エホバの証人(英: Jehovah's Witnesses)とは、チャールズ・テイズ・ラッセルによって設立されたキリスト教系宗教である。ただし、一般のキリスト教からはモルモン教や統一教会と並んで異端と扱われている。
英語名称の頭文字を取ったJWという略称を使うことがある。世界共通の教団のロゴは青地に白い文字でJW.ORGと書かれたものである(画像)。
新興宗教と表現されることがあるが、前身組織が1870年代に始まったので、中々の歴史をもつ宗教団体である。
エホバの証人日本支部の正式な名称は宗教法人ものみの塔聖書冊子協会である(資料)。
概要
略史
1870年にアメリカ合衆国ペンシルベニア州でチャールズ・テイズ・ラッセルが聖書を研究する団体を作り、1879年に同じくペンシルベニア州で『ものみの塔』という機関誌を発行し始めて布教を始めた。
1909年にニューヨーク州ブルックリンに本部を移転し、1931年にエホバの証人という団体名を採用した。
教義
エホバの証人の教義をごく簡単に紹介すると次のようになる。
1.は典型的な終末論である。エホバの証人の宗教2世は子どもの頃から1.を教え込まれるので、恐怖のあまり夜中に飛び起きることもある[1]。
信者に対して恐怖を煽り、「救われるにはエホバに従うしかない」と思わせて教義を絶対視させ、異教徒などの無信者を「世の人」と呼んで忌避するように呼びかける。このためエホバの証人はカルトの宗教団体と一般に言われている。
エホバの証人の創始者のチャールズ・テイズ・ラッセルは1876年に「七つの時は西暦1914年に終わるであろう」と書き、実際に1914年に第一次世界大戦が起こった。これに味をしめた、あるいは調子に乗ってしまったエホバの証人の世界本部は、何度も「◇年○月△日にハルマゲドンが来る!」と予言しているが、全て外れている。そして謝罪らしい謝罪をしていない。
2.は典型的な選民思想である。ユダヤ教やキリスト教も選民思想の性質を持つが、エホバの証人はそうした宗教の選民思想を煮詰めたような宗教である。
3.を信じるのがエホバの証人の特徴である。エホバの証人の信者が集まると「いよいよハルマゲドンが近づいているね」と楽しそうに喋り「楽園では○×をして楽しく遊びたい」などと願望を語り合う[2]。「楽園では死亡したはずのエホバの証人の信者が復活していて、再会できる」と語り合う事も多い。
また子供への強制や規律を破った際の虐待を「正当行為」と推奨するのも問題となっている。(後述)
規律・禁止行為
規律が非常に厳しい
簡潔に言えば大多数の娯楽・選択肢・人間関係が大幅に制限される寂しい人生になるし、子供からすればそれを親から一方的に強要されるためたまったものではない。(規律を破ると後述の虐待行為が行われる)
偶像崇拝の禁止
アニメや漫画や映画は視聴を制限される。戦闘や恋愛を扱う内容のものが禁止され[3]、オカルトも避けるように言われる。大人になっている信者は、自分の良心(自分がいいと思うものを表現する言葉)がいいなら良いとされる。ただし、明らかにアウトのものは禁止される。
エホバの証人の宗教2世が落書きをするとき、教義に背く落書きなら描いた後に消しゴムで消さねばならない。魔法使いや天使の絵を描くと怒られるので描いた後に消していたという例もある[4]。
エホバの証人は漫画家という職業に対して否定的なところがあり、機関誌で「漫画家をやめました」という経験談を讃えることが多い[5]。
音楽などは普通に聴くが、内容がサタン的(エホバの証人の基準でダメな内容の事)の物にならないように慎重に選ぶように教えられる。
校歌や国歌を歌うことは偶像崇拝に当たるので禁止される。エホバの証人の宗教2世は学校で気まずい思いをする。
格闘技や兵役や選挙など争いごとへの参加の禁止
エホバの証人は、争いごとを忌み嫌う宗教団体である。
武道や格闘技を習うことを禁止し、学校の授業で剣道や柔道に参加することを禁止する。高等専門学校に通うエホバの証人の信者の生徒が剣道実技を拒否したことで退学させられたことがある。この処分の取り消しを求めた裁判は最高裁まで進み、重要な判例となった。詳しくは信教の自由の記事を参照のこと。
相撲・ボクシング・プロレスなどの格闘技の観戦は禁止する。とにかく格闘系は禁止されている。それに当たらないスポーツ観戦に関しては問題なくする。もちろんバトル物のアニメ漫画などもってのほか。
エホバの証人は信者に向かって選挙に参加しないように呼びかけている。選挙権を持つ大人に対しては国政選挙や地方選挙の投票をしないように呼びかけるし、学校に通う子どもたちに対してはクラス会で委員長を決める投票に参加しないように呼びかける。
運動会の参加はするが、応援合戦や戦いのようになりそうな事に参加することは禁止される。
…それだけ聞くと非暴力を謳った平和系の宗教にも見えるが、規律を破った子供への虐待行為は禁止されておらずむしろ推奨されている部分もある。(後述)
誕生日会、クリスマス、正月などの祝い事をことごとく禁止する
エホバの証人を信じる家庭では、異教に由来する祝い事が行われない。誕生日会、クリスマス、正月、七夕といった祝い事が禁じられる。
エホバの証人の宗教2世は、誰かから誕生日プレゼントを贈られても「ごめん、受け取れない」と言うように教育される。学校で誰かの誕生日を祝うとき、その場に参加できないので、お誕生日会をしている最中は廊下に退出することを経験した宗教2世もいる[6]。
エホバの証人の宗教2世は林間学校のキャンプファイヤーに出席することも禁じられる。参加しても親にバレるわけがないのだが、「天罰が落ちるかも、ハルマゲドンのときに滅ぼされるかも」という気持ちが起こって参加できなくなってしまうという。
こうした規律を守るかどうかは体罰を受けるかどうかによって大きく左右される。激しい体罰を受けた人は規律を守ることになり[7]、体罰を受けていない人は「親にバレないようにやってしまえばいい」という心理をもって規律を守らずに生きることができる。
飲酒はOKだがタバコは厳禁
聖書でしばしばワインの描写があるし、イエスもワインを飲んでいたのでエホバの証人は飲酒を許可する宗教である。しかし一方でタバコはいい事が1つもないという事が分かったので厳禁とされる。その前は吸っていたようだ。
肌の露出が多い服を着ることを禁止
派手な服や可愛い服を着ると、頭がお固い信者からは「サタン」「大いなるバビロン」「物質主義」「この世的」「世の人に染まっている」「不道徳」と激しく批判される。
エホバの証人の女子は、おしゃれはするが、黒髪・薄めの化粧・アクセサリー控えめ・胸を隠す・ロングスカート(膝下スカート)などを勧められるので、結果地味になってしまう。このようなエホバの証人という宗教団体が好むような服装は、一部の信者の中でエホバルックと呼ばれているようである[8]。
ちなみに、女性の信者が夏に訪問して布教をするとき、日焼け対策として日傘を差して歩くこともある。また、ヒジまで隠れる白い手袋をはめることが多いとされる。男性の信者はクールビズでスーツを着ないでネクタイをしないなど、割と自由である。
エホバの証人の宗教2世は、肌の露出を避ける様に言われ、地味な服を強要されるので「ダサい」「地味」とクラスメイトに言われ続けてしまう[9]。ただし、最近は上手い事やっているようである。
異教徒との交流
異教徒との交流は全面的に禁止されていないが、「その影響に染まらない様にしなければならない」と教えられる。エホバの証人の宗教2世は、普通の学校で友達をうまく作れず、孤立してしまうことも多いという。
過去には体罰があったので、激しい体罰を受けた人は「親の見えないところでも親の言うとおりにしなければならない」と思う傾向があり異教徒との交流をうまく行えないことが多い。体罰を受けていない人は「親にかくれてやればいい」と思うことができる。
異教徒と恋愛したり交際することは当然のごとく禁止される。逆に言うと、エホバの証人の信者同士なら恋愛したり交際することも許される。
婚前交渉の禁止
エホバの証人の信者同士なら交際が許されるのだが、厳しい規制が敷かれる。
男女がデートするときは付添人を必要とする。そして婚前交渉が徹底的に禁止される。抱擁(ハグ)がダメで、キス(A)や愛撫(B)も当然許されず、セックス(C)などもってのほかである。海外では普通に手をつないでデート(もちろん付添人付き)や集会の時一緒に座るなどもあるが、日本ではそういう事は無いようである。
このため「性欲を抑えられないのに婚前交渉が禁止されている。さっさと結婚をしてしまおう」という考え方をして、交際を始めてわずか数ヶ月で結婚する例が多い。しかし、結婚後に性格の不一致に気付き、エホバの証人の教理ゆえに離婚することもできず、生き地獄のような家庭生活を送る例も多いという[10]。エホバの証人の教理は、不倫など相手がよっぽどの事をして反省しない限り離婚することができないので悩むことになる。
若いうちの結婚を推奨しない
エホバの証人は若いうちの結婚そのものを推奨しない。「若いときは性欲旺盛でエッチをしたい目的での結婚になるので望ましくない」という考えがあり、性欲が落ち着く30歳頃の結婚を推奨される。
そもそも結婚を推奨する気風が乏しい宗教団体である。「結婚すると布教活動を満足に行えなくなるので独身のままでいればいい」[11]「結婚なんて、ハルマゲドンが来た後の楽園ですればいい」[12]「一人で元気で動けるなら布教活動に時間を使った方が自分のためになるよ」という風習が強い。
自慰行為の禁止
自慰行為は汚れた行為とされる。「もし自慰行為をしてしまったら親に相談しろ」と教えられる[13]。禁止ではないが、自慰行為に耐える経験や対策を伝えられ、実質禁止にされてしまう。そのため、高校生辺りからの性欲マッハの時期に自慰行為を「汚れた行為」と教えられるので、変な罪悪感を植え付けられることになる。しかし、その時期に性欲を抑制して自慰をしない人間(特に男性)は殆どいない(一般的な調査を基にした情報)。実際ほぼ不可能だろう。
輸血禁止
エホバの証人の規律で最も有名なものは、輸血禁止である。本記事の後半の『輸血拒否の問題』で詳しく述べる。
虐待行為など
教義によって、暴力・武道・格闘技・兵役・選挙など争いごとは禁止であるし、それらが登場するアニメ漫画作品なども厳しく禁止されるため、それだけを見ると一見非暴力系の宗教にも見える。
ただし規律を守った子供に対するしつけという名目の虐待行為に関しては禁止しておらず、逆に推奨していたりその事実を公表・謝罪するという行為はしていない。
子供からすれば理解力のない状態で信仰や娯楽の放棄を強制され、普通の人生や交友関係を望んだだけで激しく叩かれるなど理不尽の極みである。
規律を破った児童への体罰
2000年代終盤から2010年代前半までの時期までのエホバの証人には、規律を破った子どもに対して体罰をする実態と、そうした体罰を長老と呼ばれる教団幹部が推奨している実態があった[14]。
子どもに尻を出させ、平手、ベルト、ゴルフのグリップ、靴べら、ガスホース、ゴムホース、電源コード、ムチ、布団叩き、定規など、好みの手段で幼い子供の尻を叩く。しかも、体罰をする前に子どもに「お願いします」と言わせ、体罰を受けた後に子どもに「ありがとうございました」と言わせるものである[15]。
エホバの証人の宗教施設では、幼い子どもを連れて説法を聞く大人がいる。集会の最中に居眠りしたり騒いだりしてしまった子どもは、もう一つ静かな部屋があるのでそこに連れていかれる。この部屋で尻叩きの体罰を受けた子どもが絶叫し、絶叫の声が説法の部屋にとどろいても、教団の幹部や一般信者は平然としていた実態があったという[16]。
尻叩きに関する由来・根拠
尻たたきに関しては聖書を由来としている。箴言22の15の「愚かなことが子供の心の中につながれている、懲らしめのむちは、これを遠く追いだす」、箴言23の13~14の「子を懲らすことを、さし控えてはならない、むちで彼を打っても死ぬことはない。もし、むちで彼を打つならば、その命を陰府から救うことができる」、箴言29の15の「むちと戒めとは知恵を与える、わがままにさせた子はその母に恥をもたらす」、箴言13の24の「むちを加えない者ものはその子を憎むのである、子を愛する者は、つとめてこれを懲らしめる」が根拠とされていた。
<要約>
子供を愛してるなら、規律を破った子供を積極的にバンバン叩いて体内のサタン成分を追い出さないのは恥ずべきこと。むしろ叩いても死ぬことはないから遠慮せずに叩いたほうがいい。これは教団で禁止されている暴力行為ではなく正当行為である。
※子供が教義にを理解したうえで同意し入信しているとは言ってない
違法性
18歳未満の未成年に対して保護者が尻叩きの体罰をすることは、児童虐待防止法第2条の1と第3条で禁止されている。もちろんエホバの証人における崇高な教義、サタンを追い出すための正当行為・緊急避難だからOKではない。
エホバの証人は、「法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる宗教団体」とされて裁判所に宗教法人法第81条に基づき解散命令を出されて宗教法人の認可を取り消されて税制優遇措置を取り上げられる可能性がある。
2022年11月2日の衆議院厚生労働委員会では、山井和則衆議院議員の質問を受け、加藤晴信厚生労働大臣が「鞭を打つことは身体的虐待に当たる」と答弁した(動画1、動画2)。
現在は尻たたきなどの暴力行為に当てはまる事はしていないが、過去にそういう事をしていたという事はあまり公にしておらず、組織は正式に大きく公の場での謝罪や、黒歴史として発行している書籍などでも間違っていた事としてとりあげる事はしていない。
規律を破った児童への体罰を教団幹部が推奨していたことを謝罪しない
エホバの証人の教団幹部である長老が信者に対して子どもへの体罰を推奨していた事実は、確かに存在する。
また、エホバの証人は中央集権的な組織で、巡回監督という人間が長老を指導して回ることが常態となっている組織であり、長老が巡回監督の指導に背くことが考えられない組織である。その巡回監督が信者に対して直接的に子どもへの体罰を推奨していたこともあるという(資料)。
ゆえにエホバの証人は、過去に教団幹部が児童への体罰を推奨していたことを公に認めて謝罪すべきであるが、2022年11月20日の時点でそうしたことをしていない。2022年11月7日頃に毎日新聞の取材を受けたエホバの証人広報担当者は、「聖書の教えに基づき、子どもは愛情をもって育てるように伝えている。方法は各家庭で決めることだが、体罰をしていた親がいたとすれば残念なことだ」とコメントし、「体罰は信者が勝手にやったことで、教団は何も体罰を推奨していない」という態度を鮮明にした(記事)。
性的児童虐待の発覚
「エホバの証人は、子どもに対して体罰という児童虐待を平気で行っているのだから、子どもに対する性的な児童虐待もやっているのではないか」と誰もが懸念するところだったが、2010年代になってその懸念どおりの裁判が頻出した。
2011年にエホバの証人の元信者のキャンディス・コンティーが、9歳から10歳だったときに受けた性的児童虐待について、エホバの証人の男性信者に対して賠償を求める訴えを起こした。2012年6月13日~14日にカリフォルニア州の裁判所はコンティーの訴えを認める判決を言い渡した(記事1、記事2)。ただし、2015年4月13日に賠償金額は減額された(記事)。2015年3月12日にはABCテレビがこの事件を取り上げて動画をアップロードしている(動画1、動画2、英語版動画、記事、英語版記事)。
同様な裁判は世界中で起きた。
英国のウェールズでは2014年6月にマーク・シーウェルというエホバの証人の長老が強制わいせつなどの罪で有罪判決を受け、懲役14年の懲役刑に服することになった(記事1、記事2、記事3)。さらにマーク・シーウェルは2020年に62000ポンドを被害者に賠償として支払うよう命じられた(記事)。
オーストラリアでは、1950年以降において合計1000件以上の児童性的虐待がエホバの証人の組織内で生じたことが発覚している(記事)。
英語版Wikipediaでは「性的児童虐待に対するエホバの証人の対処」という記事が作られている。
その他の活動
霊感商法や寄付・献金の要求は控えめである
日本においてカルト宗教団体は多く存在するが、その中にエホバの証人がある。しかしエホバの証人は金集めの点において他の宗教団体とは大きく異なっている。例えば統一教会と比較するとエホバの証人は、霊感商法をしないし、寄付・献金を精力的に集めることもしない。
エホバの証人は『ものみの塔』や『目ざめよ!』という機関誌を定期的に発行している。いずれも無料で配布される。
エホバの証人は入会費、年会費、入場料も全部0円である。
ただし、エホバの証人の宗教施設には寄付箱を置いてあり、自発的な献金を受け付けている。
無償労働の要求を極めて熱心に行う
エホバの証人は信者にお金を要求をしないが、無償労働をたっぷりと要求している。エホバの証人の熱心な信者は「奉仕という布教行為の方が、娯楽よりも大事だ」という考えを持っていて、そうした無償労働が喜びなので、無償労働の大量要求にも耐える事ができる。
エホバの証人は、信者に対して布教を行うように求める。子どもがいる人に対しては子どもを引き連れて布教するように求める。子どもがパンフレットを配布すると訪問先の態度も優しくなるので、それを狙っている。ただし、大きくなっていくにつれ行かない子どもとやる気が出る子どもに分かれる。
組織内で昇進するためには無償労働を大量に行う必要がある。毎月60時間以上を布教に費やすことを開拓奉仕といい、この開拓奉仕をすることで「誉れある立場」になり、教団内で大きな顔をすることができるようになる。「そういう事ではない」と教えられるが大きい顔をする信者が多い。
そういう気運を持つ教団なので、信者が信者に向かって「開拓奉仕をするために正社員にならずパート・アルバイトの身分のままでいろ」と言ったり「開拓奉仕をするために大学進学を諦めて高卒で我慢しろ」と言ったりすることが多い。このため「高卒のフリーターで貧乏なのに教団内の地位が高い人」といった存在が生まれていく。ただ、そういう事を気にしない信者や、教団内での出世を求めない信者は普通に働いている。
エホバの証人の信者は「ハルマゲドンが起こって、異教徒の全てが滅びる。会社などは全て消えてなくなる」と本気で信じているので、「高学歴を取得して企業に就職して正社員になっても、いずれ世は滅んで無くなるから、今立派な経歴を積み重ねても無駄で虚しい」と考えている。そのため、低学歴のフリーターになりつつ開拓奉仕をすることを選ぶことが多い。
信者が大学へ進学することを妨害するが、なぜか幹部は大卒ばかり
エホバの証人は「楽園が出現するので『この世』で学歴などを追求しなくて良い」という教義により、さまざまな言葉を述べ立てて信者が大学へ進学することを妨害している[17]。そのため高卒のフリーターや高卒の正社員といった低学歴信者を多く抱えている宗教団体である。
しかし、エホバの証人の幹部は大学の法学部を卒業したようなエリートで固めているという[18]。
これはなぜかというと、エホバの証人の幹部は一世が多く、大卒の信者やいい仕事についていた信者が多いからである。そうした一世信者は「大学を卒業したりいい職に就いたりする事は虚しかった」などと言い、他の信者に高卒での活動を勧める。
結婚式と葬式は簡素であり、記念式だけは盛大に行う
エホバの証人は簡素を重んずる宗教団体である。
エホバの証人の信者同士が結婚するとき、王国会館の中(宗教施設)か、他の施設を借りて行う。偶像崇拝が禁止されているので十字架を掲げる教会などでは行わず、市民ホールを借りる例があるという。
エホバの証人の信者が他界したときは王国会館で極めて簡素な葬式を行う。この葬式を追悼式という。偶像崇拝禁止なので故人の写真を掲げることをせず、花を飾る程度である。喪服を着ず[19]、地味な服装にする。火葬してもらった後、「墓参りをしないので」という理由で火葬場の人に遺灰を処分してもらう遺族もいるし[20]、無宗教の共同墓地などに埋葬して記念的に墓を立てる遺族もいる。「エホバの証人の信者が死んだとしても、ハルマゲドンの後に建設される楽園でエホバによって生き返らせてもらえる」という考えがあり、「楽園で再会できる」と考えているので、そのために葬式を簡素にしている。あまりに死を悲しんでいる人がいると「楽園でまた会える、立ち直りましょう」というような事を言われる。流石に悲しむのは当然のこととされているが、基本的に「楽園でまた会える」という事を強調する。教え的に善意として言うのかもしれないが、言われた方は受け入れづらいものである。ただし「いつまでも悲しむべきではない」という風潮も強い[21]。これにガッカリ(専門用語では「つまずく」)者も多い。
しかし、1年に1回の記念式だけは盛大に行う。記念式はイエス・キリストの死を記念するもので、3月下旬から4月上旬のどれかの日に行われる。異教徒の一般人も招き入れ、エホバの証人の信者たちもドレスや振り袖を着飾る。
拠点
世界本部をニューヨーク州ウォーウィックに置き、全世界で布教活動をしている。
日本支部は神奈川県海老名市中新田4丁目7-1にあり、白くて大きな建物を本部にしている(画像)。
日本の各地に布教の拠点があり、「エホバの証人の王国会館」という看板を掲げている(画像)。王国会館というのが通称である。この王国会館にはプールはない。
日本の各地に大会会場と呼ばれる拠点がある。ここにはプールがあるので、水着を着て全身を水に浸すというバプテスマ(浸礼)の儀式を行う。さらに、年に数回この大会会場での集会を開く。
入信している著名人
入信している著名人としてはプリンス[22]、ラリー・グラハム、マイケル・ジャクソン(スリラーがサタン的だとされ後に破門、死ぬ前にムスリムに改宗、しかし親族は現役信者)、臼井儀人(故人)である。
著名人でも勧誘活動は必須とされており、プリンスも護衛付きで伝道するほどである。
一般キリスト教から異端扱いされ、フランスでカルト扱いされる
エホバの証人の創始者のチャールズ・テイズ・ラッセルはプロテスタント系新興宗教のセブンスデー・アドベンチストの信者だったので、エホバの証人はどちらかと言うとキリスト教プロテスタント系の宗教と言える。
しかし、一般のキリスト教からはモルモン教、統一教会と並んで異端とされている。また、フランスおよびベルギーでカルト指定を受けている(資料)。
なお、セブンスデー・アドベンチストは公称の信者数においてはエホバ以上モルモン以下だが、一般キリスト教から異端として扱われず、各国政府からカルトと扱われておらず、普通の宗教団体として認められている。
入信のハードルの高さ
エホバの証人は、非常に熱心な勧誘で有名だが、実は入信するハードルが物凄く高いというギャップが特徴である。
一般的に入信するまでは早い信者で3年、平均して5年ほどかかると言われている。最初の勧誘から実際の入信までが極端に短い(というか本人の信仰の意思すら殆ど問われない)とされるモルモン教とは正反対である。
教団内の用語
教義に関する言葉
- エホバ 教団が崇拝する絶対神。なにか悩んでいて丁度それに対応した聖句や資料とかが出てくると。「エホバだね」などという。そして「教団好みの良い行動」を「エホバに倣っているね」と褒めることもある。若い信者はとても貴重なので、ほめて伸ばそうとする。
- 血の誤用 動物・人の血液を体内に取り入れることで、厳しく禁じられる。血がしたたる肉を食べることは許されず(これに関しては聖書にはっきりと書かれている)、輸血も許されない。
- カレブ エホバの証人が作った子供向けアニメである(動画)。主人公の名前がカレブである。エホバの証人の公式サイトにもカレブとその家族が登場するアニメがでてくる(リンク)。
行事や布教に関する言葉
- 注解 集会で挙手して発言すること。今はコメントと呼ばれている。
- 証言 異教徒に対して聖書の教えを語ること。学校で体育祭の騎馬戦に参加することを拒否するときに先生に向かって聖書の一節を引用しつつ理由を述べるが、こうしたことを証言という。
- 割り当て 布教の訓練のために、王国会館の集会で壇上に立って発表すること。自作の布教方法を発表したり、男性は聖書の一節を元にした資料を参考にして話を作って壇上で話す。
- 研究生 エホバの証人の王国会館に出入りする段階のこと。研究生の状態で3~5年ほど勉強してからバプテスマ(浸礼)を受けて正式な信者になる。
- バプテスマ(浸礼) 水で体を清めて正式に信者になること。水着を着て、大会会場と呼ばれる施設で全身を水に浸す。多くの信者がプールの周りを囲うように集まり、浸礼をした者に対して盛大な拍手と喝采をする。ちなみに一般のキリスト教のなかのバプテスト教会でも、全身を水に浸すバプテスマを行う。
- 奉仕 布教のこと。家庭を訪問して布教することを野外奉仕という。ちなみに奉仕をするときは2人ペアになる[23]。
- 開拓奉仕 毎月奉仕に60時間以上を奉仕に費やすこと。
- 開拓者 開拓奉仕を行う人間が得られる称号。開拓者は「誉れある立場」とされ、教団内で賞賛されて高い地位を得る。ちなみにエホバの証人はバリバリの男尊女卑の社会であった[24]。最近はその傾向は世の中に合わせて緩くなってはいるが、世間一般から見ると、男尊女卑に感じるかもしれない。女性が昇進できるのは開拓者までである[25]。「責任ある事は全て男がやって、女は男を支える」という思想を持つ組織である。
- 開拓学校 高度で難しい教理を学習するための講座。開拓奉仕をする信者だけが講座を受けられる。毎年行われていて、選ばれた開拓者は必死に勉強している。
組織に関する言葉
- ベテル エホバの証人の宗教施設の総称を指す。世界本部、日本支部、世界にも支部があるのでその全てを含む。ベテルは旧約聖書に出てくる地名で「神の家」という意味である。
- 会衆 信者の集まりの最小基本単位。日本全国に3,500の会衆があると言われている。そのうち562が宗教法人になっていて、このページで「エホバの証人」と入れて検索すると562件がヒットする。
- 長老 教える人という意味では一般キリスト教の神父や牧師に相当する。いちばん謙遜な人(他の信者のために時間を使ったり教えたりする事など)とされ、敬われる。長老はまさに指導者なので、長老のことを怖がる信者もいるという。
- 巡回訪問 巡回監督による会衆の見回りのことをいう。日本支部は複数の巡回区に分けられているのだが、その巡回区を管轄する人を巡回監督という。巡回監督が年に1~2度の頻度で会衆を1週間かけて視察する。一般の信者は、巡回監督の指導を受けることを大会に出席することと同じくらいに好ましい事と受け止める。一方で、長老たちは、巡回監督から会衆の事についてダメな事を批判されまくる。このため巡回訪問の最中の長老たちは必死で「良くやっている」とアピールし続けることになる[26]。巡回訪問の最中の長老たちは巡回監督を心の中で怖がっている。
人に関する言葉
- 世の子 異教徒の子どもや無宗教の子ども。エホバの証人の宗教2世は「世の子と深い交流をしないように」「世の子と遊ぶより仲間といる方が楽しいでしょ?」と親に言われることがある。
- 世の人 異教徒の人。無宗教の人。エホバの証人の信者は「世の人に染まるな」と教団に教え込まれる。
- この世的 異教徒が支配する世界の影響を受けているという意味。エホバの証人の信者は「この世的な活動や行いをしてはならない」と教団に教え込まれる。
- サタン 聖書に出てくる悪魔。よく「サタン的」と言って禁止されている事に対して使う。
- バビロン 古代メソポタミアの都市で、聖書において「逸楽と悪徳がはびこった都市」とされている。異教徒が支配する世界を批判するときは下記の「大いなる」をつけて使う。
- 大いなるバビロン Whore of Babylonを翻訳した言葉で、大淫婦バビロンとも翻訳される。バビロンにおける売春婦という意味である。異教徒を批判するときに使う[27]。
- 兄弟、姉妹 エホバの証人の正式な信者を呼ぶとき、男性なら年齢を問わず「兄弟」と呼び、女性なら年齢を問わず「姉妹」と呼ぶ。男性の鈴木太郎が正式な信者になっているのなら「兄弟」「鈴木兄弟」「太郎兄弟」と呼ぶ。ただし、バプテスマを受けていない段階なら兄弟・姉妹と呼ばれず、男性の鈴木太郎なら「鈴木さん」「太郎さん」などと呼ばれる。
- 交わり 信者同士の交流会のこと。単なるお茶会・食事会。
- 背教者 エホバの証人を裏切った者のこと。エホバの証人の不祥事を内部告発した人をこのように呼ぶ。
- 排斥 正式なバプテスマを受けた信者に対する処分の1つで、集団無視をすること。排斥された信者が王国会館や個人宅における集会に出席したとしても、排斥された信者に対して話しかけることを禁じる。排斥した信者Aに対して、その信者の家族である信者Bは、完全無視することはできないが必要最小限のことしか話しかけない。輸血をしたり婚前交渉したりして直さないなら排斥の処分になる。さらに教団は「ハルマゲドンが起こったら、排斥された信者は異教徒と同じようにエホバに滅ぼされる」と信者に教えこむ。この排斥が恐ろしいので、エホバの証人の信者は厳しい規律に従う羽目になる。
- 断絶 エホバの証人を自らの意思で退会すること。
- 忌避 断絶した者に対して集団無視をすること。親に忌避されるのが嫌なのでエホバの証人を退会できない人が多い。
- 不活発者 ある程度の期間奉仕(布教活動)をしていなかったり、集まりに来ないようになると言われる言葉。会衆の名簿から外れてしまう。しかし、排斥や断絶された者とは違って引き続き信者であるため交友を禁止されることはない。長老や家族が話して戻れるように期待される。
信者の性質
相互扶助の精神がある
エホバの証人の長所というと、信者同士の助け合いが推奨されているところである。信者が病に倒れたら他の元気な信者が家を訪れて食物を与える事が行われ[28]、信者が引っ越しするときは他の信者が手伝うことも多い[29]。そういう助け合いを集会などでも推奨している。本人が求める限りできるだけ助け合うという所は長所と言える。
外面は穏やかだが、病んでいる人もいる
エホバの証人の信者は、外面は穏やかで物腰柔らかく、人の良さそうな印象を受ける。さらには、上品で優雅な印象を受けることもある。
エホバの証人の信者は、「布教の時は笑顔で礼儀正しくせよ」と教団に教え込まれていて[30]、その状態を保って布教を大量に行うように教団に要請されるので、外面の良さが形作られていく。布教活動が楽しい者も多いが、苦手な者も多い。
しかし、親がエホバの証人で流れの様な形で信者になった2世は厳しい規律に苦しんで辞めたいが中々そうもいかないと悩んで内面を病んでいる人もいる。病んでいる者が信者になる事も多いのでそういう理由もある。
尻を叩いて調教の様な事をされた2世はそもそも信者にならないものが多い。
人前で堂々と話すことに慣れている
エホバの証人の信者は、家庭訪問して布教したり、集会で注解(挙手して発言すること)したり、集会で壇上に立って発表したりすることを繰り返し要請されるので、人前で堂々と話すことに慣れている。
迫害されたことを美談にする
エホバの証人は規律が厳しいので、そのことを嫌う異教徒から苛烈な迫害を受けることが多い。しかしそうした迫害を耐え忍ぶことを美談として取り上げることが多い[31]。「もっといい対策あるだろう」とつっこんではだめである。
エホバの証人の楽しみは一般の人より少ない
エホバの証人の、開拓奉仕という布教活動に時間を取られている信者は、遊ぶ時間が少ない。楽しみの会話が少なく、「あの場所で興味がある人に会った」などの会話で盛り上がる。しかし、最近は娯楽も増えて大丈夫な範囲で遊んでいるのでマシになったかもしれない。
エホバの証人の信者は、厳しい規律により娯楽が少ない生活を送っていて、しかも相互扶助の精神が強くて横のつながりが濃厚である。そのため、いつの間にかプライベートな話が広まっていたりする(どうしても噂話が好きな人がいるため)。その噂話がおおきくなってしまって長老とかに話が伝わると、厳しく正される。
信者の具合がちょっと悪くなると、それを聞きつけた信者が「どんな病気?」とかプライベートに干渉して、関係が悪くなってしまうことがある。集会(毎週行われる聖書を勉強する集まり)で何度も噂話に気を付けるよう言われる。
噂されて干渉されることが特に多いのが新婚夫婦である。エホバの証人の信者同士が結婚すると、特に若い信者は「あの2人結婚したみたいだよ」などと話し合って格好の噂話の的である。結婚欲が強い者は心の中ではかなり羨ましがっている。
エホバの証人の信者は、たまに、新婚夫婦に嫌な態度をとることがある。婚前交渉や「信者以外の人以外の恋愛」を禁止されて選択肢が少ない人生を送っており、羨望や嫉妬の感情が蓄積されやすいからである。
金銭欲が薄い
エホバの証人の信者は、ハルマゲドンの到来と楽園の出現を本気で信じている。このため「楽園が来る前の『この世』での生活は一時的なものなので必要最低限でよい。楽園で楽しい生活ができる」と考える傾向にあり、あまりお金を稼ごうとしない信者が多い。
子どもを持つ妻も、家計がヤバくならない限り「パートに出て家計を支えよう」と考えずに長時間の布教活動をしたがる。
親の信者は子どもの信者に対して「大学を卒業して正社員になってお金を稼ごう」と考えさせずに高卒でフリーターのままで長時間の布教活動をするように誘導することが多い[32]。特にお堅い信者の親の子どもはそれが当たり前と教えられる(良い事、又は美談として取り上げられる)。しかし「仕事はどうしたらいいのか、これからどうするべきか」という事を親や他の信者に相談しても、大抵は布教活動に専念するよう勧められる。一応本人の自由という事になっているので一意見とされている。これに関しては融通が利かない二世はそのまま行う事が多い。そのためそのまま続けて前述の開拓者になるか、開拓者をやめて普通に働く信者に分かれる。
開拓者になり、実家にいない場合は、ギリギリで生活している者も多い。ギリギリの生活なので、傍から見たら楽しくなさそうな生活をしている信者もいる。
なので、病院での入院などお金がかかる事が起きると一気に苦しい生活になってしまう事もある。しかし、「エホバが支えて下さる」と言うなどして美談にすることもある。
エホバの証人では「命は大事にしなければならない」と教えられるので、一般の人と同じく可能な限り治療はする。しかし、後述の輸血に関係する事になると、かなりややこしい事態になるので、医師は困る。
過去には常識外れの行動をとるものが居たと言われている。たとえば、病院に通って病気を治すことを面倒くさがりつつ「楽園待ちをする」などといって楽園の出現を頼りにする、というような行動である[33]。
以上のような実態からすると、エホバの証人の「楽園が出現する」という教義は、信者の労働思考を大きく2分割してしまう傾向がある。既に述べたが①開拓者などになって教団内での地位向上を目指しつつギリギリの生活をするか。②教団内での地位向上を目指さず、普通に社員で働いて割と余裕のある生活をするか。の2つである。
ただし、結婚して家族がいる男の信者は「家族を養っていく責任がある、そうしないと信仰を否定するよりも悪い事」とも教えられるので、そこは割と常識的であり、②を選ぶことが目立つ。
しかし、なにか夢ができてそれを目指してそのために多くの時間を使う事を相談すると、親や会衆の人たちからは「布教活動の時間を確保しろ」と言われる。夢を追いかけることに専念して教団から離れることが起こらないようにするためである。そのやりたいこと(夢)と同時進行できる者もいるが、少数である。
輸血拒否の問題
医療関係者を悩ませる宗教団体として真っ先に名前が上がるのがエホバの証人である。この宗教団体は輸血を一切拒否するという信条を持っていることで有名である。
聖書の「血を避ける(使徒15:20など)」という言葉を輸血に適用している。
ただし、エホバの証人の信者の中でも「どこまで身体に治療のための液体入れていいのか」は実はバラバラである。大量出血が予想される時の自己血輸血はOKとする人もいるし、血液製剤(血小板や免疫グロブリンなど)はOKとする人もいるし、体外に出た液体は全てダメとする人もいる。
ものみの塔が定めたのは、「輸血、成分輸血はダメで、血液の代替成分を持つ人工ヘモグロビンなどは個人の決定」としている。なお、エホバの証人全員が判断できるものでもないので、医療機関連絡委員会と言う委員会がある。
輸血拒否をしている成人の信者に対し、同意を得ずに輸血することはできない
成人の信者を相手にする場合、医者は信者の「輸血はしないでほしい」という希望を無視できない。たとえ救命のためとはいえ、希望を無視して輸血をすれば裁判になり、医者は過去の判例を見ても100%敗訴する。最も有名な判例はエホバの証人輸血拒否事件である。
こういった判例を受けて、複数の医療分野の学会などが合同で制作した「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」というガイドラインが2008年2月に発表されており、医療の現場ではこのガイドラインに沿って対応することも少なくない。
このガイドラインでは「無輸血の治療が可能である」と判断した場合は輸血拒否という患者の希望に沿うが、「免責証明書」(「輸血を拒んだことによって生じるいかなる事態に対しても、担当医を含む関係医療従事者及び病院に対して、一切責任を問いません」などといった内容が記された文書)を求めることになっている。
ただし「無輸血では治療が難しい」と判断した場合は「早めに転院を勧告する」ことになっている。転院を勧告されたエホバの証人の信者は、「無輸血での治療が可能である」と判断してくれる別の病院を探すことになる。
なお、このガイドラインはあくまで指針であって強制力などがあるわけではないので、このガイドラインに沿っていない病院もある。例えば「免責証明書などを書いたとしても受け取ることはない。輸血拒否という希望には沿わない。輸血に同意できないのであれば当院では一切の観血的治療は困難であるため、当初から転院を勧告する。」といった方針を明言している病院もある。
子どもの信者の輸血拒否は無視される
子どもとなると話は別である。たとえ信者の子どもであっても、自分の子どもへの適切な輸血の拒否は医療ネグレクト(児童虐待)とみなされている。上記のガイドラインでは、平たく言えば「15歳未満には、必要ならたとえ保護者が拒否しても輸血する」という内容となっており、小児科医の多くはこのガイドラインに従っている。
具体的には、児相に通告→裁判所から両親の親権を即日停止→輸血を行い親権回復という手段が取られている。
この問題が顕在化したのが、かの有名な『大ちゃん事件』である。ネット上で様々な憶測が飛び交ったが、ネットの抜粋記事だけではなく裁判記録を読んでみて、それが真実かどうかを確かめて欲しい。
エホバの証人の後押しをする人たち
なお、宗教とは関係のない立場から「輸血自体が体にとって非常に有害ないしは多くの場合無意味である」「輸血が行われるのは医療者がそのことに無知なため、あるいは利権のために隠しているためである」と信じている人々、もいる。
こういった非宗教的な「輸血反対論者」の意見を紹介する著作としては、例えば船瀬俊介・内海聡の共著『血液の闇 輸血は受けてはいけない』(2014年)などがある。それらのエホバの証人「外」からの輸血反対論者が「エホバの証人の輸血拒否は正しかった」と評することもある。
ただし、この書籍『血液の闇』については科学的に問題がある記述が多く指摘されており、「科学っぽく装ってはいるが実際には「えせ科学」、結論ありきの「陰謀論」的な書籍である」と言った声も強い。例えば誤解(血液製剤への放射線照射処理について、東海村臨界事故での被曝に例えて危険視しているなど)、偏った情報提供(自らの主張に都合がよい研究報告は古く信頼性が低くても重視し、自らの主張と相反するようなより新しく信頼性の高い研究報告は取り上げない)、等々の問題点があるという。要するに、この本の内容には科学的な信頼性の面で大きな疑問符がついている。
現在の医師養成課程ではEBM(Evidence-Based Medicine:エビデンス・ベースド・メディシン:根拠に基づいた医療)という考え方や、さらには根拠(エビデンス)の「レベル」などの概念について教える。そのためほとんどの医師は、こういった科学的に問題が多い一般人向け書籍の内容は基本的には歯牙にもかけない。「このような立派な書籍があるのに、医師に輸血拒否の主張が好意的に受け取られない例が殆どであるのはなぜなのだろう」と疑問をもつ人も居るかもしれないが、そういった理由があるわけだ。
前述の書籍や他の無輸血に関する問題に興味があるなら、「好評も悪評も鵜呑みにせず、その書籍を読んでみて自分の目で確かめればよい」。だが、こういった意見も問題がないわけではない。上記のようにこう言った書籍は「科学っぽく装って」「都合のよい「根拠」となる研究報告だけを切り取って」書かれているため、前述のようなEBMに関する教育・訓練を受けていない人がそのまま読むと、提示された「根拠」の問題点に気づかずに信じ込んでしまう可能性があるのだ。ちなみに、「自分は鵜呑みにしない自信があるから読んでも良いな」と思った方は、逆に他の方より要注意である(ダニング=クルーガー効果)。
著者である船瀬俊介・内海聡の評判や発言履歴を調べてみるのもいいだろう。いわゆる「反ワクチン」「反標準治療」といった、いわゆる「陰謀論」系の人々からはもてはやされている一方、大多数の医師・医療関係者からは非難を浴びている方々である。ただし、彼らの信奉者はそういった非難を受ける様子を見て「よほど都合が悪いらしい」の理屈で逆に彼らへの傾倒を深めるのだが。
2022年12月27日の厚生労働省指針
2022年12月27日になって厚生労働省の子ども家庭局長が「宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A」という指針をまとめ、全国の地方公共団体に通知した(ツィート、大臣会見、概要版、本編、通知本文)。
この指針において、「基本的な考え方」として、「背景に宗教の信仰があったとしても、保護者が児童虐待の定義に該当するものを行った場合には、児童の安全を確保するため、一時保護等の措置を含めた対応を講ずる必要がある」と明確にした。さらに「児童虐待への該当性を判断するに当たっては、Q&Aで示す例示を機械的に当てはめるのではなく、児童や保護者の状況、生活環境等に照らし、総合的に判断する必要がある。また、その際には児童の側に立って判断すべき。」と児童の人権を重視する姿勢も強調した。
さらに「児童虐待行為は、暴行罪、強制わいせつ罪、保護責任者遺棄罪等に当たり得るものであり、保護者以外の者が保護者にこれらを指示・唆したりする行為は、これらの罪の共同正犯、教唆犯、幇助犯が成立し得るため、躊躇なく警察に告発を相談すべき。」と述べ、宗教団体の幹部が信者に向けて「子どもに体罰を与えなさい」と教唆したときに警察の応援を求めることも強調した。
児童虐待防止法の第2条では児童虐待を定義しており、第1項で身体的虐待、第2項で性的虐待、第3項でネグレクト、第4項で心理的虐待を定義している。それに合わせて、宗教の信仰に基づいた児童虐待のあり方を例示している。
概要版に書かれている児童虐待の例示の中で、エホバの証人に関係がありそうなものをまとめると次のようになる。
身体的虐待 | |
心理的虐待 |
|
性的虐待 | |
ネグレクト |
勧誘を追っ払う方法
エホバの証人はしつこい勧誘で有名である。
他の宗教の話をしても、「私はヒトラーって素晴らしい人物だと思うんですよ・・・」などど言ってヒトラーの『我が闘争』を見せても効果が無い。[34]熱心な信者ならば、寧ろ「そのような事を知っているなら関心があるのかもしれない」と思われて再び訪ねてくる可能性が高いので、話題に出さない方が良い。
一般には知られていないが、彼らは実は訪問拒否リストというものを作っている。
そのリストに載る方法は簡単で、「もうこれからは訪問しないでください」とはっきりと伝えるだけでよい。それだけで、布教に用いる地図に印がつけられ、次からは飛ばされるようになる。迷惑に思っている方にはおすすめ。
プレミア本
エホバの証人は様々な本を配り歩いてるが、それらの価値はそもそも無料で配っているのでお金の観点から見ると0円と言ってもいいだろう。しかし、一冊の「聖書に対する洞察」と呼ばれる本だけ例外でこの本はヤフオクで2~3万で取引されている。
一般的なキリスト教の本としてみた場合、凄い細かいところまで調べた百科事典という感じの書物である。
最初から「「聖書に対する洞察」をくれるなら話聞いても良いですよ」と言ってみるのもひとつの手だと思う。
彼らもこの本の価値は理解してるとはいえ今は電子化が進んでいて自分のタブレットに入っているので本が邪魔になっている信者もいる。そのためもしかしたらくれる信者がいるかもしれない。ただし、これに関しても関心があると誤解されてまた家に来られる覚悟は必要である。
運よく本を手に入れてから「もう2度と来ないでください」と言って追い払うのも良いかもしれない。
関連動画
関連リンク
Wikipedia記事
その他
関連項目
- 「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~ - 第1話はエホバの証人を題材とした話である
- よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 - エホバの証人の宗教2世が描いたマンガ
- カルト宗教信じてました。 - エホバの証人の宗教2世が描いたマンガ
脚注
- *「神様」のいる家で育ちました〜宗教2世な私たち〜 14ページ
- *よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話23~24ページ、カルト宗教やめました。64ページ
- *よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話の作者であるいしいさやは「戦闘シーンを描いた漫画は競争禁止の教義に抵触するので禁止され、恋愛を描いた漫画は婚前交渉禁止の教義に抵触するので禁止される」と語っている(記事)。
- *よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 29ページ
- *【カルト宗教のヤバすぎるルール】信者同士の恋愛、変わった結婚式やお葬式、カルト宗教の辞め方など
- *よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 44ページ
- *「神様」のいる家で育ちました〜宗教2世な私たち〜において第1話のモデルとなったiidabiiは1989年生まれの人でエホバの証人の宗教2世であり、幼い頃に苛烈な体罰を受けていた。このため、「親に絶対にバレない場所でも規律を守らないと罰せられる」の心理が強く、林間学校のキャンプファイヤーにも参加することができなかった。
- *カルト宗教やめました。の51ページにエホバルックという記述がある。ただし同書の同じページには「地域によって差があり、都心は割とゆるいようだ」という記述もある。
- *よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 7ページ、10ページあたり
- *カルト宗教信じてました。74ページ、124ページ
- *【カルト宗教のヤバすぎるルール】信者同士の恋愛、変わった結婚式やお葬式、カルト宗教の辞め方など
- *カルト宗教信じてました。76ページ
- *よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 89ページ
- *カルト宗教信じてました。の作者であるたもさんは、1979年4月1日~1980年3月31日の中のどこかが生年月日の人である。25歳で結婚したというから2004年~2005年に結婚したことになる。結婚してからもなかなか子どもができなかった。子どもが大病を煩ったのだが、子どもが4歳の夏に発症して4歳の冬の頃に退院したという。そして子どもの退院のあとにYoutubeでエホバの証人の性的児童虐待を告発する動画を見て35歳の頃の2014年~2015年に脱会を決めたという。以上の情報を総合するに、2006年~2010年の間のどこかで子どもが生まれ、2014年~2015年に脱会を決意した人物である。そのたもさんは、自宅に押しかけてきた長老から「エホバの証人の集会で子どもがうるさい。聖書に基づいた愛のある懲らしめを与えていますか?」と言われたという。つまり2000年代終盤から2010年代前半までの時期には、エホバの証人の幹部である長老が体罰を推奨する実態が存在したことになる。
- *「神様」のいる家で育ちました〜宗教2世な私たち〜の12~13ページ、よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 60~62ページ
- *よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 66~67ページ
- *【カルト宗教の裏側】25年間信者だった人に新興宗教について聞いてみたら、とんでもない話ばかりだった、カルト宗教信じてました。69~70ページ
- *【カルト宗教の裏側】25年間信者だった人に新興宗教について聞いてみたら、とんでもない話ばかりだった
- *カルト宗教やめました。95ページ
- *カルト宗教やめました。95ページ
- *カルト宗教やめました。95ページ
- *プリンスの入信についての参考文献ウェブサイト
- *【カルト宗教の裏側】25年間信者だった人に新興宗教について聞いてみたら、とんでもない話ばかりだった
- *【カルト宗教の裏側】25年間信者だった人に新興宗教について聞いてみたら、とんでもない話ばかりだった
- *【カルト宗教の裏側】25年間信者だった人に新興宗教について聞いてみたら、とんでもない話ばかりだった
- *カルト宗教やめました。15ページ
- *【カルト宗教の裏側】25年間信者だった人に新興宗教について聞いてみたら、とんでもない話ばかりだった
- *カルト宗教やめました。42ページ、よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 125ページ
- *カルト宗教やめました。42ページ
- *カルト宗教信じてました。19ページ
- *カルト宗教信じてました。40ページ
- *カルト宗教信じてました。68~71ページ
- *カルト宗教やめました。36ページ
- *実はあまり知られていないがエホバの証人はヒトラーにユダヤ人と一緒に大量にポアされた歴史がある。
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