概要
浦島太郎の冒頭で子供にいじめられてる動物。
産卵時に涙を流す姿が哀愁を感じるとして、テレビでよく特集されるお涙頂戴な人気者。
…が、現実は非情である。
生態・特徴
四肢は海で泳ぐのに適応するため、キール状に平べったくなっている。
泳ぐときは前足で水をかき、後ろ足で舵をとる。
またカメ類最大の特徴である甲羅だが、ウミガメは泳ぐスピードを上げるために平坦化・軽量化されている。
そのため、カメといえばのステレオタイプ、「甲羅に首手足を引っ込める」ことが、実はウミガメにはできないのである。
ペットでおなじみのミドリガメなどは、ジタバタと両足を動かしながら必死に泳ぎまわる、ちょっと不細工な泳ぎ方をするが、対してウミガメはよくテレビで映る姿で見られるように、とても優雅に海を泳ぐ。
その悠然とした姿や、海を代表する比較的大型な生物の一種であることから、ウミガメが生息する地域では、ダイビングで出会う海の生き物として人気が高い。
その一方で天敵が近づくと優雅さなどどこ吹く風、すごいスピードで泳いで逃げる。
さすが恐竜時代以前の大昔から海で生存競争を勝ち抜いてきた猛者である。お前は本当に亀なのかと思いたくなる。
反面、ウミガメの四肢は歩行には適しておらず、地上では前進しかできない。そのため、近年は産卵に来た個体が護岸ブロックなどの人工物に挟まり、身動きが取れなくなってそのまま死んでしまうという事態も発生している。
卵を産む時は砂浜に上陸し、ピンポン玉みたいな卵を50~150個産み、砂をかけてから帰っていく。
この時涙を流しているのはお産の苦しみだとか悲しいからだという俗説があるが、実際は涙腺から身体に溜まっている塩分を排出しているだけであり、ウミガメは海の中でも常にそうしている。人間が勝手にそういう印象を持っただけ。
孵化すると子供達は必死に海目掛けて走っていくが、大抵の子は天敵に食われ、生まれてすぐその生涯を終える。
たくさん産むのは生存率をあげるために他ならない。おおよそ30年かかる成体までの成長を遂げることができるのは、5000匹に1匹とされる。
基本的に孵化するのは夜であり、これは天敵に襲われないようにするためである。にも関わらず昼間に放流会をやっている団体があり、それに抗議する流れも起きている。昼間は天敵が活発な時間であり、ただでさえ少ないウミガメの子の生存率をさらに下げるためである。
日本におけるウミガメ
日本で産卵を行うウミガメは、アカウミガメ・アオウミガメ・タイマイの三種。
うちアオウミガメは屋久島以南、タイマイは沖縄の一部にのみやってくるため、本土で産卵を見ることのできるウミガメはアカウミガメのみ、それも鹿島灘、能登半島以南に限られる。
その他、世界最大のウミガメであるオサガメ、壮観な集団産卵を行うヒメウミガメ・ケンプヒメウミガメ、オーストラリア沿岸に生息するヒラタウミガメを含め、7種類が現生している。
信仰の対象であったことは、浦島太郎という物語の存在を考えるとわかりやすいか。
産卵にやってきたウミガメにお酒をかけて帰す習慣が今も残る地域も存在する。
以前は日本でも食の対象として肉・卵が食べられていたが、今では禁止されている。
特産品とされる小笠原諸島で唯一漁ができ、アオウミガメの肉を食べることができる。
- アカウミガメ
アゴがでかくて顔がでかくてブサイク。名前通り赤褐色のカメ。本土で産卵が見られるのは必然的にコイツだけ。
その顎の大きさから、英名ではロガーヘッドタートル(丸太頭、馬鹿でかい頭)と呼ばれる。亀頭言うなよ
顎が大きい理由は、貝や甲殻類を主食としているためで、見た目通り咬む力がとても強い(肉食性が強い雑食)。
咬まれたらひとたまりもなく、足指を持って行かれるケースもあるし、筆者も長靴を引き裂かれた経験がある。
鹿児島の屋久島で多くの個体が産卵する。本土なら吹上浜や日南海岸などが比較的多いか。
保護活動を行っている団体も多いため依頼すれば調査に同道させてもらえるかもしれないが、観察の際は自然に対するマナーをしっかり守るように。ぶちゃいくでも、一生懸命穴を掘って産卵し、海に帰っていく姿を見ると、きっと愛着が湧くはず。 - アオウミガメ
小顔でくちばしも慎ましやか、目がくりっとしてて非常にかわいい。アオウミガメという名だが、体色は黒っぽく、おなかがしろい。アカウミガメとは対照的に、海草を食べる草食性。うんかわいい。
主食からこいつらの脂肪は海草の色素を取り込んで緑色をしており、英名のグリーンタートルもここに由来している。
脂肪の色が名前となっているのは、人間がアオウミガメの脂肪を見る機会が多かったことを意味し、草食性でウミガメの中では特に美味とされるアオウミガメは、多くの個体が乱獲され、食べられてきた。アオウミガメに限らず、ウミガメは地上でひっくり返しておけば逃げることができないため、昔は船上でのタンパク源としてよく食べられていたらしい。
ちなみに、昔話題となった屋久島に産卵にやってくる後右脚・前左脚のないウミガメ「ジェーン」はアオウミガメである。 - タイマイ
タイ米ではない、ちゃんとしたウミガメですよ。
縁取りギザギザの鮮やかな甲羅をもったウミガメで、実はこの甲羅こそ「べっ甲」細工の原料なのである。
べっ甲細工の歴史が古いことと同様、タイマイが人間に乱獲され利用されてきた歴史も古い。
細くするどいくちばしを持っており、英名のホークスビルタートル(鷹の嘴)の由来となっている。
このくちばしを使い、岩場の隙間に生えている海綿(天然スポンジ)をついばんで食べる。
ちなみにこの海綿由来から、タイマイは肉に毒を持っていることがあり、実際に食べた人が中毒死した例も存在する。
R-18につき反転↓
このべっ甲でつくられたおとなのおもちゃは、材質的にいろいろよかったらしく、江戸時代の大奥の女性たちの欲を満たす最高級の品だったとか。カメからできた人工の亀頭だったのである。おあとがよろしいようで……
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関連項目
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