に行われた開発者インタビューによると、「入念にテストプレイを行ったこともあり、ほぼ想定通りの難易度に収まってくれた」とのこと。
余談
- 本作には初回版と修正版の2種類があり、前者には有益・致命的なものを含めて様々なバグが存在した。パッケージ裏の表記の違いで見分けられるので、こだわる人は購入前に確認を。
- シナリオ本編とは別に「ゴーレムルート」という裏ルートが存在している。
冒頭で巫女を攫った「ファイアーゴーレム」を倒し、さらにその後飛んだ先で出てくる「シャドーゴーレム」も倒すと、いきなりラスボスに挑むことができる。ただしファイアーゴーレムの時点でラスボスよりもはるかに強いので、鍛えに鍛え上げたパーティーへの腕試し的なルートである。 - 終盤で遭遇する男「アガン・ウコーツ(Agan Ukot)」は外伝3以降登場する人物。ただし今回はシナリオには全く絡んでこないゲスト出演扱い。ちなみに名前を逆から読むと「Tokunaga」、すなわちプロデューサーの徳永剛氏のことを指している。
- ギルガメッシュの酒場でスカウトできるキャラクターの中に、Wiz界隈では有名なライター「忍者増田」がしれっと混じっている。公式ガイドブック「迷宮聖典」を執筆した縁からの友情出演なのだろう。
なお、迷宮聖典は「Wizでござるよ」などで見られるトンチキぶりを微塵も感じさせない生真面目な文章だったので、「これ本当に忍者増田が書いたのかよ」と驚く人も多かったという。 - 「『おたか』なる謎の人物がアイテム欄一杯にアイテムを突っ込んで去って行く」というイースター・エッグが仕込まれている。ただし発生率は極めて低く、かなりやりこんだプレイヤーでも見たことが無い、という人がほとんど。
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関連項目
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