ウェストハム・ユナイテッド(West Ham United Football Club)とは、イングランド・プレミアリーグに所属するサッカークラブである。
概要
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正式名称はウェストハム・ユナイテッド・フットボール・クラブ。1895年創設。元々東ロンドンにある鉄鋼所や造船所で働く労働者により結成されたクラブで、彼らが使うハンマーがその由来である。エンブレムにも交差するハンマーが描かれている。
ホームスタジアムはロンドン・スタジアム。アップトン・パークから、2012年のロンドン・オリンピックのメイン会場として使われたオリンピック・スタジアムへ2016-2017シーズンに移転。元々8万人を収容する円形の競技場なので大きくゆったりとはしているが、ピッチと客席との距離がフットボール専用のスタジアムと比べると、特に両サイドで遠いのが気になる。
スタジアムでは、クラブの代表的な応援歌でもある「I'm Forever Blowing Bubbles」が試合開始前後にシャボン玉とともに流れ、サポーターはサビ部分をアカペラで合唱することで知られている。
クラブの特徴は、育成に実績のあるユース組織を備えており、有望な若手を発掘、育成し、ビッグクラブへ放出するという典型的な「売り手」型。ジョー・コール、リオ・ファーディナンド、フランク・ランパード、マイケル・キャリック、ジャーメイン・デフォー、 デクラン・ライスなど名選手を輩出しているが、後にビッグクラブに移籍している。
歴史
1895年、東ロンドンの造船会社テイムズ・アイアンワークス(Thames Ironworks)の社員チームとして結成される。しかし、1900年にクラブの運営をめぐる争いの末、一度クラブは解散。その後すぐにウェストハム・ユナイテッドFCが結成される。
1919年、フットボールリーグ2部に加入。1923年には初の1部リーグ昇格を果たし、この年のFAカップで決勝まで進出。しかし、これ以降はしばらくの間目立った成績を残すことができず、1932年に2部に降格してからは1958年に再昇格までの36年間を2部に降格する。
1961年にロン・グリーンウッドが監督に就任したことでクラブに転機が訪れる。1964年にクラブ史上初のメジャータイトルとなるFAカップ優勝を成し遂げる。すると、翌年のUEFAカップウィナーズカップでは決勝で1860ミュンヘンを破り、欧州でのタイトルを獲得。この頃の主要メンバーにはボビー・ムーア、マーティン・ピータース、ジェフ・ハーストが名を連ねており、彼らは1966 FIFAワールドカップで優勝したイングランド代表でも主力として活躍していた。その後チームはリーグでは苦戦していたものの、ディビジョン1の座は維持し続け、13年間監督を務めたグリーンウッドが総合監督に就任し、監督の座をジョン・ライアルが引き継いだ1974-75シーズンに二度目のFAカップ優勝を果たす。
1970年代半ば以降は毎年ギリギリで残留するシーズンが続き、1978年にとうとうディビジョン2に降格となる。だが、1980年には2部リーグ在籍のままFAカップ決勝まで進出すると、アーセナルFCを下して3度目の優勝を成し遂げる。ちなみに、トップディビジョン以外のチームがFAカップに優勝したのは現在に至るまでこれが最後の事例となっている。
1981年にディビジョン1に復帰すると、昇格後3シーズン連続でトップ10入り。1985-86シーズンにはクラブ史上最高成績となるリーグ戦3位でシーズンを終える。ライネル監督が率いたこのときのチームは「ボーイズ・オブ・86」と称されている。しかし、このシーズンを最後にチームの成績は再び低迷するようになり、1988-89シーズンにはリーグ最下位に終わりディビジョン2に降格。14年間の長期政権を築いたライネル監督はこの年を最後に退任となる。
1990-91シーズンに2部で2位となり、1991-92シーズンに創設されたプレミアリーグの初年度チームとなる。だが、近代化を進む他クラブと比べてハマーズはライアルの時代と同じ旧態依然としたフットボールを続けており、1年でプレミアリーグから降格。プレミアリーグに復帰後の1994年にハリー・レドナップが監督に就任。レドナップのもとでチームは魅力的なフットボールを見せるようになり、成績も上向いてプレミアリーグに定着。この頃のクラブはスチュアート・ピアース、トレバー・シンクレア、パオロ・ディ・カーニオ、ジョン・ハートソンといった選手を高額な資金によって補強している。さらに下部組織からリオ・ファーディナンド、ジョー・コール、フランク・ランパードといった若手を輩出し、育成面でも成果を挙げていた。1998-99シーズンには5位という好成績で終え、UEFAインタートトカップに優勝してUEFAカップ出場権を得るなど7年間で結果を残したレドナップだったが、2001年に不用意な発言によってサポーターの不振を買い解任となる。
レドナップ解任後は徐々に成績が低迷するようになり、2002-03シーズンに降格。2004-05シーズンにプレーオフを勝ち抜き、プレミアリーグに復帰。2006-07シーズンにアルゼンチン代表のカルロス・テベスとハビエル・マスチェラーノを獲得するが、残留争いに巻き込まれるなどこの補強策は成功とはいえなかった。2010-11シーズンはシーズンを通して降格圏に位置する厳しい戦いとなり、リーグ最下位に終わり、この10年間で二度目のEFLチャンピオンシップに降格となる。
サム・アラダイスが監督に就任した2011-12シーズンに1年でのプレミア復帰に成功。以降のシーズンではプレミアリーグに定着しているものの、低迷が続いていた。だが、112年間を過ごしたアップトン・パークでの最後の年となった2015-16シーズンに7位と6年ぶりの一桁順位で終えている。本拠地をロンドン・スタジアムに移した2016-17シーズン以降の4年間も中位以下の成績に終わっている。
2019-20シーズン、降格の危機に直面する成績不振に陥ったことでシーズン途中にマヌエル・ペジェグリーニ監督を解任し、デイヴィッド・モイーズが2年ぶりに監督に就任。モイーズはフィジカルを重視したチーム作りによって守備を安定させ、降格の危機を回避させる。その後、デクラン・ライスがチームの中心に成長し、2020-21シーズンに6位、翌シーズンは7位と好成績を残し、さらに2021-22シーズンのUEFAヨーロッパリーグでベスト4まで進出。2022-23シーズンのUEFAヨーロッパカンファレンスリーグでは、決勝でフィオレンティーナを破り、1964-65シーズン以来の欧州主要タイトル獲得を果たす。クラブに成功をもたらしたモイーズは2023-24シーズンを最後に退任。
タイトル
国内タイトル
国際タイトル
現在所属している選手
背番号 | Pos. | 国籍 | 選手名 | 生年月日 | 加入年 | 前所属 |
---|---|---|---|---|---|---|
- | 監督 | ![]() |
グレアム・ポッター | 1975.5.20 | 2025 | チェルシーFC 監督 |
1 | GK | ![]() |
ウカシュ・ファビアンスキ | 1985.4.18 | 2018 | スウォンジー・シティ |
3 | DF | ![]() |
アーロン・クレスウェル | 1989.12.15 | 2014 | イプスウィッチ |
4 | MF | ![]() |
カルロス・ソレール | 1997.1.2 | 2025 | パリ・サンジェルマン |
5 | DF | ![]() |
ウラジミール・ツォウファル | 1992.8.22 | 2020 | スラヴィア・プラハ |
7 | FW | ![]() |
クリセンシオ・サマフィール | 2001.10.30 | 2024 | リーズ・ユナイテッド |
8 | MF | ![]() |
ジェームズ・ウォード=プラウズ | 1994.11.1 | 2023 | ノッティンガム・フォレスト |
9 | FW | ![]() |
マイケル・アントニオ | 1990.3.28 | 2015 | ノッティンガム・フォレスト |
10 | MF | ![]() |
ルーカス・パケタ | 1997.8.27 | 2022 | オリンピック・リヨン |
11 | FW | ![]() |
ニクラス・フュルクルク | 1993.2.9 | 2024 | ボルシア・ドルトムント |
14 | MF | ![]() |
モハメド・クドゥス | 2000.8.2 | 2023 | アヤックス・アムステルダム |
15 | DF | ![]() |
コンスタンティノス・マヴロパノス | 1997.12.11 | 2023 | VfBシュトゥットガルト |
17 | MF | ![]() |
ルイス・ギリェルメ | 2006.2.9 | 2023 | パルメイラス |
18 | FW | ![]() |
ダニー・イングス | 1992.7.23 | 2023 | アストン・ヴィラ |
19 | MF | ![]() |
エドソン・アルバレス | 1997.10.24 | 2023 | アヤックス・アムステルダム |
20 | MF | ![]() |
ジャロッド・ボーウェン(C) | 1996.12.20 | 2020 | ハル・シティ |
21 | GK | ![]() |
ウェス・フォデリンガム | 1991.1.14 | 2024 | シェフィールド・ユナイテッド |
23 | GK | ![]() |
アルフォンス・アレオラ | 1993.2.27 | 2021 | フラムFC |
24 | MF | ![]() |
ギド・ロドリゲス | 1994.4.12 | 2024 | レアル・ベティス |
25 | DF | ![]() |
ジャン=クレール・トディボ | 1999.12.30 | 2024 | ニース |
26 | DF | ![]() |
マックス・キルマン | 1997.5.23 | 2024 | ミドルスブラ |
28 | MF | ![]() |
トマーシュ・ソウチェク | 1995.2.27 | 2020 | スラヴィア・プラハ |
29 | DF | ![]() |
アーロン・ワン=ビサカ | 1997.11.26 | 2024 | マンチェスター・ユナイテッド |
33 | DF | ![]() |
エメルソン・パルミエリ | 1994.8.3 | 2022 | オリンピック・リヨン |
34 | FW | ![]() |
エヴァン・ファーガソン | 2004.10.19 | 2025 | ブライトン&ホーヴ・アルビオン |
39 | MF | ![]() |
アンディー・アーヴィング | 2000.5.13 | 2023 | オーストリア・クラーゲンフェルト |
永久欠番
過去に所属したおもな選手
|
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歴代監督
シッド・キング(1901-1932)
チャーリー・ペインター(1932-1950)
テッド・フェントン(1950-1961)
ロン・グリーンウッド(1961-1974)
ジョン・ライアル(1974-1989)
ロー・マカリ(1989-1990)
ロニー・ボイス(1990)※暫定
ビリー・ボンズ(1990-1994)
ハリー・レドナップ(1994-2001)
グレン・ローダー(2001-2003)
トレヴァー・ブルッキング(2003)※暫定
アラン・パーデュー(2003-2006)
アラン・カービシュリー(2006-2008)
ケヴィン・キーン(2008)※暫定
ジャンフランコ・ゾラ(2008-2010)
アヴラム・グラント(2010-2011)
ケヴィン・キーン(2011)※暫定
サム・アラダイス(2011-2015)
スラベン・ビリッチ(2015-2017)
デイヴィッド・モイーズ(2017-2018)
マヌエル・ペレグリーニ(2018-2019)
デイヴィッド・モイーズ(2019-2024)
フレン・ロペテギ(2024-2025 )
グレアム・ポッター(2025- )
関連動画
関連項目
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