ウルトラ兄弟とは、ウルトラシリーズの根幹を担う設定である。
概要
兄弟とは言っても血縁関係ではなく、言ってみれば杯交わした義兄弟のようなものである。
ウルトラ兄弟の定義は「光の国の宇宙警備隊の中でも地球防衛にあたった精鋭」というのが大まかな定義であるが、時代によって細かに変遷がある。
この設定が出てきたのは第二期ウルトラシリーズからであり、当初は帰ってきたウルトラマンでさらっと触れた程度であったが、ウルトラマンAにおいて客演の増加やウルトラの父登場などその方向性が明確化され、ウルトラマンタロウにおいて光の国の存在、国家体制など非常に細やかな描写がされ、集大成を迎えた。ウルトラマンレオにおいてもその路線は踏襲されたが、ウルトラマン80では客演自体が存在しなかった為、さらっと個別のキャラに触れる程度であった。その後、ウルトラマンティガなどの平成シリーズでは昭和シリーズとは異なる時系列での設定であったので長らくウルトラ兄弟の設定は活用されなかったが、昭和シリーズと同一の時系列である「ウルトラマンメビウス」が放映されると、ウルトラ兄弟の設定が再び脚光を浴びた。
評価
ウルトラ兄弟の設定は主たる視聴者の幼年層の支持を強固に取り付け、とりわけウルトラマンタロウはキングブレスレットに代表されるチートな能力に奇想天外でありながらも明快なストーリーで今持って人気が強い。言うまでもなく兄弟とは我々の生活においては普遍に見られるものであり、よりウルトラマンの存在を身近なものとした。
一方で、第一期ウルトラシリーズからのファンにとっては個々のキャラの弱体化や神格化されていたウルトラマンを世俗化したと言う事で厳しい評価を下す例が多かった。第一期においてゾフィー・ウルトラマン・ウルトラセブンはM78星雲から来た事以外は詳しい出生は分からず一種の神秘性を帯び、またゼットンなどの非常に強力な宇宙人を除けば負けなしと言う一種の絶対的神であった。第二期以降に登場したウルトラマンを際立たせるためとはいえ、束になっても超獣や怪獣に太刀打ち出来ない姿や兄弟と言う一種の世俗性を帯びた方向性はウルトラマンの持っていたこれらの要素をかき消してしまった。口が悪い人はこの点について「子供向け」と言うがそもそも論としてウルトラマンが主たる視聴者層を子供向けとしている以上、この言い方はあまり適切ではない。
無論、円谷側でもその点は無視できずウルトラ兄弟の設定を排した作品を何度か制作している。しかし、近年においてはこの設定は再注目されつつある。これは第二期ウルトラシリーズの作品を見て育った子供が大人となり、結婚をし、親となった時に親子共々見られる作品として再評価されているからである。「ウルトラマンメビウス」以降の映画作品においても、中の人を出演させたりと子供だけでなく親も楽しめるような作品となっている。また、これらの設定によりニコニコ界隈でも円谷側がある意味ぶっ飛んだ4月1日を披露してくれるなど、公式非公式問わず二次創作が活発に行われている点も注目される。
ウルトラ兄弟の構成員
個々の詳しい記事はリンク先を参照していただきたい。カッコ内は人間体における演者を指す。
- 長男:ゾフィー(演:竜崎勝→田中実)
宇宙警備隊若頭隊長。M87光線など非常に強力な光線技を持つが磔にされたり、ミスターファイヤーヘッドになったり、ミスターファイヤーヘッドになったり、ブロンズ像にされたりと苦労が多い。人間体はウルトラマンタロウにおいては大谷博士に憑依、メビウスにおいてはGUYSのサコミズと同一化。残念ながら、人間体を演じられたお二方はすでに鬼籍である。 - 次男:ウルトラマン(演:黒部進)
地球に来た最初のウルトラマン。単独での客演は少なく、第二期ウルトラシリーズにおいてはだいたい他の兄弟と共に一緒の事が多い。人間体は科学特捜隊のハヤタ隊員である。なお、ウルトラマンは最終回においてハヤタと分離しているので、客演時におけるハヤタが「科学特捜隊のハヤタ」と再同化したものなのか、ウルトラマン自身の変身なのかは不明である。 - 三男:ウルトラセブン(演:森次晃嗣)
元々は恒点観測員という別の職業であった。第二期ウルトラシリーズでは一番最初に客演を果たし、またヒッポリト星人と最後まで張り合うなど、高い評価そのままに他の兄弟と比べても見どころがある役どころとなっている。注目されるのはウルトラマンレオであり、MACの隊長としてゲンを一人前の戦士に育て上げる大役があった。人間体はモロボシ・ダンである。彼は地球人の薩摩次郎をモデルに変身している。 - 四男:帰ってきたウルトラマン(演:団次朗)
初期設定では文字通り、初代ウルトラマンが帰ってきた設定であった。登場時期によってウルトラマン2世であったり、ジャックとなったり新マンであったりと変遷が多い。人間体は郷秀樹である。第二期ウルトラシリーズではセブンと共に単体で登場、ドロボン戦でカラータイマーを奪われ、ぺしゃんことなった。 - 五男:ウルトラマンA(演:高峰圭二・星光子)
ウルトラ兄弟でも異例の男女合体であったが、途中で分離。北斗と南で分けた命がどうなったかは触れられなかった。元々、孤児の設定でありウルトラの母に拾われ、ウルトラの父に育てられた設定である為、弟のタロウへの兄弟愛が特に強い。また、北斗の性格が反映されているのか、割かし血気盛んな書かれ方をされている。Aで登場した梅津少年との交流でウルトラ6兄弟と言う言葉が出てきたが、どうやら空に消し去ってる模様。 - 六男:ウルトラマンタロウ(演:篠田三郎)
ウルトラの父と母の実子。テンペラー星人の話だけを見れば、末っ子の甘ったれと言うイメージが強いが、実際の所はタロウ無双がほとんどである。ラストでウルトラバッジを母に返したため、長らく客演はなかった。 - 七男:ウルトラマンレオ(演:真夏竜)
ウルトラ兄弟の中でアストラと共に光の国以外の出身。ババルウ星人との顛末をへて、ウルトラ兄弟入りを果たした。人間体はおゝとりゲンであり、セブンと同じくレオが地球人に変身している。セブンへの恩義を忘れず、ゼロを戦士として育てている。 - 八男:アストラ(演:なし)
ウルトラマンレオの双子の弟。マグマ星人に捕らわれの身となっていた。レオと同じくババルウ星人との顛末を経てウルトラ兄弟の仲間入りを果たした。兄弟の中で唯一人間体がない。 - 九男:ウルトラマン80(演:長谷川初範)
設定では宇宙警備隊の新人であった。ウルトラ兄弟の設定が薄れていた事もあり、近年まではウルトラ兄弟の範疇に入っていなかった。地球での活躍を通じて、一度も怪獣に負けた事がないと言う記録を持つ。人間体は矢的猛であり、地球人に変身して教師の仕事をしていたが、怪獣との闘いを通じて、教師を辞めざるを得なかった。 - 十男:ウルトラマンメビウス(演:五十嵐隼士)
宇宙警備隊のルーキーであり、ウルトラマンタロウの愛弟子。人間体では少々天然気味な所があるが、周囲の信頼も厚い。唯一、その正体を周囲に知られている。 - 十一男:ウルトラマンヒカリ(演:石川真)
元々の年齢でいえば、ゾフィーらとおそらく同じぐらいである。今まで表立っていなかったブルー族の設定を具現したキャラであり、その役職も元々は技術研究者である。人間体はGUYSの前隊長のセリザワ・カズヤである。
一般的にウルトラ兄弟と聞いてイメージされる組み合わせはゾフィーからウルトラマンタロウまでのウルトラ6兄弟であるが、一堂に会した映像作品はタロウ・メビウスの他にはチャイヨー作品である「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」、「ウルトラマン物語」程度である。メビウスでゾフィー以外の中の人5人が勢ぞろいしなかったのは篠田氏のスケジュールなど、大人の事情もあるが篠田氏の解釈としてはタロウの最終回以降はあちこち世界を回っていると言う事になっている。なおウルトラ6兄弟はウルトラ兄弟の中でも別格の扱いである事が言及される。
人間体の場合、服装はハヤタとダンの客演ではそれぞれの所属した防衛部隊のものであったが、ウルトラマンタロウで一堂に会した時は各々のウルトラサインを胸に表した独自のデザインとなっている。
ウルトラ兄弟に関連の深いキャラ
- ウルトラの父(演:玉川伊佐夫)
宇宙警備隊の組長大隊長。その威厳よりウルトラ兄弟より実父のように慕われている。人間体ではサンタクロースの姿で登場している。 - ウルトラの母(演:ペギー葉山)
銀十字軍のおかみさん隊長。深い母性でウルトラ兄弟より実母のように慕われている。ウルトラの父と共にウルトラマンAを育て上げた。人間体では緑のおばさんとして登場している。 - ユリアン(演:萩原佐代子)
ウルトラの母に続く女性ウルトラマンで、姐さんウルトラマン80の幼なじみ。実はウルトラの星の王女であり、この事よりウルトラの星が王制(※1)を敷いていると思われる。人間体は星涼子と名乗り、UGMに入隊した。 - ウルトラマンキング(演:人間体なし)
ウルトラの星でも伝説の人物と言われる人物。ウルトラマンレオで初登場し、ババルウ星人の顛末においては偽アストラに翻弄されていたウルトラ4兄弟(※2)を一喝した。でも、本物と瓜二つだからそりゃあんまりです。
※1:国王が誰であるかは不明。ウルトラマンキングは王ではない。
※2:ウルトラマンレオにおける4兄弟はゾフィー・ウルトラマン・帰ってきたウルトラマン・ウルトラマンAとなっている。
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関連項目
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