ウェストフレテレン単語

ウェストフレテレン

2.1千文字の記事

掲示板へ

記事編集

ウェストフレテレン(Westvleteren)とは、ベルギーのシント・シクスタス修道院で醸造されるクラフトビール(トラピストビール)である。amazonでさえもほぼ入手不可能な幻のビールとして有名。なお、この項目ではセント・べルナルデュスも取り扱う。

概要

種類はブロンド(アルコール度5.8%)とエクストラ8(8)、アブト12(10.2)の三種類。特に、アブト12は権威あるビールサイトで1位に輝くなど評価は高いが、それ以上に入手困難なビールとして名高い。

なぜ、入手困難なのかといえば、修道院がビールの醸造に消極なので年間の生産量を絞っていることもあるが、最大の要因は「訪れた人に出来るだけ買う機会を与える」ことをモットーとしているため、流通に卸していないからである。このため、ウェストフレテレンを正規で手に入れるのには、基本的には修道院に直接行かなければならない。

基本的にというのは、臨時収入が必要になった場合に稀に卸すこともあるからである。時には日本にも卸すことがあるので、海外でも手に入らないというわけではない。

購入方法

ウェストフレテレンを通常の手段で手に入れるには二つの方法がある。
一つは修道院から直接購入する方法であるが、これがハードルが高い。
まず、修道院に電話がつながるまで辛抱強くかけ続け、辛うじてつながったら修道院に購入者の身分や車のナンバーを申告、修道院から指定された日時に修道院に向かいドライブスルー形式で購入という流れとなる。1度に購入できるのは1箱(24本)のみ、1回購入すると60日以内までは購入することができない。ちなみに購入の際には「転売するなよ」という紙を渡されるが、あまり役に立っていないのは後述。
と、外国人にはハードルが高い。電話をかける時点で語学力が必要となる上に、いつでもいける場所に住んでいなければならないからである。

が、外国人が入手できないかといえば、実はそうではない。

修道院の近くにあるカフェ「In de vrede」ならウェストフレテレンが飲める上に、お土産用して、飛び込みで行っても購入が可能だからである。こちらのほうが手っ取り早い。ただし、当地に行くまでがなかなか大変である。

ウェストフレテレンを購入するまで

ウェストフレテレンを購入する上で、幸いなのは近隣の鉄道駅までそう遠くはない事である。
まず、ベルギーの首都ブリュッセルからゲント乗り換えで、国鉄に揺れること1時間50分程度、フランスの国境にほど近いポペリンゲ(Poperinge)にたどり着く。アントワープ・セントラルから1時間に1本の割合。修道院のあるウェストフレテレンからだいたい3kmといったところで、ここがゲートウェイとなる。
問題なのはポペリンゲから、修道院までの公共交通機関が皆無だということ。このため、ポペリンゲの街でレンタサイクルを借りるか、あるいは徒歩で向かうことになる。いずれにしても体力を使うが、徒歩でスクールモン修道院(シメイ)に行くことを考えればマシというところか。
注意点は6本セットにせよ、それにグラスを2つつけたギフトパックとも相当な重量があるということ。帰路が重くなるという対処が必要である。

プレミアム化するウェストフレテレン

……実は入手自体は難しいことではない。
プリュッセルのビールショップ、あるいは個人経営のスーパーなどに行けば普通に売っているからである。なぜ、売られているのかといえば……お察しください。
こちらで買うのが手っ取り早いといえば手っ取り早いともいえるが、その代償として料金も高くなっている。
1本当たり15ユーロといったところで、ビール1本が1.5から2ユーロ、フライドポテトのソースがけが3.7ユーロという相場を考えれば相当高い。
でも、海外で購入するとなると相当跳ね上がる。

公式認定流通。いちおう参考。

本体じゃないよ。木箱だけだよ。

セント・ベルナルデュス

セント・ベルナルデュスとはウェストフレテレンの近隣・ワトゥにあるクラフトビール(アベイビール)の醸造所のこと。名前の意味は聖バーナード。

20世紀の始め、弾圧から逃れるために北部フランスからモンデカ修道院がワトゥの地に引っ越したが、30年代になって弾圧がなくなったことから修道院が再び、故地に戻り、その際にある実業家がチーズ製造部門を買収してワトゥで創業したのが事の始まりである。

第二次世界大戦直後、シント・シクスタス修道院は自分の達のビール醸造を委託してくれる工場を探しており、そのお眼鏡にかなったチーズ工場に製造を委託。チーズ工場は醸造所へとクラスチェンジをしてセント・べルナルデュスとして売り出されることになった。内部消費分はシント・シクスタス修道院で作り、民間ではセント・ベルナルデュスで作っていたというわけである。

その提携は1992年で切れるが、今も変わらずセント・ベルナルデュスは作り続けられている。ウェストフレテレンのレシピで。