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エドウィン・ハッブル(Edwin Hubble)、フルネームエドウィンパウエルハッブル(Edwin Powell Hubble)とは、アメリカ天文学者である。1889年11月20日生まれ、1953年9月28日

概要

ハッブル宇宙望遠鏡は彼にちなんで名付けられた、と言えば彼の偉大さがわかるだろう。彼の2大業績は、銀河系の外にも広大宇宙が存在するのを確かめたこと、そしてその宇宙が膨しているを発見したことである。

体育会系だった青年時代

ハッブル高校大学時代は、どう考えても天文学者ではなくスポーツ選手の経歴に見える。

これだけスポーツだというのに、高校生の頃から全教科ほぼ満点を取っており、保険会社の重役だった父親の願いを聞き入れて法学を学び、奨学生としてイギリスオックスフォード大学に留学して修士号までとったほどの秀才だった。父親の死後は法学を諦めドイツ語翻訳スペイン語物理数学高校教師、およびバスケコーチとして働いている(なんなんだこの組み合わせは)。

要するにハッブルから二物も三物ももらってしまってるような人物なのだ。そして彼が最終的に選んだは、そのに挑戦することだった。シカゴ大学大学院に戻り、1917年に天文学博士号を取ったのである。

天文学者として

1919年、ハッブルロサンゼルスの近くにあるウィルソン文台の職員として採用された。奇しくもこの年、同文台に反射の直径100インチ(≒2.5メートル)を誇る反射式望遠鏡「フッカー望遠鏡」が完成している。望遠鏡の直径が大きいほど多くのを集められるので性が高まる。これが2メートルえたのはフッカー望遠鏡が史上初めてで、1948年にパロマー山文台の200インチ(≒5.1メートル望遠鏡完成するまで世界最大を誇った。

渦巻星雲と銀河の大論争を決着させる

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渦巻 NGC 3370

ハッブル大学のころから研究していたの観測を本格的に進めるが、中でも彼が注していたのが「渦巻」と呼ばれるタイプである。ちょうどこの時期、渦巻宇宙の姿を巡って学界を二分する大論争が起きていたのだ。その二とは:

銀河系ぼっち
太陽やその他大勢の恒星銀河という巨大な円盤状の集まりになっていることは既に知られていた。その直径は少なくとも10万光年と見積もられており、あまりにも大きいので宇宙にはこの銀河銀河系)ただ一つしか存在しないだろうという。渦巻は、銀河系の内部ないし周縁に漂う小さな体なのだろうとした。
渦巻銀河だよ
渦巻が発する明らかにただのガスの塊)と違って、恒星が放つと同じスペクトルなので、こいつらも独立した銀河恒星の大集団)なんじゃね?という考え。銀河系も渦巻円盤状という共通点があるのもポイントだ。銀河系ぼっちでないのだとすれば、宇宙は滅でかいということになる。

アメリカ天文学会では両を代表する偉い天文学者によるガチンコのディベートが繰り広げられていた。が、どちらも決定的な拠を欠いていた。渦巻までの距離が測定出来なかったからだ!

そんな中、1922-23年にかけてハッブルアンドロメダ座の大 M31 などいくつかの渦巻100インチ望遠鏡で撮して、それらの写真の中から変光星の一種であるケフェイドをいくつか発見した。このケフェイド、明るさが増減する周期と均的な明るさの間に一定の関係があるので、変周期を観測すれば、そこから導き出されるの明るさと見かけ上の明るさをべて距離を割り出せるという便利な体なのである。

ケフェイドから割り出された M31 までの距離は約90万光年。当時、銀河系の直径はどんなに大きく見積もっても30万光年とされていたので、明らかM31 は銀河系の外にある別の銀河(系外銀河)と考えるしかなかった。かくして大論争は「渦巻銀河だよ」の大勝利で終わる[2]。ちなみに、現在では M31 までの距離は約230万光年銀河系の直径はおよそ10万光年と見積もられている。

ハッブルの法則

ハッブルが次に注したのは、銀河の「方偏移」である。これは読んで字の如く銀河が発するスペクトル寄り、つまり波長が長い方にずれて見える現象だ。銀河のような体のには、「この波長は突出して明るいはず」「逆にこの波長はほとんど発していないはず」という性質がある。方偏移を起こしている銀河では、本来よりも少し長い波長の部分が突出したりんだりしている。この波長の差が「方偏移の大きさ」だ。ちなみに波長が短くなる場合は「方偏移」と呼ばれる。

銀河方偏移自体はくも1912年アメリカ天文学者ヴェスト・スライファーが見つけている。そしてそれは銀河(当時はまだ渦巻との認識だったが)が地球から見て高速で遠ざかっているのだと解釈された。遠ざかる救急車サイレンが、音波が引き延ばされることによって低くなるのと同様、遠ざかる銀河が発するも引き延ばされているというわけだ。いわゆるドップラー効果である。

銀河ごとに方偏移の値、すなわち地球から見た後退速度バラバラで、そこに法則性を見出すことも意味を見つけることもできない状態が続いていた。しかし銀河までの距離を測定する手段を得ていたハッブルは、助手のミルトン・ヒューメイソンと協力して観測を重ねた結果、「銀河地球から遠ざかる速度はその銀河までの距離例する」というハッブルの法則を発見したのである。

この結果を1929年の論文で発表したとき、ハッブルはこの法則が成立する理由についてあまり深入りしようとしていない。だがこれは宇宙が膨しているになるのだ。

玉模様の風船を膨らむ様子を想像すると分かりやすい。膨らんでいる間、一つの玉に注していると、周りの玉がどんどん遠ざかっているように見えるはずだ。そして元々遠くにあった玉ほど、遠ざかる速度は速い。下の図でも、元々近くにあった銀河までの距離矢印)よりも遠かった銀河までの距離矢印)の方が増加分が大きいことがお分かりいただけるだろうか。なお、風船玉や下の図と違って銀河そのものが膨らむわけではないので誤解のなきよう。

膨張前の銀河宇宙すると……→ 膨張後の銀河宇宙

ハッブルとヒューメイソンの発表を知って \(^o^)/ な状態の物理学者がいた。アインシュタインである。彼が1916年に発表した一般相対性理論からは「宇宙は膨したり縮んだりする」という帰結が出ていたため、宇宙は静止しているはずだと信じていたアインシュタインはわざわざ「宇宙項」という新しいパラメータをねじ込んでまでこれを防止していたのに、観測から宇宙が本当に膨している拠を突きつけられてしまったからだ。この辺の詳しい経緯と「宇宙項」がたどった運命については暗黒エネルギーおよび真空の記事も参照されたい。

ちなみに、一般相対性理論を解いて「宇宙が膨する」という結論を導いた研究者として有名なのがロシアアレクサンドル・フリードマンベルギージョルジュ・ルメートルである。このうちルメートル理論側から攻めるだけにとどまらず、スライファーとハッブルたちの観測結果を利用して独自にハッブルの法則を発見して1927年に発表しているのだが、悲しいかな論文はフランス語ベルギーマイナーな学術誌に投稿してしまったため当時はほとんど日のを見なかった。

そんなわけでハッブルを「宇宙の発見者」と言ってしまうのは語弊があるが、「えっ、宇宙は膨してたの!?」と当時の人々に衝撃を与えて宇宙観を変えてしまったのは間違いなく彼の功績である。

彼の名を冠したハッブル宇宙望遠鏡は、素晴らしい観測成果を連発して現代の私たちに衝撃を与えるとともに宇宙に対するイメージも変え続けている。

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関連項目

脚注

  1. *イリノイ州高校協会の公式記録exitより。それによればハッブルが大会で獲得したメダルはこの1個だけ。Wikipediaなどには「一つの陸上競技大会で1位7個、3位1個を獲得」「さらに走り高跳びではイリノイ州の記録更新」といった記述があるがソースは不明。
  2. *細部では「銀河系ぼっち」の方が正しい部分もある。たとえば、「渦巻銀河だよ」は太陽系銀河のほぼ中心に位置していると考えたのに対して、ぼっちは少しはずれた所にあるだろうと正しく予想していた。

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1 ななしのよっしん
2018/02/07(水) 22:08:32 ID: v9Ym0sYN0h
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