(株)エッチ・ケー・エス 英:HKS Co., Ltdとは、静岡県富士宮市北山7181に本社を構える自動車部品メーカーである。
概要
1973年、ヤマハ発動機の社員だった「長谷川浩之」氏が脱サラし創業した。
日本国内で自動車のチューンナップパーツの開発・製造を手掛けている大御所的存在のひとつ。トヨタ・日産・三菱車向けのパーツ製造を得意とする。
過給器(ターボチャージャー・スーパーチャージャー)をはじめ、給排気系(マフラー・エアクリーナー・エキゾーストマニホールド・ブローオフバルブ)、カーエレクトロニクス(サブコンピュータ・ターボタイマー・ブーストコントローラー・スピードリミッターカット)、冷却系(インタークーラー・オイルクーラー)、燃料系(インジェクター・燃料ポンプ)、エンジンパーツ(バルブ・カムシャフト・ブロック・ピストン、クラッチ、ブレーキ、ケミカル、ワイドボディキットを手掛ける。
埼玉県戸田市・北海道札幌市白石区・福岡県北九州市・東京都江東区に直営店を構えているほか、国内の有名チューニングショップからも絶大な信頼を受けている。
HKSは長谷川のイニシャル「H」、同じく創業時のメンバーだった北川氏のイニシャル「K」、創業時の出資者であったシグマオートモーティブのSの略である。ちなみにシグマオートモーティブは元トヨタ社員が脱サラし創業した企業で、現在の「サード」である。また、同じく自動車部品メーカーの「ブリッツ」にも関与している。
直営店舗
| 屋号名 | 所在地 |
| HKSテクニカルファクトリー | 埼玉県戸田市美女木5-2-8 |
| HKSテクニカルファクトリー札幌 | 北海道札幌市白石区米里3条2-2-7 |
| HKS九州サービス | 福岡県北九州市小倉南区蜷田若園3-12-15 |
| HKSゲート東京ベイ | 東京都江東区東雲2-7-20 オートバックス東雲店3F |
HKSの製作実績
1974年、日産・スカイライン用として業界で初めて外付けターボチャージャーを発売。
1981年、オートレース用エンジン「HT600フジ号」を発売。フジ号登場によりイギリスの「トライアンフ」や、東京都目黒区に存在した「目黒製作所」(現:カワサキモータースジャパン)製のエンジンから乗り換えるレーサーが続出し、1993年のスズキ・セアへの一斉入れ替えまで第一線で活躍した。
1983年、トヨタ・セリカXXをベースにした「HKS M300」を制作。5M-GEUエンジンをベースに自社製ツインターボ過給を行い、茨城県筑波郡谷田部町(現つくば市)にあった日本自動車研究所の高速周回路にて301.25km/hの最高速度を記録。日本国内にて国産市販車を改造したもので初めての300km/hの壁を突破した。
1984年、三菱・G54Eエンジンをベースにしたオリジナルエンジン「134E」を制作。2300cc・直列4気筒・DOHC。これを三菱・スタリオンに搭載したラリーカーがアメリカのラリーシーンで活躍した。
1986年、BMW・M12エンジンをベースにしたオリジナルエンジン「186E」を制作。2000cc・直列4気筒・DOHC5バルブ。これを富士グランチャンピオンレースに実戦投入した。
1988年、フジ号の後継となるオートレース用エンジン「200E」を発売。
1990年、A70型トヨタ・スープラをベースにしたドラッグレース用車「HKS DRAG 70 SUPRA」を制作。1991年のRRCドラッグレースにてゼロヨン7.91秒の記録を叩き出し、8秒の壁を見事突破。
1991年、BNR32型日産・スカイラインGT-Rをベースにした公道仕様のコンプリートカー「ZERO-R」を発売。270km/hオーバーでの走行性能や快適性を維持しつつ車検に適合することに成功した。
1992年、自社完結でのオリジナルエンジン「300E」を制作。3500cc・V型12気筒・5バルブ。フォーミュラ1用エンジンとして開発され、一般的なガソリンでも680馬力を、レース用ガソリンであれば700馬力オーバーを叩き出すエンジンであった。これをフォーミュラ3000の車体に搭載しテスト走行を行ったが、実戦投入はされなかった。
1994年、BNR32型日産・スカイラインGT-Rをベースにしたドラッグレース用車「HKS DRAG R32 GT-R」を制作。最大出力は840馬力を記録。1994年~1996年のRRCおよびBEドラッグシリーズにて3連覇を果たした。
1994年、三菱・4G93エンジンをベースにしたオリジナルエンジン「310E」を制作。1800cc・直列4気筒。1994年~1996年のフォーミュラ3に実戦投入。
1994年、オペル・ベクトラ(当初はボクスホール・カバリエ名義)をベース車両に用い、全日本ツーリングカー選手権に参戦。
1995年、ヤマハ・YZF750SPを用いて鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦。1995年・1996年の2年間参戦。上位入賞は果たせなかったが、見事8時間走り切っている。
1995年、BCNR33型日産・スカイラインGT-Rをベースにしたチューニングカー「T-002」を制作。筑波サーキット一周を最速ラップタイム58.716秒と1分を切り、谷田部町のテストコースで行われた0-300km/h加速でも17.64秒という驚異的なタイムを記録した。
1996年、日産・180SXをベースにしたドラッグレース用車「DRAG 180SX」を制作、BEドラッグに参戦。RB26DETTをベースに、GT3240タービンでツインターボ過給を行い、最大出力1185馬力という途方もないパワーを実現。
1996年、軽飛行機用の自社完結のオリジナルエンジン「A700E」を発売。水平対向2気筒・OHV4バルブ。
2000年、トヨタ・アルテッツァをベースにしたチューニングカー「レーシングアルテッツァ」を制作。レース用スリックタイヤを装着し筑波サーキット一周の最速ラップタイム55.853秒を叩き出す。
2001年、トヨタ・スープラをベースにしたドラッグレース用車「ドラッグモンスター80」を制作。ゼロヨン7秒切りを目標としていた。搭載エンジンはソアラやセルシオ、クラウンマジェスタ、レクサス・SC430で用いられていた3UZ-GEをベースにターボ過給で1400馬力以上を叩き出すモンスタースペックを実現。その後、若干パワーダウンしたが2JZ-GTEをベースにしたものに換装された。
2002年、日産・シルビアをベースにしたドリフトカー「HKS S15ハイパーシルビア」を制作。同年のD1グランプリにて実戦投入。
2002年、メルセデス・ベンツ・CLKクラスをベースにしたレースカー「HKS CLK」を制作。同年のスーパーGT GT500クラスに実戦投入。メーカーワークスで参戦するのが基本のGT500クラスであるにもかかわらず、非ワークス体制・自社製チューンであったことから色んな意味で注目された。
2003年、三菱・ランサーエボリューションⅧをベースにしたチューニングカー「TRB-02」を制作。筑波サーキット一周最速ラップタイム55秒ジャストを記録し、当時のチューニングカー部門で最速ラップタイムとなった。2004年には、更に記録を更新し54.739秒のラップタイムを叩き出す。
2004年、トヨタ・アルテッツァをベースにしたドリフトカー「Racing Performer IS220R」を制作。同年のD1グランプリにて実戦投入。
2006年、自社製オリジナルスーパーチャージャー「GT SUPER CHARGER」を発売。
2006年、三菱・ランサーエボリューションⅨをベースにしたチューニングカー「Racing Performer CT230R」を制作。全国各地のサーキットのチューニングカー部門での一周最速ラップタイムを更新することを目標とし全国行脚を開始。十勝スピードウェイでは1分21.536秒、岡山国際サーキットでは1分32.537秒、セントラルサーキットでは1分17.471秒、スポーツランド菅生では1分23.156秒、富士スピードウェイでは1分42.374秒、筑波サーキットでは53秒589秒、オートポリスでは1分49.376秒の記録を樹立。翌年には海外アタックも行われ、アメリカ・カリフォルニア州にある「ボタンウィローレースウェイ」にて1分43.523秒の記録を樹立。
2008年、トヨタ・アルテッツァをベースにしたドリフトカー「HKS YOKOMO Racing performer IS220R/Z」を制作。同年のD1グランプリに実戦投入。
2010年、自社製オリジナルターボチャージャー「GTⅡタービン」を発売。ボールベアリングまで自社製。
2012年、トヨタ・86をベースにしたドリフトカー「HKS Racing Performer 86」を制作。同年のD1グランプリに実戦投入。
2014年、日産・GT-Rをベースにしたチューニングカー「HKS Racing Performer GT1000+」を制作。日本とオーストラリアにて実施されている「ワールドタイムアタックチャレンジ」にて実戦投入。
2018年、トヨタ・86をベースにしたチューニングカー「TRB-03」を制作。筑波サーキット一周最速ラップタイム49.445秒とCT230Rが樹立した記録を大幅に更新。
2018年、スズキ・スイフトスポーツをベースにしたチューニングカー「TRB-04」を制作。純正と同じK14Cエンジンをベースにしながらターボ過給により300馬力を発揮。筑波サーキット一周最速ラップタイム57.480秒を記録。
2019年、トヨタ・GRスープラをベースにしたチューニングカー「Toyota GR Supra Drift by HKS」を制作。最高出力は700馬力。同年イギリス・グッドウッドサーキットにて開催された「グッドウッドフェスティバルオブスピード」にてドリフト走行を披露した。
2020年、トヨタ・GRヤリスをベースにしたチューニングカー「HKS Racing Performer GR YARIS」を制作。これも全国各地のサーキットを行脚しており、一周最速ラップタイムは筑波サーキットでは58.456秒、幸田サーキットでは42.671秒、スピードパーク恋の浦では1分13.406秒、おわらサーキットでは48.298秒を記録。
関連動画
関連項目
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