エコロデュエル(Ecoro Duel)とは、2019年生まれの日本の競走馬。青鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2023年:京都ジャンプステークス(J-GⅢ)
2025年:中山グランドジャンプ(J-GⅠ)
概要
父キタサンブラック、母*クラリネット、母父Giant's Causewayという血統。
父はもはや言わずと知れた「みんなの愛馬」。種牡馬としてもイクイノックス、ウィルソンテソーロ、ソールオリエンス、クロワデュノールらを輩出し現役トップサイアーの一角に君臨している。エコロデュエルはイクイノックスやウィルソンテソーロと同じく初年度産駒の1頭。
母はアメリカとカナダで11戦4勝、芝2400mのリステッド競走勝ちがある。下河辺牧場によって繁殖牝馬として輸入され、エコロデュエルが第5仔。
母父ジャイアンツコーズウェイはアメリカ産のアイルランド馬で、2000年に欧州でG1を5連勝しカルティエ賞年度代表馬に輝いた優駿。種牡馬としても活躍し、日本での母父としての産駒には*レモンポップがいる。
2019年5月4日、キセキやソウルラッシュでおなじみの日高町・下河辺牧場で誕生。オーナーはエコロヴァルツなど「エコロ」冠名を用いる原村正紀(エコロ・インターナショナル代表)。
デュエルでエコロを
3歳(2022年)
ヌーヴォレコルトなどを管理した美浦・斎藤誠厩舎に入厩。デビューは3歳となった2022年1月23日、小倉・芝1800mの新馬戦。富田暁を鞍上に、11番人気で7着と特に言うこともない結果。
3戦目から石川裕紀人に乗り替わり、4戦目の東京・芝2000mの未勝利戦で単勝万馬券の9番人気から逃げてクビ差2着に粘り込み、6月の同条件の5戦目をしぶとく逃げ切って勝ち上がった。
しかし1勝クラスで壁にぶつかり、5着→5着→11着→14着。11月の通算10戦目で3着……とは言うものの7頭立てで勝ち馬から1秒近くも離されての敗戦。このあと12月に同じ美浦の岩戸孝樹厩舎に転厩し、平地に見切りを付けて障害に転向することになった。
4歳~5歳(2023年~2024年)
明けて4歳となり、5月の新潟の障害未勝利戦で障害デビュー。鞍上には新たなパートナーとして草野太郎騎手を迎え、以後草野騎手が主戦となった。
初戦は飛越が下手すぎてジャンプのたびに他馬に遅れていきブービー7着に終わったが、続く京都での2戦目では相変わらず飛越は危なっかしいものの今度は普通に前目につけられる程度には改善され、逃げた馬が終盤で故障し脱落するとそのまま大差で圧勝。
続く中京のオープン戦も混戦の中で中団から最終直線で抜け出し快勝、連勝を飾ったが、このときも最終障害を思いっきり斜めに飛越し、入線後には外ラチ沿いへとダッシュ。草野騎手いわく「(馬場の)出口が見えたんですよ。出口に向けて跳んじゃった」とのことで、どうやら早く帰りたかったらしい。以後しばらく飛越の下手さを平地の末脚で補うというのが基本スタイルとなる。
というわけで9月の阪神ジャンプステークス(J-GⅢ)で重賞初挑戦。ジューンベロシティに次ぐ2番人気に支持されたが、終始後方のまま10着に撃沈。
続いて11月の京都ジャンプステークス(J-GⅢ)。ここでは混戦ムードの中で4番人気。レースは途中のバンケットでかなり危なっかしい斜行をしたがなんとか落馬せず耐えて後方でついていくと、馬群が固まる展開を最後の4コーナーから捲っていき、最終直線で差し切って勝利。草野太郎騎手は3年ぶりの重賞制覇、原村オーナーは嬉しい重賞初制覇となった。……その一方、前日のスクーリングではテンションが上がって草野騎手を振り落としており、障害競走ファンの間では「問題児」として知られるようになる。
これで勇躍中山大障害(J-GⅠ)に挑戦。ちなみにここには半兄ハーツシンフォニー(騸)も一緒に出走していた(11着)。結果はマイネルグロンに3秒近くぶっちぎられたものの、大障害コースも斤量63kgも初経験で3着確保。草野騎手も「経験が少ないなかよく頑張りました」と相棒をねぎらった。
明けて5歳は阪神スプリングジャンプ(J-GⅡ)から始動。昨年の阪神JSがトラウマだったのか返し馬やゲート裏では落ち着かない様子だったが、レースはマイネルグロンにまたも7馬身千切られたものの2着を確保。草野騎手は「勝った馬は強かったですが、逆転できるように頑張ります」と、中山グランドジャンプへ意気込みを見せた。
ところが本番の中山グランドジャンプ(J-GⅠ)では、エコロデュエルの背中に草野騎手の姿はなかった。3月末のレースで落馬負傷、小野寺祐太騎手に乗り替わりになってしまったのである。草野騎手は悔しい思いを抱えながら病院のベッドで観戦、レースは前に食らいついていったものの4着まで。
秋は草野騎手が戻って東京ハイジャンプ(J-GⅡ)から始動。中団から徐々に押し上げて逃げるジューンベロシティを捕まえに行ったものの、振り切られて2着。とはいえ草野騎手は数多い課題を徐々にクリアしてきた相棒の姿に、「飛びながら前を射程に捉えて...という競馬を目指してエコロデュエルとは付き合ってきたので、感動しました」「成長を感じる一戦でした」と年末への手応えを掴んだ。
というわけで年末の中山大障害(J-GⅠ)ではジューンベロシティ・マイネルグロンに次ぐ3番人気。しかしレースはニシノデイジーに千切られ、4角ではカラ馬になったマイネルグロンのせいで外に振られるなどもして2着。好走はしつつも勝ち星を挙げられないまま5歳を終えた。
6歳(2025年)
明けて6歳も阪神スプリングジャンプ(J-GⅡ)から始動したが、スローペースの中で動きづらい展開になってしまい、不完全燃焼気味の4着。草野騎手いわく緩急のつく展開は苦手な馬なので、この敗戦で草野騎手は岩戸師と、本番では「思い切った競馬をしよう」という方針を立てることにした。
というわけで迎えた中山グランドジャンプ(J-GⅠ)。例年より10m長い4260mとなったこの年は大混戦ムードで、エコロデュエルは6.2倍の5番人気であった。
しかし馬が気を抜かないように積極的なレースに徹することを決めていた草野騎手は序盤から前目で逃げる馬を追走すると、大生垣でジューンベロシティと2頭で後ろを大きく突き放して逃げる態勢へ。スタミナを出し切るつもりで飛ばすエコロデュエルに、ジューンベロシティは残り800mでついていけなくなり脱落。そのまま後続をちぎって直線を向いたエコロデュエルは、最終直線の最終障害で草野騎手が体勢を崩したもののなんとか踏みとどまり、終わってみれば8馬身差をつけて栄光のゴール板を駆け抜けた。
デビュー19年目で悲願のJ-GⅠ制覇を果たした草野騎手はゴールを目前にして「頼む!頼む!」と叫び、ゴールの瞬間には歓喜の雄叫び、そのまま脚を止めたエコロデュエルの上で顔をくしゃくしゃにして男泣き。岩戸師と原村オーナーも嬉しいGⅠ初制覇、父キタサンブラックは初年度産駒で芝・ダート・障害GⅠ級制覇を達成した。
血統表
キタサンブラック 2012 鹿毛 |
ブラックタイド 2001 黒鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere | |||
シュガーハート 2005 鹿毛 |
サクラバクシンオー | サクラユタカオー | |
サクラハゴロモ | |||
オトメゴコロ | *ジャッジアンジェルーチ | ||
*テイズリー | |||
*クラリネット 2007 鹿毛 FNo.9-e |
Giant's Causeway 1997 栗毛 |
Storm Cat | Storm Bird |
Terlingua | |||
Mariah's Storm | Rahy | ||
*イメンス | |||
Legs Lawlor 2002 鹿毛 |
Unbridled | Fappiano | |
Gana Facil | |||
Evil Elaine | Medieval Man | ||
Distinctive Elaine |
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