ウインバリアシオンとは、2008年生まれの日本の元競走馬、現在は種牡馬である。
主な勝ち鞍
2011年:青葉賞(GII)
2014年:日経賞(GII)
![]() |
この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては 「ウインバリアシオン(ウマ娘)」を参照してください。 |
概要
父:ハーツクライ
母:スーパーバレリーナ(母父:Storm Bird)
父ハーツクライ(主な勝ち鞍:ドバイシーマクラシック、有馬記念)は、国内で唯一三冠馬ディープインパクトを打倒した馬であり、ウインバリアシオンはその初年度産駒である。ちなみに管理する松永昌博調教師は、有馬記念3年連続3着という珍記録を持つナイスネイチャの元主戦騎手。
馬名の由来はウイン(冠名。2ch的にはウインガーで有名)+バリアシオン(バレエの演目。母からの連想)。
デビューは2010年8月。新馬戦を3馬身で快勝、その後のオープン戦野路菊Sも快勝してハーツクライ産駒のポテンシャルの高さを見せつけたが、年末のラジオNIKKEI杯2歳Sはダノンバラードの4着に敗れる。
明けて3歳初戦。きさらぎ賞でもまたしても4着(ちなみに3着はオルフェーヴル)。皐月賞出走のかかった弥生賞では7着と伸び悩むレースが続いた。
陣営は目標をダービー一本に絞り、ダービートライアルの青葉賞に出走。6番人気と決して評価は高くなかったものの、父ハーツクライを髣髴させる強烈な追い込みが決まり、重賞初制覇、ダービー出走権を手に入れた。
続く日本ダービーではトライアル優勝馬としては異例の10番人気という低評価(青葉賞組がダービーを制覇した例が一度もない事、青葉賞出走馬が低レベルと見なされた事が理由に挙げられる)を受けた。しかしレースでは余力十分に最終コーナーを回り、最後の直線でごちゃつくオルフェーヴルに大外から追いつかんばかりの大健闘を見せる。結局馬群から抜け出したオルフェーヴルには勝てなかったが、3着以下には7馬身差。十分に強さを発揮しての2着となった。
(余談であるが、父ハーツクライもダービートライアル優勝からのダービー2着を経験しており、この結果に競馬ファンからはハーツ産駒らしいとの声が挙がった)
その後放牧を挟んで秋緒戦は神戸新聞杯から始動。オルフェーヴルとの二度目の対決となる。ダービーでの2着が評価され、打倒オルフェーヴルの急先鋒として2番人気となったが、またしてもオルフェーヴルの2着に敗れる。
続くクラシック三冠目の菊花賞でも2番人気となり、三冠阻止の期待が高まった。安藤勝己騎手は最後方からの直線一気という奇策を選択。最後の直線では馬群を捌きつつ上がり最速で駆け上がったが、4コーナーから進出して独走状態となった勝ち馬には届かず、三度オルフェーヴルの2着という結果に終わった。
(さらに余談であるが、菊花賞の前週の秋華賞でもハーツ産駒キョウワジャンヌがアヴェンチュラの2着になっており、同一年の牡馬牝馬三冠の6レースのうち、3レースでハーツ産駒が2着という少し珍しい記録が達成された)
青葉賞から菊花賞までオルフェーヴル以外の馬に先着されたことがなく、一部の競馬ファンの間ではこの馬とオルフェーヴルの関係をメイショウドトウとテイエムオペラオーになぞらえられたりもしている。
また、その勝ちきれない姿はある意味で直仔オルフェーヴルよりもステイゴールドっぽいとも言えるかもしれない。
菊花賞後はジャパンカップに出走して5着。しかし外枠とスローペースを嫌った鞍上の判断により、12のハロン棒を通過したところで大マクリに打って出るという、またも大胆な作戦で観客を驚かせた。
明け4歳は京都記念から始動。中々のメンツが揃う中、2番人気に支持されるも4角で脚を滑らしたのが響いて6着。続く日経賞で、ネコパンチの大逃げを捉えられずの2着。そして、オルフェーヴルとの4度目の対戦となる天皇賞(春)では、11着に沈んだオルフェーヴルに初めて先着するも、結果はビートブラック、トーセンジョーダンに続く3着。そして、春の最終戦宝塚記念ではオルフェーヴルが見事復活する中、伸びを欠いての4着と相変わらずの勝ち切れなさが続く。それでもオルフェーヴルが欧州へ向かい、留守となる秋ならばG1制覇のチャンスありと目されていたが、調整中に屈腱炎を発症。長期に渡る戦線離脱を余儀なくされてしまう。
時は流れて1年半、2013年冬金鯱賞にて復帰を果たす。屈腱炎からの長期休養明け、大幅な体重増が懸念されて8番人気と低評価であったが、3着と好走し健在を証明。ちなみに同日に行われたステイヤーズステークスでは、11歳のトウカイトリックが3着に入り、両レースとも勝ち馬よりも3着馬の方が話題を集めた。金鯱賞の好走を受けて陣営は、有馬記念への出走を決断。キズナ、エイシンフラッシュといった有力馬が回避したことにより、4番人気に支持される。レースでは最初中団に位置取るが、徐々に下げて3コーナー手前ではオルフェーヴルと同じ位置。3コーナーでオルフェーヴルが捲りを仕掛けるとこれについて行こうとするが、一気に引き離されゴールまでに8馬身の大差をつけられた。しかし、ゴールドシップを抑えて3度目となるGI2着を確保し、同期のライバルとして意地を見せる感慨深い復帰劇となった。
そして・・・2014年初戦として選択したのは、2年ぶりの出走となる日経賞。
離されはしたものの、復帰2戦目ながら有馬記念で2着になったことが評価され、天皇賞馬フェノーメノや重賞馬が揃う中で一番人気に支持された。いざ始まったレースはスローで流れ、鞍上の岩田騎手は押さえながら後方待機。そして3コーナーを過ぎたあたりで促されると、一気に加速して大外をぶん回し、全馬をひと飲みにして圧勝した。
気が付けば、2011年青葉賞勝利から実に3年近く。ライバルや故障に泣かされ続けた日々を乗り越え、鮮やかな復活勝利となった。
続いて天皇賞(春)で7度目のGIに挑むことになったが、前週のレースで岩田騎手が斜行で騎乗停止処分を食らい出場できなくなってしまう。代わってシュタルケ騎手が鞍上をつとめるはずであったところ、こともあろうに当日に落馬負傷。急遽武幸四郎騎手が乗り替わりとなった。
幸四郎騎手は代打の代打ながら巧みにレースを運び、後方から仕掛けて直線の叩き合いに持ち込む。しかし春天2連覇の快挙がかかっていたフェノーメノの粘りにクビ差及ばず。またしても悔し涙をのんだ。
次走は鞍上に岩田騎手が戻って宝塚記念。ここでウインバリアシオンは単勝3.0倍の2番人気に推される。1番人気のライバルゴールドシップ(2.7倍)に迫る支持で、天皇賞での健闘が期待を集めた形である。
しかし結果はゴールドシップの横綱相撲の前に7着と完敗。さらに直後に再び屈腱炎が発覚。今度は軽症であったものの半年の休養を余儀なくされることとなった。
前回の故障時同様に金鯱賞を復帰戦に選び、騎手も同じく藤岡康太。故障明けで前走+12kgという体重増であったものの、前年も同じような状況で好走したこともふまえてか3番人気であった。しかし15着の惨敗。前年と同じくそのまま有馬記念にも挑んだがいいところなく12着。悪い流れを断ち切れないまま2014年を終えた。
google先生に「ウインバリアシオン 引退」とサジェストされるなど、一部諦めムードも漂い始める中、2015年最初のレースは前年快勝した日経賞で、4年ぶりにかつての主戦騎手福永祐一とのコンビとなった。レースそのものはアドマイヤデウス(鞍上は前年の日経賞でウインバリアシオンを勝たせた岩田騎手であった)の圧勝と言える内容だったものの、ウインバリアシオンはホッコーブレーヴをアタマ差おさえての2着に入り復調をアピール。5番人気に支持したファンを安堵させた。
しかし、本番の天皇賞(春)では最後の直線で故障を発生。浅屈腱不全断裂で競争能力喪失の診断が下り、引退が発表された。傷だらけの競争生活であったが、最後もやはり故障によって競争生命が絶たれてしまった。ただ、一歩間違えれば命にかかわる故障であっただけに、せめて命があっただけでも喜ぶべきだろう。
生涯成績はGIレースを勝つことが出来ず、2着が4回。いわゆるシルバーコレクターの一員と言えるが、ウインバリアシオンのGI勝利を阻んだのが同じシルバーコレクターであったステイゴールドを父に持つオルフェーヴルやフェノーメノといった馬たちであったことは、なんとも皮肉なことである。そしてGI2着が4度あるとは言え、勝ち鞍は重賞2つ。しかも、評価され難い長距離レースのみのため引退発表後に種牡馬入りとのニュースが流れたものの、当初の予想通り故郷のノーザンファームにて乗馬となることが発表された。
が、その後に、青森県のスプリングファームで種牡馬入りすることが正式に決定し、種牡馬になることが決定。二転三転したが、彼の血が引き継がれていくのは非常に嬉しいことである。種付け数は毎年30~50頭ほどで、馬産の中心地とは言えない青森での数字と考えると十分だろう。2024年現在は初年度産駒のドスハーツがオープン馬にまで勝ち上がり、5年目産駒のハヤテノフクノスケが菊花賞に出走したのが主な実績となっている。現役時代は金色の三冠馬オルフェーヴルに一歩及ばず、ダービー、菊花賞とクラシックを制覇出来なかったが種牡馬として頑張って是非、現役時代の屈辱を晴らしてもらいたいものだ。
血統表
ハーツクライ 2001 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
アイリッシュダンス 1990 鹿毛 |
*トニービン | カンパラ | |
Severn Bridge | |||
*ビューパーダンス | Lyphard | ||
My Bupers | |||
*スーパーバレリーナ 1994 鹿毛 FNo.19-c |
Storm Bird 1978 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
South Ocean | New Providence | ||
Shining Sun | |||
*カウントオンアチェンジ 1987 栗毛 |
Time for a Change | Damascus | |
Resolver | |||
Count On Kathy | Dancing Count | ||
War Exchange |
クロス:Northern Dancer 5×3×5(18.75%)、Almahmoud 5×5(6.25%)
関連動画
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アニマルキングダム(競走馬)
- エリンコート
- オルフェーヴル
- カレンミロティック
- ギュスターヴクライ
- グランプリボス
- ダノンシャーク
- フランケル
- ベルシャザール
- マーベラスカイザー
- メーデイア
- メーヴェ(競走馬)
- ロードカナロア
▶もっと見る
- 8
- 0pt