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ウェルシュ菌とは、食中毒や感染症を起こすことがある細菌の一種である。
概要
クロストリジウム属に属する細菌の一種。ちなみに同属の細菌としてはボツリヌス菌や破傷風菌などがいる。
クロストリジウム属の例に漏れず酸素(空気)を嫌う嫌気性細菌であり、主に土の中や水の中、ヒトや動物の腸内などに生息している。
芽胞と呼ばれる強力なバリアを作る性質を持つため、熱(高温)や消毒に対して非常に強い耐性を持つ。
感染経路
食中毒として発症するパターンと、皮膚の傷口からウェルシュ菌が侵入するパターンがあり、どちらの場合でもウェルシュ菌が毒素を出して病気を起こす。
空気を嫌う性質と熱に強い性質を持つため、空気の少ない煮込み料理が原因となりやすい。特に土の中で育つ野菜(玉ねぎ、じゃがいも)を使うカレーやシチュー、肉じゃがなどが原因となることが多い。
症状
食中毒
食中毒として発症した場合、ウェルシュ菌が小腸で毒素を出して胃腸炎を起こす。激しい腹痛や水のような下痢が起こるが、細菌性食中毒の中では比較的軽症であり数日程度で治ることが多い。発熱や嘔吐はあまり見られない。
しかし、免疫力が低下した人などはごく稀に粘血便を伴う重症例になることもあるので注意が必要。
ガス壊疽
こちらはウェルシュ菌が傷口から侵入した場合である。食中毒と異なり非常に危険な病気であり、致死率が非常に高い。
筋肉が壊死するため非常に激しい痛みや腫れを伴う。進行すると敗血症を併発して死亡することもある。
抗生物質や手術などの治療が絶対必要である。
予防方法
- O157やノロウイルスなどと異なり熱に強いため、加熱調理は無効である。
- カレーやシチューなどを作る時はできるだけかき混ぜて空気を中に入れ、ウェルシュ菌の増殖を抑えること。
- 鍋料理などを大量に調理した後は小分けして冷凍保存することでウェルシュ菌の増殖を防げる。
- 加熱調理した後はなるべく早く食べよう。
関連項目
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