「名前、何ていうの」
「……名前なんて記号よ」
「でも、呼びかけにくいし。……さっきのナップザックにE・Nってあったけどイニシャルなんだろう」
「なんでもいいわ。イー・エヌだったら、エマノンでいいじゃない。うん、それでいいわ」
「エマノン?」
「ノー・ネームの逆さ綴りよ」
エマノンとは、梶尾真治の小説『おもいでエマノン』に始まる〈エマノン・シリーズ〉に登場するキャラクター。
〈エマノン・シリーズ〉についても本稿で記述する。
誘導
- エマノン(生放送記事)……FF等のRTA放送をしている。
- えまのん(生放送記事)……ゲーム、歌、お絵描き等の放送をしている。
概要
長い髪にジーンズとセーターを着込み、「E・N」のイニシャルが入った黄色いナップザックを背負い、世界中を旅している少女。僅かなそばかすの浮いた顔、そしてチェーンスモーカー。
そんな彼女は、「地球上に生命が誕生してから今までの記憶を全て引き継いでいる」と語る……。
叙情的な恋愛SFを得意とする梶尾真治の代表作『おもいでエマノン』(1979年「SFアドベンチャー」掲載)で初登場したヒロインで、古手のSFファンの間では非常に高い人気を誇る。徳間デュアル文庫版以降でシリーズ全作のイラストを担当し、自らコミカライズも手がける鶴田謙二は、「自分の描く少女にはすべてエマノンの影響がある」と語るほど強く影響を受けている。
シリーズは1983年に1巻『おもいでエマノン』が、1992年に2巻『さすらいエマノン』がそれぞれ出版されたが、掲載誌だった「SFアドベンチャー」が1993年で休刊となり、しばらく中断となる。2000年に徳間デュアル文庫から『おもいでエマノン』が、翌年『さすらいエマノン』が復刊されると、続けて新刊としてそれぞれ中編1本を収録した『かりそめエマノン』『まろうどエマノン』が刊行された。
その後またしばらく沈黙したが、「SF Japan」などに散発的に掲載された短編を集めて2011年に9年ぶりの新刊『ゆきずりエマノン』が刊行され復活。2013年には初の長編となる『うたかたエマノン』が刊行。
2014年には徳間文庫からデュアル文庫の既刊が復刊され、ようやく全作品が新品で入手可能となった(『かりそめエマノン』は『まろうどエマノン』と合本)。
しかし2024年現在は、最新刊の『たゆたいエマノン』以外は再び品切れとなり、新品では入手困難となっている。
作品タイトルはすべて「ひらがな四文字+カタカナ」で統一されている。エマノンというキャラクターの性質上、各エピソードに登場するエマノンは、記憶の連続性という意味では同一人物だが、肉体的には同一人物とは限らない。
「あしびきデイドリーム」(デュアル文庫版以降の『おもいでエマノン』に収録)で2001年の第32回星雲賞日本短編部門受賞。「おもいでエマノン」は2006年に「SFマガジン」で行われたオールタイムベスト投票で国内短編部門の6位にランクインしている。
また『おもいでエマノン』は2008年に、『さすらいエマノン』は2012年、2013年、2018年に鶴田謙二によるコミカライズが刊行されている。
作品一覧(現行の徳間文庫版準拠)
- おもいでエマノン (1983年、徳間書店→1987年、徳間文庫→2000年、徳間デュアル文庫→2014年、徳間文庫[新装版])
- さすらいエマノン (1992年、徳間書店→2001年、徳間デュアル文庫→2014年、徳間文庫)
- まろうどエマノン (2002年、徳間デュアル文庫→2014年、徳間文庫)
- ゆきずりエマノン (2011年、徳間書店→2014年、徳間文庫)
- うたかたエマノン (2013年、徳間書店→2016年、徳間文庫)
- たゆたいエマノン (2017年、徳間書店→2020年、徳間文庫)
関連項目
親記事
子記事
兄弟記事
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